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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド


2.4.2 メール受信監視ジョブのための環境設定をする

JP1/AJS3での環境設定の手順と,UNIXホストでメール受信監視ジョブを使用するために必要な設定内容を説明します。

なお,UNIXホストでメール送信ジョブを使用する場合,次に示す環境設定パラメーターの設定内容に関係なく使用できます。

〈この項の構成〉

(1) 環境設定の手順

環境設定の手順を次に示します。

  1. イベント・アクション制御の環境設定パラメーターでメール受信監視ジョブのための環境設定をする。

    イベント・アクション制御の環境設定パラメーターでのメール受信監視ジョブのための環境設定については,「(2) イベント・アクション制御の設定手順」を参照してください。

  2. メール配信機能をセットアップする。

    メール配信機能のセットアップについては,「2.4.3 メール配信機能をセットアップする」を参照してください。

  3. 必要に応じて,メールフィルターアプリケーション(コード変換ツール)を用意し,セットアップする。

    漢字などのマルチバイト文字を使用しているメールやMIMEなどのエンコードがされているメールを受信監視できるようにするには,メールフィルターアプリケーションを別途用意し,メールシステム連携で使用できるようにセットアップする必要があります。メールフィルターアプリケーションについては,「2.5 メールフィルターアプリケーションの仕様」を参照してください。

  4. コマンド実行後,JP1/AJS3を再起動する。

    設定した内容でメール受信監視ジョブが使用できるようになります。

(2) イベント・アクション制御の設定手順

ここでは,環境設定パラメーターの定義内容を変更する手順について説明します。

  1. 次のコマンドを実行して,メール受信監視ジョブの環境設定に必要な環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1 
    ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2] 
    ["環境設定パラメーター名3"=定義内容3] 
    ["環境設定パラメーター名4"=定義内容4] 
    ["環境設定パラメーター名5"=定義内容5] 
    ["環境設定パラメーター名6"=定義内容6]
    ["環境設定パラメーター名7"=定義内容7]

    メール受信監視ジョブの環境設定に必要な環境設定パラメーターの内容については,「(3) メール受信監視ジョブを使用するための環境設定パラメーター」を参照してください。

    デフォルトでは,メール受信監視ジョブを使用しない設定になっています。メール受信監視ジョブを使用する場合は,環境設定パラメーターExecModeに「U」を指定します。

(3) メール受信監視ジョブを使用するための環境設定パラメーター

メール受信監視ジョブに関連するイベント・アクション制御の環境設定パラメーターを次の表に示します。なお,イベント・アクション制御全般に関する環境設定パラメーターは,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.6 イベント・アクション制御の環境設定」に記載しています。必要に応じて参照してください。

なお,マニュアルに記載されていないパラメーターは保守用のパラメーターです。値は変更しないでください。

表2‒7 メール受信監視ジョブに関連した環境設定パラメーター一覧

定義キー

環境設定パラメーター

定義内容

[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\mail_link]

"ReceiveIntervalC"=

メールの受信を監視する時間間隔

"UserName"=

ユーザー名

"MailFileDir"=

メールファイルディレクトリ名

"MailFileName"=

メール保存先ファイル名

"NotMatchMailDir"=

不一致メール退避先ファイルを保存するディレクトリ名

"ReceivedMailFormat"=

メールシステムの組み合わせに対応するメールのフォーマット

[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT\mail_link]

"ExecMode"=

メールシステム連携機能を使用するかどうか

注※

{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

論理ホストでの指定方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 10.6.1(4) イベントジョブの実行環境に関する注意事項」を参照してください。

環境設定パラメーターの定義内容の詳細を次に示します。

"ReceiveIntervalC"=dword:時間間隔

メールの受信を監視する時間間隔を指定します。

指定できる値

16進数で00000001〜000005A0(10進数で1〜1,440)(単位:分)

デフォルト値

dword:0000000A(10進数で10)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

"UserName"="ユーザー名"

指定したユーザーのメールの受信を監視する場合に,ユーザー名を指定します。

なお,受信を監視するメールは,ここで指定したユーザー名と同じファイル名で格納されます。格納先は,環境設定パラメーターMailFileDirで指定します。

指定できる値

1〜256(単位:バイト)の文字列

デフォルト値

空白

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

"MailFileDir"="メールファイルディレクトリ名"

環境設定パラメーターUserNameで指定したユーザーのメールが格納される,メールファイル用のディレクトリ名を指定します。

JP1/AJS3ではメール配信機能を使ってメールを受信するため,必ず「/var/opt/jp1ajs2/tmp/mailbox」を指定するようにしてください。省略した場合,「/var/opt/jp1ajs2/tmp/mailbox」が仮定されます。

