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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


4.5.3 ジョブネットの実行日時を一時変更する

ジョブネットの実行予定世代の実行開始日時を変更できます。一時変更の場合,変更されるのは選択した実行予定だけで,それ以外の実行予定やスケジュールルールは変わりません。変更した日時にジョブネットを実行したあとは,定義したスケジュールルールに基づいた実行に戻ります。

ルートジョブネットの実行予定を元の実行開始日時より前の日時に変更する場合,元の実行予定をそのまま残し,新たに実行予定を追加できます。この場合は,変更前の日時と変更後の日時の両方でジョブネットが実行されます。

また,実行登録方法によって動作が異なります。

計画実行登録の場合

元の実行予定を前倒しで実行します。

元の実行予定がすでに計画一時変更されていた場合,一時変更情報は前倒しにした実行予定に引き継がれます。

元の開始予定日時に生成する実行予定には,一時変更情報は引き継がれません。

確定実行登録の場合

元の実行予定はそのまま残し,実行予定を新しくスケジューリングして追加します。

元の実行予定がすでに計画一時変更されていた場合,追加する実行予定ではジョブネットの一時変更情報を複製します。しかし,ジョブの一時変更情報は複製しません。

なお,次回実行予定日を当日へ変更した場合,変更した時点ですでに実行予定時刻を過ぎていたら,すぐにジョブネットが開始されます。

実行予定のないジョブネットは変更もできません。

一時変更した実行日時は,変更を解除して元の実行日時に戻せます。ただし,確定実行登録や即時実行登録したルートジョブネットの実行予定を前倒しして実行予定を追加した場合は,変更を解除することによって,前倒しして追加した実行予定の実行日時を元の実行日時に戻せます。ただし,変更を解除した実行予定はなくならないで,元の実行予定と同じ実行開始日時に戻ります。そのため,二つの実行予定が,同じ実行開始日時に実行されてしまいます。前倒しして追加した実行予定を取り消すには,変更解除ではなく,前倒しして追加した実行予定を実行中止してください。

この操作は,JP1/AJS3 - View,Web GUI,計画一時変更(日時変更)APIまたはajsplanコマンドで実行できます。JP1/AJS3 - Viewでの操作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 9.3 ジョブネットの実行開始日時を一時的に変更する」を,Web GUIでの操作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 16.21 [日時変更]ダイアログボックス」を,計画一時変更(日時変更)APIで操作する場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 7.1.12 計画一時変更(日時変更)API」を,また,コマンドで操作する場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsplan」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) ネストジョブネットの実行予定を変更する場合

ネストジョブネットの実行日時は,ルートジョブネットの実行開始日から48時間の範囲内でだけ変更できます。48時間以内であれば,翌日の日付を指定しても有効になります。

例えば,ルートジョブネットの実行日が8/11の場合に,ネストジョブネットの実行開始日時を8/12の1:00と指定しても,8/11分の実行予定として扱われ,ネストジョブネットは実行されます。

(2) ルートジョブネットが48時間制の場合

ルートジョブネットのスケジュール定義に48時間制を採用していて,ルートジョブネットの実行日時を一時変更する場合,変更する実行開始日時と実行日の関係に注意してください。例えば,8/11 36:00へ一時変更するのと,8/12 12:00へ一時変更するのとでは,実際の実行開始時刻は同じですが,JP1/AJS3の運用上の実行日が異なります。実行日の指定によっては,ネストジョブネットが実行されないことがあります。

実行開始時刻を8/11 36:00に一時変更すると,実行日は8/11になります。そのため,ネストジョブネットのスケジュールは,8/11の0:00〜47:59までのスケジュールが有効になります。

実行開始時刻を8/12 12:00に一時変更すると,実行日は8/12になります。そのため,ネストジョブネットのスケジュールは,8/12の0:00〜47:59のスケジュールが有効になります。

ルートジョブネットのスケジュール定義の48時間制については,「3.3.1 ルートジョブネットの時間制とスケジュールルール」を参照してください。

実行開始日時の指定と実行日の関係について,次の図に示します。

図4‒29 実行開始日時の指定と実行日の関係

[図データ]

注意事項
  • 実行日時の一時変更で48時間制スケジュールが有効になるのは,絶対日時で日時変更した場合です。相対日時指定で日時変更した場合は,24:00以降は翌日扱いとなります。例えば,8/1の22:00の実行予定を,相対時刻指定で12時間後に実行日時を変更した場合は,8/1の34:00として実行されないで8/2の10:00として実行されます。

  • ルートジョブネットのスケジュール定義に48時間制スケジュールを採用し,基準時刻に0:00以外の時刻が設定されている場合,指定した日時とJP1/AJS3運用上の日付とにずれが生じるなど,運用が複雑になるため注意が必要です。詳細については,「3.3.2(1)(a) 実行開始日時の設定」を参照してください。

(3) 上位ジョブネットの実行予定を一時変更した場合のネストジョブネットのスケジュール

実行予定を一時変更するジョブネットにネストジョブネットがある場合,上位ジョブネットと連動して配下のジョブネットの開始日時も同時に変更できます。連動して変更する場合,上位のジョブネットの開始時刻を2時間ずらすと,配下のジョブネットも同じように2時間ずらされます。連動させない場合は,上位のジョブネットの開始日時を変更しても,配下のジョブネットの開始日時は変更されません。

