画面・帳票サポートシステム XMAP3 開発・実行ガイド
「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用すると,出力先のプリンタを変更したい場合に,帳票環境のセットアップを変更しないで出力先のプリンタを変更できます。
「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能は,次に示す運用システムでの利用に適しています。
従来,帳票環境を設定するときに,表示・印刷セットアップで「プリンタ名(ドライバ名)」に出力先のプリンタを指定していました。このため,出力先のプリンタを変更したい場合には,表示・印刷セットアップの設定を変更する必要がありました。
しかし,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用すれば,Windows上で「通常使うプリンタ」(標準プリンタ)に設定されているプリンタが,出力先のプリンタに自動的に割り当てられます。したがって,Windows上の「通常使うプリンタ」に設定するプリンタを,プリンタのプロパティでほかのプリンタに変更するだけで,XMAP3の出力先のプリンタをほかのプリンタに変更できます。「表示・印刷セットアップ」の設定は変更する必要はありません。
「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能は,[表示・印刷セットアップ]ダイアログの[プリンタ]タブで「「通常使うプリンタ」を自動的に割り当てる」をチェックして利用します。
なお,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能は,スタンドアロン構成,およびC/Sシステム構成のどちらでも利用できます。また,C/Sシステム構成の場合,XMAP3クライアント,およびXMAP3印刷サービスを再起動しないで,出力先のプリンタを変更できます。「通常使うプリンタ」へのプリンタ割当て機能の概要を次の図に示します。
図7-1 「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能の概要
この図のXMAP3の処理の流れを次に示します。
従来,XMAP3帳票環境をセットアップしないで,デフォルト環境のまま「通常使うプリンタ」で印刷を実行した場合には,印刷時の各種オプションの設定がすべて固定値となり,設定値のカスタマイズができませんでした。しかし,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を利用する場合は,各種のオプションを設定できます。「通常使うプリンタ」へ印刷する場合の,デフォルトの標準設定環境と「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を利用した環境の違いを次の表に示します。
表7-8 標準設定環境と「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を利用した環境の環境設定の違い
設定項目 | 標準設定環境 | 「通常使うプリンタ」へのプリンタ割当て機能を利用した環境 |
---|---|---|
システム構成 | スタンドアロン構成だけ | C/Sシステム構成・スタンドアロン構成 |
指定可能仮想端末 | 固定(PRT001/PRT002) | 任意(任意指定可) |
デバイス名 | 固定(#PRT) | 任意(構成に合わせて任意指定可) |
指定印刷モード | 固定(GDI) | 任意(選択可) |
[印刷中]ダイアログを表示する | 固定(表示しない) | 任意(選択可) |
スプール書き出し単位 | 固定(1ページ毎) | 任意(選択可) |
用紙サイズ | 固定(マップ定義優先) | 任意(選択可) |
用紙の確認通知 | 固定(行わない) | 任意(選択可) |
高度な設定 | 固定 | 任意(選択可) |
「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能は,XMAP3のC/Sシステム構成またはスタンドアロン構成のどちらの構成でも利用できます。ここでは,帳票印刷業務の途中でプリンタを変更する方法を例にして,C/Sシステム構成およびスタンドアロン構成での前提システム構成を紹介します。
変更前の「通常使うプリンタ」と,変更後の「通常使うプリンタ」のドライバ情報は,印刷先のポート情報を除いてすべて同一でなければなりません。XMAP3は,新たな印刷を開始する時に,その時点での「通常使うプリンタ」のドライバ情報を取得し,印刷が終了するまでそのドライバ情報を使用して印刷を実行します。したがって,印刷開始時の「通常使うプリンタ」とドライバ情報の異なるプリンタに出力先を変更したい場合には,いったん印刷を終了したあと,再び開始すれば変更できます。
C/Sシステム構成の場合の前提システム構成を次の図に示します。
図7-2 C/Sシステム構成の場合の前提システム構成
サーバの業務APからクライアントPCの印刷サービスに印刷を実行する環境で,PC利用者は「通常使うプリンタ」の変更,および印刷指示を行います。
スタンドアロン構成の場合の前提システム構成を次の図に示します。
図7-3 スタンドアロン構成の場合の前提システム構成
PC利用者はプリンタの変更,印刷指示を行います。
