3.1.1 ドローセットアップの概要
ドローセットアップは,ドローで画面や帳票を定義するときに指定される属性の初期値やマップ生成の方式など,開発環境の設定を変更するためのものです。ドローセットアップでは,一般的な使用方法を想定した値があらかじめ設定されています。開発を始める前にこの標準値を確認し,必要な項目だけをユーザ環境に適した値に変更してください。ドローセットアップ情報(標準値)を複数用意する場合は,ドローセットアップでドローセットアップ情報を格納するフォルダ(ドローセットアップ情報フォルダ)を指定します。ドローセットアップ情報フォルダを使用すると,複数のマップや書式で共有する標準値を複数作成したり,マップや書式の属性ごとに標準値を変えたりする運用ができます。複数のドローセットアップ情報使用時の管理方法については,「付録E.1 ドローセットアップ情報の管理方法の考え方」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) 開発環境の分類
XMAP3のドローセットアップで設定する開発環境は,次のように大きく分類されます。
- 分類1:ドローの設定
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ドローの画面・帳票定義,およびプログラムに関する設定です。
- 分類2:運用管理者用の設定
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システム全体の運用に関する設定です。管理者レベルの限られた人が設定することをお勧めします。
(2) 設定項目の区分
ドローセットアップで設定する各項目は,その設定内容が何に関係および影響するかによって,次の区分に分かれます。ドローセットアップでは,設定項目がどの区分であるかを十分に考慮しながら変更することをお勧めします。
A,B,およびCは,このマニュアルで使用する区分コードです。
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ドローの仮定値(A)
ドローで定義する画面・帳票属性や,各種オブジェクトごとの属性の初期値です。「分類1:ドローの設定」に含まれます。画面・帳票の新規作成時や,オブジェクトを新規にレイアウト定義画面に貼り付けたときだけ有効になります。この属性は,定義内容に応じて,ドローのダイアログで変更できます。よく使用する属性に設定しておくことで,画面・帳票定義の省力化を実現できます。
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プログラムの標準値(B)
画面・帳票を使用するプログラムに関係および影響する標準値です。「分類1:ドローの設定」に含まれます。一度設定したら原則として変更できません。
開発途中で変更が発生した場合は,ドローセットアップで新しい環境を設定したあと,セットアップ情報反映で,既存の定義ファイル(マップ定義ファイル,書式定義ファイル)に対し変更内容を反映する必要があります。さらに,変更した定義ファイルから,論理マップおよび定義体(物理マップ,または書式イメージファイルおよび行制御データファイル)を再度生成する必要があります。また,変更内容によっては,APの変更やリコンパイルが必要になります。
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システムの標準値(C)
システム全体の方針で決める設定項目です。「分類2:運用管理者用の設定」に含まれます。APの内容に関係するため,一度設定したら原則として変更できません。
開発途中で変更が発生した場合は,ドローセットアップで新しい環境を設定したあと,セットアップ情報反映で,既存の定義ファイルに対し変更内容を反映する必要があります。さらに,変更した定義ファイルから,論理マップおよび定義体を再度生成する必要があります。そして,変更内容によっては,動的変更テーブルが変更される場合もあるため,APや運用方法の見直しが必要です。
(3) ドローセットアップとドローとの関係
ドローセットアップとドローの関係を次の図に示します。
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開発環境のセットアップ
ドローセットアップを使用して,画面や帳票を作成するための開発環境を整えます。この設定内容はファイルに保管されます。設定内容を複数用意する場合は,設定内容ごとにドローセットアップ情報フォルダを指定します。ドローでドローセットアップ情報フォルダと,画面・帳票定義の対応づけを指定する場合,定義リンクファイルにフォルダ情報が保管されます。また,AP実行時の動的変更に使用する修飾名の設定を変更した場合は,その設定内容から動的変更テーブルを生成できます。
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画面・帳票の定義
