Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(Windows(R)用)


26.12.3 HiRDBの終了方法(サーバモードの場合)

〈この項の構成〉

(1) スタンバイ型系切り替え機能の場合

実行系及び待機系の両方を終了する場合(HiRDB/シングルサーバの場合)
  1. Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで待機系HiRDBを終了します。

  2. pdstopコマンドで実行系HiRDBを終了します。

pdstopコマンドを実行しても待機系HiRDBは終了しません。計画停止又は強制終了のときも同様です。

実行系及び待機系の両方を終了する場合(HiRDB/パラレルサーバの場合)
  1. Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで待機系の全ユニットを終了します。ユニットごとにhatesbystpコマンドを実行してください。

  2. pdstopコマンドで実行系HiRDBを終了します。

pdstopコマンドを実行しても待機系HiRDBは終了しません。計画停止又は強制終了のときも同様です。

ユニット単位に終了する場合は,該当する待機系ユニットをHitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで終了してから,実行系ユニットをpdstop -uコマンドで終了してください。pdstop -zコマンドを実行するときも同様です。

全ユニットを強制終了する場合はpdstop -fコマンドを実行してください。ユニット単位で強制終了する場合はpdstop -zコマンドを実行してください。

待機系HiRDBだけを終了する場合

Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで待機系HiRDB(又はユニット)を終了します。

注意事項
  • 実行系,待機系の順にHiRDBを終了しないでください。実行系HiRDBを終了してから待機系HiRDBを終了するまでの間に,実行系のサーバマシンに障害が発生した場合,待機系HiRDBに系の切り替え指示が通知されてHiRDBが正しく動作しなくなります。

  • 待機系HiRDBはHitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで終了させてください。待機状態のHiRDBを誤って正常開始しようとした場合,HiRDBを開始できなくなることがあります。

(2) 1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合

1:1スタンバイレス型系切り替え機能使用時のHiRDBの終了方法を次の表に示します。

表26‒68 1:1スタンバイレス型系切り替え機能使用時のHiRDBの終了方法

目的

実行するコマンド

備考(ほかのユニット又は代替部への影響)

HiRDBの終了

pdstop

代替BESを意識した操作は必要ありません。代替中でも操作は変わりません。

正規BESユニットの終了

pdstop -u

代替部の待機状態※1が解除されます。

代替BESユニットの終了

正常時

pdstop -u

代替BESユニット内の代替部の待機状態※1が解除されます。

代替中

代替BESユニット内の代替部も停止します。

また,正規BESユニットが待機状態※2の場合は,待機状態を解除します。

代替中の代替部の終了

pdstop -u

ユニット識別子には正規BESユニットのユニット識別子を指定します。

代替部の待機状態の解除

hatesbystp※3

なし。

正規BESユニットの待機状態の解除

hatesbystp※4

サーバ単位の終了はできません。

注※1

代替部が待機状態でないと代替BESユニットに系を切り替えられません。代替部が待機状態の場合は,pdls -d haコマンドの実行結果で系の状態がSBYと表示されます。

注※2

正規BESユニットが待機状態でないと正規BESユニットに系を切り戻せません(代替中から正常状態に戻れません)。正規BESユニットが待機状態の場合は,pdls -d haコマンドの実行結果で系の状態がSBYと表示されます。

注※3

Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで,代替部の待機状態を解除します。なお,hatesbystpコマンドには,待機状態を解除する代替部に対応する正規BESユニットのエイリアス名を指定してください。

注※4

Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドで,正規BESユニットの待機状態を解除します。なお,hatesbystpコマンドには,待機状態を解除する正規BESユニットのユニット識別子を指定してください。

代替BESユニット又は正規BESユニットの終了方法を例で説明します。

(例1)正規BESユニットを終了する場合(正常時,片方向代替構成)

[図データ]

停止中の正規BESユニット(UNT1)を開始する場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. pdstart -qコマンドで正規BESユニット(UNT1)を開始します。

  2. pdstart -q -cコマンドでBES1の代替部を待機状態にします。

(例2)代替BESユニットを終了する場合(正常時,片方向代替構成)

[図データ]

