Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


3.1.1 ユニット

それぞれのユニットについて説明します。

〈この項の構成〉

(1) ジョブ

業務を構成するユニットの最小単位をジョブといいます。JP1/AJS3では,幾つかの処理に実行順序を付けて一つの業務を定義しますが,その一つ一つの処理がジョブに当たります。

一つ一つのジョブは,次の図のように実行順に並べて順序づけをします。

図3‒3 先行ジョブと後続ジョブ

[図データ]

このとき,ジョブAをジョブBの先行ジョブといいます。また,ジョブCをジョブBの後続ジョブといいます。ジョブの順序づけについては,「3.1.4 ジョブフローの作成方法」を参照してください。

ジョブには,保留,種別,実行先サービス,打ち切り時間,終了遅延監視,所有者,JP1資源グループ,実行ユーザー種別などの属性情報を定義できます。ここでは,保留,種別,実行先サービス,打ち切り時間,および終了遅延監視について説明します。所有者,JP1資源グループ,および実行ユーザー種別については,「7.2 ユニットへのアクセスを制限するための設定」を参照してください。

ジョブにはさまざまな種類があり,処理の形態に合わせて定義するジョブを選べます。ジョブの種類には,次のものがあります。

それぞれのジョブの特性について,次に説明します。

(a) 標準ジョブ

標準ジョブとは,実行ファイルと実行先のホスト名などを指定して処理を実行させるジョブです。標準ジョブには次の4種類があります。

  • UNIXジョブ

  • PCジョブ

  • QUEUEジョブ

  • フレキシブルジョブ

それぞれのジョブの内容と定義できる処理(指定できる実行ファイル)を,次の表に示します。

表3‒1 標準ジョブの内容と定義できる処理

項番

ジョブの種類

ジョブの内容

定義できる処理

1

UNIXジョブ※1

UNIXホストで処理を実行させる。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

2

PCジョブ※1

Windowsホストで処理を実行させる。

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

  • .sptファイル※2(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)

  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル

3

QUEUEジョブ

特定のキューにジョブを送って処理を実行させる。

JP1/NQSEXECやJP1/OJEなど,他システムと連携する場合に使用する。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

  • .sptファイル※2(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)

  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル

4

フレキシブルジョブ※3

  • マネージャーホストが直接管理していないエージェントホストで,処理を実行させる。

  • 一つのジョブを複数の実行エージェントに一斉に配信する。

  • クラウド環境で処理を実行させる。ロードバランサーにも対応している。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

注※1

UNIXジョブおよびPCジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.1 ファイルを指定して処理を実行する(標準ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

注※2

.sptファイルを指定した場合,実行先ホスト側にもJP1/Scriptがインストールされていないと実行されません。

注※3

フレキシブルジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.10 クラウド環境でジョブを実行する(フレキシブルジョブを使ったジョブネットの定義例)」,およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.11 一つのジョブを複数の実行エージェントで一斉に実行する(フレキシブルジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

注意事項

フレキシブルジョブの定義は,どのOSのマネージャーホストでも定義できます。フレキシブルジョブが実行ホストとして指定できるマネージャーホストおよびエージェントホストのOSは,WindowsとLinuxだけです。

(b) ORジョブ

ORジョブとは,事象の発生を監視するジョブ(イベントジョブ)を先行ジョブとして複数定義しておき,それらが監視する事象が一つでも発生した場合に後続ジョブを実行させるジョブです。ORジョブの先行ジョブとして定義できるジョブは,イベントジョブだけです。

ORジョブを使用したジョブネット例を,次の図に示します。

図3‒4 ORジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

複数定義したイベントジョブのうち,最初に事象が発生したジョブが終了すると,それ以外のイベントジョブは「計画未実行」状態となって事象発生の監視を打ち切ります。

なお,ORジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.2 複数の条件のうち一つが成立したら処理を実行する(ORジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(c) 判定ジョブ

