Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Operation サービステンプレートリファレンス


4.2.3 ファイル転送部品

機能

ファイルまたはフォルダを,JP1/AOサーバから操作対象の機器に転送したり,操作対象の機器からJP1/AOサーバに転送したりできます。ファイルはbinary形式で転送されます。

事前に認証情報を[エージェントレス接続先定義]エリアで設定している場合は,ファイル転送部品に次の情報を指定して実行できます。

エージェントレス接続先に転送するファイルパスには,JP1/AOサーバのOSと操作対象の機器のOSの両方のコマンドに入力できる文字を指定してください。例えば,JP1/AOサーバのOSと操作対象の機器のOSが両方とも日本語版のWindowsの場合,MS932の文字セットの範囲の文字が指定できます。

操作対象の機器のOSがWindowsの場合は,認証情報に設定したユーザーでファイルが転送されます。操作対象の機器のOSがUNIXの場合は,プロパティ「elevatePrivileges」の指定によって,rootユーザーまたは接続ユーザーの権限でファイルが転送されます。

なお,ローカル実行機能が有効の場合は,ファイルは転送されません。ローカルホストのOSがWindowsのときは,Systemアカウントの権限でローカルホストにコピーされます。ローカルホストのOSがLinuxのときは,rootユーザーの権限でローカルホストにコピーされます。

部品のバージョンが01.52.01より前の部品との機能差異については,「付録A.1 基本部品のバージョン間の機能差異」を参照してください。

実行時の前提条件

注意事項

バージョン

01.52.01

タグ

File Operations

戻り値

戻り値

説明

0

正常に終了した。

65

JP1/AOサーバとの接続に失敗した。例えば,部品実行中にJP1/AOサーバが停止された場合が該当する。

66

次のユーザーがJP1ユーザーにマッピングされている。

  • Administrators グループに所属しないユーザーである。

  • Administrators グループに所属するビルトイン Administrator以外のユーザーで,UACが有効である。

68

対象のジョブ実行IDに関する情報がない。

69

タスク処理エンジンの環境変数の取得に失敗した。

70

操作対象の機器と接続に失敗した。

71

操作対象の機器で実行するコマンドの呼び出しに失敗した。

72

操作対象の機器で実行するコマンドの実行状態の取得に失敗した。

73

ファイルまたはフォルダの転送に失敗した。

76

接続タイムアウトが発生した。

77

操作対象の機器のホスト名解決に失敗した。

78

次のどれかの理由で,操作対象の機器との認証に失敗した。

  • パスワード認証に失敗した。

  • 操作対象の機器に公開鍵認証機能が設定されていない。

  • 公開鍵認証で,秘密鍵とパスフレーズが一致していない。

  • 公開鍵認証で,秘密鍵と操作対象の機器に登録されている公開鍵が対になっていない。

  • 公開鍵認証で,不正な秘密鍵が使用されている。

  • キーボードインタラクティブ認証に失敗した。

80

タスクの実行を停止した。

81

部品が不正な状態で呼び出された。

82

タスク処理エンジンからの要求メッセージを正しくパースできない。

83

JP1/AOサーバの環境が壊れている。

84

指定された部品の情報が取得できない。

86

指定したプロパティ値に誤りがある。

127

そのほかのエラーが発生した。

プロパティ一覧

プロパティを次の表に示します。

プロパティキー

プロパティ名

説明

デフォルト値

入出力種別

必須区分

remoteHost

リモートホスト

操作対象の機器のIPv4アドレス,IPv6アドレスまたはホスト名を1,024文字以内で指定します。なお,JP1/AOサーバと操作対象の機器は,ネットワークで接続されている必要があります。

