JP1/Performance Management - Agent Option for JP1/AJS3
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- <この項の構成>
- (1) PFM - Agentの登録
- (2) 共有ディスクのマウント
- (3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
- (4) 接続先PFM - Managerの設定
- (5) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
- (6) ネットワークの設定
- (7) ログのファイルサイズ変更
- (8) パフォーマンスデータの格納先の変更
- (9) 動作ログ出力の設定
- (10) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
- (11) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
- (12) 共有ディスクのアンマウント
- (13) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
- (14) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
- (15) クラスタソフトからの起動・停止の確認
- (16) クラスタシステムでの環境設定
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for JP1/AJS3を登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for JP1/AJS3のデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。
登録は,PFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「3.1.4 PFM - Agent for JP1/AJS3のセットアップ手順」を参照してください。
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。
jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義を設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
- 注意
- コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムのサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
- jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して,PFM - Agent for JP1/AJS3の論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をlhost01としています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
jpcconf ha setup -key ajs3 -lhost lhost01 -d /jp1(jpchasetup create agtj -lhost lhost01 -d /jp1)
共有ディスクのディレクトリ名は,-dオプションの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d /jp1と指定すると/jp1/jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)
jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,PFM - Agent for JP1/AJS3を管理するPFM - Managerを設定します。
- jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
接続先PFM - Managerのホスト名は,-sオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-sオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-hajとしています。
jpcconf mgrhost define jp1-haj -host host01(jpcnshostname -s jp1-haj -lhost lhost01)
また,PFM - Agent for JP1/AJS3の論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - Agent for JP1/AJS3の論理ホスト名をlhost01としています。
(5) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
PFM - Agent for JP1/AJS3のほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合に必要な設定です。
ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。
- IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合には,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- ポート番号を設定する
ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間で通信する場合には,jpcconf port(jpcnsconfig port)コマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびマニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「3.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
PFM - Agent for JP1/AJS3の論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
- jpcconf ha export(jpchasetup export)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt(jpchasetup export -f lhostexp.txt)
(11) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
「(10) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
- 注意
- 共有ディスクがアンマウントされていても,指定した環境ディレクトリにjp1pcディレクトリがあり,jp1pcディレクトリ以下にファイルがある場合は,共有ディスクをマウントしないでセットアップしています。この場合は次の手順で対処してください。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリをtarコマンドでアーカイブする。
- 共有ディスクをマウントする。
- 共有ディスク上に指定した環境ディレクトリがない場合は,環境ディレクトリを作成する。
- 共有ディスク上の環境ディレクトリにtarファイルを展開する。
- 共有ディスクをアンマウントする。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリ以下を削除する。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
- jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for JP1/AJS3を起動するための設定が実施されます。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt(jpchasetup import -f lhostexp.txt)
また,セットアップ時にjpcconf port(jpcnsconfig port)コマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
実行系ノードでjpcconf ha list(jpchasetup list)を実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。
jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for JP1/AJS3をクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Agent for JP1/AJS3での設定方法を次の表に示します。
表4-5 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for JP1/AJS3の制御方法
項目 説明 起動 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for JP1/AJS3を起動します。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key AH -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart act lhost= 論理ホスト名) /opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key ajs3 -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart agtj lhost= 論理ホスト名)起動するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスが使用できる状態になったあとです。停止 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for JP1/AJS3を停止します。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key ajs3 -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop agtj lhost= 論理ホスト名) /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key AH -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop act lhost= 論理ホスト名)停止するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスを使用できない状態にする前です。
障害などでサービスが停止しているときは,jpcstopコマンドの戻り値が3になります。この場合はサービスが停止しているので,正常終了として扱います。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどの方法で対応してください。動作監視 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認します。
ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス"監視対象のプロセスは,次のとおり。
jpcagtj,agtj/jpcsto,jpcahプロセス名については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」を参照してください。
メンテナンスなどで運用中のPerformance Managementを一時的に停止する場合があります。これに備えて,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことをお勧めします。強制停止 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行します。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key jp1pc -lhost 論理ホスト名 -kill immediate(/opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate)第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけです。
強制停止は,通常の停止を実行しても停止できない場合に限って実行するよう設定してください。
- 注意
- コマンドを実行すると,指定した論理ホスト環境すべてのPerformance Managementのプロセスが,SIGKILL送信によって強制停止されます。このとき,サービス単位ではなく,論理ホスト単位でPerformance Managementが強制停止されます。
- 注意
- クラスタに登録するPerformance Managementのプログラムは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時の自動起動設定をしないでください。
- Performance Managementのプログラムを日本語環境で実行する場合,クラスタソフトに登録するスクリプトでLANG環境変数を設定してから,Performance Managementのコマンドを実行するようにしてください。
- クラスタソフトがコマンドの戻り値で実行結果を判定する場合は,Performance Managementのコマンドの戻り値をクラスタソフトの期待する値に変換するように設定してください。Performance Managementのコマンドの戻り値については,各コマンドのリファレンスを確認してください。
- psコマンドで表示される文字の長さはOSによって異なります。論理ホスト名とインスタンス名を合わせて,47文字以内になるように設定してください。また,psコマンドで動作監視する場合,事前にpsコマンドで論理ホストがすべて表示されているか確認してください。表示が途中で切れてしまっている場合は表示されている文字までを監視するように設定してください。
- クラスタソフトへサービスを登録する際は,JP1/AJS3,またはJP1/AJS2稼働中のパフォーマンス データを収集するために,次の起動順序(停止時は逆の順序)で各製品のサービスを登録することを推奨します。
- JP1/Baseのサービス
- PFM - Agent for JP1/AJS3のサービス
- JP1/AJS3のサービス,またはJP1/AJS2のサービス
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラム環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
Copyright (C) 2009, Hitachi, Ltd.
Copyright (C) 2009, Hitachi Software Engineering Co., Ltd.