6.9.3 系切り替え機能を使うときの準備(Microsoft Cluster Serverの場合)
Microsoft Cluster Server(MSCS)による系切り替え機能を使うときに準備する項目を次に示します。ここで説明している項目は,「6.9.1(1) 系切り替えの種類」で説明した系切り替えすべてで有効です。
MSCSについては,MSCSのマニュアルを参照してください。
(1) 制限事項
MSCSによる系切り替え機能では,次の場合,実行系と待機系共に,同時に抽出対象となるユニットは一つだけです。
-
一つのサーバマシン上で複数のHiRDBのユニットが稼働する場合
-
相互系切り替えの形態で,一つのサーバマシン上で複数のHiRDBのユニットが稼働する可能性がある場合
(2) Datareplicatorの準備
現用系及び待機系のサーバマシンのHDEPATH又はHDSPATHに,共用ディスク上のパス名称を指定してください。共用ディスク上のパス名称及びディレクトリ名称に使用できる文字の制限を次に示します。
-
大文字,小文字の使用を統一してください。
-
ディレクトリ名称には半角英数字だけ使用できます。
-
空白,全角文字,及び特殊記号は使用できません。
次に,システム環境変数を指定します。詳細について,次の表に示します。
区分 |
システム環境変数 |
現用系及び待機系での設定値 |
---|---|---|
抽出側Datareplicator |
HDEPATH |
抽出システム定義ファイル(hdeenv)の格納先フォルダへのパス |
PDDIR |
MGRが存在するユニットのPDDIR |
|
PDCONFPATH |
MGRが存在するユニットのPDCONFPATH |
|
PATH |
抽出側Datareplicatorのコマンドライブラリへのパス※ |
|
反映側Datareplicator |
HDSPATH |
反映システム定義ファイル(hdsenv)の格納先フォルダへのパス |
PDDIR |
反映側HiRDBのPDDIR |
|
PDNAMEPORT |
反映側HiRDBのポート番号 |
|
PDHOST |
反映側HiRDBのホスト名 |
|
PATH |
反映側Datareplicatorのコマンドライブラリへのパス※ |
- 注※
-
通常はDatareplicatorのインストール時に自動設定されますが,PATH環境変数の長さによって自動設定がエラーとなった場合,手動で設定してください。
なお,抽出側Datareplicatorでhdeprepコマンド又はhdeeventコマンドを実行するには,クライアント環境定義が必要です。クライアント環境定義については,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
(3) サービスの設定
系切り替え機能を使用するときの,Datareplicatorのサービスの設定について次の表に示します。
区分 |
サービス名称 |
スタートアップの種類 |
MSCSへの登録 |
---|---|---|---|
抽出側Datareplicator |
HiRDB Datareplicator(Source site) |
手動 |
登録する |
HiRDB Datareplicator(Source site NMT) |
自動 |
登録しない |
|
反映側Datareplicator |
HiRDB Datareplicator(Target Site) |
手動 |
登録する |
(4) ハードウェアの準備
系切り替え機能を使うためには,Datareplicatorのファイルを共有ディスク装置に割り当てる必要があります。
Datareplicator運用ディレクトリ(HDEPATH及びHDSPATH環境変数で指定したディレクトリ)を含め,「表6-18 系切り替え機能を使うときのファイルの準備」で示したすべてのファイルを現用系と予備系とで共有する外付けハードディスクに作成し,互いのDatareplicatorから同じパスでファイルを参照できるように設定してください。
(5) MSCSの準備
MSCSに登録する資源を次の表に示します。登録手順についてはMSCSのマニュアルを参照してください。
区分 |
定義項目 |
リソース |
名称 |
依存関係 |
---|---|---|---|---|
抽出側Datareplicator |
抽出側Datareplicatorで使用する共有ディスク※1 |
共用ディスク |
任意 |
なし |
ネットワーク名称※2 |
ネットワーク名 |
|||
IPアドレス※2 |
IPアドレス |
|||
抽出側Datareplicatorの起動サービス |
汎用サービス |
HiRDB Datareplicator extract |
HiRDBの起動サービス |
|
反映側Datareplicator |
反映側Datareplicatorで使用する共有ディスク※3 |
共用ディスク |
任意 |
なし |
ネットワーク名称※2 |
ネットワーク名 |
|||
IPアドレス※2 |
IPアドレス |
|||
反映側Datareplicatorの起動サービス |
汎用サービス |
HiRDB Datareplicator reflect |
|
- 注※1
-
共有ディスクを「HiRDBの起動サービス」の依存関係に追加してください。
- 注※2
-
HiRDBで設定したものと同じものを使用してください。
- 注※3
-
共有ディスクを「反映側Datareplicatorの起動サービス」の依存関係に追加してください。
(6) ネットワークの準備
次のネットワーク構成は,IPアドレスを引き継ぐ構成にしてください。
-
抽出側Datareplicatorの抽出マスタプロセスと抽出ノードマスタプロセス間
-
抽出側Datareplicatorと反映側Datareplicator間