なお,複数のIPアドレスまたはホスト名は指定できません。

入力

credentialType※1

認証種別

ファイル転送時の認証種別について,次のどちらかを指定します。

destination

[エージェントレス接続先定義]エリアに設定されている認証情報を使用する場合に指定します。「destination」を指定すると,JP1/AOのログインユーザーのIPアドレスに応じて,WindowsまたはSSHのエージェントレス接続先定義に設定済みの認証情報が適用されます。また,認証情報に関するプロパティ(「account」,「password」,「suPassword」,「publicKeyAuthentication」および「keyboardInteractiveAuthentication」)の指定を省略できます。

property

認証情報として,次のプロパティに入力した値を使用する場合に指定します。

  • account

  • password

  • suPassword

  • publicKeyAuthentication

  • keyboardInteractiveAuthentication

destination

入力

account※1

ユーザーID

操作対象の機器にログインするためのユーザーIDを256文字以内で指定します。

また,ドメインユーザーを指定する場合は,次のどちらかの形式で指定してください。

  • ドメイン名¥ユーザー名

  • ユーザー名@ドメイン名

入力

password※1

パスワード

操作対象の機器にログインするためのパスワードを256文字以内で指定します。操作対象の機器のOSがUNIXで,プロパティ「publicKeyAuthentication」に「true」を指定した場合は,指定不要です。

入力

suPassword※1

rootのパスワード

操作対象の機器のOSがUNIXの場合,rootパスワードを256文字以内で指定します。操作対象の機器のOSがWindowsの場合,またはプロパティ「elevatePrivileges」で「false」を指定した場合は,指定不要です。

入力

publicKeyAuthentication※1

SSH公開鍵認証設定

操作対象の機器のOSがUNIXの場合,接続に公開鍵認証を使用するかどうかについて次のどちらかを指定します。大文字と小文字は区別しません。このプロパティに値を指定しない場合は,「false」として扱われます。操作対象の機器のOSがWindowsの場合は,指定不要です。

true

公開鍵認証を使用する場合に指定します。

false

公開鍵認証を使用しない場合に指定します。※2

false

入力

keyboardInteractiveAuthentication※1

SSHキーボードインタラクティブ認証設定

操作対象の機器のOSがUNIXの場合,接続にキーボードインタラクティブ認証を使用するかどうかについて次のどちらかを指定します。大文字と小文字は区別しません。このプロパティに値を指定しない場合は,「false」として扱われます。操作対象の機器のOSがWindowsの場合は,指定不要です。

ただし,プロパティ「keyboardInteractiveAuthentication」の値が有効になるのは,「publicKeyAuthentication」に「false」を指定した場合です。「publicKeyAuthentication」に「true」を指定した場合,「keyboardInteractiveAuthentication」に「true」を指定しても,公開鍵認証が設定されます。

true

キーボードインタラクティブ認証を使用する場合に指定します。

false

キーボードインタラクティブ認証を使用しない場合に指定します。※2

false

入力

elevatePrivileges※1

権限昇格

操作対象の機器のOSがUNIXの場合,rootユーザーに昇格するかどうかについて,次のどちらかを指定します。大文字と小文字は区別しません。このプロパティに値を指定しない場合は,「true」として扱われます。操作対象の機器のOSがWindowsの場合は,指定不要です。

true

rootユーザーに昇格してファイルまたはフォルダを転送する場合に指定します。

false

rootユーザーに昇格しないでファイルまたはフォルダを転送する場合に指定します。接続ユーザーの権限でファイルまたはフォルダを転送します。

false

入力

transferMode

転送モード

転送モードとして,次のどちらかを指定します。

  • send

    JP1/AOサーバから操作対象の機器に,ファイルまたはフォルダを転送する場合に指定します。

    プロパティ「localFilePath」にファイルのパスを指定した場合,プロパティ「remoteFilePath」にもファイルのパスを指定してください。また,単一のファイルを転送する際に,プロパティ「localFilePath」と「remoteFilePath」で異なるファイル名を指定した場合は,プロパティ「remoteFilePath」に指定したファイル名で転送されます。