判定ジョブとは,実行する条件に合致しているか,していないかを判定するジョブです。判定ジョブの判定によって実行されるジョブを従属ジョブといいます。複数の従属ジョブを実行する場合は,ネストジョブネットとして定義します。これを従属ジョブネットといいます。従属ジョブと従属ジョブネットを合わせて従属ユニットといいます。判定ジョブには,従属ユニットを実行させるための判定条件を設定します。条件が成立した場合は従属ユニットが実行され,そのあとに後続ユニットが実行されます。条件に合致しない場合は,従属ユニットを実行しないでそのまま後続ユニットを実行します。ただし,従属ユニットが異常終了した場合,後続ユニットは実行されません。

判定ジョブを使用したジョブネット例を,次の図に示します。

図3‒5 判定ジョブを使用したジョブネット例1

[図データ]

また,複数の判定ジョブを並列で実行することもできます。複数の判定ジョブで条件が合致した場合は,それぞれの従属ユニットが実行されます。

図3‒6 判定ジョブを使用したジョブネット例2

[図データ]

判定ジョブによる判定条件には,次の三つがあります。

  • 先行ジョブの終了コードによる判定

    判定値を設定し,先行ジョブの終了コード(戻り値)と比較した結果がどのような場合に従属ユニットを実行させるかを定義します。

    設定できる条件は,次のとおりです。

    • 終了コードが判定値より大きい

    • 終了コードが判定値以上

    • 終了コードが判定値より小さい

    • 終了コードが判定値以下

    • 終了コードが判定値と等しい

    • 終了コードが判定値と等しくない

    • 終了コードが判定値の範囲内

    • 終了コードが判定値の範囲外

  • ファイルの有無による判定

    ファイル名を指定し,指定したファイルがマネージャーホストにあるか,ないかによって従属ユニットを実行させるかどうかを定義します。

    設定できる条件は,次のとおりです。

    • ファイルが存在する

      ファイルがある場合に,従属ユニットを実行する。

    • ファイルが存在しない

      ファイルがない場合に,従属ユニットを実行する。

    指定したファイルがネットワークファイルの場合は,次の条件のファイルを指定したときだけファイルの有無による判定ができます。

    Windowsの場合

    JP1/AJS3サービスのアカウントをユーザーアカウントに設定し,UNCで参照できるファイル。

    UNIXの場合

    NFSなどの,ネットワークを介したファイルシステムへのマウントで参照できるファイル。

    ただし,ネットワークにアクセスできない場合はファイルがないものとして扱われるため,通信障害などによって正しく判定できないおそれがあります。

    マネージャーホストとは別のホストにあるネットワークファイルの有無を判定したい場合は,マネージャーホスト上にファイルを配置してから,判定ジョブを実行するように運用することを推奨します。

  • 変数比較による判定

    ルートジョブネット,または先行ジョブから引き継いだ引き継ぎ情報がどのような場合に従属ユニットを実行させるかどうかを定義します。

    判定できる引き継ぎ情報は次のものです。

    • イベントジョブで設定された引き継ぎ情報

    • 実行登録時のマクロ変数指定によって設定された引き継ぎ情報

    先行ジョブの引き継ぎ情報と判定ジョブの判定値を数値,文字のどちらで扱うかを選択できます。

    設定できる条件は,次のとおりです。

    判定値の形式が数値の場合

    • 変数の値が判定値より大きい

    • 変数の値が判定値以上

    • 変数の値が判定値より小さい

    • 変数の値が判定値以下

    • 変数の値が判定値と等しい

    • 変数の値が判定値と等しくない

    • 変数の値が判定値の範囲内

    • 変数の値が判定値の範囲外

    判定値の形式が文字列の場合

    • 変数の値が判定値と等しい

    • 変数の値が判定値を含む

    • 変数の値が判定値と等しくない

    • 変数の値が判定値を含まない

    • 変数の値が存在する

    • 変数の値が存在しない

先行ジョブの終了コードで判定する場合は,一つの判定ジョブに対して一つの先行ジョブを定義します。また,一つの判定ジョブに対して一つの従属ユニットを定義します。

先行ユニットにジョブネットを定義すると,そのジョブネットの戻り値は常に「0」として扱われるため,判定結果が常に同じになります。そのため,終了コードによる判定条件を設定している場合は,先行ユニットはジョブである必要があります。