停止中の代替BESユニット(UNT2)を開始する場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. pdstart -qコマンドで代替BESユニット(UNT2)を開始します。このとき,BES1の代替部も待機状態になります。

(例3)ユニットを終了する場合(正常時,相互代替構成)

[図データ]

停止中のユニット(UNT1)を開始する場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. pdstart -qコマンドでユニット(UNT1)を開始します。このとき,BES2の代替部も待機状態になります。

  2. pdstart -q -cコマンドでBES1の代替部を待機状態にします。

(例4)ユニットを終了する場合(代替中,片方向代替構成)

[図データ]

正常状態に戻す場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. BES1用のサービスを切り戻してください。

  2. pdstart -qコマンドで代替BESユニット(UNT2)を開始します。

  3. pdstart -qコマンドで正規BESユニット(UNT1)を開始します。

(例5)ユニットを終了する場合(代替中,相互代替構成)

[図データ]

注※ BES2の代替部は起動していない状態です。

正常状態に戻す場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. BES1用のサービスを切り戻してください。

  2. pdstart -qコマンドでユニット(UNT2)を開始します。

  3. pdstart -qコマンドでユニット(UNT1)を開始します。

(例6)代替部を終了する場合(代替中,片方向代替構成)

[図データ]

正常状態に戻す場合は,次に示す手順で開始してください。

  1. BES1用のサービスを切り戻してください。

  2. pdstart -qコマンドでユニット(UNT1)を開始します。

(例7)代替部の待機状態を解除する場合(正常時,相互代替構成)

[図データ]

停止中のBES2の代替部を待機状態にする場合は,次に示す手順で待機状態にしてください。

  1. pdstart -q -cコマンドでBES2の代替部を待機状態にします。

(例8)待機状態のユニットを停止する場合(代替中,相互代替構成)

[図データ]

注※ BES2の代替部は起動していない状態です。

停止中のユニット(UNT1)を待機状態にする場合は,次に示す手順で待機状態にしてください。

  1. pdstart -qコマンドでユニット(UNT1)を待機状態にします。

(3) 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合(実行系,及び待機系の両方を終了)

実行系,及び待機系の両方を終了する場合の停止方法について説明します。

(a) システム全体の停止

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム全体の停止運用を次の表に示します。

表26‒69 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム全体の停止運用

入力場所

コマンド

オプション

条件

動作

-f

強制/異常停止サーバ

システムマネジャのあるユニット

pdstop

なし

あり※1

エラー(新規メッセージ(KFPS05063-E相当)出力)

なし

なし※2

システム停止

あり

あり

システム強制停止(一部ユニットは既に停止中)

あり

なし

システム強制停止

注※1

強制又は異常停止サーバがある場合でも,該当強制又は異常停止サーバが次の状態のときは,強制又は異常停止サーバなしとします。

  • 別のユニットで再開始して稼働中

  • 別のユニットで再開始後正常停止済み

注※2

強制又は異常停止サーバなしとは,次の状態のことです。

  • システム内に強制又は異常停止したサーバがない

  • システム内に強制又は異常停止したサーバがあり,該当サーバが別のユニットで再開始して稼働中

  • システム内に強制又は異常停止したサーバがあり,該当サーバが別のユニットで再開始後正常停止済み

システム停止時の処理を次の表に示します。

表26‒70 システム停止時の処理

対象

処理内容

ユニット

システムが停止する場合は,システムマネジャから全ユニットに対してユニット停止(pdstop -u UID (-f) 相当)を実行します。

サーバ

システム停止に伴って各ユニットが停止する場合は,該当ユニットの全ホストBES,及び全ゲストBESに対してサーバ停止(pdstop -q -s サーバ名 (-f) 相当)を実行します。

システム停止時は,正常終了の場合も強制停止の場合も,自動的に受け入れユニットのゲストBESの受け入れ可能状態を解除します。あるゲストBESが稼働中であっても,停止操作は変わりません。ゲストBESの稼働状態を意識した操作は不要です。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム停止時の各種バックエンドサーバに対する処理を次の表に示します。

表26‒71 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム停止時の各種バックエンドサーバに対する処理

