スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 コマンドリファレンス(Windows(R)用)

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18.4.2 オプションの説明

<この項の構成>
(1) -m 〔ホスト名:〕マスタディレクトリ用RDエリアの先頭のHiRDBファイル名
(2) -M {x|r|s}
(3) -p 処理結果出力ファイル名
(4) -i
(5) -j 排他待ち限界経過時間
(6) -z ログポイント情報ファイル名
(7) -J
(8) -w 休止時間,読み込み回数
(9) -f 制御文ファイル名
(10) -b {〔ホスト名:〕バックアップファイル名〔,バックアップファイル名〕…|〔ホスト名:〕ポリシー名}
(11) -a
(12) -u ユニット識別子〔,ユニット識別子〕…
(13) -s サーバ名〔,サーバ名〕…
(14) -r RDエリア名〔,RDエリア名〕…
(15) -k {u|i|n}
(16) -g 差分バックアップグループ名
(17) -d バックアップ種別
(18) -K 差分バックアップ管理ファイルを格納するHiRDBファイルシステム領域名
(19) -o 差分バックアップの履歴情報ファイル名
(20) -L 差分バックアップ管理ファイルの容量
(21) -S {バックアップファイル初期容量,増分値|(バックアップファイル初期容量,増分値)〔,(バックアップファイル初期容量,増分値)〕…}

(1) -m 〔ホスト名:〕マスタディレクトリ用RDエリアの先頭のHiRDBファイル名

   〜<識別子:パス名>((167文字以内))

マスタディレクトリ用RDエリアの先頭のHiRDBファイル名を指定します。マスタディレクトリ用RDエリアがあるホストの名称とパス名をコロン(:)で結んで指定してください。システム共通定義のpd_master_file_nameオペランドに指定した名称を指定します。

 
(例)-m host01:C:\sysarea\rdsys02\rdmast
 

<規則>
  1. データベース複写ユティリティを実行したサーバマシン(pdcopyコマンドを入力したサーバマシン)にマスタディレクトリ用RDエリアがある場合は,ホスト名を省略できます。この場合は,パス名だけを指定します。
  2. ホスト名を指定する場合は,システム定義のpdunitオペランドの-xオプションで指定したホスト名を指定してください。
  3. 系切り替え機能を使用している場合は,必ず現用系のホスト名を指定してください。
  4. HiRDBファイルシステム領域名は大文字と小文字の区別をしませんが,HiRDBファイル名は大文字と小文字の区別をします。
    C:\hirdb\rdarea\master\master01の場合,C:\hirdb\rdarea\masterについては大文字と小文字の区別をしません。master01については大文字と小文字の区別をします。

(2) -M {x|r|s}

バックアップ取得モードを指定します。バックアップ取得モードを次に示します。

-Mオプション
の指定値
モードの説明 データベースの
回復方法

参照・更新不可能モード
バックアップ取得中,バックアップ対象RDエリアの参照及び更新ができません。バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。 バックアップだけでデータベースをバックアップ取得時点に回復できます。

参照可能モード
バックアップ取得中,バックアップ取得対象のRDエリアの参照はできますが,更新はできません。
インメモリRDエリアの場合は,参照及び更新できます。

更新可能モード
バックアップ取得中,バックアップ取得対象RDエリアの参照及び更新ができます。 データベースを回復するときに,バックアップ及びバックアップ取得直前のシンクポイントからのシステムログが必要になります。

注1
-M x指定でマスタディレクトリ用RDエリアのバックアップを取得する場合は,pdstart -rコマンドでHiRDBを開始する必要があります。その後,データベース複写ユティリティで,マスタディレクトリ用RDエリアのバックアップを取得します。
-M r指定でマスタディレクトリ用RDエリアのバックアップを取得する場合は,通常のpdstartコマンドでHiRDBを開始すると,pdcopyでバックアップが取得できます。

注2
CREATE TABLEのLOB列の定義でRECOVERY PARTIAL又はRECOVERY NOを指定している場合(RECOVERYオペランド省略時も含まれます),そのLOB列が格納されているユーザLOB用RDエリアについては-M s指定のバックアップ取得はできません。また,オブジェクト格納用のデータディクショナリLOB用RDエリアも,-M s指定のバックアップ取得はできません。

