8.5.10 プッシュボタンボックス(コマンドボタン)
プッシュボタンは,イベントを実行するときに使用します。
プッシュボタンは,イベント(実行する処理)を候補(ボタン)の選択によって指定するオブジェクトです。ボタンを選択したときの動作として,「イベントをAPに通知」「二次ウィンドウを閉じる」「ボップアップメニューを表示」などを設定できます。PFキーの代わりとしても使用できます。また,プッシュボタンにはアクセスキーを指定できます。
ボタンのサイズは,画面の解像度に応じて指定できます。また,グラフィックデータ(.bmp)をボタンのラベルとして貼り付けられます※。ボタンのラベルはドローで定義し,AP実行時に変更できます。
なお,プッシュボタンボックスの表示属性については「12.1 画面定義のリファレンス情報」を参照してください。
- 注※
-
ボタンのラベルとして貼り付けるグラフィックデータを複数,登録している場合,画面表示時にどのグラフィックデータが使用されるかはプッシュボタンのボタン高で決まります。プッシュボタンのボタン高に収まるサイズのグラフィックデータの中で,最大のものが使用されます。解像度ごとのボタン高の違いについては,「8.5.10(5) グラフィックをラベルとしてプッシュボタンに設定する」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) 設定できる項目
プッシュボタンボックスの項目と設定できる値を次の表に示します。
項目 |
動的変更 |
設定できる値 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
プッシュボタン |
プッシュボタンボックス |
プッシュボタン |
プッシュボタンボックス |
|||
枠付き(ボックスに枠を付ける) |
− |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
||
ボタンを横に並べる |
− |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
||
フォーカス対象外(フォーカス遷移の対象としない) |
− |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
||
ボックス名称 |
− |
− |
− |
プッシュボタンボックスの名前を指定します。 この名前は,APから初期フォーカスをこのボックスに設定する場合に,APが指定する名前になります。 |
||
背景色 |
− |
− |
− |
白,赤,緑,青,ライトレッド,ライトブルー,黄,グレー,黒,ダークグレー,ライトグレー,ダークグリーン,ライトグリーン,ライトイエロー,ダークブルー,透明 |
||
ボタン高 |
− |
− |
− |
4.5ます,3.5ます,2.5ます,2ます |
||
ラベル |
文字サイズ |
− |
− |
− |
大,標準,小 |
|
文字の書体 |
− |
− |
− |
標準,明朝,ゴシック |
||
文字の強調 |
− |
− |
− |
標準,太字,斜体,太字&斜体 |
||
ラベルの種類 |
− |
− |
テキスト,ビットマップ,左ビットマップ+テキスト,右ビットマップ+テキスト,下ビットマップ+テキスト,上ビットマップ+テキスト,中央ビットマップ+テキスト |
− |
||
文字色 |
− |
− |
白,赤,緑,青,紫,空,黄,黒,ダークレッド,ダークブルー,ダークグリーン,ダークイエロー |
− |
||
初期テキスト |
テキスト |
○ |
− |
表示するラベル文字列を指定します。ボタンの長さはラベルの長さに応じて更新されます。 |
− |
|
テキスト揃え |
− |
− |
中央,左,右,均等 |
− |
||
ビットマップ |
活性用 |
標準 |
− |
− |
− |
|
交代1 |
− |
− |
− |
|||
交代2 |
− |
− |
− |
|||
交代3 |
− |
− |
− |
|||
不活性用 |
標準 |
− |
− |
− |
||
交代1 |
− |
− |
− |
|||
交代2 |
− |
− |
− |
|||
交代3 |
− |
− |
− |
|||
全体プレビュー |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
− |
||
設定 |
− |
− |
一覧で選んでいる位置にビットマップを指定 |
− |
||
削除 |
− |
− |
一覧で選んでいるビットマップの指定の解除 |
− |
||
選択時の動作 |
選択時の動作 |
− |
− |
APへ通知する,ポップアップ表示 |
− |
|
通知コード |
− |
− |