バックエンドサーバの種別

処理

ホストBES

実行中

停止

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の自動解除

ゲストBES

実行中

自動停止

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の自動解除

システム停止の例を次の図に示します。この例では,システムを停止すると,次のサーバを停止します。

  • ホストBES

  • 実行中ゲストBES(図の自動停止1)

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 受け入れ可能状態のゲストBES(図の自動状態変更1)

    図26‒59 システム停止の例

    [図データ]

(b) ユニット単位の停止

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニットの停止運用を次の表に示します。

表26‒72 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニットの停止運用

入力場所

コマンド

オプション

動作

-z

-u

-f

システムマネジャのあるユニット

pdstop

なし

あり

なし

対象ユニットの正常停止

あり

対象ユニットの強制停止

対象ユニット

pdstop

あり

なし

なし

対象ユニットの強制停止

ユニットを停止する場合は,該当ユニットの全ホストBES,及び全ゲストBESに対してサーバ停止(pdstop -q -s サーバ名 (-f) 相当)を実行します。

ユニット内のサーバ状態ごとのユニット正常停止の可否を次の表に示します。影響分散スタンバイレス型系切り替え機能では,ホストBES,ゲストBESの種別に関係なくサーバの単独異常停止,強制停止中サーバがあっても,ユニットとしては正常停止できます。

表26‒73 ユニット内のサーバ状態ごとのユニット正常停止の可否

サーバ状態(ホストBES,ゲストBESを含む)

ユニット正常停止の可否

起動途中/停止途中※1

待機中※2

停止中※3

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能

なし

なし

なし

あり

あり

なし

あり

あり

なし

なし

×

あり

×

あり

なし

×

あり

×

(凡例) 

○:正常に停止できます。

×:正常に停止できません。

注※1 

正常開始途中,再開始途中,正常停止途中,計画停止途中,強制停止途中,異常停止途中

注※2 mon_standby(),又はmon_connect()でブロック中

注※3 

正常停止状態,計画停止状態,強制停止状態,異常停止状態,ゲストBES停止後未割り当てゲスト用領域となった状態

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニット停止時の各種バックエンドサーバの処理を次の表に示します。

表26‒74 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニット停止時の各種バックエンドサーバの処理

稼働場所

バックエンドサーバの状態

処理

該当ユニット

実行中

停止

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の解除

他ユニット

実行中

変化なし

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の自動解除

(例1)通常時のユニットの停止の例

通常時のユニットの停止の例を次の図に示します。

図26‒60 通常時のユニットの停止の例

[図データ]

非受け入れ中のユニットを停止すると,次のサーバを停止します。

  • 該当ユニット内ホストBES

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 該当ユニット内の受け入れ可能状態のゲストBES(受け入れ可能状態の解除)

  • 該当ユニット内ホストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の自動解除)

(例2)受け入れ中のユニットの停止の例

受け入れ中のユニットの停止の例を次の図に示します。

図26‒61 受け入れ中のユニットの停止の例

[図データ]

受け入れ中のユニットを停止すると,次のサーバを停止します。

  • 該当ユニット内ホストBES

  • 該当ユニット内で実行中のゲストBES(自動停止1)

  • 該当ユニットの実行中のゲストBESに対応する他ユニット内のホストBES(自動停止2)

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 該当ユニット内の受け入れ可能状態のゲストBES(受け入れ可能状態の解除)

  • 該当ユニット内のホストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の自動解除)

  • 該当ユニット内で実行中のゲストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の自動解除)

(例3)ゲストBESだけのユニットの停止の例

ゲストBESだけのユニットの停止の例を次の図に示します。

図26‒62 ゲストBESだけのユニットの停止の例

[図データ]

ゲストBESだけが実行中のユニットを停止すると,次のサーバを停止します。

  • 該当ユニット内ホストBES

  • 該当ユニット内の実行中ゲストBES(自動停止1)

  • 該当ユニットで実行中のゲストBESに対応する他ユニット内のホストBES(自動停止2)

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 該当ユニット内の受け入れ可能状態のゲストBES(受け入れ可能状態の解除)

