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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


jcocmddef

〈このページの構成〉

機能

コマンド実行環境を設定,参照します。引数には,マネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)でだけ指定すればよいもの,コマンド実行先ホストでだけ指定すればよいものがあります。これらについては以降の引数の説明で説明します。

形式

jcocmddef [ [-show] | 
          [-default]
          [-rsptime 応答監視時間]
          [-record レコード数]
          [-group ホストグループ定義ファイル名]
          [-loaduserprofile {ON|OFF}]
          [-queuenum コマンド先行入力数]
          [-execnum コマンド同時実行数]
          [-open {ON|OFF}]
          [-flush {ON|OFF}]
          [-cmdevent {0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7}]
          [-actevent {0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7}]
          [-actresult {ON|OFF}]
          [-host 論理ホスト名]
          [-runevinterval 経過時間イベント発行間隔]
          [-actlimit {ON [転送データ量(行数)] | OFF}]
          [-cmdlimit {ON [転送データ量(行数)] | OFF}]
          [-queuethreshold コマンド先行入力数のしきい値] ]

実行権限

Windowsの場合:Administrators権限(WindowsのUAC機能が有効な場合は管理者コンソールから実行)

UNIXの場合:スーパーユーザー権限またはJP1/Base管理者権限

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

インストール先フォルダ\bin\

UNIXの場合

/opt/jp1base/bin/

引数

-show

現在の定義内容を表示します。このオプションはほかのオプションと併用はできません。なお,このオプションを省略し,かつ,ほかのオプションも省略した場合は,このオプション指定時と同じく,現在の定義内容を表示します。

-default

-rsptime-record-loaduserprofile-queuenum-execnum-open-flush-cmdevent-actevent-actresult-runevinterval-actlimit-cmdlimit,および-queuethresholdの設定を初期設定に戻します。ほかのオプションを同時に指定した場合は,-defaultオプションが有効になります。

-rsptime 応答監視時間

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

実行コマンドの応答監視時間を指定します。指定できる値は0〜600(秒)です。0を指定した場合は監視しません。初期設定では,60秒が設定されています。

実行したコマンドが応答監視時間以内に応答がない場合は,KAVB2002-Iメッセージが出力されます。

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとに有効になります。

-record レコード数

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面,および自動アクションで実行したコマンドの実行履歴を保存するファイルの上限値をレコード数で指定します。

指定できる値は,1〜196,600です。初期設定では,196,600レコードが設定されています。

1回のコマンド実行で使用するレコード数は,(実行コマンドの出力行数+3)レコードです。1レコードは6,520バイトです。レコードサイズは変更できません。

レコード数が少ないと,自動アクションのアクション結果が正しく表示されないことがあります。

変更したレコード数は,コマンド実行履歴ファイル(ISAM)を削除したあとに有効になります。コマンド実行履歴ファイル(ISAM)を削除すると,過去の自動アクション,コマンド実行による履歴はすべて失われますので,注意してください。コマンド実行履歴ファイル(ISAM)の削除手順,および削除する際の注意事項については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」(トラブルシューティングの章,トラブルへの対処方法にある「レコード数の上限値を変更する」)を参照してください。

-group ホストグループ定義ファイル名

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

コマンド実行先ホストを定義したホストグループ定義ファイルを指定します。定義ファイルの形式は,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」を参照してください。

ホストグループ定義ファイルで,ホストグループを定義していない場合は,そのホストグループが削除されます。

-loaduserprofile {ON|OFF}

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

コマンド実行時にOSユーザーのプロファイルを読み込むかどうかを指定します。プロファイルを読み込む場合はON,読み込まない場合はOFFを指定します。ONまたはOFFの大文字・小文字は,区別されません。初期設定では,OFFが設定されています。

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとから有効になります。

このオプションは,Windowsの場合にだけ使用できます。

-queuenum コマンド先行入力数

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

自動アクション機能を使用してコマンドを実行する場合に,コマンド実行先ホストで実行待ちにできるコマンドの最大値を指定します。指定できる値は,0〜65,535です。初期設定では,1,024が設定されています。0を指定した場合は,コマンド実行先ホストに複数のコマンドを同時に投入できません。

実行待ちの自動アクションがコマンド先行入力数を超えた場合は,KAVB2058-Eメッセージが出力されます。

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとから有効になります。

-execnum コマンド同時実行数

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

自動アクション機能を使用してコマンドを実行する場合に,コマンド実行先ホストで同時に実行できるコマンド数の最大値を指定します。指定できる値は,1〜48です。初期設定では,1が設定されています。コマンドを実行するホストごとに異なる値を指定できます。

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとから有効になります。

このオプションは,実行終了までに長時間掛かるコマンドを実行した場合に後続のコマンドの実行開始を早めたいときや,同時に大量の自動アクションが発生した場合に処理性能を向上させたいときなどに指定してください。