ファンクションキー,送信キー,割り込みキー,スクリーンキーと共用:標準値では順にPF01〜PF24,ENTR,BREK,SCRN,PA1,PA2,PA3,A001〜A060 メニューバーのメニュー項目とプッシュボタンとで共用:標準値ではA061〜A071 |
− |
||
表示方法 |
○ |
− |
標準表示:オブジェクトや文字を見える状態で表示する 全体非表示:文字を含むオブジェクト全体を表示しない 文字だけ非表示:オブジェクトの外観は表示するが,文字は表示しない グレーアウト表示:オブジェクトや文字を不活性状態のグレーで表示する パスワード表示:文字を「*」に替えて表示する |
− |
||
フォーカス設定(初期フォーカスを本ボタンに設定する) |
○ |
− |
チェックあり/チェックなし |
− |
||
不活性(選択できない状態にする) |
○ |
− |
チェックあり/チェックなし |
− |
||
二次ウィンドウを閉じる |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
− |
||
アクセスキーを使用する |
− |
− |
チェックあり/チェックなし |
− |
||
アクセスキー |
− |
− |
1文字の半角の英大文字(A〜Z)または数字(0〜9) |
− |
||
APが渡す項目 |
動的変更 |
− |
− |
− |
||
APからテキストを変更する |
− |
− |
||||
データ名 |
− |
− |
(3) 入力時のAPの操作
プッシュボタンが選択されるとイベントが発生します。APに通知するイベントの場合,APでは定義時に指定したイベント通知コードが入力論理マップに格納されます。
イベント通知コードとしては「送信」「スクリーン」「割込」「ファンクションキー(PF1〜PF84)」「PA1〜PA3」および「ボタンイベント(A061〜A071)」が使用できます。
(4) 出力時のAPの操作
動的変更によって,ボタンの「活性/不活性」やラベルテキストを変更できます。
ユーザAPでラベルテキスト項目名に変更内容を指定した場合は,ドローのプッシュボタンダイアログで指定した「テキスト揃え」は適用されません。実行時には,ユーザAPで指定したボタンのラベルテキストは左寄せ固定となります。また,ユーザAPでラベルテキスト出力項目名に,ビットマップおよびビットマップファイル名を指定できません。
(5) グラフィックをラベルとしてプッシュボタンに設定する
プッシュボタンダイアログの「ラベルの種類」から「ビットマップ」または「ビットマップとテキスト」の組み合わせを選択し,ビットマップの[設定]ボタンをクリックすると,プッシュボタンのラベルとして固定グラフィックや固定グラフィックとテキストの組み合わせを表示できます。使用する固定グラフィックは,あらかじめユーザが用意しておきます。なお,グラフィックのサイズが大きい場合や,テキストが長い場合には,グラフィックとテキストが重なり合うことがあるので,必要に応じてボタンのサイズを大きくしてください。
なお,プッシュボタンに表示するグラフィックは,画面の解像度に応じて交代で表示できます。最もよく使用する解像度のグラフィックを「標準用」として指定し,必要に応じて「交代用」を指定します。
次に示す表は,XMAP3が提供する標準の文字サイズに対する値です。
文字 |
ボタン高 |
|||
---|---|---|---|---|
4.5 |
3.5 |
2.5 |
2 |
|
大 |
48×48 |
36×36 |
24×24 |
22×22 |
標準 |
32×32 |
24×24 |
16×16 |
14×14 |
小 |
24×24 |
18×18 |
12×12 |
10×10 |
文字 |
ボタン高 |
|||
---|---|---|---|---|
4.5 |
3.5 |
2.5 |
2 |
|
大 |
44×44 |
32×32 |
22×22 |
20×20 |
標準 |
28×28 |
20×20 |
14×14 |
12×12 |
小 |
24×24 |
18×18 |
12×12 |
10×10 |
文字 |
ボタン高 |
|||
---|---|---|---|---|
4.5 |
3.5 |
2.5 |
2 |
|
大 |
64×64 |
48×48 |
32×32 |
30×30 |
標準 |
48×48 |
36×36 |
24×24 |
22×22 |
小 |
32×32 |
24×24 |
16×16 |
14×14 |
文字 |
ボタン高 |
|||
---|---|---|---|---|
4.5 |
3.5 |
2.5 |
2 |
|
大 |
44×44 |
32×32 |
22×22 |
20×20 |
標準 |
28×28 |
20×20 |
14×14 |