注3
-M s指定をした場合,他トランザクションが更新中のページについては,更新をしたトランザクションがCOMMITを発行するまで排他待ちします。したがって,場合によってはpdcopyがタイムアウトすることがあります。

注4
pdcopyを更新可能モードで実行している場合,対象RDエリアをバックアップ閉塞にする必要があります。

注※
データベース複写ユティリティの処理結果リストに,RDエリアを回復するときに必要なシステムログファイルの名称及び世代番号が出力されます。データベース複写ユティリティの処理結果リストについては,「18.6 データベース複写ユティリティの処理結果リスト」を参照してください。

<注意事項>
  1. HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得する場合(システム単位でバックアップを取得する場合)は,バックアップ取得モード(-Mオプション)にr又はsを指定してください。xは指定できません。
    理由:
    xを指定する場合は,バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。しかし,マスタディレクトリ用RDエリアは閉塞かつクローズ状態にできません。このため,-Mオプションにxを指定して,HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得できません。
  2. ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP,ユティリティ実行中は,-M sのバックアップは取得できません。また,ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP,ユティリティ実行後のバックアップは,-M r又は-M xで実行する必要があります。
  3. 次のどちらかの場合に-M sでバックアップを取得するときは,事前にpdlogswap -wコマンドでシステムログをスワップさせてください。
    • pdmodを実行した場合(システムログファイルに構成変更処理が含まれないようにするため)
    • ログレスモードでの運用後(システムログファイルにログレスの処理が含まれないようにするため)
  4. バックアップ対象RDエリアにインメモリRDエリアが含まれている場合は,-M s指定でバックアップを取得できません。

(3) -p 処理結果出力ファイル名

   〜<パス名>

データベース複写ユティリティの処理結果を出力するファイル名を指定します。

 
(例)-p C:\hirdb\pdcopy\list01
 

<規則>
  1. データベース複写ユティリティを実行したサーバマシン(pdcopyコマンドを入力したサーバマシン)のパス名を指定します。
  2. このオプションを省略した場合,データベース複写ユティリティを実行したサーバマシンの次に示すディレクトリに処理結果出力ファイルを作成します。
    -pオプションの指定 システム定義のpd_tmp_directoryオペランドの指定
    あり なし
    環境変数TMPの指定
    あり なし
    あり -pオプションに指定したディレクトリ
    なし pd_tmp_directoryに指定したディレクトリ TMPに指定したディレクトリ %PDDIR%\tmpディレクトリ

    注※ コマンド実行環境の環境変数の指定

    出力先はKFPR26022-Iメッセージに表示されます。
  3. このオプションの指定に関係なくエラーメッセージはシステムログファイル及び標準出力に,最終処理結果は標準出力に出力されます。ただし,システムログファイルと標準出力に出力されるメッセージの順序は必ずしも同じではありません。

(4) -i

RDエリアの使用状況を処理結果出力ファイルに出力する場合に指定します。対象となるRDエリアは次のとおりです。

出力される情報を次に示します。

種別 情報 内容
ページ ページ数
  • 使用可能ページ数
  • 未使用ページ数
  • 使用中ページ数
    ・インデクスの格納ページ数※1
    ・表の格納ページ数※1
比率
  • 使用可能ページ数に対する未使用ページ数の比率
  • 使用可能ページ数に対する使用中ページ数の比率
  • 使用中ページ数に対するインデクスの格納ページ数の比率※1
  • 使用中ページ数に対する表の格納ページ数の比率※1
領域長※1 長さ
  • 使用中ページ内の空き領域の合計
  • インデクスの格納ページ内の空き領域の合計
  • 表の格納ページ内の空き領域の合計
  • インデクスの格納ページ全体の領域長
  • 表の格納ページ全体の領域長
比率
  • インデクスの格納ページ全体の領域長に対する空き領域の合計の比率
  • 表の格納ページ全体の領域に対する空き領域の合計の比率
システム情報の乱れ率※2 比率 データディクショナリLOB用RDエリア及びユーザLOB用 RDエリアのシステム情報の乱れ具合※3

注※1
データディクショナリLOB用RDエリア及びユーザLOB用RDエリアの場合は出力されません。

注※2
データディクショナリLOB用RDエリア及びユーザLOB用RDエリアの場合だけ出力されます。

注※3
1%以上の場合,アクセス性能が劣化します。この場合,データベース再編成ユティリティで再編成する必要があります。データディクショナリLOB用RDエリアの場合は,ストアドプロシジャに関するディクショナリ表(SQL_ROUTINES,SQL_ROUTINE_RESOURCES,SQL_ROUTINE_PARAMS)を再編成します。

