15.2.22 ジョブの結果ファイル転送失敗時の動作の設定
JP1/AJS3では,ジョブプロセスの終了後に,ジョブの結果ファイル(標準出力ファイル・標準エラー出力ファイル)をエージェントホストからマネージャーホストに転送します。
結果ファイルの転送に失敗した場合,マネージャーホスト上でジョブの結果ファイルの内容が確認できないため,ジョブの状態を「異常検出終了」としています。このため,ジョブプロセスが正常終了していても,結果ファイル転送に失敗するとジョブの状態が「異常検出終了」となります。ただし,ジョブの結果ファイル転送失敗時の動作を変更することで,ジョブプロセスが正常終了したときに結果ファイル転送に失敗しても,ジョブの状態を「正常終了」とすることができます。
設定方法について次に説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 定義手順
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JP1/AJS3のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
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ジョブの実行先サービスに[標準]を指定している場合
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
注※ 自動停止の設定がされていることを確認します。
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ジョブの実行先サービスに[キューレス]を指定している場合
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlstop
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlftpstop※
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlstatus
注※ JP1/AJS3 - Managerだけ実行する必要があります。
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次の方法で「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。
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定義キー[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQAGENT\Job]にある環境設定パラメーターの場合
次のコマンドを実行する。
jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容
-
定義キー[JP1_DEFAULT\JP1QLAGENT]にある環境設定パラメーターの場合
viなどのエディターで,環境設定パラメーターを記述した設定ファイルを作成して保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
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JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
(2) 環境設定パラメーター一覧
定義キー |
環境設定パラメーター |
定義内容 |
---|---|---|
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQAGENT\Job]※1 |
"IgnoreResultFileError"= |
ジョブの実行先サービスに[標準]を指定している場合に,ジョブの結果ファイルの転送処理でエラーが発生したときの動作 |
[JP1_DEFAULT\JP1QLAGENT]※2 |
"IgnoreResultFileError"= |
ジョブの実行先サービスに[キューレス]を指定している場合に,ジョブの結果ファイルの転送処理でエラーが発生したときの動作 |
- 注※1
-
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
- 注※2
-
この設定は,物理ホストと論理ホストの両方に有効です。
環境設定パラメーターの定義内容の詳細については,次の個所を参照してください。
(3) 注意事項
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ジョブの詳細定義で標準エラー出力ファイルを定義していなくても,ジョブネットを使用してジョブを実行した場合は,標準エラー出力ファイルの一時ファイルが作成され,マネージャーホストに転送されます。標準エラー出力ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.10.1 標準出力ファイル・標準エラー出力ファイルの注意事項」を参照してください。
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環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorに「1」を設定した場合,結果ファイル転送が失敗すると,結果ファイルは再送されないでジョブの終了が優先されるため,ジョブの結果ファイルの再送間隔・回数を指定する環境設定パラメーターNotfyJobStateIntervalおよびNotfyJobStateCountの設定値は有効になりません。また,結果ファイルが再送されないでジョブの終了が優先されるため,JP1/AJS3 - Viewの[実行結果詳細]ダイアログボックスで標準エラー出力ファイルの内容を参照できません。
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引き継ぎ情報設定ジョブでは,先行ジョブの標準出力ファイルから必要な情報を切り出して後続ジョブへ引き継ぎます。このため,環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorに「1」を設定した場合,先行ジョブの結果ファイルの転送処理でエラーが発生すると,メッセージKAJS7622-Eが出力され,引き継ぎ情報設定ジョブが異常終了することがあります。
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環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorに「0」を設定した場合,結果ファイル転送が失敗すると,ジョブの終了コードに「-1」が設定されるとともに,ジョブの状態が「異常検出終了」になります。このため,ジョブのリトライ設定をしていても,ジョブは自動リトライされません。
環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorに「1」を設定した場合,結果ファイル転送が失敗すると,ジョブの終了コードにジョブプロセスの終了コードが設定されるとともに,終了判定に従ってジョブの状態が「正常終了」,「警告検出終了」,または「異常検出終了」になります。終了判定に従ってジョブの状態が「異常検出終了」になり,ジョブの自動リトライの条件を満たした場合,ジョブは自動的にリトライされます。
自動リトライの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.13 ジョブの異常終了時に自動でリトライする」を参照してください。
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環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorの設定に「1」を設定した場合は次の点に注意してください。
ファイル送信サイズの上限値を超えた場合で,環境設定パラメーターSendFileSizeStatusに「1」を設定しているときは,ジョブが異常検出終了となり,「2」を設定しているときは,ジョブが警告検出終了となります。そのため,環境設定パラメーターIgnoreResultFileErrorを有効にして,かつ上限値を超えたデータを送信したくない場合は,環境設定パラメーターSendFileSizeStatusの設定値に「3」を設定してください。
送信ファイルサイズの上限値の詳細については,「15.2.24 ファイル送信制限をするための設定」を参照してください。