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JP1 Version 10 JP1/IT Desktop Management 2 - Asset Console 導入ガイド


2.7 案件を使用して障害を対策する

システムで利用している機器などに何らかの障害が発生したとき、その障害を対策するためには、障害を受け付ける人、障害を対策する人というような組織内の決まった担当者に対して、障害情報を伝達していく必要があります。

通常、障害情報は文書やメールで伝達しますが、これらの手段では処理の進ちょく状況の把握が困難です。案件を使用することで、障害内容、処理状況を容易に把握できます。

案件は、新規案件画面から選択して作成します。新規案件画面では、使用できる案件がカテゴリごとにタブで分かれて表示されています。

新規案件画面を次の図に示します。

図2‒18 新規案件画面

[図データ]

Asset Consoleでは、「障害連絡票」の案件をサンプルとして提供しています。この「障害連絡票」の案件を使用して資産に障害が発生したことを関係者に連絡し、対策を依頼して処理するまでの流れを次に示します。

図2‒19 案件を使用して障害を対策する作業の流れ

[図データ]

  1. 業務の流れを定義する。

    障害が発生した場合に、どのような情報を、どのようなルートで連絡し、対策を実施するかを定義します。サンプルで提供されている案件をそのまま利用する場合は、この作業は省略できます。

    案件を使用した業務の流れは、案件定義画面で定義します。案件の定義方法については、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.1 案件定義の概要」を参照してください。

  2. 職権管理画面で、案件を実行するユーザに職権を与える。

    「障害連絡票」の案件には、「障害受付者」、「障害対策者」の職権(案件を処理するために必要な権限)が定義されています。

    サンプル提供の案件に必要な職権はすでに定義されているので、各処理を実行する権限を持ったユーザに、職権を割り当てます。職権に対象ユーザを定義する方法については、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.2 案件を処理する権限を定義する(職権管理)」を参照してください。

  3. 「障害連絡票」の案件を公開する。

    サンプルの案件は、状態が「作成中」で登録されているため、状態を「公開」に変更する必要があります。案件を公開する方法については、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.7.2 案件を公開または公開停止にする」を参照してください。

    参考

    新規案件画面では、案件は案件カテゴリごとのタブに分かれて表示されます。デフォルトでは、「テンプレート」タブが1枚用意されているので、種類や業務内容に応じて名前を変更したり、追加したりしてください。案件カテゴリを追加・変更する手順については、マニュアル「運用ガイド」の「4.8.1 コードを追加する」を参照してください。

    追加した案件カテゴリに案件が表示されるようにする場合は、案件を公開する前に、案件カテゴリを変更します。案件カテゴリを変更する方法については、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.3.2 作業者や処理を配置する」を参照してください。

  4. 「障害連絡票」を作成して、障害対策を依頼する。

    新規案件画面から「障害連絡票」の案件を作成し、申請します。送信した案件は、次の作業者の受信トレイに届きます。

    障害受付の担当者は、受信トレイに届いた「障害連絡票」を開いて申請内容を確認し、障害対策の担当者に対策を依頼します。

    案件を作成する方法、および受信した案件を処理する方法については、マニュアル「運用ガイド」の「3. 案件を使用した資産管理業務の実行」を参照してください。

  5. 障害対策の内容を確認する。

    依頼の対策が終わったら、障害対策の担当者は、障害の対策が完了したことを「障害連絡票」に記入し、申請者に送付します。「障害連絡票」の申請者は、申請した障害が回復していることを確認して、案件を完了させます。

案件の定義内容を変更するには

Asset Consoleがサンプルで提供している案件は、資産管理業務の一つのモデルケースです。このサンプルを基に、それぞれの資産管理業務の運用形態に合わせて、設定を変更して使用してください。

案件の定義内容を確認して変更する方法については、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.1 案件定義の概要」を参照してください。

案件を使用した業務を検討する際に必要な、案件の定義要素を次の図に示します。

図2‒20 案件の定義要素

[図データ]

  • 案件のルート

    「申請者」や「障害受付窓口」など、案件が完了するまでに関係する作業者を定義します。この案件が完了するまでの、一連の作業を実行する部署や担当者とその作業内容のことを「管理ノード」と呼びます。

    ルートの定義方法は、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.3 ルートを定義する(Flow Designer)」を参照してください。

  • 作業者の権限

    管理ノード「障害受付窓口」や「障害対策部署」は、その処理を実行する権限を持った作業者に案件が送付されるように定義してあります。この案件を処理するために必要な権限を「職権」と呼びます。職権の定義方法は、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.2 案件を処理する権限を定義する(職権管理)」を参照してください。

  • 各作業者が処理する画面構成

    各作業者が、画面上で指定する項目や、実行するボタンを定義します。この作業者が処理する画面を「案件画面」と呼びます。

    案件画面の定義方法は、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.4 案件画面を定義する(Form Designer)」を参照してください。

  • 案件の実行に伴う処理

    対策完了時に障害内容と対策内容を登録するなど、案件が次の作業者に送付される際に実行される処理を定義します。この案件の実行に伴う処理を「アクティビティ」と呼びます。

    処理の定義方法は、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.5 各管理ノードの作業を定義する(Activity Designer)」を参照してください。

  • メール送信の有無や処理期限の設定

    案件には、次の作業者に案件が到着したことをメールで通知するかどうか、および案件の処理期限を設けるかどうかのオプションを設定できます。この案件送信時のオプションを「案件処理オプション」と呼びます。

    案件処理オプションの定義方法は、マニュアル「設計・構築ガイド」の「10.6 案件処理オプションを設定する(Flow Designer)」を参照してください。