ここでは,XMAP3が,Windows上に設定されたプリンタの中から「通常使うプリンタ」に該当するプリンタ名称を採取し,該当プリンタを出力先のプリンタに決定するタイミング,および「通常使うプリンタ」の有効となる範囲について,システム構成ごとに説明します。「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能では,これから説明するタイミングで「通常使うプリンタ」を取得します。そして,「通常使うプリンタ」を取得した時点で,出力先を変更できます。このため,「通常使うプリンタ」の有効範囲内で「通常使うプリンタ」を変更しても,出力先のプリンタは変更されません。
XMAP3のC/S構成の有効範囲を次の図に示します。
図7-4 XMAP3のC/S構成の場合のプリンタ有効範囲
この図のように,オープンからクローズ(DISABLE)の間は「通常使うプリンタ」は変更されません。そのため,オープン~クローズ間に発行された印刷要求(SEND)はすべて同一のプリンタへ出力されます。したがって,出力先のプリンタを変更したい場合には,次の手順で操作してください。
OLTPサーバ構成の場合の出力プリンタの有効範囲を次に説明します。
「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用する場合,XMAP3は起動時※に,Windows上に割り当てられている「通常使うプリンタ」の情報を取得します。そして,起動時に取得したプリンタドライバ情報(印字可能領域,解像度など)に基づいて,帳票印刷を実行します。このため,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用して「通常使うプリンタ」を変更しても,変更されるのは出力先だけです。プリンタドライバ情報は起動時に設定されていた情報が引き継がれます。したがって,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用して,出力先のプリンタに割り当てるプリンタは,印刷先のポート情報を除いてドライバ情報がすべて同一でなければなりません。ここで,「通常使うプリンタ」の情報はXMAP3の起動時※に取得されるため,印刷業務を開始したあとで出力先を別のプリンタに変更したい場合には,いったん印刷業務を終了したあと,再び印刷業務を開始する必要があります。C/Sシステム構成の場合には印刷サービスの再起動を,スタンドアロン構成の場合にはいったんクローズしたあと,オープン要求を実施してください。
「通常使うプリンタ」を変更しても,印刷モード,プリンタドライバ情報,およびその他の設定項目は,表示・印刷セットアップで設定した情報が引き継がれます。そのため,変更できるプリンタは,すべて同一の印刷モードが利用できるプリンタ,および同一のプリンタドライバを使用しているプリンタである必要があります。また,XMAP3では,「通常使うプリンタ」を変更したあとのプリンタで,設定されている印刷モード,プリンタドライバが利用できるかどうかをチェックしません。このため,印刷モードが合わないプリンタや,プリンタドライバの異なるプリンタに変更した場合には,プリンタに適合しない印刷データが送信され,文字化けやハード障害などが発生することがあります。
Windows NT,Windows 2000,Windows XP,Windows Server 2003,またはWindows Server 2003 x64の場合,次の条件のどれかに該当するときは「通常使うプリンタ」の取得ができないため,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を使用できません。
Windows NT,Windows 2000,Windows XP,Windows Server 2003,およびWindows Server 2003 x64では,ログインするユーザごとに「通常使うプリンタ」を設定できますが,システムにユーザがログインしていない状態では,「通常使うプリンタ」を特定できません。また,JP1/Network Batch Queuing Systemと連携したスタンドアロン構成での帳票印刷など,システムアカウント属性でプログラムが動作する場合にも,「通常使うプリンタ」を特定できません。
このため,XMAP3サーバをWindowsのサービスとして運用し,「システムアカウント」で動作させた場合には印刷サービスが起動されません。また,システムアカウントで動作するスタンドアロン環境で帳票印刷用APを実行すると,エラーとなります。例えば,日立COBOLによるAPの場合には,起動後の最初のSEND命令が発行されたときにエラーとなります。
Windows対応のOpenTP1(TP1/NET/XMAP3)を利用する場合,OpenTP1のコネクション定義を指定する上で,C/Sシステム構成でのXMAP3サーバの下の印刷サービスは,スタンドアロン構成でのXMAP3の印刷と連携できません。そのため,OpenTP1と連携してサーバPCにだれもログインしていない状態で帳票印刷の運用を行いたい場合には,XMAP3サーバをWindowsのサービスとして運用する必要があります。このとき,「通常使うプリンタ」へのプリンタ割り当て機能を利用する場合には,OpenTP1のサービス開始時のアカウントに関係なく,XMAP3サーバは「ユーザアカウント」で運用してください。
Windows上のプリンタ名称が「*」(半角のアスタリスク)のプリンタは,XMAP3の出力先として使用できません。
出力先のプリンタのスプーラにすでに蓄積された印刷データを別のプリンタに印刷することはできません。出力先のプリンタを変更する場合には,「通常使うプリンタ」を変更したあと,APから再印刷を実行してください。また,プリンタを変更するときには,変更前のプリンタスプーラに以前の印刷データが残っている場合があります。その場合には残っている印刷データを削除してください。
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