メール配信機能の設定については,「2.4.3 メール配信機能をセットアップする」を参照してください。

指定できる値

1〜180(単位:バイト)の文字列

デフォルト値

/var/opt/jp1ajs2/tmp/mailbox

推奨値

/var/opt/jp1ajs2/tmp/mailbox

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

"MailFileName"="メール保存先ファイル名"

監視条件に一致したメールを保存する,メール保存先ファイルの名称をフルパスで指定します。

環境設定パラメーターMailFileDirで指定するディレクトリに格納される,環境設定パラメーターUserNameで指定したユーザー名のメールファイルとは別のファイルを指定してください。

指定できる値

1〜255(単位:バイト)の文字列

デフォルト値

空白

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

"NotMatchMailDir"="不一致メール退避先ファイルを保存するディレクトリ名"

監視条件に一致しなかったメールを保存する,不一致メール退避先ファイルを保存するディレクトリ名をフルパスで指定します。

  • 環境設定パラメーターMailFileDirに指定するディレクトリとは別のディレクトリを指定してください。

  • このパラメーターの指定を省略した場合,監視条件に一致しないメールは破棄されます。

指定できる値

1〜180(単位:バイト)の文字列

デフォルト値

空白

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

"ReceivedMailFormat"=dword:{0|1}

受信するメールヘッダのデータ形式を指定します。

データ形式は,連携するメールシステムのバージョンの組み合わせによって異なります。

指定できる値

0

受信するメールヘッダのデータに,自動的に半角スペースが挿入されているデータ形式の場合に指定します。

(例)Subject:△TITLE (△は半角スペース)

メールを送信するホストまたはメールを受信するホストのどちらかのsendmailのバージョンが8.14.0より前の場合,もしくは両方のsendmailのバージョンが8.14.0より前の場合に指定します。

1

受信するメールヘッダのデータに,自動的に半角スペースが挿入されていないデータ形式の場合に指定します。

(例)Subject:TITLE

メールを送信するホストおよびメールを受信するホストの両方のsendmailのバージョンが8.14.0以降の場合に指定します。

デフォルト値

0

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時

補足事項

メール送信ホストおよびメール受信ホストのsendmailのバージョンの組み合わせと,その組み合わせに対応した指定値を次の表に示します。

表2‒8 メールシステムの組み合わせと環境設定パラメーターReceivedMailFormatに指定する値

メールを受信するホストのsendmailのバージョン

メールを送信するホストのsendmailのバージョン(JP1/AJS3のメール送信ジョブまたはsendmail単体による送信)

8.14.0より前

8.14.0以降

8.14.0より前

0

0

8.14.0以降

0

1

注意事項
  • 上記の表に示した環境設定パラメーターReceivedMailFormatに,1を指定する必要がある組み合わせに対して0を指定した場合は,メール受信監視ジョブの監視条件に合致したメールを受信しても,それを検知できません。

    また,環境設定パラメーターReceivedMailFormatに,0を指定する必要がある組み合わせに対して1を指定した場合は,マクロ変数MLRCVSUBJECTにはメール受信監視ジョブで検知したメールの件名の先頭に,半角スペースが挿入された内容が格納されます。

    そのため,メールシステムの組み合わせに応じた値を指定してください。

  • メールを受信するホストのsendmailのバージョンが8.14.0以降の場合,そのホストでは,バージョンが8.14.0より前のsendmailで送信されるメールとバージョンが8.14.0以降のsendmailで送信されるメールの,どちらかだけを受信するようにしてください。

    また,送信されるメールの形式に応じたReceivedMailFormatの値を,指定してください。

  • メール送信ジョブや単体のsendmailを使用しないでメールを送信する場合(例えばtelnetコマンド),送信するメールヘッダの形式は次のとおりです。

    ・sendmailのバージョンが8.14.0より前の場合に相当する形式

     フィールド名とフィールドデータの間に半角スペースを記述します。

     (例)"Subject:△TITLE"(△は半角スペース)

    ・sendmailのバージョンが8.14.0以降の場合に相当する形式

     フィールド名とフィールドデータの間に半角スペースを記述しません。

     (例)"Subject:TITLE"

"ExecMode"="{U|N}"

メール受信監視ジョブを使用するかどうかを指定します。

指定できる値

U

メール受信監視ジョブを使用します。

N

メール受信監視ジョブを使用しません。

デフォルト値

N

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

次回JP1/AJS3サービス起動時