画面・帳票サポートシステム XMAP3 実行ガイド


9.2.7 UNIX版XMAP3での外字の設定

UNIX版XMAP3 Server Runtimeは,コード変換で使用する外字マッピングファイルを提供します。外字マッピングファイルには,KEISコードとシフトJIS外字コードのマッピング(対応づけ)テーブルが設定してあります。UNIX版XMAP3 Server Runtimeが提供する外字マッピングファイルは,UNIX版XMAP3 Server Runtimeの標準値です。なお,UNIXのEUC環境で外字は使用できません。

外字マッピングファイル名は,次のとおりです。

ファイル名
/usr/lib/X11/fonts/hitachi/cnv_map_tbl
テーブルの内容

外字マッピングテーブルは,KEISコードとシフトJIS外字コードが1対1に対応しています。UNIX版XMAP3 Server Runtimeの外字マッピングテーブルの標準値を次に示します。

図9‒1 XMAP3 Server Runtimeの外字マッピングテーブルの標準値

[図データ]

注意事項

UNIX版XMAP3 Server Runtimeのインストール時,/usr/lib/X11/fonts/hitachi/cnv_map_tbl ファイルがすでにある場合は,UNIX版XMAP3 Server Runtimeの外字マッピングファイルのインストールをしません。また,XMAP3 Server RuntimeでサポートしているKEIS外字コードの範囲は,ユーザ定義文字領域81nn〜A0nn(nnはA1〜FEの範囲)です。ただし,シフトJIS外字とのマッピング上の標準値は,81nn〜9Annの範囲で設定されています。

〈この項の構成〉

(1) AIX用外字の定義と登録

AIX版XMAP3で外字を印刷するためには,あらかじめ,必要な外字パターンを定義して,指定されたディレクトリに登録する必要があります。AIX用外字の定義と登録の方法について説明します。

(a) 外字パターンの定義

AIXが提供する外字用ユティリティツール「fontutil」を使用して外字パターンを定義します。外字登録方法の詳細については,AIXのドキュメントを参照してください。

外字定義の概要を説明します。次の手順で定義してください。

  1. 外字用ユティリティツールを次のコマンドで起動します。

    /usr/bin/X11/fontutil
  2. 外字パターンを登録するフォントを読み込みます。

    登録する外字ファイルは,帳票印刷時に印字する文字サイズに応じて異なりますので,必要に応じて下表に示す外字ファイルを読み込んでください。

    ディレクトリ:/usr/lib/X11/fonts/

    文字サイズ

    サイズ

    ファイル名

    論理フォント名

    5ポイント

    16ドット

    IBM_JPN12C.pcf.Z

    -ibm_aix-gothic-medium-r-normal--16-120-100-100-m-160-ibm-udcjp

    7ポイント

    9ポイント

    12ポイント

    14ポイント

    24ドット

    IBM_JPN17C.pcf.Z

    -ibm_aix-mincho-medium-r-normal--24-170-100-100-m-240-ibm-udcjp

    フォントファイルには,標準でIBM拡張文字も含んでいます。

  3. フォントユティリティのメニューの「拡張」を選択し,編集する文字コードに「PC(SJIS)」を選択します。

  4. シフトJISコードで定義したい文字コード範囲(シフトJISの外字範囲は0xF040〜)を横スクロールバーでウィンドウ部に表示します。

  5. 「編集」ボタンをクリックし,パターンを定義したい特定の文字コードをクリックします。

    編集ウィンドウ画面「ラスタエディタ」が表示されるので,必要に応じて外字パターンを編集します。

  6. パターンの編集が完了したら,メニューバーの「エントリ」中の「イメージ・エントリ」を選択して登録したい外字コードであることを確認後,[了解]を押してください。

    フォントユティリティ画面の登録した外字コード部に外字パターンが定義されます。イメージ・エントリの編集画面を終了する場合には,メニューバーから「終了」を選択してください。フォントユティリティ画面に戻ります。