一方,ファイルの有無や変数比較で判定する場合,先行ユニットがジョブである必要はありません。判定ジョブをジョブネットの先頭に定義したり,ネストジョブネットを先行ユニットに定義したりできます。ただし,変数比較による判定ジョブをジョブネットの先頭に定義した場合は,次に示すときには判定の対象となる値がないため,判定結果は偽となります。

  • 実行登録時にマクロ変数を指定していないとき

  • 起動条件付きジョブネットで起動条件のイベントジョブにマクロ変数が定義されていないとき

判定ジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.3 先行ジョブの結果でそのあとの処理を動的に変える(判定ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(d) イベントジョブ

イベントジョブとは,事象(イベント)の発生を監視するジョブです。ジョブフローやジョブネットの起動条件などにイベントジョブを定義することによって,事象の発生を契機にジョブやジョブネットを実行させることができます。ジョブネットの起動条件については,「3.4 起動条件の定義」を参照してください。

イベントジョブを使用したジョブネット例を,次の図に示します。

図3‒7 イベントジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

イベントジョブには,次の8種類があります。

  • JP1イベント受信監視ジョブ

  • ファイル監視ジョブ

  • メール受信監視ジョブ

  • メッセージキュー受信監視ジョブ

  • MSMQ受信監視ジョブ

  • ログファイル監視ジョブ

  • Windowsイベントログ監視ジョブ

  • 実行間隔制御ジョブ

それぞれのジョブの内容を次の表に示します。

表3‒2 イベントジョブの種類

項番

イベントジョブ名

ジョブの内容

1

JP1イベント受信監視ジョブ

JP1/Baseから特定のイベントを受け取ったときにイベントジョブが終了する。

2

ファイル監視ジョブ

特定のファイルが作成,削除,または更新されたときにイベントジョブが終了する。

3

メール受信監視ジョブ

特定のメールを受信したときにイベントジョブが終了する。

4

メッセージキュー受信監視ジョブ

TP1/Message QueueまたはMQSeriesから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。

5

MSMQ受信監視ジョブ

MSMQから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。

6

ログファイル監視ジョブ

JP1/Baseのログファイルトラップ機能と連携し,指定したログファイルに,特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。

7

Windowsイベントログ監視ジョブ

JP1/Baseのイベントログトラップ機能と連携し,Windowsイベントログファイルに特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。

8

実行間隔制御ジョブ

指定した時間が経過したらイベントジョブが終了する。

メール受信監視ジョブ,メッセージキュー受信監視ジョブ,およびMSMQ受信監視ジョブは,JP1/AJS3とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド」を参照してください。

注※

Linuxは対象外です。

イベントジョブの動作は,JP1ユーザーの権限およびジョブに定義されている権限(所有者,JP1資源グループ,および実行ユーザー種別)には依存しません。Windowsの場合は,JP1/AJS3サービスのアカウント権限に依存するため,JP1/AJS3サービスにあらかじめ権限を設定しておく必要があります。

イベントジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.4 事象の発生を契機に処理を実行する(イベントジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

なお,イベントジョブで受信したイベント情報を後続ジョブ中に変数(マクロ変数)として定義しておき,後続ジョブまたは後続ジョブネットに引き継ぐことができます。マクロ変数については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.6 マクロ変数の使用を検討する」を参照してください。マクロ変数を使用したイベント情報の引き継ぎについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.4(6) イベントジョブの受信情報の引き継ぎ」を参照してください。

(e) アクションジョブ

アクションジョブとは,特定の処理を実行するジョブです。イベントジョブと組み合わせることによって,事象の発生を契機にJP1イベントやメールを送信したり,状態を通知したりなどの処理(アクション)を実行させたりできます。

