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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 構造型データベース機能


5.13.2 運用前に考慮すること

更新可能なオンライン再編成の運用前に知っておく必要がある制限事項および注意事項について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 制限事項

(2) システム構成に関する注意事項

(3) 更新可能なオンライン再編成実行時の注意事項

(4) 追い付き反映キー対応表に関する注意事項

(a) 追い付き反映キー対応表を格納するRDエリアに関する注意事項

  • 更新可能なオンライン再編成の対象RDエリアが,複数のBESに存在する場合,各BESに追い付き反映キー対応表を作成する必要があります。そのため,追い付き反映キー対応表を格納するRDエリアを各BESに作成しておく必要があります。

  • 追い付き反映キー対応表へのデータ登録時に,追い付き反映キー対応表を格納するRDエリアの容量不足が発生すると,データロードまたは追い付き反映処理がエラーになります。そのため,RDエリアの容量見積もりを必ず実施してください。RDエリアの容量見積もり方法については,「3.5.6 ユーザ用RDエリア(追い付き反映キー対応表を格納する)の容量の見積もり【4V FMB】」を参照してください。

    RDエリアの容量不足が発生した場合,追い付き反映キー対応表を初期化する必要があります。その場合,BES内の更新可能なオンライン再編成の対象RDエリアの情報がすべて削除されます。そのため,データロードが完了しているRDエリアも,データロードを再実行する必要があります(BESが異なる場合は,データロードを再実行する必要はありません)。

(b) データロードの再実行前に追い付き反映キー対応表を初期化するときの注意事項

障害などの発生によって,データロードの再実行が必要となった場合は,データロードを再実行する前に,追い付き反映キー対応表をpdsdborcrtコマンドで初期化する必要があります。初期化しない場合(更新可能なオンライン再編成の対象RDエリアに関する情報が,追い付き反映キー対応表に登録されたままの場合),データロードの再実行がエラーになります。

ただし,追い付き反映キー対応表を初期化すると,BES内の更新可能なオンライン再編成の対象RDエリアの情報がすべて削除されます。そのため,データロードが完了しているRDエリアも,データロードを再実行する必要があります(BESが異なる場合は,データロードを再実行する必要はありません)。

なお,更新可能なオンライン再編成の実行中に,追い付き反映キー対応表を初期化または削除する必要が生じた場合は,pdsdborcrtコマンドの実行後に警告メッセージと確認メッセージが出力されます。次の流れで応答してください。

  1. 警告メッセージ(KFPT82005-W)が出力されます。KFPT82005-Wメッセージに出力されたBES名を確認してください。

  2. 1.で確認したBES内に,オンライン再編成閉塞のRDエリアがあるかどうかをpddblsコマンドで確認してください。

  3. 確認メッセージ(KFPT82006-Q)が出力されます。追い付き反映キー対応表を初期化または削除する場合はyを,初期化または削除をやめる場合はnを指定してください。

    注意事項

    次のどちらかの条件を満たす場合は,yを応答してください。

    • BES内にオンライン再編成閉塞のRDエリアがない場合

    • データロード時や追い付き反映処理時に障害が発生し,追い付き反映キー対応表の初期化または削除が必要な場合

    上記の条件を満たさない場合は,必ずnを応答してください。上記の条件を満たさない場合にyを指定すると,SDBデータベースの内容が不整合な状態になるおそれがあります。

(5) アンロードデータファイルに関する注意事項

(a) アンロードデータファイルの作成に関する注意事項

アンロード時に作成したアンロードデータファイルを,データロード時の入力データファイルにしてください。ほかの方法で作成したアンロードデータファイルを入力データファイルにした場合,SDBデータベースの内容が不整合になります。

(b) アンロードデータファイルの保管に関する注意事項

更新可能なオンライン再編成の操作が完了するまで,アンロードデータファイルを削除しないでください。アンロードデータファイルを削除してしまうと,追い付き反映キー対応表の障害などによって,データロードから操作を再実行する必要がある場合に,データロードの再実行ができなくなります。この場合,更新可能なオンライン再編成を中止し,レプリカRDエリアの更新データをオリジナルRDエリアに反映して,オリジナルRDエリアを回復する必要があります。

