JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1
イベントジョブを実行すると,マネージャーはイベントジョブの実行先のエージェントと通信します。その通信では,マネージャーはエージェントが複数のマネージャーを区別できるように,マネージャーホスト名を送信します。マネージャーホスト名は,マネージャーのJP1/AJS3サービスを起動した際に取得しています。
通常は,意図してホスト名を変更しないかぎり,マネージャーのJP1/AJS3サービスの再起動前と再起動後で,取得したホスト名が変わることはありません。しかし,DNSなどの名前解決に関するOSの設定を変更した場合など,何らかの要因によって,JP1/AJS3サービスの再起動前と再起動後で,取得したホスト名で使用されている英文字が,大文字から小文字または小文字から大文字に変わることがあります。
イベントジョブの実行先のエージェントは,マネージャーホスト名の英文字の大文字と小文字を区別するため,ホスト名の英文字が大文字から小文字,または小文字から大文字に変わると,結果としてマネージャーホスト名が変わることになり,次の問題が発生することがあります。
- 起動条件付きジョブネットを実行したままマネージャーのJP1/AJS3サービスを再起動すると,その後に発生した監視対象のイベントを重複して検知する。
- イベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態で,イベントジョブを実行したままマネージャーのJP1/AJS3サービスをホットスタートで再起動すると,一つのイベントに対して不当に複数回イベントを検知する。
イベントジョブ実行継続オプションについては,「15.3.6 JP1/AJS3のサービスが停止してもイベントジョブの実行を継続させる設定」を参照してください。
この問題を回避するには,マネージャーホスト名固定化オプション(環境設定パラメーターFixedHostnameForAgent)を有効に設定してください。マネージャーホスト名固定化オプションを有効に設定すると,イベント・アクション制御マネージャーは常に小文字のホスト名を送信するようになります。
- 注意事項
- 起動条件付きジョブネットを実行中,またはイベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態でイベントジョブを実行したまま,マネージャーホスト名固定化オプションを変更した場合,マネージャーホスト名の英文字が大文字から小文字,または小文字から大文字に変化することになります。
- すでに実行されている起動条件付きジョブネット,またはイベントジョブのジョブの管理状態に不整合が発生し,一つのイベントに対してジョブネットが不当に複数回起動することがあります。
- そのような現象を回避するため,マネージャーホスト名固定化オプションを設定,または変更する場合,次の手順のとおり実施してください。
- 起動条件付きジョブネット,またはイベントジョブを実行しているエージェントホストのJP1/AJSサービスを停止する。
- 手順1のエージェントホストでjpoagoecコマンドを実行し,マネージャーホスト名固定化オプションを有効にするマネージャーホスト名を削除する。jpoagoecコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jpoagoec」を参照してください。
- マネージャーホストで,マネージャーホスト名固定化オプションを設定する。
設定方法については,「(1) 定義手順」を参照してください。
- 手順2のエージェントホストのJP1/AJSサービスをコールドスタートで起動する。
オプションを有効にする設定方法について次に説明します。
- <この項の構成>
- (1) 定義手順
- (2) 環境設定パラメーター一覧
(1) 定義手順
(a) 標準構成の場合
- JP1/AJS3のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※ # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 注※
- 自動停止の設定がされていることを確認してください。
- 次のコマンドを実行して,「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。
jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容- JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
(b) 互換用ISAM構成の場合
- JP1/AJS3のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※ # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 注※
- 自動停止の設定がされていることを確認してください。
- viなどのエディターで,「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
(2) 環境設定パラメーター一覧
表15-51 マネージャーホスト名固定化オプションを設定するための環境設定パラメーター
定義キー 環境設定パラメーター 定義内容
- スケジューラーサービス(共通)の場合
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AJS2\SCHEDULER\EV\MANAGER]※
- 互換用ISAM構成の場合
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMMANAGER]※
"FixedHostnameForAgent"= マネージャーホスト名固定化オプション
- 注※
- {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定してください。
環境設定パラメーターの定義内容の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.4(6) FixedHostnameForAgent」を参照してください。
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