12×12 |
小 |
24×24 |
18×18 |
12×12 |
10×10 |
(6) フォーカスが遷移しないボタン(マウスでの選択だけ有効)
フォーカス遷移で選択できないようにボタンを設定します。誤入力などを防ぐのに有効です。プッシュボタンボックスダイアログの「フォーカス遷移の対象としない」を指定すると,そのボタンボックス中のプッシュボタンへは,フォーカスが遷移しなくなります。
(7) キーで選択するボタン
マウスだけでなく,文字キーでもプッシュボタンを選択できるように設定します。プッシュボタンダイアログの「アクセスキーを使用する」を指定すると,アクセスキーが対応するキーを選択することで,プッシュボタンを押せます。このアクセスキーに「0〜9」の数字キーを指定すると,テンキーでも操作できるようになります。
なお,アクセスキーが有効なのは,フォーカスがプッシュボタンボックスに位置づいているときです。
(8) 表示属性の動的変更
プッシュボタンの活性/不活性や表示属性を実行時に変更できます。表示属性の動的変更については「8.2.4 表示属性の動的変更」を参照してください。
(a) ラベルテキストを動的変更するときの注意
-
ラベルテキストを動的変更する場合,ラベルテキストの中央寄せなどの桁揃えは,論理項目の設定値で調整します。
-
プッシュボタンのサイズを変更した場合,変更した値がすべてのプッシュボタンのボタンサイズ,およびラベルテキストの論理項目の桁に設定されます。このため,「APからテキストを変更する」を指定しているボタンが含まれるプッシュボタンボックスで,ボタンのサイズを変更したときは,APを再コンパイルしてください。
-
ターゲットによって,データ長をユーザ任意の値に設定できるようになります。「テキストのデータ長を変更する」を指定した場合,ラベルテキストの論理項目の桁が固定になります。このため,同じボックス内のすべてのボタンで,ボタンサイズの変更,およびラベルテキストの論理項目の桁の変更ができなくなります。
-
「APからテキストを変更する」を指定しているプッシュボタンを貼り付ける場合,貼付け先のプッシュボタンボックスのボタン長に合わせて桁が変更されます。テキストのデータ長の変更は解除されます。
(9) プッシュボタンボックスの作成手順
プッシュボタンボックスの作成手順を次に示します。
-
ツールボックスの[プッシュボタン]を選びます。
[プッシュボタン]には「複数」と「単独/追加」の種類があり,ボタンを選ぶたびに種類が切り替わります。
新規にプッシュボタンボックスを配置する場合は,「複数」ボタンまたは「単独/追加」ボタンをクリックします。
既存のプッシュボタンボックスにボタンを追加する場合は,「単独/追加」ボタンをクリックします。
-
レイアウト領域で,配置するボックスの開始位置をクリックするか,開始位置から終了位置までドラッグします。または,追加先のボックスを選びます。
ボックスが選択状態になり,その中にボタンが配置されます。新規のボックスは枠が付いた状態で配置されます。
ボックスと一緒に配置されるボタンの数は,配置時に指定する領域のサイズに従います。ボタンを追加・削除して数を調整してください。
-
ボタンを選択状態にしてから再度クリックし,ラベルを文字入力できる状態にします。
[Shift]キーを押したままオブジェクトを選ぶと,ボタンボックスが選択されます。ボタンボックスが選択しにくい配置の場合は,この方法で選んでください。
-
キーボードから直接文字を入力して,ラベルを書き換えます。
半角文字と全角文字を混在させて入力できます。指定できる文字数はボタンの幅に従います。文字数が多い場合は,ボタンの幅を調整してから入力してください。
ボタンラベルの横幅より短い文字列は,ボタン属性の[テキスト揃え]に従って表示されます。ただし,APから変更したボタンラベルのテキストにはテキスト揃えは適用されないため,左寄せ固定になります。APから変更したテキストを左寄せ以外にしたい場合は,スペースを挿入して調節してください。
-
[Enter]キーを押して,文字を確定します。
「複数」ボタンで操作した場合は,ほかのボタンについても手順3.〜5.の操作をくり返します。
配置したボタンやボックスのサイズは伸縮できます。ボタンのサイズを変更すると,ボックス内のすべてのボタンにそのサイズが適用されます。ただし,ボックス内に「テキストのデータ長を変更する」の設定がしてあるボタンが一つでもある場合はリサイズできません。
ボタンボックスのサイズを超えたボタンの移動や拡大はできません。ボタンボックスを拡大してから,操作してください。
「APからテキストを変更する」を設定しているボタンを,ほかのボックスに移動させた場合,移動先のボックスのボタンにあわせて桁が変更され,テキストのデータ長の変更は解除されます。