COBOL2002 Javaプログラム呼び出し機能ガイド


6.2.2 実行時環境変数の詳細

実行時環境変数について説明します。

〈この項の構成〉

(1) CBLJRTBIGENDIAN

ビッグエンディアン形式で取り扱うバイナリデータの種類を指定します。指定しない場合,システムのエンディアンの形式で取り扱われます。

この環境変数は,システムのエンディアンがリトルエンディアン形式の場合に有効です。

形式
CBLJRTBIGENDIAN=データの種類
データの種類

BIN,FLOATのどちらか,または両方を指定します。両方指定する場合は,コロン(:)で区切ります。

例)
CBLJRTBIGENDIAN=BIN:FLOAT
規則

この環境変数を指定した場合,指定したデータの種類のJavaデータに対応するCOBOLデータ項目はビッグエンディアン形式として取り扱われます。

表6‒12 Javaデータ型との対応

指定値

Javaデータ型

BIN

char/short/int/long

FLOAT

float/double

注意事項

データの種類は,COBOLプログラムの-BigEndianコンパイラオプションの指定と合わせて指定する必要があります。-BigEndianコンパイラオプションの指定と矛盾している場合の動作は保証しません。

表6‒13 コンパイラオプションとの対応

指定値

コンパイラオプション

BIN

-BigEndian,Bin

FLOAT

-BigEndian,Float

(2) CBLJRTDUMP

デバッグ情報を出力するデバッグ情報ファイルのパス名を指定します。

形式
CBLJRTDUMP=ファイルパス
ファイルパス

デバッグ情報ファイルのパス名を絶対パスで指定します。デバッグ情報ファイルのファイル名にプロセスIDを付けない場合は,最後にセミコロン(;)を付けて指定します。

規則

デバッグ情報は指定したファイルに追加されます。

実際に書き込むファイル名は,拡張子の直前にアンダーバーとプロセスID(_プロセスID)を付けた名称です。プロセスIDを付けたくない場合は,指定するファイルパス名の最後にセミコロン(;)を付けて指定してください。

デバッグ情報の出力ファイル名の例(プロセスIDが1000の場合)を次の表に示します。

表6‒14 デバッグ情報の出力ファイル名の例(プロセスIDが1000の場合)

項番

環境変数の値

出力するファイル名

1

C:¥tmp¥…¥sample.log

C:¥tmp¥…¥sample_1000.log

2

C:¥tmp¥…¥sample

C:¥tmp¥…¥sample_1000

3

C:¥tmp¥…¥sample.log;

C:¥tmp¥…¥sample.log

4

C:¥tmp¥…¥sample;

C:¥tmp¥…¥sample

注意事項
  • プロセスIDを付けない出力ファイル名を指定する場合,別のプロセスですでに同じファイルを使用しているとき,同時にファイルを開くことができないため,デバッグ情報を出力できません。この場合は,プロセスごとにローカライズされる環境変数の指定方法で,それぞれ異なるファイル名を使用するように出力ファイル名を指定してください。

  • ファイルの書き込みでエラーが発生した場合,デバッグ情報は出力されません。このとき,実行時エラーは発生しません。要因を確認して対処してください。

    ファイルの書き込みでエラーが発生する要因を次に示します。

    ・ファイルの出力先フォルダがない。

    ・ファイルの出力先フォルダまたは指定したファイルに書き込み権限がない。

    ・別のプロセスで,すでに同じ名称のファイルが開かれている。

    ・ディスク容量が不足している。

  • ファイルの出力先フォルダは作成されません。存在しているフォルダを出力先フォルダとして指定してください。

デバッグ情報の出力については,「5.2 デバッグ情報の出力」を参照してください。

(3) CBLJRTDUMP_MAXSIZE

デバッグ情報を出力するデバッグ情報ファイルの最大サイズを指定します。

形式
CBLJRTDUMP_MAXSIZE=最大サイズ
最大サイズ

デバッグ情報ファイルの最大サイズを示す数値を0〜2,000の範囲(MB単位)で指定します。

規則
  • 環境変数CBLJRTDUMPを指定していない場合,この環境変数は無効です。

  • この環境変数を指定しない場合,または無効な値を指定している場合の既定値は,10です。

注意事項

この環境変数に0を指定した場合,ファイルの最大サイズのチェックをしないで,デバッグ情報をファイルへ書き込みます。0を指定する場合は,ディスクの残容量に注意してください。