(5) -j 排他待ち限界経過時間

   〜<符号なし整数>((0〜200000))

排他待ち時間を監視する最大待ち時間を秒単位で指定します。

排他待ち時間とは,排他要求が待ち状態になってから解除されるまでの時間のことです。指定した時間内に待ち状態が解除されない場合,pdcopyはエラー終了します。

0を指定した場合,排他待ち時間を監視しないで,待ち状態が解除されるまで待ち続けます。このオペランドを省略した場合は,システム定義のpd_lck_wait_timeoutオペランドの値が仮定されます。

<注意事項>
  1. -M rを指定した場合,ほかのユーザが既にRDエリアに排他を掛けていて,pdcopyが排他を掛けられなかったときには,pdcopyはエラー終了します。
  2. -M sを指定した場合,ほかのユーザがページ解放をしているときは,そのユーザのトランザクションが終了するまで排他待ちになります。このような場合,排他待ち限界経過時間には,ページ解放をするトランザクションの実行時間より長い値を指定してください。なお,ページ解放は,主に次のような場合に発生します。
    • DROP TABLE
    • DROP INDEX
    • PURGE TABLE文
    • インデクスがある列に対するINSERT文又はUPDATE文
    • インデクスがある列(重複キーあり)に対するDELETE文
    • LOCK文を実行した後の,DELETE文又は行長が変わるUPDATE文
    • LOB列に対するINSERT文,DELETE文,及びUPDATE文

(6) -z ログポイント情報ファイル名

   〜<パス名>

このオプションはアンロードレスシステムログ運用をしている場合に指定するオプションです。

ログポイント情報を格納するファイル名を指定します。

 
(例)-z C:\hirdb\pdcopy\logp01
 

<規則>
  1. データベース複写ユティリティを実行したサーバマシン(pdcopyコマンドを入力したサーバマシン)のパス名を指定します。
  2. このログポイント情報ファイルをpdlogchgコマンドで指定すると,ログポイント以前の不要となったシステムログファイルをアンロード済み状態にできます。また,このオプションの指定でバックアップファイルにもログポイント情報が格納されます。

<注意事項>
  1. HiRDB/パラレルサーバの場合,バックアップを取得するRDエリア名には,同一サーバ下のRDエリアだけを指定してください。
  2. バックアップ対象のRDエリアが配置されたサーバを起動しておく必要があります。
  3. pdstart -rコマンドでHiRDBを開始してバックアップを取得する場合,-zオプションは指定できません。-zオプションを指定して全体のバックアップを取るには,pdstartでHiRDBを開始し,pdcopy -M rを指定してください。ただし,ログポイント情報ファイルはサーバごとに取得するため,HiRDB/パラレルサーバの場合は一度に全体のバックアップの取得はできません。また,マスタディレクトリ用RDエリアは,閉塞,クローズ状態にはできません。そのため,pdstartで開始した場合,pdcopy -M x -aは指定できません。
  4. インメモリRDエリアがある場合はこのオプションを指定できません。

(7) -J

RDエリアの複写処理時にスキップ対象エラーを検知した場合に,pdcopyを終了させないで次のRDエリアの複写処理を続行するときに指定します。

-Jオプションは,-g,-K,及び-dオプションとは同時に指定できません。同時に指定した場合は-Jオプションの指定が無視されます。

スキップ対象エラーを次に示します。なお,エラーメッセージの前後にKFPR26061-Wメッセージが出力されていない場合は,スキップされないことがあります。

スキップ対象エラー スキップ対象エラーで出力されるメッセージ
RDエリアとして定義していない名称を-rオプションに指定した場合,又はリスト用RDエリアを指定した場合 KFPR26006-E
-M x指定時に,複写対象にマスタディレクトリ用RDエリアが含まれている場合 KFPR26111-E
複写処理の前のファイルのオープン,クローズチェックでエラーを検知した場合 KFPR26012-E
-M s指定時に,複写対象となるRDエリアがあるサーバが停止している場合 KFPR26015-E
表定義時にrecovery partial又はrecovery noを指定した場合に,-M sを指定して複写対象にそのユーザLOB用RDエリアが含まれているとき KFPR26030-E

