JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1
「8.2.1 クラスタシステムの環境設定の項目」で説明した項目を,コマンドで定義します。実行系と待機系でそれぞれ作業が必要です。
次に,環境設定のコマンドについて,実行系と待機系それぞれでの作業を説明します。環境設定は,JP1のすべてのサービスを停止したあと,JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agentで実施してください。
環境設定の手順を次に示します。
図8-2 クラスタシステムの環境設定の手順
- <この項の構成>
- (1) 実行系での作業(JP1/AJS3 - Manager)
- (2) 待機系での作業(JP1/AJS3 - Manager)
- (3) 実行系での作業(JP1/AJS3 - Agent)
- (4) 待機系での作業(JP1/AJS3 - Agent)
(1) 実行系での作業(JP1/AJS3 - Manager)
- JP1/Baseの実行系での作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,物理ホストと論理ホストを同時に起動する場合,物理ホストと論理ホスト両方のjp1hosts情報に物理ホストのIPアドレスを設定する必要があります。この設定のほかにも,ネットワーク構成や運用環境によってjp1hosts情報の設定が必要な場合があります。マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用に関する注意事項およびjp1hosts情報の設定方法を参照し,必要な設定を行ってください。
- JP1/AJS3 Consoleを使用する場合は,物理ホストのセットアップをする。
JP1/AJS3 Console ManagerおよびJP1/AJS3 Console Agentを使用する場合は,それぞれ次のコマンドを実行します。
JP1/AJS3 Consoleのインストール先フォルダ\bin\ajscmsetup.exe
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\bin\ajscasetup.exe
すでに物理ホストのセットアップがされている場合は上記コマンドの実行は不要です。ただし,JP1/AJS3 Consoleのサービスの起動方法が「自動」になっていない場合は,「自動」にしてください。
- jajs_setup_clusterコマンドを実行して論理ホストを設定し,共有ディスク上に共有ファイル,共有フォルダを作成する。
すべての論理ホストと物理ホストのJP1/AJS3サービスを停止します。セットアップ対象とする論理ホストのIPアドレスを使って通信できる状態にしたあと,jajs_setup_clusterコマンドを実行してください。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
jajs_setup_clusterコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup_cluster」を参照してください。
jajs_setup_cluster [-h 論理ホスト名] -F スケジューラーサービス名 -d 共有フォルダ名 [-n スケジューラーサービスの識別番号] [-m {cold|warm|hot}] {-P 組み込みDBポート番号 -I 組み込みDBセットアップ識別子 | -S }
- -hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
- -Fオプションは必ず指定してください。
- -dオプションは,実行系の環境設定時には必ず指定してください。このオプションには,共有フォルダと共有ファイルを作成する,共有ディスク上のフォルダを指定します。共有フォルダとして,「指定したフォルダ名\jp1ajs2\」を作成し,ローカルディスクの定義ファイル(JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\下のファイル)をコピーします。実行するときには,必ず共有ディスクをマウントしておいてください。省略した場合は,待機系の環境設定を行います。
- -nオプションを省略した場合は,使用していない識別番号のいちばん小さい値が仮定されます。
- -mオプションには,スケジューラーサービスの起動モードを指定します。実行系の環境設定時にだけ有効です。省略した場合は,環境設定パラメーターDEFAULTSERVICENAMEに指定されたスケジューラーサービスの値を引き継ぎます。
- -Pオプションおよび-Iオプションは,論理ホストのセットアップ時に,同時に組み込みDBのセットアップを実行する場合に指定します。
-Pオプションには,論理ホストで使用する組み込みDBのポート番号を指定します。
-Iオプションには,論理ホストで使用する組み込みDBのセットアップ識別子を指定します。
この場合は次の設定で組み込みDBがセットアップされます。
・データベースモデル:-s(小規模モデル)
・システムログ運用:行わない
・システムファイルの二重化 :行わない
・アンロードログファイル:使用しない
・データ領域ディレクトリ:共有フォルダ\jp1ajs2\embdb\-Iオプション指定値\dbarea
・作業領域ディレクトリ:JP1/AJS3のインストール先フォルダ\embdb\-Iオプション指定値\dbarea
・組み込みDB運用ディレクトリ:JP1/AJS3のインストール先フォルダ\embdb\-Iオプション指定値
・データベース領域の自動増分:行う
・システムログの自動増分:行う
その他はデフォルト値が設定されます。
- -Sオプションは,組み込みDBの高度なセットアップを実行する場合に指定します。