この環境変数に0以外の値を指定した場合の動作を次に示します。

  • デバッグ情報の書き込みで指定した最大サイズを超えない場合,指定したデバッグ情報ファイルに追加書きします。

  • デバッグ情報の書き込みで,デバッグ情報ファイルが指定した最大サイズを超える場合,書き込み前のデバッグ情報ファイルをバックアップしたあと,デバッグ情報ファイルを新規作成します。バックアップファイルの名称は,デバッグ情報ファイルのファイル名の後ろ1バイトをアンダーバー(_)に置き換えた名称です。すでに同じ名称のファイルが存在する場合は,上書きします。

  • デバッグ情報ファイルのバックアップが失敗した場合,指定した最大サイズを超えて,指定したデバッグ情報ファイルに追加書きします。書き込み時にすでに指定した最大サイズを超えている場合も追加書きします。

デバッグ情報の出力については,「5.2 デバッグ情報の出力」を参照してください。

(4) CBLJRTERR

実行時エラー情報ファイルの出力有無,および実行時エラー情報の出力先フォルダのパス名を指定します。

形式
CBLJRTERR={フォルダパス|<SUPPRESS>}
フォルダパス

実行時エラー情報の出力先フォルダのパス名を絶対パスで指定します。

<SUPPRESS>

実行時エラー情報ファイルを出力しません。

注意事項
  • ファイルの出力先フォルダは作成されません。存在しているフォルダを出力先フォルダとして指定してください。

  • ファイルの書き込みでエラーが発生した場合,実行時エラー情報ファイルは出力されません。実行時エラー情報ファイルが出力されない場合の要因を次に示します。確認して対処してください。

    ・ファイルの出力先フォルダまたは指定したファイルに書き込み権限がない。

    ・出力するファイル名を加えたパス名の長さがシステムの制限を超える。

    ・ディスク容量が不足している。

  • Javaプログラム呼び出し機能では,実行時エラー情報ファイルを削除しません。ディスク容量不足の要因となることがあるため,定期的に不要なファイルを削除してください。

  • 障害発生時の調査情報として有効のため,運用時には環境変数CBLJRTERRに"<SUPPRESS>"を指定しないでください。

  • コマンドラインで環境変数の値に<SUPPRESS>を指定する場合,引用符で囲む必要があります。

実行時エラー情報の出力については,「5.3 実行時エラー情報の出力」を参照してください。

(5) CBLJRTVMDEFAULTOPTIONS

デフォルトのJava VM起動オプションを指定します。この環境変数を指定した場合,Javaプログラム呼び出し機能がJava VMを起動するときに指定するデフォルトの起動オプションを変更します。

形式
CBLJRTVMDEFAULTOPTIONS=ファイルパス名
ファイルパス名

デフォルトのJava VM起動オプションを指定したファイルのパス名を絶対パスで指定します。

規則
  • この環境変数は,Javaプログラム呼び出し機能がJava VMを起動する場合にだけ有効です。CBLJINITIALIZEサービスルーチン呼び出し前に,すでに同じプロセスでJava VMが起動されている場合は有効になりません。

  • この環境変数を指定した場合,指定したファイルの内容は,Javaプログラム呼び出し機能が起動するすべてのJava VMに起動オプションとして引き渡されます。

  • ファイルの終端の行も改行で終わっている必要があります。改行コードがない場合は,終端の行に記述したオプションが正しくJava VMに引き渡されません。

注意事項

この環境変数の値に指定したパス名のファイルを読み込めない場合,環境変数を指定したと見なして,Javaプログラム呼び出し機能が保持しているデフォルトの起動オプションを取り消します。

ファイルの形式と規則

デフォルトのJava VM起動オプションを指定したファイルの形式,規則,および指定例を次に示します。

ファイルの形式

テキストファイル形式(使用する文字コードは,シフトJIS)のファイルを指定してください。

ファイルの規則
  • 1行の長さは,0〜1,024バイトの範囲で指定してください。それ以上の長さを指定すると無視されます。

  • オプションは,1行ごとに一つのオプションを記述してください。1行に複数のオプションを記述した場合の動作は保証しません。

  • 改行だけ,または空白文字(X'20')だけの行(空白行),行の1バイト目が「#」(X'23')の行(コメント行)を無視します。

ファイルの指定例
# Java 情報取得の設定
-XX:+PrintGCDetails
-XX:HeapDumpPath=javalogs
-XX:-HeapDumpOnOutOfMemoryError
 