  • -M x指定時,複写対象のRDエリアが閉塞かつクローズ状態でない場合
  • -M r指定時,複写対象のRDエリアがインメモリRDエリアの場合
  • -zオプション指定時,複写対象のRDエリアがインメモリRDエリアの場合
KFPR26110-E

(8) -w 休止時間,読み込み回数

オンライン業務中にpdcopyを実行すると,大量のデータ転送を伴うため,CPU使用率が高くなり,ほかのオンライン業務に影響を与えることがあります。-wオプションを指定すると,一定量のデータ読み込み処理を実行した後,一定間隔処理を休止させるため,ほかのオンライン業務への影響を少なくできます。

なお,このオプションを指定すると,CPU使用率は低くなりますが,pdcopyの処理時間は長くなります。

-wオプション指定時の処理の概要を次の図に示します。

図18-2 -wオプション指定時の処理の概要

[図データ]

休止時間 〜<符号なし整数>((10〜60000))
データ読み込み処理中の休止時間を10ミリ秒単位に指定します(例:10,20,30…)。10ミリ秒単位に指定していない場合,1けた目が切り上げられます。
読み込み回数に指定した回数分データを読み込んだ後に,休止時間に指定した時間だけ処理を休止します。

読み込み回数 〜<符号なし整数>((1〜10000))
処理を休止するまでのデータの読み込み回数を指定します。
ここで指定した回数分データを読み込んだ後,休止時間に指定した時間だけ処理を休止します。

<規則>
  1. 休止時間,及び読み込み回数は,pdcopyが読み込むデータの総容量と,データ読み込み処理の総回数を考慮して決めてください。
  2. HiRDB/パラレルサーバの場合,-wオプションの処理はサーバごとに実行されます。読み込み回数はサーバごとにカウントされ,休止処理はサーバごとに行われます。処理対象のRDエリアが,どのサーバにあるのかを確認してから,休止時間と読み込み回数を指定してください。

<-wオプションを指定した場合の処理時間の求め方>
  1. 各RDエリアのデータ読み込み回数を求めます。
    ・データディレクトリ用RDエリアの場合
     ↑(4096×HiRDBファイルシステムのレコード数)÷65536↑
     +(RDエリアを構成するHiRDBファイル数−1)
    ・そのほかのRDエリアの場合
     ↑ページ長×(HiRDBファイルシステムのレコード数
     −(未使用セグメント数×セグメントサイズ))÷65536↑
     +(RDエリアを構成するHiRDBファイル数−1)
  2. データ読み込み処理の総回数を求めます。
    ・HiRDB/シングルサーバの場合
    処理対象の各RDエリアのデータ読み込み回数の和
    ・HiRDB/パラレルサーバの場合
    処理対象RDエリアのデータ読み込み回数の和が,各サーバの中で最も大きい値
  3. 処理時間を求めます。
    ↓(2.で求めたデータ読み込み処理の総回数÷読み込み回数)↓
    ×休止時間(ミリ秒))
    +pdcopyの処理時間

(9) -f 制御文ファイル名

   〜<パス名>

制御文ファイル名を指定します。

 
(例)-f C:\hirdb\pdcopy\cont01
 

制御文ファイル中には,(10)以降のオプションを指定できます。なお,これらのオプションは,pdcopyコマンド中に直接指定することもできます。

<注意事項>
  1. 制御文ファイルは,データベース複写ユティリティを実行するサーバマシン(pdcopyコマンドを入力するサーバマシン)に作成してください。
  2. 制御文ファイル中には,バックアップファイル名,バックアップ対象RDエリアのオプション,ファイル種別,及びボリューム名の組を,一組以上記述してください。ただし,これらのオプションの組は1行で記述する必要があります(1行は32,768バイト以内)。これらの情報は最大16行記述できます。
  3. -aオプションを指定して,差分バックアップ機能を使用する場合,制御文は1行だけ記述できます。

<制御文ファイルの形式>
 
 -b フラグ引数 {-a|-u フラグ引数|-s フラグ引数|-r フラグ引数}
         〔-k フラグ引数〕〔-S フラグ引数〕
〔-b フラグ引数 〔{-u フラグ引数|-s フラグ引数|-r フラグ引数}〕 
         〔-k フラグ引数〕〔-S フラグ引数〕〕
〔-b フラグ引数 〔{-u フラグ引数|-s フラグ引数|-r フラグ引数}〕
         〔-k フラグ引数〕〔-S フラグ引数〕〕
            ・
            ・
            ・
 