  7. すべての文字パターンの定義が完了したら,フォントユティリティ画面のメニューバー「ファイル」中の「保存」を選択後,格納する外字ファイルを選択してください。

    このとき格納する外字ファイルは,最初に読み込んだ外字ファイルと同じファイルにしてください。

(b) 外字ファイルの登録

定義した外字ファイルをXMAP3のスタンドアロン帳票印刷時に使用するために,外字ファイルを次の手順で登録します。

  1. 外字パターンを定義した外字ファイル(IBM_JPN12C.pcf.ZおよびIBM_JPN17C.pcf.Z)を,次のディレクトリにコピーします。

    なお,印字する文字サイズに関係なく必ず両方の外字ファイル(IBM_JPN12C.pcf.ZおよびIBM_JPN17C.pcf.Z)をコピーしてください。

    /usr/lib/X11/fonts/hitachi
  2. 次に示すコマンドで,格納した外字ファイルを解凍します。

    /usr/bin/uncompress 外字ファイル

    正しく解凍できたら,ファイル名の末尾の「.Z」が無くなったファイル名になり,ファイルサイズも大きくなります。

(c) フォントマッピングの関係

スタンドアロン構成で外字として利用できる領域の文字コードの対応(区点コード,シフトJIS,KEISコード)を次に示します。

表9‒5 文字コードの対応表(AIX)

区点コード

シフトJIS

KEIS

95区01点〜95区94点

0xf040〜0xf09e

0x81a1〜0x81fe

96区01点〜96区94点

0xf09f〜0xf0fc

0x82a1〜0x82fe

97区01点〜97区94点

0xf140〜0xf19e

0x83a1〜0x83fe

103区01点〜103区94点

0xf440〜0xf49e

0x89a1〜0x89fe

104区01点〜104区94点

0xf49f〜0xf4fc

0x8aa1〜0x8afe

114区01点〜114区94点

0xf99f〜0xf9fc

0x94a1〜0x94fe

注1

シフトJISの「0x**7FF」には定義できません。

注2

シフトJISコード0xFA40〜には,あらかじめIBM拡張文字セットが定義されているので,この領域には外字の定義をしないでください。

(2) HP-UX用外字の定義と登録

HP-UX上のスタンドアロン印刷でサポートする文字コードは,シフトJISだけです。外字を利用する場合には,あらかじめ,次に示す外字の環境設定で,必要な外字を登録しておく必要があります。

HP-UXで外字を扱う際は,外字パターンを定義していったんUDCファイルと呼ばれる形式のファイルに格納してから,既存のフォントに外字パターンをマージして使用します。

(a) 外字パターンの定義

外字パターンの定義は,HP-UXのX Window Systemに付属しているUDCエディタを使用します。

外字定義の概要を説明します。次の手順で定義してください。

  1. 次のコマンドを実行してUDCエディタを起動します。

    % xudced△UDCファイル名△幅x高さ

    (例)16ドット×16ドットのUDCファイルgai16.udcを作成する場合

      % xudced△gai16.udc△16x16

    UDCエディタを起動すると,シフトJIS用(JIS X 0208と表示される)とEUC用(JIS X 0212と表示される)の2枚の編集ウィンドウが表示されますが,EUC用の編集ウィンドウは使用しないため,閉じてください。

  2. 編集ウィンドウで,外字を登録したいコードをスクロールウィンドウ内から選択します。

    登録する外字のコードは区点コードになります。

    区点コードと,KEISコードおよびシフトJISの外字コードの対応を次に示します。

    表9‒6 文字コードの対応表(HP-UX)

    区点コード

    シフトJIS

    KEIS

    95区01点〜95区94点

    0xf040〜0xf09e

    0x81a1〜0x81fe

    96区01点〜96区94点

    0xf09f〜0xf0fc

    0x82a1〜0x82fe

    97区01点〜97区94点

    0xf140〜0xf19e

    0x83a1〜0x83fe

    118区01点〜118区94点

    0xfb9f〜0xfbfc

    0x98a1〜0x98fe

    119区01点〜119区94点

    0xfc40〜0xfc9e

    0x99a1〜0x99fe

    120区01点〜120区94点

    0xfc9f〜0xfcfc

    0x9aa1〜0x9afe

    120区01点〜120区94点

    0xfc9f〜0xfcfc

    0x9aa1〜0x9afe

    注 シフトJISの「0x**7d」には,定義できません。

  3. [Edit]メニューの[Modify pattern]を選択します。

    ビットマップエディタが表示されるので,必要に応じて外字パターンを編集します。

  4. ビットマップエディタの[Save]メニューで文字パターンを保存し,[Quit]メニューで終了します。

    UDCエディタ側に作成した文字パターンが反映されます。

  5. UDCエディタの[Save]メニューで外字パターンを保存してから,UDCエディタを終了します。

(b) UDCファイルの既存フォントへのマージ

外字を定義したら,定義した外字パターンを既存のフォントファイル(PCFファイル形式)にマージします。

マージ処理は,udccコマンドを使用します。

udccコマンドの書式を次に示します。

% udcc△-m△入力元PCFファイル名UDCファイル名 > 出力先PCFファイル名

(例)XMAP3で使用する16ドット×16ドットの漢字フォントに対してUDCファイルgai16.udcをマージした外字フォントファイルを,/tmpディレクトリに作成する場合

