スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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1.3.1 バージョンアップ前にすること

バージョンアップをする前に,次に示す内容を必ず実施してください。なお,マルチHiRDBの場合,すべての運用ディレクトリに対して,次の内容を実施してください。

以降,Windowsの[コマンドプロンプト]の画面を使って,コマンドとユティリティを実行してください。

<この項の構成>
(1) 空き領域の確認
(2) システム用RDエリアのバックアップの取得
(3) メモリ容量の確認
(4) HiRDBがオンライン状態であるかどうかの確認
(5) HiRDBの正常終了
(6) HiRDBの状態確認
(7) HiRDBのサービスの停止
(8) コマンド,ユティリティ,アプリケーション,HiRDB Datareplicator,及びHiRDB Dataextractorの停止
(9) メモリ所要量の確認
(10) ステータスファイルの容量の確認
(11) シンクポイントダンプファイルの容量の確認
(12) システムログファイルの総レコード数の確認
(13) 付加PPのバージョンアップ
(14) HiRDBシステム定義のオペランドの省略値の確認

(1) 空き領域の確認

データベース状態解析ユティリティ(pddbst)で,データディクショナリ用RDエリアに必要な空き領域があるかどうかを確認してください。空き領域がない場合は,次に示すどちらかの方法で空き領域を確保してください。

この空き領域の確認は,旧バージョンと新バージョンを入れ替えるときにだけ必要です。修正版HiRDBへの入れ替えの場合は不要です。

ユティリティを実行する方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 コマンドリファレンス」を参照してください。

バージョンアップに必要な空き領域
バージョンアップをする前のHiRDBのバージョンに応じて,次の表に示す空き領域があるかどうかを確認してください。空き領域が不足していると,バージョンアップ後のHiRDB開始時又はpdvrupコマンド実行時に容量不足でエラーとなることがあります。

表1-5 バージョンアップするのに必要な空き領域

データディクショナリ用RDエリアに格納しているディクショナリ表 データディクショナリ用RDエリアに必要な空きセグメント数
07-00以降からバージョン
アップする場合
08-00以降からバージョン
アップする場合
SQL_COLUMNS表 ↑53÷S↑ ↑14÷S↑
SQL_INDEXES表 ↑9÷S↑ ↑2÷S↑
SQL_INDEX_COLINF表 ↑10÷S↑
SQL_ROUTINES表 ↑14÷S↑ ↑14÷S↑
SQL_ROUTINE_PARAMS表 ↑14÷S↑ ↑10÷S↑
SQL_TABLES表 ↑3÷S↑
SQL_TABLE_PRIVILEGES表 ↑6÷S↑
SQL_VIEWS表 ↑21÷S↑ ↑12÷S↑
SQL_VIEW_DEF表 ↑171÷S↑ ↑40÷S↑
SQL_VIEW_TABLE_USAGE表 ↑2÷S↑

(凡例)
−:該当しません。
S:対象表を格納するデータディクショナリ用RDエリアのセグメントサイズ

注※
データディクショナリLOB用RDエリアを定義していない場合は不要です。

(2) システム用RDエリアのバックアップの取得

データベース複写ユティリティ(pdcopy)で,すべてのRDエリアのバックアップを取得してください。

バックアップの取得手順
  1. pdstopコマンドでHiRDBを正常終了させます。
  2. pdstart -rコマンドでHiRDBを開始します。
  3. データベース複写ユティリティ(pdcopy)でRDエリアのバックアップを取得します。このとき,参照・更新不可能モード(-M x指定)を指定してください。バックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」又は「HiRDB Version 8 コマンドリファレンス」を参照してください。

(3) メモリ容量の確認

バージョンアップのコマンド(pdvrupコマンド)を実行するのに135キロバイトのメモリが必要です。メモリの空き容量を確認してください。なお,修正版HiRDBへの入れ替えの場合は不要です。

(4) HiRDBがオンライン状態であるかどうかの確認

pdlsコマンドですべてのユニットがACTIVEと表示されているかどうかを確認してください。ACTIVEと表示されている場合,pdstopコマンドで正常終了させてください。

(5) HiRDBの正常終了

バージョンアップする前にHiRDBを正常終了させてください。HiRDB/パラレルサーバの場合はシステムマネジャがあるマシンから終了させてください。HiRDBが既に終了している場合は,次に示す情報を参照してHiRDBが正常終了しているかどうかを確認してください。