  • receive

    操作対象の機器からJP1/AOサーバに,ファイルまたはフォルダを転送する場合に指定します。

    プロパティ「remoteFilePath」にファイルのパスを指定した場合,プロパティ「localFilePath」にもファイルのパスを指定してください。また,単一のファイルを転送する際に,プロパティ「remoteFilePath」と「localFilePath」で異なるファイル名を指定した場合は,プロパティ「localFilePath」に指定したファイル名で転送されます。

send

入力

localFilePath※3

ローカルファイルパス

JP1/AOサーバのファイルまたはフォルダの絶対パスを256文字以内で指定します。

プロパティ「localFilePath」には,JP1/AOサーバのOSと操作対象の機器のOSの両方のコマンドに入力できる文字を指定してください。

転送先フォルダに同じ名称のファイルやフォルダがある場合,上書き保存されます。そのため,ユニークな名称を指定することをお勧めします。また,転送先フォルダがない場合は,転送先フォルダとして指定されたフォルダ構成を作成します。

入力

remoteFilePath※3

リモートファイルパス

操作対象の機器のファイルまたはフォルダの絶対パスを256文字以内で指定します。

プロパティ「remoteFilePath」には,JP1/AOサーバのOSと操作対象の機器のOSの両方のコマンドに入力できる文字を指定してください。

操作対象の機器のOSがUNIXの場合,転送したいファイルおよびフォルダ名の文字セットは,接続ユーザーの文字セットと一致させてください。

転送先フォルダに同じ名称のファイルやフォルダがある場合,上書き保存されます。そのため,ユニークな名称を指定することをお勧めします。 また,転送先フォルダがない場合は,転送先フォルダとして指定されたフォルダ構成を作成します。

入力

注※1

ローカル実行機能が有効で,操作対象がローカルホストの場合,設定内容は無視されます。

注※2

プロパティ「publicKeyAuthentication」および「keyboardInteractiveAuthentication」の両方に「false」を指定した場合,パスワード認証が設定されます。

注※3

転送対象のファイル名またはフォルダ名の制限値

転送対象のファイル名またはフォルダ名に関する制限値を次の表に示します。

表4‒2 転送対象のファイル名またはフォルダ名の制限値(接続先のOSがWindows,LinuxまたはSolarisの場合)

送受信種別

転送対象

JP1/AO側または接続先ホスト側

プロパティ名

制限値

送信

ファイル

JP1/AO側

localFilePath

ファイル名が127文字以下※1

接続先ホスト側

remoteFilePath

ファイル名が127文字以下※1

フォルダ

JP1/AO側

localFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

接続先ホスト側

remoteFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

受信

ファイル

JP1/AO側

localFilePath

ファイル名が127文字以下※1

接続先ホスト側

remoteFilePath

ファイル名が127文字以下※1

フォルダ

JP1/AO側

localFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

接続先ホスト側

remoteFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

注※1

"C:\フォルダ1\フォルダ2\ファイル1"が入力値である場合,ファイル1についての制限。

注※2

"C:\フォルダ1\フォルダ2\フォルダ3"が入力値である場合,フォルダ3配下の最長パスを含めて「C:\」からの長さの制限。

注※3

"C:\フォルダ1\フォルダ2\フォルダ3"が入力値である場合,フォルダ3配下の最長パスを含めてフォルダ3からの長さの制限。

表4‒3 転送対象のファイル名またはフォルダ名の制限値(接続先のOSがAIXまたはHP-UXの場合)