  • 該当ユニット内で実行中のゲストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の自動解除)

(c) サーバ単位の停止

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのサーバの停止運用を次の表に示します。

表26‒75 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのサーバの停止運用

入力場所

コマンド

オプション

動作

-z

-u

-s

-f

システムマネジャのあるユニット

pdstop

なし

なし

あり

なし

対象サーバの停止※2

あり

全稼働中HAグループ内ユニットで対象サーバの強制停止※1

あり

あり

なし

対象サーバの停止※2※3

あり

対象サーバの強制停止※2

対象ユニット

pdstop

あり

なし

あり

なし

対象サーバの強制停止(ホストBES)※4

注※1

HAグループ内の全稼働中ユニットでサーバ停止するのは実行ユニットだけで,ほかは受け入れ可能状態を解除します。

注※2

pdstop -s(-f)で実行サーバを停止した場合はHAグループ内全稼働中ユニットで受け入れ可能状態を自動で解除します。Hitachi HA Toolkit Extensionの場合もndm,rdmが連携して待機系(受け入れ可能状態)を解除します。

注※3

サーバ状態ごとのサーバの停止結果を表「サーバ状態ごとのサーバの停止結果」に示します。

注※4

Hitachi HA Toolkit Extensionの場合には,pdstop -z -sで実行サーバを停止しても,HAグループ内の他ユニットでは該当サーバに対する受け入れ可能状態を自動解除しません。受け入れ可能状態を解除するには,HAグループ内の全ユニットでHitachi HA Toolkit Extensionの待機系停止コマンド(hatesbystp)を入力してください。

表26‒76 サーバ状態ごとのサーバの停止結果

サーバの状態

開始結果

実行系起動待ち

実行系起動待ちの解除

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の解除

稼働中

サーバ停止

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのサーバ停止時の各種バックエンドサーバに対する処理を次の表に示します。

表26‒77 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのサーバ停止時の各種バックエンドサーバに対する処理

稼働場所

バックエンドサーバの状態

処理

稼働ユニット

操作対象

停止

他ユニット

受け入れ可能状態

受け入れ可能状態の解除

(例1)ホストBESの停止の例

ホストBESの停止の例を次の図に示します。

図26‒63 ホストBESの停止の例

[図データ]

ホストBESを停止すると,次のサーバを停止します。

  • 該当ホストBES

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 該当ホストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の解除)

(例2)ゲストBESの停止の例

ゲストBESの停止の例を次の図に示します。

図26‒64 ゲストBESの停止の例

[図データ]

ゲストBESを停止すると,次のサーバを停止します。

  • 該当実行中ゲストBES

  • 該当実行中ゲストBESに対応する他ユニット内のホストBES(自動停止)

また,次のサーバについて受け入れ可能状態を解除します。

  • 該当の実行中ゲストBESに対応する他ユニット内のゲストBES(受け入れ可能状態の解除)

(4) 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合(待機系だけを終了)

待機系だけを終了する場合の停止方法について説明します。

スタンバイ型系切り替え機能,及び1:1スタンバイレス型系切り替え機能と同じく,Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドによって待機系を終了できます。影響分散スタンバイレス型系切り替え機能では,システムマネジャがあるユニットからの操作もできます。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での待機系の終了方法を次の表に示します。

表26‒78 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での待機系の終了方法

入力場所

コマンド

操作対象

動作

操作対象サーバを配置したホスト

hatesbystp

受け入れ可能状態のバックエンドサーバ

ゲストBESの受け入れ可能状態の解除

システムマネジャのあるユニット

pdstop -u -s

(例1)ゲストBESの受け入れ可能状態の解除の例

ゲストBESの受け入れ可能状態の解除の例を次の図に示します。

図26‒65 ゲストBESの受け入れ可能状態の解除の例

[図データ]

ゲストBESの受け入れ可能状態を解除するには,Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドを入力します。

(例2)待機系のホストBESの停止の例

待機系のホストBESの停止の例を次の図に示します。

図26‒66 待機系のホストBESの停止の例

[図データ]

待機系のホストBESを停止するには,Hitachi HA Toolkit Extensionのhatesbystpコマンドを入力します。