ドローを使用して,画面や帳票を定義します。このとき,ドローセットアップの設定内容が参照され,画面・帳票定義に取り込まれます。画面・帳票定義は,定義ファイル(マップ定義ファイルまたは書式定義ファイル)に保管します。
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マップ生成
ドローまたはマップ生成を使って,完成した画面・帳票の定義ファイルから,論理マップと定義体(物理マップまたは書式イメージファイル,および行制御データファイル)を生成します。画面・帳票定義に取り込まれたドローセットアップの設定に従ってマップが生成されます。ドローで定義の保存操作をすると,自動的にマップが生成されます。
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ドローセットアップの設定を変更した場合
新しい設定を既存の定義ファイルに反映するため,セットアップ情報反映を実行します。このとき,画面・帳票定義に取り込まれているドローセットアップの区分「B(プログラムの標準値に含まれる設定項目)」の設定が更新されます。詳細は,「14.4 セットアップ情報反映」を参照してください。
さらに,再度マップ生成をすると,生成される論理マップと定義体に,区分「C(システムの標準値に含まれる設定項目)」の新しい設定が反映されます。
(4) 設定項目のドローセットアップ情報フォルダへの格納について
ドローセットアップでは,変更した設定内容ごとに格納先のフォルダを複数指定できます。複数の定義ファイルで共有する設定内容を複数用意したり,定義ファイルごとに設定内容を用意したりする場合は,ドローセットアップで格納先のフォルダ(ドローセットアップ情報フォルダ)を指定します。ドローセットアップ情報フォルダを指定しない場合,設定内容はXMAP3の固定フォルダ(XMAP3のインストールフォルダ\BIN)に格納されます。
(a) ドローセットアップ情報フォルダの新規作成
ドローセットアップでフォルダを指定して,設定項目を格納する方法について説明します。格納先のフォルダを指定する場合は,ドローセットアップダイアログで開始時に[ドローセットアップ情報フォルダを指定する]チェックボックスをオンにします。
- 複数の定義ファイルで共有する設定内容のフォルダを作成する場合
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ドローセットアップで「ドローで指定する」を選択して,フォルダを任意の名称で作成します。
ドローで画面・帳票を新規作成する時にフォルダを指定して,定義ファイルと設定内容を対応づけます。定義リンクファイルに,定義ファイルと対応づけられたフォルダの情報が保存されます。指定したフォルダにあるドローセットアップ情報が参照され,取り込まれます。
任意の名称(A,B)でドローセットアップ情報フォルダを作成した場合の流れを次の図に示します。
- 定義ファイルごとに設定内容のフォルダを作成する場合
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ドローセットアップで「マップ名で仮定する」を選択して,フォルダをマップ名で作成します。
ドローで画面・帳票を新規作成する時には,マップ名のフォルダにあるドローセットアップ情報が参照され,取り込まれます。
マップ名(MAP001,MAP002)でドローセットアップ情報フォルダを作成した場合の流れを次の図に示します。
(b) 設定内容の更新
ドローセットアップで格納先のフォルダを指定した場合に,設定項目を更新する方法について説明します。
- 複数の定義ファイルで共有する設定内容を更新する場合
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ドローセットアップで[フォルダ参照...]ボタンをクリックしてドローセットアップ情報フォルダを選択します。ドローセットアップ情報フォルダが設定され,設定内容を更新できます。更新した設定内容は,セットアップ情報反映を利用して反映します。
- 定義ファイルごとの設定内容を更新する場合
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ドローセットアップで[マップ定義ファイル,書式定義ファイル参照...]ボタンをクリックして定義ファイルを選択します。定義ファイルに対応したドローセットアップ情報フォルダが設定され,設定内容を更新できます。更新した設定内容は,セットアップ情報反映を利用して反映します。
(5) 設定項目のマップ定義ファイルへの反映について
ドローセットアップの設定項目が,マップ定義ファイルに,どのように反映されるのか,マップ定義ファイルの新規作成,更新,およびセットアップ情報反映を利用した場合について説明します。
(6) ドローセットアップの運用上の扱い
ドローセットアップの設定には,システム全体に影響する項目があります。したがって,チームで開発する場合,画面や帳票を定義するメンバーからの設定変更を抑止するため,ドローセットアップのアイコンを削除してからXMAP3を配布することをお勧めします。