注1
各オプションフラグについては,-bオプション指定時の各オプションの説明を参照してください。

注2
複数行指定する場合は,1行目に指定したオプションフラグだけ2行目以降も指定できます(ただし,-aオプションは除きます)。例えば,1行目に-uオプションを指定した場合,2行目以降は-uオプションだけ指定できます。

 

(10) -b {〔ホスト名:〕バックアップファイル名〔,バックアップファイル名〕…|〔ホスト名:〕ポリシー名}

   〜<識別子:パス名>((-k i指定時は167文字以内))

バックアップファイル名,又はNetBackupで設定したポリシー名を指定します。

<規則>
  1. データベース複写ユティリティを実行したサーバマシン(pdcopyコマンドを入力したサーバマシン)にバックアップファイルを作成する場合は,ホスト名を省略できます。この場合,パス名だけを指定します。
  2. ホスト名を指定する場合は,システム定義のpdunitオペランドの-xオプションで指定したホスト名を指定してください。
  3. データベース複写ユティリティを実行したサーバマシン(pdcopyコマンドを入力したサーバマシン)にNetBackupクライアントがある場合は,ホスト名を省略できます。
  4. 制御文ファイルに指定する場合,各行に指定するバックアップファイル名を重複しないようにしてください。
  5. 既にあるバックアップファイル名を指定してバックアップを取得した場合,既にあるバックアップファイルが上書きされます。
  6. 系切り替え機能を使用しているホスト下のファイルにバックアップを取得する場合は,必ず現用系のホスト名を指定してください。バックアップファイルは,実行系のホスト下に作成されます。
  7. 系切り替え機能を使用しているホストのNetBackupクライアントを使用する場合,必ず現用系のホスト名を指定してください。使用するNetBackupクライアントは,実行系となります。
  8. NetBackupを使用する場合に同一のポリシー名を使用してバックアップを取得するときは,取得対象のRDエリアを変えないでください。ポリシー名が同一なのにRDエリアが異なるバックアップがあると,回復できないことがあります。
  9. バックアップファイルの入出力処理で使用するバッファサイズは,システム定義のpd_utl_file_buff_sizeオペランドで変更できます。
  10. -bオプションは-kオプションと次に示す関係があります。
    -kオプションの指定 -bオプションの指定
    -k u ファイル名を指定できます。ファイル名は複数指定できます。
    -k i "HiRDBファイルシステム領域名\HiRDBファイル名"を複数指定できます。HiRDBファイルシステム領域は,あらかじめユティリティ専用領域として,pdfmkfsコマンドで作成しておかなければなりません。なお,HiRDBファイルシステム名まで大文字,小文字の区別はしません。ただし,HiRDBファイル名の大文字,小文字の区別はします。
    -k n NetBackupで設定したポリシー名を指定できます。ポリシー名は,最大128バイトの英数字で指定してください。
    ホスト名は,NetBackupクライアントがあり,HiRDBがあるホスト名を指定してください。
    ポリシー名は,NetBackupのbpimagelistコマンドで参照できます。

<注意事項>
  1. システム全体で大容量のファイル(システム全体で同時に100ギガバイト以上)を扱う場合,ファイルキャッシュが増大し,Windowsのシステムリソース不足になることがあります。大容量のファイルを扱う場合,pdfmkfsコマンド(-k NUTL)で作成したHiRDBファイルシステム領域にバックアップファイルを作成すると,ファイルキャッシュを使用しないでアクセスするため,システムリソース不足を回避できます。ただし,ファイルキャッシュを使用しないでアクセスするため,性能は劣化します。
  2. 同一のポリシー名を指定してpdcopyを複数実行する場合,回復時(pdrstr実行時)には-Uオプションの時刻指定でバックアップファイルを特定できます。指定するバックアップファイルの時刻は,pdcopy実行時に出力されるKFPR26071-Iメッセージの日付,時刻を指定してください。