-Sオプションを指定した場合,論理ホストのセットアップ時に組み込みDBのセットアップは実行されません。別途,組み込みDBをセットアップする必要があります。
- ジョブ実行環境を作成するために,次のコマンドを実行する。
jpqimportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド jpqimport」を参照してください。
jpqimport -dt isam -ci QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル名 [-mh 論理ホスト名]
- 組み込みDBの高度なセットアップを実行する。
手順3で-Sオプションを指定した場合,組み込みDBの高度なセットアップを実施します。
組み込みDBの高度なセットアップについては,「付録D 組み込みDBの高度なセットアップ(クラスタ構成の場合)」を参照してください。
- JP1/AJS3 Console Managerの環境設定をする。
JP1/AJS3 Console Managerを使用している場合,次の手順でJP1/AJS3 Console Managerの環境設定をしてください。
JP1/AJS3 Console Agentのクラスタ運用時の環境設定は,JP1/AJS3 Managerのクラスタ運用時のセットアップ中に実施されるため,JP1/AJS3 Console Agentのクラスタ運用時の環境設定は必要ありません。
次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターDATADIRECTORYに論理ホストのデータディレクトリのフォルダパスを設定します。
(例)論理ホスト名が「node0」で,論理ホストの共有フォルダが「e:\shdsk\node0」の場合
jajs_config -k [論理ホスト名\JP1AJS2CONSOLEMANAGER] "DATADIRECTORY"="論理ホストのデータディレクトリのフォルダパス"
jajs_config -k [node0\JP1AJS2CONSOLEMANAGER] "DATADIRECTORY"="e:\shdsk\node0\jp1ajs2cm\database"- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名
- 注意事項
- ajsqlsetupコマンドを実行すると,共有ディスク上にキューレスジョブの実行に必要なファイルを作成してチェックするため,必ず共有ディスクをマウントしてから実行してください。
- 論理ホストのサービスの設定を確認する。
環境設定パラメーターSTARTMODEなどに,運用に適したオプションが設定されているか確認してください。
- 組み込みDBのサービスを停止する。
この手順で「JP1/AJS3 Database _JFn」※がサービスに追加された場合,追加された「JP1/AJS3 Database _JFn」が停止していることを確認してください。「JP1/AJS3 Database _JFn」が起動している場合は,停止してください。
- 注※
- 「_JFn」は論理ホストのJP1/AJS3サービスが使用する組み込みDBセットアップ識別子です。
これで実行系での作業は完了です。
- 注意事項
- 設定は論理ホストごとに実施してください。
- 実行系の論理ホストの設定(jajs_setup_clusterコマンド)は,環境設定パラメーターDEFAULTSERVICENAMEに指定されたスケジューラーサービスの環境をコピーして,論理ホスト環境を作成します。
- 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する設定が必要な場合は,「8.2.7(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する」を参照して設定してください。
- 実行系の論理ホストの設定(jajs_setup_clusterコマンド)を実行すると,論理ホスト用の設定ファイルが共有フォルダのconfフォルダ配下に作成されます。論理ホストの設定を変更する場合は,論理ホスト用の設定ファイルを編集してください。
(2) 待機系での作業(JP1/AJS3 - Manager)
- JP1/AJS3 Consoleを使用する場合は,物理ホストのセットアップをする。
JP1/AJS3 Console ManagerおよびJP1/AJS3 Console Agentを使用する場合は,それぞれ次のコマンドを実行します。
すでに物理ホストのセットアップがされている場合は上記コマンドの実行は不要です。ただし,JP1/AJS3 Consoleのサービスの起動方法が「自動」になっていない場合は,「自動」にしてください。
JP1/AJS3 Consoleインストール先フォルダ\bin\ajscmsetup.exe JP1/AJS3インストール先フォルダ\bin\ajscasetup.exe
- 実行系でのJP1/Base,JP1/AJS3,JP1/IMの作業を完了させたあと,実行系の共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。実行するコマンドを次に示します。
- 実行系
- jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系
- jbssetcnf 退避ファイル名
- JP1/Baseの待機系での作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,物理ホストと論理ホストを同時に起動する場合,物理ホストのjp1hosts情報に物理ホストのIPアドレスを設定する必要があります。
- jajs_setup_clusterコマンドを実行して,論理ホストを設定する。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