なお,データロードが正常終了したあと(KFPB63012-Iメッセージが出力されたあと)に,データロードの再実行が必要になった場合,アンロードを再実行してアンロードデータファイルを作成しても,アンロードデータファイルの内容はデータロード後の内容になっています。このアンロードデータファイルを入力データファイルに指定した場合,SDBデータベースの内容が不整合になります。

(c) アンロードデータファイルの内容を変更する際の注意事項

アンロードデータファイルの内容を変更し,データロード時の入力データファイルにする場合,次の変更だけができます。

  • ファミリ単位の追加

  • ファミリ単位の削除

  • ページ切り替えフラグの設定

  • 事前割り当てページ数の設定

上記以外の変更をした場合は,SDBデータベースの内容が不整合になるおそれがあります。

また,ファミリ単位の削除を行ったレコードに対して,カレントRDエリアで更新が発生した場合,オリジナルRDエリアでは対応するレコードがないため,追い付き反映処理で実行されるAPI(HiRDB/SDが内部的に発行するAPI)でエラーが発生します。このエラーをスキップし,追い付き反映処理を続行したい場合は,pdorendコマンドに-fオプションを指定して,追い付き反映制御ファイルに次の指定をしてください。

  • reflection文のdml_errorオペランドにskipを指定する

詳細については,「5.13.10 追い付き反映処理時にHiRDB/SDが内部的に発行するAPIのエラーをスキップしたい場合」を参照してください。

(6) HiRDBの再起動を必要としないSDBデータベースの定義追加,定義変更との関連

(7) 系切り替え機能との関連

追い付き反映処理中に系の切り替えが発生した場合,pdorendコマンドが異常終了します。追い付き反映処理が終了しない状態が長く続くと,オンライン側(業務実行側)のレプリカRDエリアの更新情報がシステムログに蓄積され続けるため,システムログ量が見積もり値を超えるおそれがあります。そのため,系切り替えが発生した場合は,できるだけ早くpdorendコマンドを再実行するようにしてください。

(8) 追い付き反映処理時の格納配置制御

追い付き反映処理時の格納配置制御に関するオプションの適用可否を次の表に示します。

表5‒5 格納配置制御に関するオプションの適用可否(追い付き反映処理時)

追い付き反映処理の種別

格納配置制御に関するオプション

ページ切り替えオプション

PCTFREE有効化オプション

事前割り当てページ数

レコードの格納(STORE)の更新追い付き反映処理

レコードの削除(ERASE)の回復追い付き反映処理

×

×

(凡例)

○:レコードの格納(STORE)の実行時(レプリカRDエリア側の更新時)に指定した値を引き継いで,追い付き反映処理が実行されます。SDBデータベースの再編成時に,事前ページ割り当て機能の適用有無を変更した場合の動作については,「2.6.2(4)(d) 事前ページ割り当て機能に関する留意事項」または「2.7.2(4)(d) 事前ページ割り当て機能に関する留意事項」を参照してください。

×:格納配置制御に関するオプションの指定が適用されません。この場合,レコード実現値を格納する際,ページまたはサブページを切り替えません。また,SDBデータベース格納定義のPCTFREEオペランドで指定したページ内の未使用領域比率またはサブページ内の未使用領域比率を適用しないで,レコード実現値が格納されます。

−:該当しません。

(9) 更新可能なオンライン再編成中に整合性エラーが発生した場合

更新可能なオンライン再編成中に,誤ってpdsdbarc -w -qコマンドを実行したり,系切り替えが発生したりすると,整合性エラーが発生するおそれがあります。整合性エラーが発生した場合,更新可能なオンライン再編成を続行するか,または中止するかを判断してください。

中止する場合は,レプリカRDエリアの更新データをオリジナルRDエリアに反映し,オリジナルRDエリアで業務を再開します。更新可能なオンライン再編成を中止する場合の手順については,「5.23 障害が発生したときの対処方法(更新可能なオンライン再編成の実行時)【4V FMB】」を参照してください。

更新可能なオンライン再編成を続行する場合は,常用常駐領域のSDBディレクトリ情報を変更前の状態に戻し,そのあとにエラーとなったコマンドを再実行してください。SDBディレクトリ情報を変更前の状態に戻す方法については,「5.7.7 障害発生時の対処(定義追加または定義変更前の状態に戻す場合)」を参照してください。更新可能なオンライン再編成を続行する際の手順については,「5.23 障害が発生したときの対処方法(更新可能なオンライン再編成の実行時)【4V FMB】」を参照してください。