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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 解説


6.2.1 HiRDBファイルシステム領域の概要

表,インデクス,障害発生時にシステムの状態を回復させるのに必要な情報など,HiRDBの様々な情報を格納するためのHiRDB専用のファイルをHiRDBファイルといいます。また,HiRDBファイルを作成する領域のことをHiRDBファイルシステム領域といいます。HiRDBファイルシステム領域は,システムファイルやRDエリアなどを構成するHiRDB専用のファイルを作成する前に準備しておく必要があります。

〈この項の構成〉

(1) HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係

OSが入出力処理をするディスクは連続領域ごとに分割され,それぞれの領域をパーティションといいます。それぞれのパーティションをOSが提供するファイルシステム領域又はHiRDBファイルシステム領域に使用できます。HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係を次の図に示します。

図6‒1 HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係

[図データ]

(2) HiRDBファイルシステム領域に使用するファイル

(a) UNIX版の場合

HiRDBファイルシステム領域はキャラクタ型スペシャルファイル上又は通常ファイル上に作成できます。

また,Linuxの場合はブロック型スペシャルファイルも使用できます。HiRDBは,ブロック型スペシャルファイルをキャラクタ型スペシャルファイルと同様に扱います。そのため,ブロック型スペシャルファイルを使用する場合は,本文中の「キャラクタ型スペシャルファイル」を「ブロック型スペシャルファイル」に読み替えてください。

通常ファイルは,カーネルバッファを経由してデータを入出力しますが,キャラクタ型スペシャルファイルは,HiRDBのバッファから直接データを入出力します。キャラクタ型スペシャルファイルの使用を基本と考えていますが,次に示す場合は通常ファイルの方が性能が優れています。

  • 大量検索を主体とする表を格納するRDエリアのHiRDBファイル

  • 作業表用ファイル

ただし,通常ファイルはシステムダウンに弱いため,次に示すファイルは必ずキャラクタ型スペシャルファイルに作成してください。

  • システムログファイル

  • シンクポイントダンプファイル

  • ステータスファイル

  • システム用RDエリアを構成するHiRDBファイル

  • 更新頻度の高いユーザ用RDエリアを構成するHiRDBファイル

また,系切り替え機能を使用する場合,共有ディスク装置に作成するHiRDBファイルシステム領域にはキャラクタ型スペシャルファイルを使用してください。通常ファイルを使用すると,系切り替え発生時に更新内容が失われるおそれがあります。なお,キャラクタ型スペシャルファイルでも,プリフェッチ機能を使うことで大量検索性能を向上させることができます。

(b) Windows版の場合

Windowsのパーティション上に,HiRDBファイルシステム領域を作成します。

通常のWindowsのファイル

通常のWindowsのパーティション上にファイルを作成してHiRDBファイルシステム領域を作成します。pdfmkfsコマンドを実行して作成します。

ダイレクトディスクアクセス(raw I/O)

通常のパーティション上だけでなく,Windowsのダイレクトディスクアクセス(raw I/O)を使用したHiRDBファイルシステム領域を作成できます。この機能をraw I/O機能といいます。raw I/Oを使用する場合でも,パーティション又は論理ドライブをファイルと同様にアクセスできます。raw I/O機能を使用すると,HiRDBはWindowsのファイルキャッシュの動作による影響を受けなくなります。そのため,グローバルバッファの制御などによって,安定した性能を維持できるようになります。ただし,一部のHiRDBファイルシステム領域はraw I/Oを使用できません。

raw I/O機能を使用するには,未フォーマット状態のパーティションを用意する必要があります。パーティションはWindowsの[コンピュータの管理]−[ディスクの管理]で作成します。

raw I/O機能を使用したHiRDBファイルシステム領域の作成については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(3) HiRDBファイルシステム領域の種類

HiRDBファイルシステム領域は,次の表に示す種類ごとに作成することをお勧めします。各HiRDBファイルシステム領域の設計方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

表6‒2 HiRDBファイルシステム領域の種類

HiRDBファイル

システム領域

の種類

オプション

説明

RDエリア用

DB

RDエリア(リスト用RDエリアを除く)を作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。

共用RDエリア用

SDB

共用RDエリアを作成するHiRDBファイルシステム領域です。共用RDエリアを使用する場合に必要です。

システムファイル用

SYS

システムログファイル,シンクポイントダンプファイル,及びステータスファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。

監査証跡ファイル用

監査証跡ファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。セキュリティ監査機能を使用する場合に必要です。

作業表用ファイル用

WORK

作業表用ファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。

ユティリティ用

UTL

ユティリティで使用するファイル(バックアップファイル,アンロードデータファイル,アンロードログファイル,インデクス情報ファイル,又は差分バックアップ管理ファイル)を作成するHiRDBファイルシステム領域です。

【Windows版限定】

Windowsのキャッシュを使用しません。

<バージョン09-50より前のHiRDBで作成したHiRDBファイルシステム領域について>

  • NUTLで作成したHiRDBファイルシステム領域は,バージョン09-50以降も動作に変更はありません。

  • UTLで作成したHiRDBファイルシステム領域は,バージョン09-50以降はWindowsのキャッシュを使用しません。

NUTL

【Windows版限定】

バージョン09-50より前のHiRDBとの互換のための指定です。

NUTLを指定するとUTLを指定したものとみなします。

リスト用RDエリア用

WORK

リスト用RDエリアを作成するHiRDBファイルシステム領域です。絞込み検索をするときに必要です。

注※

pdfmkfsコマンドでHiRDBファイルシステム領域を作成するときに指定する-kオプションの指定値です。

(4) HiRDBファイルシステム領域の作成方法

pdfmkfsコマンドでHiRDBファイルシステム領域を作成します。

参考

HiRDBの初期導入時,次に示す環境設定支援ツールを使用すると,入力した情報を基にHiRDBファイルシステム領域が作成されます。

  • 簡易セットアップツール【Windows版限定】

  • バッチファイル(SPsetup.bat)【Windows版限定】

HiRDBファイルシステム領域の作成方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(5) HiRDBファイルシステム領域の最大長

HiRDBファイルシステム領域の最大長を次の表に示します。

表6‒3 HiRDBファイルシステム領域の最大長

HiRDBの種類

ファイルの種類

HiRDBファイルシステム領域の

最大長(単位:メガバイト)

HP-UX版

通常ファイル

1,048,575

キャラクタ型スペシャルファイル

AIX版

通常ファイル(JFS)

65,411

通常ファイル(JFS2)

1,048,575

キャラクタ型スペシャルファイル

Linux版

通常ファイル

1,048,575

キャラクタ型スペシャルファイル

Windows版

通常のWindowsファイル

1,048,575

ダイレクトディスクアクセス(raw I/O)