なお,このオプションで2以上の値を指定した場合は,複数のコマンドが同時に実行されるため,先に実行されたコマンドが必ずしも先に終了するとは限りません。したがって,自動アクションの終了順序を考慮した運用をしている場合は,このオプションを指定しないでください。

-open {ON|OFF}

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

コマンド実行履歴ファイル(ISAM)を常時オープンした状態で実行履歴を出力するかどうかを設定します。ONの場合,常時オープンした状態で出力します。OFFの場合,常時オープンしないで出力します。初期設定では,OFFが設定されています。自動アクション用コマンド実行履歴にだけ有効な設定で,JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面用コマンド実行履歴では有効になりません。

-openの設定を有効にするには,JP1/Baseの再起動が必要です。

-flush {ON|OFF}

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

コマンド実行履歴1行ごとにディスクへ書き込みをするかどうかを設定します。この設定を有効にすると,突然のシャットダウンが発生した場合でも1行ごとにディスクへ実行履歴が書き込まれているため,再起動後に実行履歴データを参照できます。ONの場合,1行ごとにディスク中のファイルへ書き込みます。OFFの場合,システムでバッファリングを行うため,1行ごとにディスク中のファイルへ書き込みません。初期設定では,OFFが設定されています。

なお,-flushを有効にした場合,1行ごとにディスク中のファイルへ書き込むため,自動アクションおよびコマンド実行の性能が劣化する場合があります。

-flushの設定を有効にするには,JP1/Baseの再起動が必要です。

-cmdevent {0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7}

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

コマンド実行操作をした際にコマンド実行操作に関係するイベントを発行したい場合に,どのイベントを発行するかを指定します。次に示す発行レベルのどれかを指定します。初期設定では,0が設定されています。

表15‒2 イベント発行レベル(コマンド実行操作)

発行レベル

発行するイベントのイベントID

説明

0

なし

コマンド実行操作に関係するイベントを発行しない

1

00003FA0

コマンド実行開始イベントを発行する

2

00003FA1

コマンド実行終了イベントを発行する

3

00003FA0,00003FA1

コマンド実行開始イベント,コマンド実行終了イベントを発行する

4

00003FA2

コマンド実行異常終了イベントを発行する

5

00003FA0,00003FA2

コマンド実行開始イベント,コマンド実行異常終了イベントを発行する

6

00003FA1,00003FA2

コマンド実行終了イベント,コマンド実行異常終了イベントを発行する

7

00003FA0,00003FA1,00003FA2

コマンド実行開始イベント,コマンド実行終了イベント,コマンド実行異常終了イベントを発行する

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとから有効になります。

-actevent {0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7}

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

アクションの状態が変化した際にアクション状態通知に関係するイベントを発行したい場合に,どのイベントを発行するかを指定します。次に示す発行レベルのどれかを指定します。初期設定では,0が設定されています。

表15‒3 イベント発行レベル(自動アクション状態通知)

発行レベル

発行するイベントのイベントID

説明

0

なし

アクション状態通知に関係するイベントを発行しない

1

000020E0,000020E3

アクション状態が送信中・キューイング・実行中になった際にイベントを発行する

2

000020E1,000020E4

アクション状態が終了・キャンセル・強制終了になった際にイベントを発行する

3

000020E0,000020E1,000020E3,000020E4

アクション状態が送信中・キューイング・実行中または終了になった際にイベントを発行する

4

000020E2,000020E5

アクション状態が実行不可・実行失敗になった際にイベントを発行する

5

000020E0,000020E2,000020E3,000020E5

アクション状態が送信中・キューイング・実行中または実行不可・実行失敗になった際にイベントを発行する

6

000020E1,000020E2,000020E4,000020E5

アクション状態が終了・キャンセル・強制終了または実行不可・実行失敗になった際にイベントを発行する

7

000020E0,000020E1,000020E2,000020E3,000020E4,000020E5

アクション状態が送信中・キューイング・実行中,終了・キャンセル・強制終了,または実行不可・実行失敗になった際にイベントを発行する

このオプションで指定した値は,JP1/IM - Managerを再起動したあとから,またはjco_spmd_reloadコマンドでリロードしたあとから有効になります。

なお,アクション状態通知に関係するイベントは,アクション情報ファイルを参照して発行されます。アクション情報ファイルの上限値に達して,上書きされた場合には,上書きされる以前のアクション情報を参照できなくなるため,アクション状態通知に関係するイベントを発行できません。このような場合には,警告イベント(000020E6または000020E7)またはエラーイベント(000020E8)が発行されます。