送受信種別

転送対象

JP1/AO側または接続先ホスト側

プロパティ名

制限値

送信

ファイル

JP1/AO側

localFilePath

ファイル名が127文字以下※1

接続先ホスト側

remoteFilePath

ファイル名が96バイト以下※1

フォルダ

JP1/AO側

localFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

接続先ホスト側

remoteFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが96バイト以下※3

受信

ファイル

JP1/AO側

localFilePath

ファイル名が127文字以下※1

接続先ホスト側

remoteFilePath

ファイル名が96バイト以下※1

フォルダ

JP1/AO側

localFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが127文字以下※3

接続先ホスト側

remoteFilePath

  • フォルダ配下にあるファイルまたはフォルダのうち,最長パスのファイルまたはフォルダが絶対パスで256文字以下※2

  • フォルダから配下にあるファイルまたはフォルダの,最長パスのファイルまたはフォルダまでの長さが96バイト以下※3

注※1

"C:\フォルダ1\フォルダ2\ファイル1"が入力値である場合,ファイル1についての制限。

注※2

"C:\フォルダ1\フォルダ2\フォルダ3"が入力値である場合,フォルダ3配下の最長パスを含めて「C:\」からの長さの制限。

注※3

"C:\フォルダ1\フォルダ2\フォルダ3"が入力値である場合,フォルダ3配下の最長パスを含めてフォルダ3からの長さの制限。

SSHで使用するポート番号の指定

操作対象の機器にSSHを使用して接続する場合は,ポート番号を指定できます。ポート番号を指定する方法と優先順位は,次のとおりです。

表4‒4 SSHのポート番号の優先順位

優先順位

設定個所

プロパティキー

デフォルト値

1

接続先プロパティファイル(接続先名.properties)

ssh.port

2

ユーザー設定プロパティファイル(config_user.properties)

ssh.port.number

22

(凡例)

−:値は設定されていません。

転送対象のファイルの扱い

操作対象の機器のOSおよびプロパティ「transferMode」に指定した値によって,転送対象のファイルの扱いが異なります。転送対象のファイルの扱いを次の表に示します。

表4‒5 転送対象のファイルの扱い

項目

Windows

UNIX

send

receive

send

receive

転送後のファイルのタイムスタンプ

ファイルを新規作成した場合

作成日時

転送した日時

転送した日時

転送した日時

転送した日時

更新日時

送信元ファイルの更新日時

送信元ファイルの更新日時

転送した日時

転送した日時

アクセス日時

転送した日時

転送した日時

転送した日時

転送した日時

ファイルを上書きした場合

作成日時

上書きされるファイルの作成日時

上書きされるファイルの作成日時

転送した日時

上書きされるファイルの作成日時

更新日時

送信元ファイルの更新日時

送信元ファイルの更新日時

転送した日時

転送した日時

アクセス日時

上書きされるファイルのアクセス日時

上書きされるファイルのアクセス日時

上書きされるファイルのアクセス日時※1

上書きされるファイルのアクセス日時

転送元ファイルに必要なアクセス権限

Systemアカウントの読み取り権限

Systemアカウントの読み取り権限

Systemアカウントの読み取り権限

接続ユーザーの読み取り権限※2

転送先ファイルの親フォルダに必要なアクセス権限

認証情報に設定したユーザーの書き込み権限

Systemアカウントの書き込み権限

接続ユーザーの書き込み権限※2

Systemアカウントの書き込み権限

転送先ファイルを上書きする場合に上書きされるファイルに必要なアクセス権限

認証情報に設定したユーザーの書き込み権限

Systemアカウントの書き込み権限

接続ユーザーの書き込み権限※2

Systemアカウントの書き込み権限

送信先ファイルに設定されるアクセス権限

ファイルを新規作成した場合

親フォルダの権限を引き継ぐ

親フォルダの権限を引き継ぐ

rootユーザー,または接続ユーザーのumask値に従う

親フォルダの権限を引き継ぐ

ファイルを上書きした場合

上書きされるファイルの権限を引き継ぐ

上書きされるファイルの権限を引き継ぐ

上書きされるファイルの権限を引き継ぐ※3

上書きされるファイルの権限を引き継ぐ

注※1

操作対象機器のOSがHP-UXの場合は,転送した日時が設定されます。

注※2

rootユーザーでファイルを転送する場合は,権限の指定は不要です。

注※3

操作対象機器のOSがHP-UXの場合は,rootユーザー,または接続ユーザーのumask値に従います。

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