アクションジョブを使用したジョブネット例を,次の図に示します。

図3‒8 アクションジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

アクションジョブには次の7種類があります。

  • JP1イベント送信ジョブ

  • メール送信ジョブ

  • メッセージキュー送信ジョブ

  • MSMQ送信ジョブ

  • JP1/Cm2状態通知ジョブ

  • ローカル電源制御ジョブ

  • リモート電源制御ジョブ

それぞれのジョブの内容を次の表に示します。

表3‒3 アクションジョブの種類

項番

アクションジョブ名

ジョブの内容

1

JP1イベント送信ジョブ

JP1イベントをJP1/Baseのイベントサービスに登録する。

2

メール送信ジョブ

メールを送信する。

3

メッセージキュー送信ジョブ

TP1/Message QueueまたはMQSeriesのメッセージを送信する。

4

MSMQ送信ジョブ

MSMQのメッセージを送信する。

5

JP1/Cm2状態通知ジョブ

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMに状態を通知する。

6

ローカル電源制御ジョブ

JP1/Power Monitorと連携して,ローカル電源制御ジョブを実行したホストをシャットダウンする。

7

リモート電源制御ジョブ

JP1/Power Monitorと連携して,ネットワーク上のホストの電源を投入したり,システムを終了したりする。

メール送信ジョブ,メッセージキュー送信ジョブ,MSMQ送信ジョブ,JP1/Cm2状態通知ジョブ,ローカル電源制御ジョブ,およびリモート電源制御ジョブは,JP1/AJS3とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド」を参照してください。

注※

Linuxは対象外です。

アクションジョブを使用したジョブネット定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.5 先行ジョブの終了や事象の発生を契機にJP1イベントを送信する(JP1イベント送信ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

(f) カスタムジョブ

カスタムジョブとは,JP1/AJS3以外のプログラムがJP1/AJS3と連携して処理を実行するジョブです。JP1/AJS3 - Viewの「カスタムジョブ登録」をすることで,JP1/AJS3のジョブとして扱えるカスタムジョブアイコンが作成され,JP1/AJS3以外のプログラムでの処理をジョブとしてJP1/AJS3上で定義できるようになります。

なお,カスタムジョブには,Windows版のJP1シリーズ製品と連携するために標準カスタムジョブが標準提供されています。

標準カスタムジョブを次の表に示します。

表3‒4 標準カスタムジョブの一覧

項番

カスタムジョブ名

連携するプログラム名

カスタムジョブの機能

1

JP1FTP

JP1/FTP

JP1/FTPと連携してファイルを転送する。

2

JP1AMR3

JP1/AJS3 for Enterprise Applications

JP1/AJS3 for Enterprise Applicationsと連携して,R/3(R)システムのバックグラウンドジョブを自動実行する。

3

JP1AMR3BW

JP1/AJS3 for Enterprise Applications

JP1/AJS3 for Enterprise Applicationsと連携して,BWシステムのインフォパッケージを実行する。

4

JP1AMR3CP

JP1/AJS3 for Enterprise Applications

JP1/AJS3 for Enterprise Applicationsと連携して,R/3(R)システムのバックグラウンドジョブをコピーする。

5

MFJOB※1

HITACHI JOB ENTRY - CLIENTMF

JP1/OJEと連携して,メインフレームでジョブを実行する。

6

VOS3JOB※1

JP1/OJE for VOS3

JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS3)でジョブを実行する。

7

VOS1JOB※1

JP1/OJE for VOS1

JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS1)でジョブを実行する。

8

VOS1NET※1

JP1/OJE for VOS1

JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOS1)でジョブを実行する。

9

VOSKJOB※1

JP1/OJE for VOSK

JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOSK)でジョブを実行する。

10

VOSKNET※1

JP1/OJE for VOSK

JP1/OJEと連携して,メインフレーム(VOSK)でジョブを実行する。

11

DMSV※2

HITSENSER Data Mart Server

HITSENSER Data Mart Serverと連携して,データマートの作成・変更・運用のプロセスをスケジュール実行する。

12

COSMNGSV※2

Cosminexus Manager

Cosminexus Managerと連携して,WebサーバやJ2EEサーバなどの論理サーバを起動・停止する。

13

COSMNGAP※2

Cosminexus Manager

Cosminexus Managerと連携して,業務アプリケーションを起動・停止する。

14

ADSHPC,ADSHUX,ADSHAPPEXEC

JP1/Advanced Shell

JP1/Advanced Shellと連携してJP1/Advanced Shellのスクリプトファイルを実行する。

15

DHAJEW

JP1/DH - AJE

JP1/DH - AJEと連携して,JP1/DH - Serverに対してデータ送受信を行う。

16

CPALINK

JP1/CPA

JP1/CPAと連携して,JP1/CPA上に登録済みのジョブを起動する。

注※1

WindowsホストのJP1/AJS3 - Managerで実行する標準ジョブ(PCジョブ)として定義できます。UNIXジョブとしては定義できません。

注※2

カスタムジョブのジョブ種別にはPCジョブを指定する必要があります。

このほか,カスタムジョブにはPCジョブとUNIXジョブのアイコンだけをユーザー任意のアイコンに変更したカスタムPCジョブカスタムUNIXジョブがあります。

なお,JP1/AJS3でカスタムジョブを使用するには,セットアップが必要です。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 4. カスタムジョブ」を参照してください。