-actresult {ON|OFF}

このオプションはマネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で設定します。

自動アクションによるコマンド実行の実行結果をコマンド実行履歴に保存するかどうか指定します。保存する場合はON,保存しない場合はOFFを指定します。

ONまたはOFFの大文字・小文字は,区別されません。初期設定では,ONが設定されています。コマンドの実行結果の詳細を知りたい場合は,必ずONを指定してください。

OFFを指定すると,コマンド実行履歴ファイル(ISAM)への出力を抑止するため,JP1/Base制御部の処理速度を向上できます。ただし,自動アクションによるコマンドの戻り値以外の情報をすべて破棄するため,コマンドの実行結果の詳細は出力されません(JP1/IM - Viewの[アクション結果詳細]画面の[メッセージ]に出力される情報がすべて「KAVB2401-I」のメッセージ情報になります)。

このオプションで指定した値は,JP1/IM - Managerを再起動したあとから有効になります。

-host 論理ホスト名

クラスタシステムで運用している場合に,論理ホスト名を指定します。このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,物理ホスト名が仮定されます。

このオプションを指定して,実行系サーバまたは待機系サーバの設定を変更した場合は,必ずもう一方のサーバでも同様の設定をしてください。

-runevinterval 経過時間イベント発行間隔

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面,および自動アクションで実行したコマンドの経過時間を通知する,イベント発行間隔を指定します。指定できる値は,0〜86,400(秒)です。初期設定では,600秒(10分)が設定されています。

指定した時間が経過するたびにイベントID 00003FA3(実行経過時間通知イベント)が発行され,KAVB2402-Wメッセージが出力されます。0を指定した場合,イベントは発行されません。

このオプションで指定した値は,JP1/Baseを再起動したあとから有効になります。

-actlimit {ON [転送データ量(行数)] | OFF}

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

自動アクションで実行したコマンドの実行結果をマネージャーに転送する場合に,転送するデータ量を抑止するかどうか,また,抑止する場合はその上限値を指定します。指定できる値は0〜196,600です。初期設定では,ON(抑止する)で値は1,000が設定されています。なお,コマンド実行先ホストのJP1/Baseのバージョンが07-51以前の場合,初期設定はOFF(抑止しない)が設定されています。

コマンド実行結果のデータ量を抑止する場合には,ONを指定し,転送するデータ量の上限値を行数(1行256バイト)で指定します。行数の指定を省略した場合は,1,000行が設定されます。

コマンド実行結果のデータ量の転送を抑止しない場合には,OFFを指定します。

自動アクションの実行結果として大量の出力データを必要としない場合,実行したコマンドが動作不正で無限ループした場合など,大量のデータの出力を抑止する目的で使用してください。

コマンド実行結果が上限値を超えた場合は,KAVB2070-Wメッセージが出力されます。

-actlimitの設定を有効にするには,JP1/Baseの再起動が必要です。

-cmdlimit {ON [転送データ量(行数)] | OFF}

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面から実行したコマンドの実行結果をマネージャーに転送する場合に,転送するデータ量を抑止するかどうか,また,抑止する場合はその上限値を指定します。指定できる値は0〜196,600です。初期設定では,ON(抑止する)で値は1,000が設定されています。なお,コマンド実行先ホストのJP1/Baseのバージョンが07-51以前の場合,初期設定はOFF(抑止しない)が設定されています。

コマンド実行結果のデータ量を抑止する場合には,ONを指定し,転送するデータ量の上限値を行数(1行256バイト)で指定します。行数の指定を省略した場合は,1,000行が設定されます。

コマンド実行結果のデータ量を抑止しない場合には,OFFを指定します。

JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面から実行したコマンドの実行結果として,大量の出力データを必要としない場合,実行したコマンドが動作不正で無限ループした場合など,大量のデータの出力を抑止する目的で使用してください。

コマンド実行結果が上限値を超えた場合は,KAVB2070-Wメッセージが出力されます。

-cmdlimitの設定を有効にするには,JP1/Baseの再起動が必要です。

-queuethreshold コマンド先行入力数のしきい値

このオプションはコマンド実行先ホストで設定します。

自動アクション機能を使用してコマンドを実行し,コマンド実行先ホストで実行待ちになるコマンド数(キューイング数)を監視したい場合に,コマンドの先行入力数のしきい値を指定します。指定できる値は,0〜65,535です。初期設定では,10が設定されています。

0を指定するとしきい値監視をしません。

0以外を指定すると,その値に達した時点で警告のJP1イベントが発行され,KAVB2071-Wメッセージが出力されます。また,先行入力数が0に戻った時点で回復のJP1イベントが発行され,KAVB2072-Iメッセージが出力されます。

しきい値監視をすると,JP1/Baseのキューにアクションが蓄積しているのを検知できます。そのため,実行遅延に対して事前に対処ができます。

-queuethresholdの設定を有効にするには,JP1/Baseの再起動が必要です。

出力形式

jcocmddefコマンドを実行すると,設定変更したパラメーターだけでなく,ほかのパラメーターも表示されます。出力形式を次に示します。

図15‒1 jcocmddefコマンドの出力形式

[図データ]

戻り値

0

正常終了

-1

異常終了