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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス


jpomanevreset

〈このページの構成〉

形式

jpomanevreset
     [-h 論理ホスト名]
     [-F サービス名]
     [-a 実行ホスト名|-all]
     [-s]
     [-e]
     [-dh マネージャーホスト名 -a 実行ホスト名]

機能

イベント・アクション制御マネージャーが保持する情報を削除します。また,-aオプションに指定された実行ホストと通信を行い,実行ホスト側の情報も削除します。

起動条件イベントが大量発生し,イベント・アクション制御が高負荷状態になって,システム全体でスローダウンなどの現象が発生している場合,このコマンドを実行することで,次回のJP1/AJS3の起動から正常な運用に戻せます。

なお,システムに複数のエージェントがある場合は,事前にjpomanevshowコマンドを使用して大量のイベントを発生させたエージェントを特定してください。

また,次のような場合に-dhオプションを指定してコマンドを実行することで,-aオプションに指定された実行ホストと通信し,実行ホスト側の情報を削除します。

標準構成の場合,このコマンドは,JP1/AJS3ホストサービスが起動していて,かつ対象とするJP1/AJS3スケジューラーサービスが停止しているときだけ実行できます。対象とするJP1/AJS3スケジューラーサービスが起動している状態で実行した場合,またはJP1/AJS3サービス全体が停止している状態で実行した場合はエラーとなります。ただし,-dhオプション指定時は,JP1/AJS3ホストサービスが起動していればJP1/AJS3スケジューラーサービスの起動,停止の状態に関係なく実行できます。

なお,スケジューラーサービスの停止方法は「3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_spmd_stop」を参照してください。

実行権限

Windowsの場合:Administrators 権限

UNIXの場合:スーパーユーザー権限

引数

-h 論理ホスト名

クラスタで運用している場合に,イベントリセットを行う論理ホスト名を指定します。

指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。

このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,自ホスト名が仮定されます。

-F サービス名

処理対象とする,スケジューラーサービスのサービス名を指定します。

指定できる文字数は,1〜30(単位:バイト)です。

-aオプションと同時に指定した場合は,-aオプションに指定した実行ホストで実行しているイベントジョブおよび起動条件付きジョブネットのうち,このオプションで指定したスケジューラーサービスから実行したジョブの情報を削除します。

このオプションを省略した場合,デフォルトスケジューラーサービス名が仮定されます。

-a 実行ホスト名|-all

イベントリセットを行うとき,特定の実行ホストの情報だけを削除したい場合に,-aオプションに実行ホスト名を指定します。このとき,実行ホスト名にはajsagtaddコマンドの-sオプションで指定した実行ホスト名を指定します。例えば,実行ホスト名をFQDN形式で指定した場合は,FQDN形式で指定します。

なお,実行エージェント名に対する実行ホスト名は,ajsagtshowコマンドで確認できます。

(例) ajsagtshow -l

ajsagtaddコマンドについては「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsagtadd」を,ajsagtshowコマンドについては「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsagtshow」を参照してください。

指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。

-Fオプションで指定したスケジューラーサービスからジョブを実行したすべての実行ホストを対象にする場合は-allを指定してください。

このオプションを省略した場合,デフォルトの実行エージェントに対応した実行ホストが仮定されます。

-s

-aで指定した実行ホストと通信しないで,マネージャー側の情報だけを削除します。

次に示す条件の場合にこのオプションを指定してください。次に示した条件のときこのオプションを指定しなかった場合,コマンドが終了するまでに時間が掛かることがあります。

  • 実行ホスト側のJP1/AJS3サービスをコールドスタートした場合

  • 通信障害によってマネージャーと実行ホスト間で正常に通信できない場合

このオプションを省略した場合,-aオプションで指定した実行ホストと通信し,実行ホスト側の情報も削除されます。

-e

イベントジョブや起動条件の実行は継続したままとし,未処理データだけを削除します。ただし,実行ホスト側の監視状態をいったん終了させたあとに再実行するため,JP1/AJS3サービスが起動してから実行ホスト側で実際に監視が始まるまでに時間差があります。

このオプションを省略した場合,実行中のイベントジョブや起動条件を終了します。

このオプションを使用してコマンドを実行する場合は,次の表に示すことを実施してください。

表3‒34 JP1/AJS3起動前後の実施内容

タイミング

実施内容

JP1/AJS3起動前

実行ホスト側で,問題が発生した原因を取り除く。

JP1/AJS3起動後

JP1/AJS3 - View上でジョブの状態を確認し,必要に応じて再実行する。

-dh マネージャーホスト名 -a 実行ホスト名

次のような場合に,マネージャーホスト名を指定します。指定しなかった場合,エージェント側のJP1/AJS3サービスの起動に時間が掛かることがあります。

  • ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してディザスター・リカバリー運用をする環境で,リモートサイト側のJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートした

  • 外部DBを利用する環境で,リカバリー後にJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートした

  • バックアップ強化機能を使用する環境で,リカバリー後にJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートした

指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。

このオプションを指定する場合は,-aオプションを同時に指定してください。指定しないで実行した場合,メッセージKAVT8347-Eが出力されてコマンドが異常終了します。-aオプションには,通信できる実行ホスト名を指定してください。サービス停止,またはネットワーク未接続状態の実行ホスト名を指定した場合は,コマンドが終了するまでに時間が掛かり,かつメッセージKAVT8343-Wが出力されてコマンドが正常終了します。このメッセージが出力された場合,-aオプションに指定した実行ホストの情報は削除されません。そのため,-aオプションに指定する実行ホストのサービスが停止していた場合はサービスを起動し,通信できない状態の場合は通信できる状態にしたあと,コマンドを再実行してください。

-allオプション,-sオプション,-eオプションとは同時に指定できません。同時に指定した場合,メッセージKAVT8307-Eが出力され,コマンドは異常終了します。

実行ホストで,複数のスケジューラーサービスからイベントジョブを実行している場合は,スケジューラーサービスごとにjpomanevresetコマンドを実行してください。

注意事項

戻り値

0

正常終了。

1

引数の指定が不適切である。

2

初期化に失敗した。

論理ホストの定義または環境設定に誤りがある。

3

権限が不足している。

4

-Fオプションに指定したスケジューラーサービスが起動している。

5

同じコマンドを同時に実行している。

100

ファイルアクセスエラーが発生した。

101

メモリー不足が発生した。

255

システムエラーが発生した。

補足事項

JP1/AJS3を通常に起動した場合と,jpomanevresetコマンドによってイベント・アクション制御マネージャーの状態を回復させたあとで起動した場合では,JP1/AJS3 - Viewで表示される状態が異なります。また,jpomanevresetコマンドでの-eオプションの指定の有無(イベントジョブや起動条件を継続するかどうか)によっても状態が異なります。それぞれの場合の状態の差異について次に説明します。

使用例1

イベント・アクション制御マネージャーが保持する情報を削除する場合の使用例は,「3. 通常の運用で使用するコマンド jpomanevshow」の使用例を参照してください。

使用例2

ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してリモートサイトに運用を切り替えた場合に,実行エージェント「AP1」が保持するメインサイトのマネージャーホスト「MAINHOST」の情報を削除します。

jpomanevreset -h LogicalHost -F AJSROOT2 -dh MAINHOST -a AP1