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インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 10


3.7.4 2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない場合(KFPR26263-Eメッセージが出力される場合)

オリジナルRDエリアの運用中に,レプリカRDエリアで再編成やデータ・インデクスの一括作成などを実行した場合には,実行後に必ずレプリカRDエリアのデータをオリジナルRDエリアへコピー(ペアボリュームを生成)しておく必要があります。そのあとにオリジナルRDエリアの運用を再開できます。また,レプリカRDエリアで再編成やデータ・インデクスの一括作成中には,オリジナルRDエリアでは参照だけができる状態とし,更新をさせないようにする必要があります。

もし,再編成の実行後にペアボリュームを生成しないで運用を再開,または,再編成中にもう一方のRDエリアを更新した場合,その後の運用中に障害が発生しても,オリジナルとレプリカの2世代分のシステムログを利用した回復方法(データベースの回復コマンド:pdrstrを-xオプションを指定して実行する方法(「2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復」を参照してください))を採用することはできません。この状況のときに2世代分のシステムログを利用した回復方法を採用するとKFPR26263-Eメッセージが出力されます。これは,2世代分のシステムログを正しく認識することができずに回復コマンドが正常に終了できなかったために出力されるメッセージです。このメッセージが出力された場合は,オリジナルおよびレプリカそれぞれのRDエリアを段階的に回復していく方法しかありません。次に,KFPR26263-Eメッセージが出力された場合(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない場合)の対処方法について例を用いて説明します。

〈この項の構成〉

(1) KFPR26263-Eメッセージが出力された場合(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない場合)の対処

次の図に示す手順でレプリカRDエリア内の表の再編成を実行すると,再編成中にオリジナルRDエリアを更新しているため,オリジナルとレプリカのそれぞれのシステムログのどちらが正しいものなのかがHiRDBには判断できない状態になってしまいます。このため,次の図に示す「オリジナルRDエリアで障害発生」が発生したときに,オリジナルとレプリカの両方のシステムログを利用して回復しようとしても,KFPR26263-Eメッセージが出力され,回復に失敗してしまいます。

図3‒11 KFPR26263-Eメッセージが出力される(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない)場合の例

[図データ]

この場合は,前述の図に示すように,更新を開始(RDエリアの閉塞かつクローズの解除)および終了(RDエリアの閉塞かつクローズ)した時点の時刻が分かれば,次に示す手順で対処できます。

  1. オリジナルRDエリアを(A)の時点まで回復

    図「KFPR26263-Eメッセージが出力される(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない)場合の例」の手順2で取得したバックアップファイルとシステムログ1を使用して(A)の時点(2003.5.16 22:15:10)まで回復します。

    コマンド実行例

    pdrstr -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
           -b /bkdir/bkup01
           -l /lgdir/unld01
           -T , 20030516_221510
           -r RD01
           -q 0

    -bオプションにバックアップファイルを指定します。-lオプションにシステムログ1に相当するログを指定します。-Tオプションには回復終了時刻(2003.5.16 22:15:10)を指定します。回復終了時刻は,「,」付きで指定します。

  2. オリジナルRDエリアの内容をレプリカRDエリアへコピー(ペアボリュームの生成)

    ミラーリング機能を使って実現します。ここでのコピーによって,レプリカRDエリアも(A)の時点まで回復します。日立ディスクアレイシステムを使用している場合は,「日立ディスクアレイシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。

  3. レプリカRDエリアを(B)から(C)の時点まで回復

    図「KFPR26263-Eメッセージが出力される(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない)場合の例」のシステムログ3を使用して(B)の時点(2003.5.16 22:45:00)から(C)の時点(2003.5.17 05:40:05)まで回復します。このとき,再編成中に実行していたオリジナルRDエリアでの更新時に出力されたシステムログ2を使用することはありません。

    コマンド実行例

    pdrstr -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
           -l /lgdir/unld01
           -T 20030516_224500,20030517_054005
           -r RD01
           -q 1

    -lオプションにシステムログ3に相当するログを指定します。-Tオプションには回復開始時刻(2003.5.16 22:45:00)と回復終了時刻(2003.5.17 05:40:05)を指定します。

  4. レプリカRDエリアの内容をオリジナルRDエリアへコピー(ペアボリュームの生成)

    ミラーリング機能を使って実現します。ここでのコピーによって,オリジナルRDエリアがレプリカRDエリア同様,(C)の時点まで回復します。日立ディスクアレイシステムを使用している場合は,「日立ディスクアレイシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。

  5. オリジナルRDエリアを(D)から障害発生直前の状態まで回復

    図「KFPR26263-Eメッセージが出力される(2世代分のRDエリアのシステムログを利用した回復方法を採用できない)場合の例」のシステムログ4を使用して(D)の時点(2003.5.17 06:35:22)から障害発生直前まで回復します。

    コマンド実行例

    pdrstr -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
           -l /lgdir/unld01 
           -T 20030517_063522
           -r RD01
           -q 0

    -lオプションにシステムログ4に相当するログを指定します。-Tオプションに回復開始時刻(2003.5.17 06:35:22)を指定します。