% udcc△-m△/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/got16k.pcf△gai16.udc >
/tmp/got16k.pcf

帳票印刷で外字を印字する場合の,マップ帳票,書式オーバレイおよび行データで指定した文字サイズと,XMAP3が外字出力時に読み込む漢字フォントのPCFファイル名および論理フォント名の対応を次の表に示します。

表9‒7 文字サイズ,漢字フォントのPCFファイル名および論理フォント名の対応

文字サイズ

フォント

PCFファイル名

ページ※1

シリアル※2

ドット数

論理フォント名

5ポイント

16×16

/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/got16k.pcf

-hp-gothic-medium-r-normal--16-116-100-100-c-160-jisx0208.1983-0

7ポイント

9ポイント

24×24

/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/min24k.pcf

-hp-mincho-medium-r-normal--24-173-100-100-c-240-jisx0208.1983-0

9ポイント

32×32

/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/gai32.pcf

-hp-mincho-medium-r-normal-gai32c-32-232-100-100-c-320-jisx0208.1990-0

12ポイント

40×40

/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/gai40.pcf

-hp-mincho-medium-r-normal-gai40c-40-288-100-100-c-400-jisx0208.1990-0

14ポイント

48×48

/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpi/gai48.pcf

-hp-mincho-medium-r-normal-gai48c-48-346-100-100-c-480-jisx0208.1990-0

(凡例)

−:該当なし

注※1

ページプリンタ(LIPS,PostScript)に対する,網掛け帳票,グラフィック帳票および書式オーバレイ中の文字サイズ

注※2

シリアルインパクトプリンタ(ESC/P)に対する,けい線帳票およびプレプリント帳票中の文字サイズ

外字ファイルを作成するときは,UDCエディタで作成した,それぞれのドットの外字パターンと,そのドットに対応するフォントファイルパスに記載されたPCFファイルをマージしてください。

なお,got16k.pcf(16ドット用)およびmin24k.pcf(24ドット用)のPCFファイルは,HP-UXが標準で用意しています。gai32.pcf(32ドット用),gai40.pcf(40ドット用)およびgai48.pcf(48ドット用)のPCFファイルについては,外字が定義されていないものを,/opt/HIXMAP/lib/fontsディレクトリ下に提供していますので,/usr/lib/X11/fonts/hp_japanese/100dpiディレクトリ下にコピーして外字パターンをマージしてください。

(c) 注意事項

  • UDCエディタを使用して,区点コード1区〜94区に文字パターンを定義しないでください。この領域は内字コード領域とJIS X 0208の保留領域(9〜15区,85〜94区)です。この領域に文字が定義された場合,元のフォントに文字情報が上書きされます。

  • UDCエディタを使用すると,区点コード1区〜94区の間にも文字パターンを定義できますが,この領域は内字コード領域とJIS X 0208の保留領域(9〜15区,85〜94区)の領域のため,この領域に文字が定義された場合,元のフォントに定義されている文字情報が上書きされますので,区点コード1区〜94区への定義はしないでください。

  • UDCエディタで作成した32ドットフォント,40ドットフォントおよび48ドットフォントは,必ずXMAP3が提供しているPCFフォントとマージして使用してください。

(3) シフトJISで利用できる文字の範囲

シフトJISコード範囲には,一般にベンダ固有文字と呼ばれる文字範囲があります。XMAP3を使用した場合に利用できる文字の範囲を示します。

(a) WindowsクライアントとのC/S構成の場合

WindowsクライアントとのC/S構成で画面表示や帳票印刷をする場合,Windows特殊文字(0x8740〜0x879C),NEC選定IBM拡張文字(0xED40〜0xEEFC)およびIBM拡張文字(0xFA40〜0xFC4B)の文字は利用できます。ただし,Windowsクライアントの環境によっては文字コードに対応する文字形状が異なる場合があるため,外字登録して使用することをお勧めします。

(b) スタンドアロン構成の場合

スタンドアロン構成でサーバから帳票を印刷する場合,Windows特殊文字(0x8740〜0x879C),NEC選定IBM拡張文字(0xED40〜0xEEFC)は印刷できません。これらの文字を印刷したい場合には必ず外字登録して利用してください。また,IBM拡張文字(0xFA40〜0xFC4B)は,AIXの場合だけ,外字ファイルを所定のディレクトリに登録すると印刷できます。ただし,WindowsクライアントとのC/S構成と併用する場合は,Windows側と利用する文字コードを統一する必要があるため,外字登録して使用することをお勧めします。