(11) -a

システム単位でバックアップを取得する場合(全RDエリアのバックアップを取得する場合)に指定します。

<規則>
  1. 制御文ファイルに指定する場合,-aオプションを指定したときは,制御文は1行しか指定できません。

(12) -u ユニット識別子〔,ユニット識別子〕…

   〜<識別子>((4文字))

ユニット単位でバックアップを取得する場合(ユニット下の全RDエリアのバックアップを取得する場合)に,バックアップ取得対象のユニット名を指定します。

<規則>
  1. ユニット識別子を複数指定する場合は,重複しないようにしてください。
  2. 制御文ファイルに指定する場合,ユニット識別子は制御文全体で一意にしてください。

(13) -s サーバ名〔,サーバ名〕…

   〜<識別子>((最大8文字))

サーバ単位でバックアップを取得する場合(サーバ下の全RDエリアのバックアップを取得する場合)に,バックアップ取得対象のバックエンドサーバ名,又はディクショナリサーバ名を指定します。

<規則>
  1. サーバ名を複数指定する場合は,重複しないようにしてください。
  2. 制御文ファイルに指定する場合,サーバ名は制御文全体で一意にしてください。

(14) -r RDエリア名〔,RDエリア名〕…

   〜<識別子>((最大30文字))

RDエリア単位でバックアップを取得する場合に,バックアップを取得するRDエリアの名称を指定します。

<規則>
  1. RDエリア名の指定方法については,「1.5.2 運用コマンド,ユティリティでのRDエリアの指定」を参照してください。
    ただし,制御文ファイルに指定したRDエリア名が重複していた場合は次のとおり処理されます。
    • 直接指定したRDエリア名が重複した場合
      次のように指定すると,KFPR26007-Eエラーになります(太字が重複部分です)。
     
    -r LOB1,USER1 -b c:\HiRDB\pdcopy\bkup1
    -r DDIC,USER1 -b c:\HiRDB\pdcopy\bkup2
     
    • 一括指定したRDエリア名が重複した場合
      次のように指定すると,最初に指定した値が有効になります(太字が重複部分です)。
     
    -r LOB1,USER* -b c:\HiRDB\pdcopy\bkup1…有効
    -r DDIC,USER* -b c:\HiRDB\pdcopy\bkup2
     
    • 直接指定したRDエリア名と一括指定したRDエリア名が重複した場合
      次のように指定すると,USER1に対しては直接指定での指定値が有効になります。USER1はc:\HiRDB\pdcopy\bkup1に取得されます(太字が重複部分です)。
     
    -r LOB1,USER1 -b c:\HiRDB\pdcopy\bkup1…有効
    -r DDIC,USER* -b c:\iRDB\pdcopy\bkup2
     
  2. リスト用RDエリアは指定できません。

(15) -k {u|i|n}

バックアップファイルの種別を指定します。

u :
通常のファイルにバックアップを取得する場合に指定します。

i :
HiRDBファイルシステム領域にバックアップを取得する場合に指定します。実行系システムと待機系システムとでバックアップファイルを共用し,実行系システムで取得したバックアップを使用して待機系システムの回復をする場合に有効です。

n :
NetBackupを使用してバックアップを取得する場合に指定します。この場合,-bオプションにはNetBackupで設定したポリシー名を指定してください。

(16) -g 差分バックアップグループ名

   〜<英数字>((1〜30))

差分バックアップ機能を使用する場合,その単位となるグループの名称を指定します。

差分バックアップグループ名の最後に(S)を付けた場合,その時点から差分バックアップ管理を始めます。このときに,-kオプションの差分バックアップ管理ファイルが作成されます。同一名称の差分バックアップ管理ファイルがある場合は削除されるので,前回の差分バックアップグループのバックアップファイルは削除しておく必要があります。

差分バックアップ機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

<規則>
  1. ユーザLOB用RDエリア,データディクショナリLOB用RDエリア,及びレジストリLOB用RDエリアは,必ずフルバックアップが取得されます。
  2. 一つの差分バックアップグループでは,バックアップを取得するRDエリアは変更できません。
  3. 同じ差分バックアップグループのバックアップファイルは,同じホストに格納してください(-bオプションで指定するホスト名は一つにしてください)。
  4. 差分バックアップファイルと差分バックアップ管理ファイルは,別々のHiRDBファイルシステムに作成してください。
  5. 差分バックアップ機能を使用する場合,-kオプションの指定によって,-bオプションに指定する差分バックアップファイル名の指定方法が変わります。
    • -k u,及び-k iの場合,差分バックアップファイルごとに異なる名称を指定する必要があります。
    • -k nの場合,差分バックアップファイルごとに異なるポリシー名を指定する必要はありません(異なる名称でも運用できますが,ポリシーを差分バックアップファイルごとに作成する必要があるため,運用が煩雑になります)。