# システムで使用するclasspath
-Djava.class.path=systemlibs

(6) CBLJRTVMOPTIONS

プロセス単位のJava VM起動オプションを指定します。この環境変数を指定した場合,Java VMを起動するCOBOLプログラムで指定済みのCBLJENV集団項目のCBLJVMOPTIONS項目が無効になります。

形式
CBLJRTVMOPTIONS=ファイルパス名
ファイルパス名

Java VMの起動オプションを指定したファイルのパス名を絶対パスで指定します。

規則
  • この環境変数は,Javaプログラム呼び出し機能がJava VMを起動する場合にだけ有効です。CBLJINITIALIZEサービスルーチン呼び出し前に,すでに同じプロセスでJava VMが起動されているときは有効になりません。

  • この環境変数を指定した場合,Java VMを起動するCOBOLプログラムですでに設定しているCBLJENV集団項目のCBLJVMOPTIONS項目は無効になります。必要なオプションをすべて指定してください。

注意事項

この環境変数の値に指定したパス名のファイルを読み込めない場合,環境変数を指定したと見なして,CBLJENV集団項目のCBLJVMOPTIONS項目の指定を無効とします。CBLJENV集団項目のCBLJVMOPTIONS項目の指定を有効とするには,環境変数の登録を削除してください。

ファイルの形式と規則

ファイルの形式は,環境変数CBLJRTVMDEFAULTOPTIONSと同じです。ファイルの形式については,「(5) CBLJRTVMDEFAULTOPTIONS」を参照してください。

(7) CBLJRTVMOPTLOG

Java VM起動オプション情報の出力先を変更する場合に,出力先フォルダのパス名を指定します。

形式
CBLJRTVMOPTLOG=フォルダパス
フォルダパス

出力先フォルダのパス名を絶対パスで指定します。

規則
  • Java VM起動オプション情報は,CBLJRTVMOPT.logファイルに出力されます。

  • この環境変数を指定しない場合,または無効な値を指定した場合,既定の出力先フォルダにJava VM起動オプション情報が出力されます。既定の出力先フォルダは,次に示す優先順位で決定されます。

    1.環境変数TEMPに指定したフォルダ

    2.環境変数TMPに指定したフォルダ

    3.カレントフォルダ

Java VM起動オプション情報については,「5.4 Java VM起動オプション情報の収集」を参照してください。

(8) CBLJRTVMOPTLOG_MAXSIZE

Java VM起動オプション情報の出力先ファイルの最大サイズを指定します。

形式
CBLJRTVMOPTLOG_MAXSIZE=最大サイズ
最大サイズ

変更する最大サイズを示す数値を0〜2,000の範囲(MB単位)で指定します。

規則

この環境変数を指定しない場合,または無効な値を指定した場合の既定値は,2です。

注意事項

この環境変数に0を指定した場合,ファイルの最大サイズのチェックをしないで,起動オプション情報をファイルへ書き込みます。0を指定する場合は,ディスクの残容量に注意してください。

この環境変数に0以外の値を指定した場合の動作を次に示します。

  • 起動オプション情報の書き込みで指定した最大サイズを超えない場合,指定した起動オプション情報の出力先ファイルに追加書きします。

  • 起動オプション情報の書き込みで出力先ファイルが指定した最大サイズを超える場合,書き込み前の出力先ファイルをバックアップしたあと,出力先ファイルを新規で作成します。バックアップファイルの名称は,出力先ファイルのファイル名の後ろ1バイトをアンダーバー(_)に置き換えた名称です。すでに同じ名称のファイルが存在する場合は,上書きします。

  • 出力先ファイルのバックアップが失敗した場合,指定した最大サイズを超えて,指定した出力先ファイルに追加書きします。書き込み時にすでに指定した最大サイズを超えている場合も追加書きします。

Java VM起動オプション情報については,「5.4 Java VM起動オプション情報の収集」を参照してください。