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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


2.3.8 DNS環境での運用

JP1/AJSは,DNS環境下で運用できます。JP1/AJSをマネージャー・エージェント構成で運用する場合は,DNSに正引きの定義をしてください。

JP1/AJS3各製品での正引きの解決について必要な設定を次に示します。

図2‒37  JP1/AJS3各製品での正引きの解決について必要な設定

[図データ]

イベントジョブの実行エージェント名としてFQDN(Fully Qualified Domain Name)形式のホスト名を使用したい場合に,この節で説明する設定をする必要があります。イベントジョブを使用していても,同一ネットワーク内および複数ドメインをまたがる環境でホスト名が重複しない場合,またはイベントジョブを使用しない場合については,特に設定する必要はありません。

この項で説明している設定をすると,イベントジョブを実行する際のマネージャー・エージェント間の通信では,それぞれ自ホスト名からFQDN形式のホスト名を求めて通信相手に送付します。これによって,マネージャーとエージェントは通信相手をユニークに識別し,通信データを正しく処理できます。

同一ネットワーク内にホスト名が重複しない運用を行っていて,すでに問題なく運用ができている場合は,FQDN形式のホスト名による運用に切り替える必要はありません。

次に,イベントジョブの,FQDN形式のホスト名での運用の要否,運用例,および注意事項について説明します。

〈この項の構成〉

(1) イベントジョブのFQDN形式のホスト名を使用した運用に切り替える要否

すでにイベントジョブを同一ネットワーク内にホスト名が重複しないホスト名を使用してDNSで運用している場合,設定を変更する必要はありません。イベントジョブをFQDN形式のホスト名による運用へ切り替えるかどうかは,次に示すフローチャートで判断してください。

図2‒38 FQDN形式のホスト名での運用に切り替えの要否の判断

[図データ]

フローチャートでの判断の結果,「FQDN形式のホスト名での運用」に切り替える場合,切り替えるための設定を実施する必要があります。設定手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.5 イベントジョブを使用したDNS運用時にFQDN形式で運用するための設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.5 イベントジョブを使用したDNS運用時にFQDN形式で運用するための設定」(UNIXの場合)を参照してください。

なお,JP1イベント受信監視ジョブ,ログファイル監視ジョブ,Windowsイベントログ監視ジョブは,デフォルトではジョブを実行するホスト上でホスト名を求め,それと同名のJP1/Baseのイベントサーバを使用して動作します。そのため,JP1/BaseのイベントサーバをFQDN形式のイベントサーバ名で運用しているエージェントホストでこれらのジョブを実行する場合は,エージェントホスト名をFQDN形式にして運用するか,またはエージェントホストのJP1/AJS3が使用するイベントサーバ名をFQDN形式で設定してください。イベントサーバ名をFQDN形式で設定する方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.17 DNSを使ったシステムでのイベントサーバ名の設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.16 DNSを使ったシステムでのイベントサーバ名の設定」(UNIXの場合)を参照してください。

また,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.8.1 サービスの依存関係の解除・再設定」を参照し,必要に応じてJP1/AJS3サービスの依存関係を設定してください。

(2) DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する例

次のように,ホスト名が同じHostAで,IPアドレスが100.0.0.200と200.0.0.200のドメインが異なるエージェントホストに対して,IPアドレスが100.0.0.100,ホスト名がHostMのマネージャーホストから「HostA.hitachi_1.co.jp」,「HostA.hitachi_2.co.jp」という実行ホスト名を指定したジョブを実行する場合に,FQDN形式のホスト名で運用する例を説明します。

なお,この例では,マネージャーホストおよびエージェントホスト上でhostnameコマンドがFQDN形式のホスト名を返す環境を想定しています。FQDN形式のホスト名での運用に切り替える設定については,「(1) イベントジョブのFQDN形式のホスト名を使用した運用に切り替える要否」を参照してください。

図2‒39 FQDN形式のホスト名で運用する例

[図データ]

このような場合,自ドメイン内のマネージャーホストとエージェントホストのhostsファイルをそれぞれ次のように設定します(図中の(1))。

なお,この設定はUNIXの場合に有効です。

また,異なるDNSサーバ間で互いのホスト名が解決できない環境の場合は,マネージャーホストとエージェントホストのhostsファイルをそれぞれ次のように設定します(図中の(2))。

このように設定すると,ジョブ実行時にマネージャーホスト名「HostM.hitachi_1.co.jp」が各エージェントホストに送られ,エージェントホストは「HostM.hitachi_1.co.jp」に対して結果を返信します。

注意事項
  • マネージャーホストは各エージェントホストを,FQDN形式でホスト名の名前解決ができる環境で運用してください。また,各エージェントホストはマネージャーホストをFQDN形式で名前解決ができる環境で運用してください。

  • UNIX環境の場合,ホスト名解決の検索順序はDNSとhostsファイルでは,DNSの方を優先してください。DNSを優先しないと,FQDN形式のホスト名を取得する際に,正常に取得できないことがあります。

  • FQDN形式のホスト名での運用に切り替えると,イベントジョブを実行する際のマネージャーホストとエージェントホスト間の通信ではFQDN形式のホスト名が使用されます。ただし,jp1hosts情報またはjp1hosts2情報にショート名の自ホスト名を定義している場合は,DNSよりもjp1hosts情報またはjp1hosts2情報の設定が優先されるため,イベントジョブを実行する際のマネージャーホストとエージェントホスト間の通信ではショート名のホスト名を使用します。したがって,エージェントホストのjp1hosts情報またはjp1hosts2情報にショート名の自ホスト名を定義する場合は,マネージャーホストのjp1hosts情報またはjp1hosts2情報にエージェントホストのショート名を定義してください。また,マネージャーホストのjp1hosts情報またはjp1hosts2情報にショート名の自ホスト名を定義する場合は,エージェントホストのjp1hosts情報またはjp1hosts2情報にマネージャーホストのショート名を定義してください。なお,jp1hosts情報またはjp1hosts2情報の定義方法の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

  • 同一ドメイン(hitachi_1.co.jp)内で運用する場合は,環境設定パラメーターDNSEstablishYとしてもNとしてもかまいません。ただし,マネージャーホスト上およびエージェントホスト上で互いのホスト名について名前解決できる環境で運用してください。

(3) DNS環境で運用する場合の注意事項

DNS環境で運用する場合の注意事項を次に示します。