JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1
障害発生時の調査分析に有効なログ情報を採取するための設定について説明します。
- <この節の構成>
- (1) 資料採取ツールの設定手順
- (2) 資料採取ツールの注意事項
(1) 資料採取ツールの設定手順
UNIXの場合,ログ情報を採取するための「資料採取ツール」をJP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentで提供します。
資料採取ツールは,JP1/AJS3 - Manager,JP1/AJS3 - Agentをインストールしたあと,別のディレクトリにコピーしてから使用してください。
- 注意
- JP1/AJS3 Consoleを使用する場合,JP1/AJS3 - Managerの資料採取ツールの環境設定をしていれば,JP1/AJS3 Console Agentでの設定は不要です。
- 資料採取ツールの環境設定をしていない場合は,次の手順に従って設定をしてください。
資料採取ツールを使用するための環境設定手順を次に示します。
- 資料採取ツールを任意のディレクトリにコピーする。
コマンド指定例を次に示します。
cp /opt/jp1ajs2/lib/sample_script/_04 /home/jp1ajs2/trouble.sh- コピーした資料採取ツールを編集するための権限を設定する。
コマンド指定例を次に示します。
chmod +rw /home/jp1ajs2/trouble.sh- 資料採取ツールを編集して,ユーザー固有のファイル名に変更する。
資料採取ツールの編集には,エディターを使用してください。
次に資料採取ツールに記述されているデフォルト値を示します。このデフォルト値と異なる場合,資料採取ツールの記述を変更してください。
表16-1 資料ツールの記述変更内容
項番 変更内容 変更する場所 1 統合トレースログファイル格納ディレクトリ HNTRLOG="/opt/hitachi/HNTRLib/spool"
HNTR2LOG="/var/opt/hitachi/HNTRLib2/spool"2 ユーザーマッピング・認証設定ファイル格納ディレクトリ AUTHSV="/etc/opt/jp1base/conf/user_acl" 3 syslogおよびsyslog格納ディレクトリ※1 HP-UXの場合:SYSLOGFILE="/var/adm/syslog/syslog.log"
Solarisの場合:SYSLOGFILE="/var/adm/messages"
AIXの場合:SYSLOGFILE="/var/adm/syslog"
Linuxの場合:SYSLOGFILE="/var/log/messages*"4 OSシステムファイル※2,※3 SYSTEMFILES="./etc/hosts ./etc/services ./etc/passwd" 5 組み込みDBの運用ディレクトリPDDIR※4 #PDDIR="/opt/HiRDB_J" 6 データベース格納ディレクトリ※3,※5 DATABASE="./var/opt/jp1ajs2/database[sq]*" 7 ジョブエラー情報ディレクトリ※3,※6 JOBINF="./var/opt/jp1ajs2/jobinf" 8 JP1/AJS3 Console Manager用データディレクトリ※3,※7 JP1AJS2CMDB="/var/opt/jp1ajs2cm/database"
- 注※1
- syslogおよびsyslog格納ディレクトリはシステムによって設定が変更されているおそれがあります。システムの設定に合ったsyslogまたはsyslogだけが格納されているディレクトリを必ず設定してください。
- 注※2
- OSシステムファイルを採取しない場合は,採取しないファイルの名称を削除してください。
- 注※3
- ファイル名を変更する場合は,先頭に「.(ピリオド)」を付けて,ルートディレクトリからの相対パスで指定してください。
- 注※4
- 組み込みDBのトレース情報を採取するには,コメントを削除し,組み込みDB運用ディレクトリ(PDDIR)を記述してください。デフォルトは「/opt/HiRDB_J」です。組み込みDB運用ディレクトリを変更している場合は,該当ディレクトリに変更してください。
- 注※5
- デフォルト設定のディレクトリ名は削除しないでください。物理ホストでスケジューラーサービスを追加し,このディレクトリ下にないデータベースディレクトリを指定している場合は,そのディレクトリの名称を先頭に「.(ピリオド)」を付けて追記してください。
- (例)
- DATABASE="./var/opt/jp1ajs2/database ./adddir/database2"
- 論理ホストだけで運用している場合で,デフォルトで設定されるディレクトリより変更を加えている場合は,手順4で,ADDFILEに共有ディスク上のデータベースディレクトリが含まれるディレクトリの名称を記述してください。DATABASEは変更しないでください。
- 注※6
- 物理ホストのスケジューラーサービスの設定で,ジョブエラー情報ディレクトリを変更または追加している場合は修正してください。論理ホストだけで運用している場合で,デフォルトで設定されるディレクトリより変更を加えている場合は,手順4で,ADDFILEに共有ディスク上のジョブエラー情報ディレクトリが含まれるディレクトリの名称を記述してください。
- 注※7
- 物理ホストのJP1/AJS3 Console Managerのデータディレクトリの設定を変更している場合は,修正してください。論理ホストのデータディレクトリについては,手順4でADDFILEに指定してください。
資料採取ツールにデフォルトで記述されている各ログファイルの格納ディレクトリについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」および「JP1/Base 運用ガイド」の付録に記載されている,ファイルおよびディレクトリ一覧を参照してください。
- クラスタ運用時,論理ホストの出力ディレクトリの設定をデフォルトから変更した場合や,その他の情報を採取したい場合は,資料採取ツールをカスタマイズする。
資料採取ツールをエディターで開き,「変更後の共有ディレクトリ」の情報を採取できるようにします。
: : ADDFILE="/変更後の共有ディレクトリ/jp1ajs2" ADDFILE="$ADDFILE /変更後の共有ディレクトリ/jp1base/log /変更後の共有ディレクトリ/jp1base/conf" : :
(2) 資料採取ツールの注意事項
- 07-10以降の資料採取ツールと07-10より前のバージョンの資料採取ツールでは,次の表に示す相違があります。
表16-2 資料採取ツールの相違点
機能 07-10以降 07-10より前のバージョン 次の資料の採取
- エラーログ情報※1
- /etc/environmentファイルの情報※1
- データベース格納ディレクトリのファイルリスト情報
- core解析に必要な情報※2
採取する。 採取しない。 論理ホストの指定 資料採取ツールの実行時に論理ホスト名を指定する。 資料採取ツールの環境設定で,論理ホストごとの情報格納ディレクトリを設定する。 初期調査ファイルの分離 初期調査ファイルとその他のファイルを分離して出力する。 初期調査に必要なファイルが分散して出力される。
- 注※1
- AIXの場合だけ採取します。
- 注※2
- Linuxでは,次の注意事項があります。
- Linuxでは,デフォルト設定でコアファイル出力時の最大サイズが「0」となっている場合があるため,コアダンプが出力されないおそれがあります。
- このため,Linuxでコアダンプが出力できるように,jajs_startおよびjajs_start.clusterコマンドにデフォルトで,次の設定をしています。
- if [ 'uname' = Linux ]; then
- ulimit -c unlimited
- fi
- この設定が使用しているホストのセキュリティポリシーに反する場合は,これらのファイルの設定を次のようにコメント化してください。
- このコメント化の設定を行った場合は,JP1/AJS3のプロセスがセグメンテーション障害やバス障害などのコアダンプ出力契機に,コアダンプが出力されないで調査が行えない場合があります。
- #if [ 'uname' = Linux ]; then
- # ulimit -c unlimited
- #fi
- 07-10より前のバージョンの資料採取ツールをカスタマイズして,既存の情報以外の情報を取得していた場合,07-10以降にバージョンアップしても07-10以降の資料採取ツールにはカスタマイズ内容は反映されません。
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