Cosminexus 機能解説
ここでは,統合ユーザ管理で使用するユーザ情報の管理方法について説明します。
統合ユーザ管理では,ユーザ情報を格納するリポジトリとして,LDAP,またはデータベースを使用します。LDAPディレクトリサーバでは,ユーザや組織の情報は,DITで管理されます。統合ユーザ管理フレームワークで使用するLDAPディレクトリサーバでは,ユーザおよびレルムをDITのエントリとして管理します。エントリは,DITを構成する情報で,DITの各節に該当する情報です。個々のエントリは,DN(識別名)で区別されます。
Cosminexusでは,統合ユーザ管理フレームワークで使用するLDAPディレクトリサーバに格納する標準のユーザ管理リポジトリのDIT構造を規定しています。統合ユーザ管理フレームワークで使用するリポジトリは,2種類あります。
これらのリポジトリは,次の図に示すようなディレクトリ構造を持ちます。
図13-7 統合ユーザ管理フレームワークのリポジトリのDIT構造
各リポジトリについて説明します。
ユーザ認証で使用するユーザ情報は,ユーザ情報リポジトリに格納します。統合ユーザ管理フレームワークは,LDAPディレクトリサーバのユーザ情報リポジトリに格納されたユーザ情報を基にユーザを認証して,認証したユーザの情報をアプリケーションに渡します。ユーザ情報リポジトリのユーザ情報の参照には,ユーザ認証ライブラリを使用します。ユーザ情報リポジトリのDIT構造を次の図に示します。
図13-8 ユーザ情報リポジトリのDIT構造
管理するレルムごとにユーザ情報リポジトリを設定してください。
JAAS対応ユーザ管理のレルム名を指定します。レルム名は次の表に示す基準に従って指定してください。
表13-1 レルム名の基準
情報の種類 | 意味 | 文法 |
---|---|---|
レルム名 | ユーザ管理の範囲を示す識別子。 | 英数字列。 大文字と小文字を区別しません。 DN名で使用できる名前を付けてください。 |
注 英数字列は,英字(A〜Z,a〜z)と数字(0〜9)の文字の並びを意味します。ASCII文字列で指定してください(文法については,プログラムではチェックしていません)。
該当レルムを使用する各アプリケーション固有の情報を格納する場合に使用してください。統合ユーザ管理フレームワークを使用する場合に必須な情報はありません。
レルムに属するユーザエントリの上位エントリです。レルムに属する各ユーザのエントリは,このエントリの下階層にある必要があります。なお,ユーザエントリがこのエントリの直下にない場合は,ua.conf(統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル)のcom.cosminexus.admin.auth.ldap.search.scopeオプションを変更する必要があります。また,このエントリで指定した情報はjaas.conf(JAASのコンフィグレーションファイル)に指定する必要があります。各コンフィグレーションファイルについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス 定義編」を参照してください。
ユーザ情報を定義します。ユーザ認証ライブラリでは,ユーザ情報として次の表に示す属性が必要です。
表13-2 ユーザ情報に必要な属性
属性名 | 説明 | 必須 |
---|---|---|
ユーザID | ユーザIDを格納します。属性は,文字列(cisなど)である必要があります。デフォルトでは,「uid」属性名を使用します。 | 必須 |
パスワード | パスワードを格納します。属性はバイナリです。平文または暗号化した値を格納します。この属性に値が指定されていない場合は,アカウントが無効になります。デフォルトでは,「userPassword」属性名を使用します。 | オプション |
そのほかの属性 | 各アプリケーションが定義している属性です。 | 各アプリケーションの仕様に従ってください。 |
ユーザIDおよびパスワードの属性名は,jaas.conf(JAASのコンフィグレーションファイル)で変更できます。
ユーザ情報リポジトリのディレクトリ構成は,JAAS対応ユーザ管理で推奨するDIT構成です。別の構成で管理する場合は「ユーザ認証ライブラリのベースDN」以下の次の条件を満たすユーザのエントリが必要です。
なお,ユーザ情報リポジトリのベースDN,使用するユーザIDおよびパスワードの属性名については,ua.conf(統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル)で指定します。ua.confについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス 定義編」を参照してください。
統合ユーザ管理フレームワークは,データベースに格納されたユーザ情報を基にユーザを認証できます。データベースでは,ユーザIDからパスワードを取得できるようにしてください。
シングルサインオンでユーザ認証するための各システムの認証情報とマッピング情報は,シングルサインオン情報リポジトリに格納します。統合ユーザ管理フレームワークは,LDAPディレクトリサーバのシングルサインオン情報リポジトリに格納されたユーザ情報を基にユーザマッピングをして,シングルサインオンを実現します。シングルサインオン情報リポジトリのユーザ情報は,シングルサインオンライブラリを使用して参照します。シングルサインオン情報リポジトリのDIT構造を次の図に示します。
図13-9 シングルサインオン情報リポジトリのDIT構造
シングルサインオンを使用するために必要な情報を管理するDITの,最上位のエントリです。このエントリは,ua.conf(統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル)で指定します。ua.confについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス 定義編」を参照してください。なお,ここで指定する名称は,大文字と小文字が区別されません。この値は,標準のオブジェクトクラスである「organizationalUnit」のou属性に設定されます。
ユーザ情報はレルムごとに管理されます。シングルサインオン情報リポジトリのレルム名では,大文字と小文字は区別されません。この値は,標準のオブジェクトクラスである「organizationalUnit」のou属性に設定されます。
シングルサインオンで接続したいアプリケーションで,ユーザ管理に使用しているユーザの認証情報および接続先を格納するためのエントリです。ユーザエントリの構造を次の図に示します。
図13-10 ユーザエントリの構造
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