JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1

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18.2.2 リモートサイトのセットアップ

リモートサイトのセットアップ手順について説明します。

なお,非クラスタ環境の場合は,実行系での作業だけを実施してください。

図18-3 リモートサイトのセットアップ手順

[図データ]

<この項の構成>
(1) リモートサイトの設定手順
(2) ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポート
(3) リモートサイトの個別設定

(1) リモートサイトの設定手順

  1. 実行系および待機系で,JP1/Baseの物理ホストをセットアップする。
    JP1/Baseがすでにセットアップされている場合,ここでのセットアップは不要です。
    JP1/Baseのセットアップ手順は,クラスタ運用の場合と同じです。詳細については,「17. クラスタ運用時のセットアップ」を参照してください。
  2. 実行系で,JP1/Baseの論理ホストをセットアップする。
    注意
    論理ホスト名は,メインサイトとリモートサイトで異なる名前を設定する必要があります。
    JP1/Baseのセットアップ手順は,クラスタ運用の場合と同じです。詳細については,「17. クラスタ運用時のセットアップ」を参照してください。
  3. 実行系および待機系で,JP1/AJS3の物理ホストをセットアップする。
    メインサイトと同じオプションを指定してセットアップします。
    JP1/AJS3がすでにセットアップされている場合,ここでのセットアップは不要です。
    JP1/AJS3の物理ホストのセットアップ手順は,クラスタ運用の場合と同じです。詳細については,「17. クラスタ運用時のセットアップ」を参照してください。
  4. 実行系でJP1/Baseの共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
    実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。
    実行するコマンドを次に示します。

    実行系
     
    jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
     

    待機系
     
    jbssetcnf 退避ファイル名
     
  5. 待機系でJP1/Baseの論理ホストをセットアップする。
    JP1/Baseのセットアップ手順は,クラスタ運用の場合と同じです。詳細については,「17. クラスタ運用時のセットアップ」を参照してください。
  6. 実行系で,組み込みDBをインストールする。
    次のコマンドを実行します。
     
    ajsembdbinstl -s 組み込みDBのインストール媒体格納ディレクトリ
                  -mh リモートサイトの論理ホスト名
                  -i 組み込みDBのインストール先ディレクトリ
                  -id セットアップ識別子
     
    -iオプションおよび-idオプションは,「18.2.1 メインサイトのセットアップ」の手順1で記録した,メインサイトの論理ホストの組み込みDBと同じ組み込みDBのインストール先ディレクトリとセットアップ識別子を指定します。
    ajsembdbinstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbinstl」を参照してください。
  7. 実行系で,ディザスター・リカバリー運用設定情報をインポートする。
    次の手順でエクスポートしたディザスター・リカバリー運用設定情報を,リモートサイトにコピーします。
    なお,コマンドを実行する前に,ディザスター・リカバリー運用設定情報がリモートサイトの他ホストと重複していないか確認してください。また,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_rpenvimport」の注意事項を参照してください。

    リモートサイトの新規セットアップの場合
    18.2.1 メインサイトのセットアップ」の手順2

    メインサイトの再構築の場合
    マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 12.2.2 メインサイトを再構築する」の手順1

    コピーしたファイルの格納先ディレクトリを指定して,次のコマンドを実行します。
     
    jajs_rpenvimport -e リモートサイトの実行系物理ホスト名
                     -h リモートサイトの論理ホスト名
                     -d 入力ディレクトリ名
     
  8. 実行系で,JP1/AJS3の論理ホストをリモートサイト用にセットアップする。
    次のコマンドを実行します。
     
    jajs_setup_cluster -h リモートサイトの論理ホスト名
                       -F スケジューラーサービス名
                       -R
     
  9. 実行系で,必要に応じて個別に情報を設定する。
    ディザスター・リカバリー運用設定情報をインポートしても,設定されない情報があります。インポートされない情報も設定する必要がある場合,個別に設定します。インポートされない情報の個別設定の方法については,「18.2.2(3) リモートサイトの個別設定」を参照してください。
  10. 待機系で,手順6〜9を実行する。

(2) ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポート

次の操作をする場合,メインサイトとリモートサイトのJP1/AJS3 - Managerの設定を合わせるために,設定したサイトのディザスター・リカバリー運用設定情報をエクスポートし,合わせる側のサイトでインポートします。

  1. 新規にメインサイトの環境を構築してリモートサイトに反映する
  2. 拠点が停止したあと,メインサイトの環境を再構築する際にリモートサイトの設定内容を反映する
  3. 運用中にメインサイトの各種設定や構成を変更してリモートサイトに反映する

ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定される情報を次の表に示します。

表18-1 ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定される情報

項番 設定される情報
1 次の定義キー配下の,すべての環境設定パラメーター(サブキーを含む)
  • [論理ホスト名\JP1AJS2]
  • [論理ホスト名\JP1AJSMANAGER]※1
  • [論理ホスト名\JP1AOMMANAGER]
  • [論理ホスト名\JP1AOMAGENT]
  • [論理ホスト名\JP1NBQAGENT]
  • [論理ホスト名\JP1NBQMANAGER]
  • [論理ホスト名\JP1NBQCLIENT]
  • [論理ホスト名\JP1NBQNOTIFY]
  • [論理ホスト名\JP1QLAGENT]※2
  • [論理ホスト名\JP1AJS2CONSOLEMANAGER]※2
2 組み込みDB定義ファイル

注※1
この定義キーが存在しない場合は,論理ホストが作成されていないと見なされ,エクスポートされません。

注※2
オプション機能で使用する定義キーのため,存在しない場合もあります。

(3) リモートサイトの個別設定

ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報は,リモートサイトで個別に設定が必要です。

ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報を次の表に示します。

表18-2 ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報

項番 情報の種類 設定されない情報 必要な設定
1 システム設定 ポート番号 servicesファイルのポート番号の設定
2 ファイアウォール設定 ポートのファイアウォール透過設定
3 全般 トレースファイルサイズ 次のトレースログファイルサイズの設定
  • JP1/AJS3のトレースログファイル
  • JP1/AJS3 Check ManagerサービスまたはJP1/AJS3 Check Agentサービスのトレースログファイル
  • キューレスジョブ機能のトレースログファイル
  • JP1/AJS3 Console ManagerまたはJP1/AJS3 Console Agentのトレースログファイル
4 環境設定パラメーター 物理ホストの環境設定パラメーターの設定
5 シェル シェルのカスタマイズ
6 スケジューラー スケジューラーサービスの追加または削除 スケジューラーサービスを追加または削除した場合に,対応する組み込みDBのインストールまたはアンインストール
7 JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時 ajslocaldateコマンドでのJP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時の変更
8 イベント・アクション JP1イベント送信ジョブの送信先ホスト JP1イベント送信ジョブで他ホストにJP1イベントを送信する場合の通信の設定
9 メールシステム連携 メールシステム連携機能の設定
10 定義内容の事前チェック 定義内容の事前チェック機能 定義内容の事前チェック機能のセットアップまたはアンセットアップ
11 キューレスジョブ キューレスジョブ機能 キューレスジョブ機能のセットアップまたはアンセットアップ
12 JP1/AJS3 Console JP1/AJS3 Consoleの設定 JP1/AJS3 Console機能のセットアップまたはアンセットアップ
13 JP1/AJS3 - View JP1/AJS3 - Viewの特定のメニューを不活性にする機能 マネージャーホスト上に設定ファイルを配置
14 前提製品,関連製品,連携製品 JP1イベントサービスの転送先ホスト 他ホストから転送されるJP1イベントをJP1イベント受信監視ジョブで監視する場合の設定
15 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携機能を使用する場合の設定
16 JP1/IM - Planning Operation JP1/IM - Planning Operationで使用するスケジューラーサービスに対する設定

個別に設定が必要な内容を,次に説明します。

(a) ポート番号

ポート番号の設定を合わせます。

ポート番号は,servicesファイルを変更して設定してください。

(b) ファイアウォール設定

ポート番号のファイアウォール透過の設定を合わせます。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.3.4 ファイアウォールを設定した環境の構成例と通信設定」を参照してください。

(c) トレースファイルサイズ

次のトレースログファイルサイズの設定を合わせます。

注※
メインサイトとリモートサイトでJP1/AJS3 Consoleを使用していない場合は,必要ありません。

JP1/AJS3,JP1/AJS3 Check Managerサービス,またはJP1/AJS3 Check Agentサービスのトレースログファイルサイズの設定を変更する場合は,ajstrsetszコマンドまたはajschktrsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド」を参照してください。

キューレスジョブ機能のトレースログファイルサイズを変更する場合は,ajsqltrsetszコマンドおよびajsqlexecsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド」を参照してください。

JP1/AJS3 Console ManagerまたはJP1/AJS3 Console Agentのトレースログファイルサイズを変更する場合は,ajscmtrsetszコマンドまたはajscatrsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド」を参照してください。

(d) 環境設定パラメーター

物理ホストの環境設定パラメーターの設定を合わせます。物理ホストの環境設定パラメーターは,物理ホストと論理ホストで共通ではない定義キー([JP1_DEFAULT\・・・]で始まる定義キー)配下にある環境設定パラメーターです。環境設定パラメーターの設定手順については,「14.2 環境設定パラメーターの設定」を参照してください。

