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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


2.9 クラウド環境でのジョブ実行について検討する

フレキシブルジョブを使用したシステム構成および構成要素について説明します。

フレキシブルジョブは,クラウドのオートスケール環境にある実行エージェントなど,マネージャーホストが直接管理していない実行エージェントで実行できます。クラウド上でフレキシブルジョブを実行する実行エージェントを宛先エージェントと呼びます。

図2‒60 クラウド上の宛先エージェントでのジョブの実行

[図データ]

また,フレキシブルジョブの実行要求をエージェントホストに中継させることで,オンプレミス環境で定義したジョブをクラウド環境で実行できます。ジョブの実行要求を中継するエージェントを中継エージェントと呼びます。

オンプレミス環境とクラウド環境を併用する例を次に示します。

図2‒61 オンプレミス環境とクラウド環境を併用する例1

[図データ]

図2‒62 オンプレミス環境とクラウド環境を併用する例2

[図データ]

クラウド環境でのフレキシブルジョブの実行では,ロードバランサーを利用してジョブの実行エージェントを振り分けたり,クラウド上のすべての実行エージェントでジョブを実行したりできます。

ロードバランサーおよび中継エージェントを使用したシステム構成を次に示します。同一のジョブを,オートスケール環境にあるすべての実行エージェントで一斉に実行する場合については,「2.10 ジョブの一斉実行について検討する」を参照してください。

図2‒63 ロードバランサーおよび中継エージェントを使用したシステム構成例

[図データ]

補足事項
  • ロードバランサーを使用する場合,TCPパケットを振り分けられることが前提です。

  • ロードバランサーだけ,または中継エージェントだけ使用することもできます。ただし,ロードバランサーと中継エージェントのどちらも使用しない場合は,フレキシブルジョブではなくPCジョブやUNIXジョブを使用することを推奨します。

  • ファイアウォールの透過については,「2.3.2 ファイアウォールと通信に関する基礎知識」を参照してください。

  • オンプレミス環境で定義したジョブをパブリッククラウド環境で実行する場合,中継エージェントとクラウド環境はVPNで接続してください。

  • 中継エージェントとクラウド環境間の通信には,通信の安全性と通信回線の安定性が確保された通信環境を使用してください。詳細については,「2.3.7 WAN環境で使用する場合の通信」を参照してください。

  • フレキシブルジョブの中継機能は,中継エージェント上でジョブとして実行されます。このため,中継エージェントとほかのジョブの実行エージェントを同一にすると,ジョブ実行多重度などについて,フレキシブルジョブの実行がほかのジョブの実行に影響を与えます。フレキシブルジョブの中継エージェントは,ほかのジョブの実行エージェントと別にすることも検討してください。

  • フレキシブルジョブの注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.8 フレキシブルジョブ使用時の注意事項」を参照してください。