正常終了していない場合は,pdstartコマンドでいったんHiRDBを開始して,pdstopコマンドで正常終了させてください。

(6) HiRDBの状態確認

HiRDBをバージョンアップするユニットの状態を確認するため,pdls -d ustコマンドを実行します。

終了ステータスが4の場合(ユニットの状態がSTARTING又はSTOPPING):
HiRDBが開始処理の途中,又は停止処理の途中です。処理が終了してからpdls -d ustコマンドを再度実行してください。

終了ステータスが8の場合(ユニットの状態がPAUSE):
障害によって,プロセスサービスの再起動を中断した状態です。KFPS00715-Eメッセージ及びこのメッセージ以前のイベントログに出力されたメッセージを参照して障害の原因を取り除いてから,サービスを開始してください。その後,ユニットを再開始して,pdstopコマンドで正常終了させてください。

(7) HiRDBのサービスの停止

バージョンアップする前にバージョンアップするHiRDBのサービスを停止してください。サービスの停止方法及び確認方法については,OSのマニュアルを参照してください。

(8) コマンド,ユティリティ,アプリケーション,HiRDB Datareplicator,及びHiRDB Dataextractorの停止

コマンド,ユティリティ,アプリケーション,HiRDB Datareplicator,及びHiRDB Dataextractorはあらかじめ停止しておいてください。これらを停止しないと,実行形式ファイルや共用ライブラリの削除に失敗し,バージョンアップに失敗することがあります。

(9) メモリ所要量の確認

HiRDBをバージョンアップすると,HiRDBのメモリ所要量が増えることがあります。「15. HiRDBのメモリ所要量」を参照してHiRDBのメモリ所要量を確認してください。

(10) ステータスファイルの容量の確認

HiRDBをバージョンアップすると,HiRDBのステータスファイル容量が増えることがあります。「17.3 ステータスファイルの容量の見積もり」を参照してHiRDBのステータスファイルの容量を確認してください。

(11) シンクポイントダンプファイルの容量の確認

HiRDBをバージョンアップすると,HiRDBのシンクポイントダンプファイルの容量が増えることがあります。「17.2 シンクポイントダンプファイルの容量の見積もり」を参照してHiRDBのシンクポイントダンプファイルの容量を確認してください。

(12) システムログファイルの総レコード数の確認

バージョンアップする場合は,上書きできる状態のシステムログファイルの総レコード数を確認してください。

次の表に示す総レコード数より少ないと,バージョンアップに失敗することがあります。

表1-6 バージョンアップするのに必要なシステムログファイルの総レコード数

対象バージョン 総レコード数
システムログファイルのレコード長
1024の場合 2048の場合 4096の場合
07-00以降からバージョンアップする場合 3550 1840 1000
08-00以降からバージョンアップする場合 1360 690 360

なお,HiRDB/パラレルサーバの場合は,ディクショナリサーバのシステムログファイル(上書きできる状態)の総レコード数を確認してください。

注※
次に示すどちらかの方法でシステムログファイルの総レコード数を確認してください。
  • pdloginitコマンドの-nオプションの指定値の合計が総レコード数となります。
  • pdlogls -d sys -s サーバ名 -eコマンドを実行してください。実行結果のRecode-countの先頭部分に出力されたレコード数(16進数)の合計が総レコード数となります。

(13) 付加PPのバージョンアップ

バージョンアップ前のHiRDBで付加PPを使用していた場合,HiRDBと同じバージョンの付加PPをインストールする必要があります。付加PPについては,「2.4 付加PPのインストール時の注意」を参照してください。

(14) HiRDBシステム定義のオペランドの省略値の確認

バージョン07-00と08-00で,HiRDBシステム定義の一部のオペランドの省略値を変更(省略値を推奨値に変更)しました。また,幾つかのオペランドについては省略できるようにしました。

そのため,例えば,07-03から08-02にバージョンアップする場合,省略値が変更されているオペランドがあるため,HiRDBの稼働環境がバージョンアップによって変わることがあります。省略値の変更によって問題が発生する場合は,バージョンアップ後に次に示すオペランドを指定して,省略値が変更されないようにしてください。

省略値が変更になったオペランド,指定不要になったオペランド,及びpd_sysdef_default_optionオペランドについては,マニュアル「HiRDB Version 8 システム定義」を参照してください。