(g) 引き継ぎ情報設定ジョブ

引き継ぎ情報設定ジョブとは,先行ジョブが出力した標準出力ファイルから必要な情報を切り出して,後続ジョブに引き継ぐジョブです。ジョブ定義時にはわからない,動的に変化する情報を標準出力ファイルに出力することで,引き継ぎ情報設定ジョブでその情報を切り出し,後続ジョブで使用することができます。

引き継ぎ情報設定ジョブで後続ジョブへ情報を引き継ぐためには,マクロ変数を使用します。マクロ変数については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.6 マクロ変数の使用を検討する」を参照してください。

引き継ぎ情報設定ジョブを使用したジョブネットの例を,次の図に示します。

図3‒9 引き継ぎ情報設定ジョブを使用したジョブネットの例

[図データ]

引き継ぎ情報設定ジョブを使用したジョブネットの定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.9 動的に変わる情報を後続ユニットに引き継ぐ(引き継ぎ情報設定ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

なお,引き継ぎ情報設定ジョブのユニット種別は,標準カスタムジョブです。

(h) HTTP接続ジョブ

HTTP接続ジョブとは,HTTPプロトコルでリクエストの送信およびレスポンスの受信ができるジョブです。例えば,REST APIのような,クラウド上やWebサーバ上で公開されているWeb APIをJP1/AJS3で呼び出すことができます。HTTP接続ジョブを使用すると,JP1/AJS3で構築された業務システムとWeb上の業務システムとを連携させることができます。

HTTP接続ジョブを使用したジョブネット例を,次の図に示します。

図3‒10 HTTP接続ジョブを使用したジョブネット例

[図データ]

HTTP接続ジョブを使用したジョブネットの定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.12 Web上の業務システムと連携する(HTTP接続ジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。

注意事項

HTTP接続ジョブが実行ホストとして指定できるマネージャーホストおよびエージェントホストのOSは,WindowsとLinuxだけです。HTTP接続ジョブの定義は,どのOSのマネージャーホストでもできます。

(2) ジョブネット

幾つかのジョブの集まりに順序づけしたものをジョブネットといいます。ジョブネットのうち,最上位のジョブネットをルートジョブネット,ルートジョブネットの下位に定義されたジョブネットをネストジョブネットといいます。

JP1/AJS3で自動化される業務は,ルートジョブネット単位で実行されます。したがって,ルートジョブネットにはJP1/AJS3で実行予定をスケジュールするために必要な情報を定義します。スケジュール情報の定義については,「3.3 スケジュールの定義」を参照してください。

ルートジョブネットにスケジュール情報を定義すると,その下位のユニットもルートジョブネットのスケジュール情報に基づいてスケジューリングされます。一つのジョブネットの中に定義された各処理のうち,運用スケジュールが異なるものがある場合などには,ネストジョブネットを作成して個別にスケジュール情報を定義できます。ネストジョブネットのスケジュール定義については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 3.5.3 ジョブネットの一部のジョブにほかのジョブと異なるスケジュールを設定する」を参照してください。

また,ルートジョブネットでは,スケジュール情報とともにジョブネットをスケジューリングするための情報として,次の項目について設定できます。

注※

ネストジョブネットにも設定できます。

ここでは,保存世代数,優先順位,打ち切り時間,ジョブネット監視,保留,および種別について説明します。多重起動とスケジューリング方式については「3.3.3 多重起動とスケジューリング方式」を,実行順序制御についてはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.4 ジョブネットコネクタを使用したルートジョブネットの実行順序制御」を参照してください。