配下のジョブネットのスケジュールを連動させない設定の場合でも,ルートジョブネットの実行予定日を別の日に変更した場合は,ネストジョブネットのスケジュールが自動的に再計算されます。スケジュールの再計算は,ルートジョブネットの実行登録方法によって異なるため注意してください。変更後のスケジュールを,ルートジョブネットの実行登録方法ごとに説明します。

なお,実行登録方法による違いを意識したくない場合は,ルートジョブネットの実行日時を変更する際に,配下のネストジョブネットを連動して変更するように指定してください。

ルートジョブネットの実行日を一時変更した場合のネストジョブネットのスケジュールを,次の図に示します。

図4‒30 ルートジョブネットの実行日を一時変更した場合のネストジョブネットのスケジュール

[図データ]

ルートジョブネットを計画実行登録していた場合

ルートジョブネットの実行日を一時変更すると,ネストジョブネットのスケジュールは,スケジュールルールに基づいて再計算されます。変更後の実行日がネストジョブネットのスケジュールルールに一致しなければ,そのネストジョブネットの実行予定は生成されません。ネストジョブネットBは処理サイクルが毎日であるため,8/13もスケジュールが有効ですが,ネストジョブネットCは処理サイクルが毎週であるため,8/13のスケジュールは無効です。そのため,8/13にはジョブネットCは実行されません。ただし,即時実行,一時変更,または追加操作され,実行予定が確定しているネストジョブネットについては,「ルートジョブネットを即時実行登録,または確定実行登録していた場合」と同じ動作になります。ネストジョブネットB,Cに対して即時実行,一時変更,または追加操作されていた場合は,ネストジョブネットB,Cの実行予定は,8/13に移動します。

ルートジョブネットを即時実行登録,または確定実行登録していた場合

ネストジョブネットB,Cは,どちらも実行予定日が8/11で確定されています。確定されている実行予定は通常変更されませんが,ルートジョブネットの実行日を変更した場合は,変更後のルートジョブネットの実行日に合わせて,ネストジョブネットの実行時刻が変更されます。ネストジョブネットの実行時刻が,ルートジョブネットの実行日の基準時刻から48時間以内に収まるように変更されます。その結果,ネストジョブネットB,Cの実行予定は,8/13に移動します。ネストジョブネットの実行時刻が変更され,意図しない実行時刻になった場合は,ネストジョブネットの実行予定を一時変更してください。

(4) 擬似予定よりあとの日時に変更する場合

擬似予定とは,計画実行登録したジョブネット,および未来世代数を設定して確定実行登録したジョブネットについて,ジョブネットの実行予定を擬似的に生成したものです。計画実行登録の場合,次回予定以降の予定(スケジュール)を指します。未来世代数を設定した確定実行登録の場合,指定した未来世代数以降の予定を指します。

計画実行登録したジョブネット,および未来世代数を設定して確定実行登録したジョブネットの日時を擬似予定よりあとの日時に変更した場合,変更後の実行予定より前にある擬似予定は実行されません。

擬似予定またがりの実行予定日付変更の例を,次の図に示します。

図4‒31 擬似予定またがりの実行予定日付変更の例

[図データ]

上記の場合,実行予定日を8/11から8/15に変更しています。8/15より前にある擬似予定の8/14は実行されません。したがって,実行予定日は8/15および8/17となります。

なお,8/14の擬似予定を実行する場合は,次のようにしてください。

計画実行登録したジョブネットの場合

8/14の擬似予定を実行する場合は,日時変更で一時変更するのではなく,8/11の実行予定を実行中止し,スケジュールルールの追加で8/15に実行予定を追加してください。

実行予定の実行中止については,「4.5.5 ジョブネットやジョブの実行を中止する」を参照してください。

未来世代数を設定して確定実行登録したジョブネットの場合

実行予定日を8/11から8/15に変更したあと,擬似予定があった8/14に実行予定を追加してください。

実行予定の追加については,「4.5.2 ジョブネットに実行予定を追加する」を参照してください。

(5) 計画実行登録された実行予定に対して複数回一時変更で予定を追加する場合

計画実行登録では,最新のスケジュールから次回実行予定日時を算出するため,次々回以降の実行予定は擬似予定としてスケジュールを確定しません。そのため,計画実行登録したジョブネットでは,スケジュールが確定している次回実行予定だけを一時変更できます。

現在の実行予定日時より前の日時に一時変更する場合は,変更前のスケジュールを移動させる(次回予定移動),または変更前のスケジュールを動かさないで追加する(次回予定追加)を選択できますが,追加の場合は次回実行予定だけ追加できます。次々回以降の予定を含む複数の予定は一時変更で追加できません。また,連続して追加指定で一時変更をした場合でも,最後の一時変更で追加された次回実行予定だけが追加されます。

計画実行登録された実行予定に対して複数回一時変更した場合について,次の図に示します。

図4‒32 計画実行登録された実行予定に対して複数回一時変更した場合の例

[図データ]