なお,論理ホストの環境設定パラメーターは,ディザスター・リカバリー運用設定情報をインポートすると設定されます。

(e) シェル

シェルのカスタマイズ内容を合わせます。

表18-3 カスタマイズ内容を合わせる必要があるファイル(シェル)

項番 シェル 参照先
1 jajs_killall.cluster マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 11.4.1 JP1/AJS3強制停止シェルスクリプト(jajs_killall.clusterコマンド)」またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jajs_killall.cluster(UNIX限定)
2 jajs_start 15.7.1 JP1/AJS3サービスの自動起動および自動終了の設定
3 jajs_stop
4 jajs_start.cluster 17.2.5 キューレスジョブ実行環境の設定
5 jajs_stop.cluster
6 jajscm_start 15.7.1(4) JP1/AJS3 Consoleサービスの自動起動および自動終了を設定する
7 jajscm_stop
8 jajsca_start
9 jajsca_stop

注※
メインサイトとリモートサイトでJP1/AJS3 Consoleを使用していない場合は,必要ありません。

(f) スケジューラーサービスの追加または削除

スケジューラーサービスを追加または削除した場合,対応する組み込みDBをインストールまたはアンインストールします。組み込みDBのインストールにはajsembdbinstlコマンドを,組み込みDBのアンインストールにはajsembdbuninstlコマンドを実行します。

各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。

(g) JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時

JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時を合わせます。ajslocaldateコマンドを使用して変更した場合,リモートサイトのJP1/AJS3を起動する前に,リモートサイトでもajslocaldateコマンドを実行してください。

ajslocaldateコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 8.6 スケジューラーサービスのローカル日時を定義する」を参照してください。

(h) JP1イベント送信ジョブの送信先ホスト

JP1イベント送信ジョブで他ホストにJP1イベントを送信する場合,メインサイトとリモートサイトの両方で送信先ホストと通信できるように設定します。

(i) メールシステム連携

メールシステムと連携のセットアップ状況を合わせます。

メールシステム連携の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2. メールシステムとの連携」を参照してください。

メールシステム連携の運用を変更した場合は,物理ホストのJP1/AJS3 Mailサービスを再起動する必要があります。

(j) 定義内容の事前チェック機能

定義内容の事前チェック機能を設定した場合は合わせます。

定義内容の事前チェック機能の設定にはajschksetupコマンドを使用します。詳細については,「15.5.1 JP1/AJS3定義内容の事前チェック機能の設定」を参照してください。

なお,定義内容の事前チェック機能の設定を変更した場合は,物理ホストの次のサービスを再起動する必要があります。

(k) キューレスジョブ機能

キューレスジョブ機能をセットアップした場合は合わせます。リモートサイトでキューレスジョブ機能をセットアップする場合は,ajsqlsetupコマンドに-ncオプションを指定して実行します。

ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。

キューレスジョブ機能の運用を変更した場合は,物理ホストのキューレスエージェントサービスを再起動する必要があります。

(l) JP1/AJS3 Consoleの設定

JP1/AJS3 Consoleをセットアップした場合は合わせます。JP1/AJS3 Console Managerをセットアップする場合はjp1ajs2cmsetupコマンド,JP1/AJS3 Console Agentをセットアップする場合はjp1ajs2casetupコマンドを使用します。

詳細については,「13.3 JP1/AJS3 Consoleで必要なセットアップ」を参照してください。

JP1/AJS3 Consoleの運用を変更した場合は,物理ホストの次のサービスを再起動する必要があります。

(m) JP1/AJS3 - Viewの特定のメニューを不活性にする機能

JP1/AJS3 - Viewで特定のメニューを不活性にする機能を使用する場合は合わせます。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 11.3.9 特定のメニューを不活性にする」を参照してください。

(n) JP1イベントサービスの転送先ホスト

メインサイトの外にある他ホストから転送されるJP1イベントをJP1イベント受信監視ジョブで監視する場合,転送元でメインサイトとリモートサイトの両方への転送設定をします。

(o) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携

メインサイトとリモートサイトの両方でCm2連携の設定をします。同一のシンボルでは監視できないため,NNM側でメインサイトとリモートサイトのシンボルを作成します。

JP1/AJS3とJP1/Cm2/NNM,またはJP1/AJS3とHP NNMとの連携については,次のマニュアルを参照してください。

(p) JP1/IM - Planning Operation

メインサイトでJP1/IM - Planning Operationを使用している場合,リモートサイトでJP1/IM - Planning Operationで使用するスケジューラーサービスに対する設定を行います。必要な設定は,メインサイトで通常のスケジューラーサービスを追加した場合と同じです。

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