ジョブネットの優先順位やジョブの実行優先順位を,「なし」と設定することもできます。「なし」にした場合に仮定される値は,スケジューラーサービス単位で設定できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.4.2(108) DEFAULTPRIORITY」を参照してください。

注※1

Windowsの場合,優先順位は3段階になります。次の三つの優先順位クラスを設定してジョブのプロセスを起動します。

  • 優先順位が「1」または「2」の場合は,システムがアイドル状態のときに実行されます(Windowsで規定されるIDLE_PRIORITY_CLASSを設定します)。

  • 優先順位が「3」の場合は,一般的なプロセスとして実行されます(Windowsで規定されるNORMAL_PRIORITY_CLASSを設定します)。

  • 優先順位が「4」または「5」の場合は,上記の優先順位クラスを割り当てられたプロセスのスレッドより先に実行されます(Windowsで規定されるHIGH_PRIORITY_CLASSを設定します)。

注※2

UNIXの場合,nice値のデフォルトとして,jajs_spmdコマンドを実行した際のJP1/AJS3サービスのnice値を基準とします。特に設定されていない場合のnice値は20が仮定されます。

優先順位が「1」でnice値が20の場合,優先順位の値は次のとおりです。

 39 ≒ 20(デフォルト)+ 20(増分値)

nice値の範囲(0〜39)を超える場合,最大値は39,最小値は0です。

なお,実行先サービスをキューレスとした場合,nice値は固定の値を設定します。nice値には実行優先順位の低い順から39,30,20,10,または0のどれかを設定します。nice値を変更する場合は,これらのnice値に対応したジョブの実行優先順位を指定してください。

jajs_spmdコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_spmd」を参照してください。

(3) ジョブネットコネクタ

ジョブネットコネクタとは,ルートジョブネットの実行順序を制御するためのユニットです。ジョブネットコネクタには,次の二つの機能があります。

ジョブネットコネクタの機能を,次の図に示します。

図3‒11 ジョブネットコネクタの機能

[図データ]

ジョブネットコネクタは,ジョブネット配下にユニットの一つとして定義できます。また,ジョブネットコネクタを使って実行順序を制御できるのは,ルートジョブネットまたはプランニンググループ直下のルートジョブネットです。

ジョブネットコネクタの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.4 ジョブネットコネクタを使用したルートジョブネットの実行順序制御」を参照してください。

(4) ジョブグループ

ジョブグループとは,ジョブネットをまとめたり分類したりして体系的に管理するためのユニットです。また,ジョブグループの下に,さらにジョブグループを作成できます。

ジョブグループの概念を次の図に示します。

図3‒12 ジョブグループ

[図データ]

ジョブグループには,JP1/AJS3運用上のカレンダー情報(運用日・休業日の設定,基準日・基準時刻の設定)を定義できます。カレンダー情報の定義については,「3.2 JP1/AJS3運用上のカレンダー定義」を参照してください。

なお,ジョブグループはジョブネットの管理ユニットであり,ジョブグループ自体は実行できません。

(5) プランニンググループ

JP1/AJS3では,複数のジョブネット(ルートジョブネット)を,実行期間を指定することによって計画的に切り替えることができます。プランニンググループは,このような運用をする場合に使用するユニットです。

プランニンググループの使用例を,次の図に示します。

図3‒13 プランニンググループの使用例

[図データ]

8/1から8/5まではジョブネットAを実行し,8/6からジョブネットBに切り替えて8/10まで実行したい場合,最初にプランニンググループを作成し,その直下にジョブネットA,ジョブネットBを作成します。ジョブネットAには8/1〜8/5,ジョブネットBには8/6〜8/10のように期間を指定して実行すると,二つのジョブネットを自動的に切り替えて運用を継続します。

プランニンググループを使用したジョブネットの計画切り替えについては,「10.1 プランニンググループを使用したルートジョブネットの計画切り替え」を参照してください。

プランニンググループは,スケジューラーサービス(AJSROOT)またはジョブグループの直下に作成できます。また,プランニンググループの直下には,ルートジョブネットまたはリモートジョブネットに限り作成できます。

なお,プランニンググループには,JP1/AJS3運用上のカレンダー情報を定義できます。カレンダー情報の定義については,「3.2 JP1/AJS3運用上のカレンダー定義」を参照してください。