jajs_setup_cluster [-h 論理ホスト名] -F スケジューラーサービス名 [-S]
- -hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
- -Fオプションには,実行系で指定したスケジューラーサービス名を必ず指定します。
- -Sオプションは,組み込みDBの高度なセットアップを実行する場合に指定します。
-Sオプションを指定した場合,論理ホストのセットアップ時に組み込みDBのセットアップは実行されません。別途,組み込みDBをセットアップする必要があります。
- 組み込みDBの高度なセットアップを実行する。
手順4で-Sオプションを指定した場合,組み込みDBの高度なセットアップを実施します。
組み込みDBの高度なセットアップについては,「付録D 組み込みDBの高度なセットアップ(クラスタ構成の場合)」を参照してください。
- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名 -nc
- 組み込みDBのサービスを停止する。
この手順で「JP1/AJS3 Database _JFn」※がサービスに追加された場合,追加された「JP1/AJS3 Database _JFn」が停止していることを確認してください。「JP1/AJS3 Database _JFn」が起動している場合は,停止してください。
- 注※
- 「_JFn」は論理ホストのJP1/AJS3サービスが使用する組み込みDBセットアップ識別子です。
これで待機系での作業は終了です。
- 注意事項
- 設定は論理ホストごとに実施してください。
- 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する設定が必要な場合は,「8.2.7(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する」を参照して設定してください。
(3) 実行系での作業(JP1/AJS3 - Agent)
- JP1/Baseの実行系での作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,物理ホストと論理ホストを同時に起動する場合,物理ホストと論理ホスト両方のjp1hosts情報に物理ホストのIPアドレスを設定する必要があります。この設定のほかにも,ネットワーク構成や運用環境によってjp1hosts情報の設定が必要な場合があります。マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用に関する注意事項およびjp1hosts情報の設定方法を参照し,必要な設定を行ってください。
- jajs_setup_clusterコマンドを実行して論理ホストを設定し,共有ディスク上に共有ファイル,共有フォルダを作成する。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
jajs_setup_cluster -h 論理ホスト名 [-d 共有フォルダ名]
- -hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
- -dオプションは,実行系の環境設定時には必ず指定してください。このオプションには,共有フォルダと共有ファイルを作成する,共有ディスク上のフォルダを指定します。共有フォルダとして,「指定したフォルダ名\jp1ajs2\」を作成し,ローカルディスクの定義ファイル(JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf下のファイル)をコピーします。実行するときには,必ず共有ディスクをマウントしておいてください。省略した場合は,待機系の環境設定を行います。
- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名
- 注意事項
- ajsqlsetupコマンドを実行すると,共有ディスク上にキューレスジョブの実行に必要なファイルを作成してチェックするため,必ず共有ディスクをマウントしてから実行してください。
これで実行系での作業は完了です。
- 注意事項
- 設定は論理ホストごとに実施してください。
(4) 待機系での作業(JP1/AJS3 - Agent)
- 実行系でのJP1/Base,JP1/AJS3,JP1/IMの作業を完了させたあと,実行系の共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。実行するコマンドを次に示します。
- 実行系
- jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系
- jbssetcnf 退避ファイル名
- JP1/Baseの待機系での作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,物理ホストと論理ホストを同時に起動する場合,物理ホストのjp1hosts情報に物理ホストのIPアドレスを設定する必要があります。
- jajs_setup_clusterコマンドを実行して,論理ホストを設定する。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
-hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
jajs_setup_cluster -h 論理ホスト名
- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名
これで待機系での作業は終了です。
- 注意事項
- 設定は論理ホストごとに実施してください。
Copyright (C) 2009, 2014, Hitachi, Ltd.
Copyright (C) 2009, 2014, Hitachi Solutions, Ltd.