(17) -d バックアップ種別

差分バックアップ機能を使用する場合,バックアップの種別を指定します。

a:フルバックアップを取得します。

b:最新のフルバックアップからの累積差分バックアップを取得します。

c:次のどちらかの最新のものからの累積差分バックアップを取得します。
  • 前回取得した累積差分バックアップ
  • 前回取得したフルバックアップ

d:前回取得したバックアップからの差分を取得します。

(18) -K 差分バックアップ管理ファイルを格納するHiRDBファイルシステム領域名

   〜<パス名>

差分バックアップ機能を使用する場合,差分バックアップ管理ファイルを格納するHiRDBファイルシステム領域の名称を指定します。差分バックアップ管理ファイルの名称は,-gオプションで指定する差分バックアップグループ名と同じになります。

pdcopy実行後には,pdfbkupコマンドで差分バックアップ管理ファイルのバックアップを取得する必要があります。差分バックアップ管理ファイルに障害が発生した場合,このバックアップを使用してpdfrstrコマンドで回復します。

差分バックアップ機能使用時にpdmodを実行した場合,フルバックアップを取得してください。このとき,-Kオプションを指定して差分バックアップ管理ファイルも作成してください。

"差分バックアップ管理ファイルを格納するHiRDBファイルシステム領域名\差分バックアップグループ名"が,167文字以内になるようにしてください。

-k NUTL指定のpdfmkfsコマンドで作成したHiRDBファイルシステム領域は指定できません。

(19) -o 差分バックアップの履歴情報ファイル名

   〜<パス名>

差分バックアップ機能を使用する場合,差分バックアップの履歴情報を出力するファイルの名称を指定します。

履歴情報の内容については,「18.6 データベース複写ユティリティの処理結果リスト」を参照してください。

(20) -L 差分バックアップ管理ファイルの容量

   〜<符号なし整数>((1〜2046))≪1≫

差分バックアップ機能を使用する場合,差分バックアップファイルの容量をメガバイト単位で指定します。

容量は,HiRDBファイルシステム領域作成時の容量(pdfmkfsコマンドの-nオプション指定値−5)より小さくしてください。

このファイルの増分は,最大23回できます。増分するときの容量は,ここで指定した値となります。

(21) -S {バックアップファイル初期容量増分値|(バックアップファイル初期容量,増分値)〔,(バックアップファイル初期容量,増分値)〕…}

   〜<符号なし整数>((1〜2040))<<100,10>>

このオプションは,-k オプションで"i"が指定されたバックアップファイルに対して有効となります。

バックアップファイルの初期容量と,増分値(バックアップデータが初期容量を超えた場合に確保する容量)を,メガバイト単位で指定します。

<規則>
  1. 初期容量は,HiRDBファイルシステム領域作成時に,pdfmkfsコマンドの-nオプションで指定した値より小さくなければなりません。これは,システムが管理用に使用する領域が必要となるためです。
  2. このオプションを省略した場合は,バックアップファイル初期容量に100メガバイト,増分値に10メガバイトが仮定されます。
  3. バックアップファイル容量の増分は,最大23回できます。ただし,HiRDBファイルシステム領域作成時に指定した最大増分回数を超えて増分はできません。
  4. ファイルを複数指定した場合,それぞれのファイルに対しても,初期容量と増分値を設定できます。初期容量と増分値を括弧で囲んで指定したファイルの数分指定してください。
  5. 初期容量と増分値の組が指定したファイルの数よりも少ない場合は,最後に指定された値が指定されなかったファイルに適用されます。初期容量と増分値の組が指定したファイルの数よりも多い場合は,多い分が無視されます。

(例)
 
 -b file1,file2,file3,file4
 -k i
 -S (10,1),(1,1)
 

 

ファイル 初期容量 増分値 備考
file1 10 1 (10,1)の指定で設定される
file2 1 1 (1,1)の指定で設定される
file3 1 1 指定がないため最後の指定値
(1,1)が適用される
file4 1 1