JP1 Version 8 JP1/NETM/Asset Information Manager 設計・構築ガイド

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3.2.3 インベントリ情報の引き当て方法の設定

JP1/NETM/DMでは,ネットワークにあるPCやプリンタなどの機器の情報や,PCにインストールされているソフトウェアの情報などを収集できます。この収集した情報(インベントリ情報)を資産管理データベースに取り込んで管理するためには,JP1/NETM/DMでのクライアントと,Asset Information Managerでの管理対象を一致させて,同一の機器の情報が別の機器の情報として登録されてしまうなどの,誤登録を避ける必要があります。

JP1/NETM/DMで収集した情報を,正確に資産管理データベースの資産情報に引き当てるために,インベントリ情報および資産情報のキーとなる情報を設定します。

インベントリ情報の資産情報への引き当て方法の設定は,[サーバセットアップ]ダイアログで設定します。設定する項目については,「5.3.7 JP1/NETM/DM連携の設定」を参照してください。

ここでは,[サーバセットアップ]ダイアログでの設定に従って,どのようにインベントリ情報が登録されるかについて,詳しく説明します。

[サーバセットアップ]ダイアログでの設定と引き当ての流れを次の図に示します。

図3-4 [サーバセットアップ]ダイアログでの設定と引き当ての流れ

[図データ]

図中の(1)〜(11)の数字は,これ以降の説明の見出しと対応しています。

注意事項
  • [サーバセットアップ]ダイアログでの設定「ダイヤルアップ接続のMACアドレス」で,「引き当て情報にしない」を指定している場合,ダイヤルアップ接続の機器はMACアドレスで引き当てられません。
  • 引き当て先となる資産情報の機器種別が「システム装置」(「機器種別」のコードが100〜199)ではない場合,資産が新規に登録されます。
<この項の構成>
(1) 「資産情報の引き当てキー」の種類
(2) 運用キーを使用する場合
(3) 引き当て処理(ノード識別キーが「IPアドレス運用」の場合)
(4) 引き当て処理(ノード識別キーが「ホスト名運用」の場合)
(5) ホスト識別子で引き当てられなかった場合
(6) 引き当て処理(「ホスト識別子のみが同一の資産を引き当てる」を指定した場合)
(7) 引き当て処理(「MACアドレスが同一の資産を引き当てる」を指定した場合)
(8) 引き当て処理(「運用方式に従って引き当てる」を指定した場合)
(9) 「資産情報の引き当て1」で指定した方法で引き当てられなかった場合
(10) 引き当て処理(「IPアドレスとホスト名を使用して引き当てる」を指定した場合)
(11) 引き当たらなかった資産の新規登録
(12) 運用キー別の資産情報の引き当て方法

(1) 「資産情報の引き当てキー」の種類

JP1/NETM/DMで収集したインベントリ情報の資産情報への引き当て方法は,JP1/NETM/DMの運用キーを使用する方法と,業務メニュー「インベントリ情報の引き当て」で設定した資産番号への引き当て項目を使用する方法があります。

(2) 運用キーを使用する場合

ホスト識別子とは,JP1/NETM/DMシステム内で一意な値で,各機器を識別するキー情報です。ホスト識別子はJP1/NETM/DM Clientのインストール時に生成され,JP1/NETM/DMサーバに自動的に通知されます。したがって,ホスト識別子は,ノード識別キーに比べて,ネットワーク構成の変化による影響を受けません。

JP1/NETM/DMの設定でホスト識別子ありの運用にしている場合は,このホスト識別子を使用して引き当てます。「ホスト識別子あり」を選択していない場合は,ノード識別キーを使用して引き当てます。

ノード識別キーには,ホスト名またはIPアドレスが使用できます。どちらで管理するかはJP1/NETM/DMのセットアップ時に選択します。両方を混在して使用することはできません。

(3) 引き当て処理(ノード識別キーが「IPアドレス運用」の場合)

次の順序で引き当てられます。

  1. MACアドレスおよびIPアドレスが同じ資産情報が引き当てられます。
  2. MACアドレスが同じ資産情報が引き当てられます。
  3. IPアドレスが同じ資産情報が引き当てられます。

登録,更新時には,資産情報の「引き当てキー」にIPアドレスが設定されます。

(4) 引き当て処理(ノード識別キーが「ホスト名運用」の場合)

次の順序で引き当てられます。

  1. MACアドレスおよびホスト名が同じ資産情報が引き当てられます。
  2. MACアドレスが同じ資産情報が引き当てられます。
  3. ホスト名が同じ資産情報が引き当てられます。

登録,更新時には,資産情報の「引き当てキー」にホスト名が設定されます。

(5) ホスト識別子で引き当てられなかった場合

ホスト識別子で引き当てられなかった場合は,[サーバセットアップ]ダイアログでの設定「資産情報の引き当て1」で指定します。

なお,登録,更新時には,資産情報の「引き当てキー」にホスト識別子が設定されます。

(6) 引き当て処理(「ホスト識別子のみが同一の資産を引き当てる」を指定した場合)

ホスト識別子と「引き当てキー」の値が同じ資産情報が引き当てられます。

(7) 引き当て処理(「MACアドレスが同一の資産を引き当てる」を指定した場合)

次の順序で引き当てられます。

  1. ホスト識別子と「引き当てキー」の値が同じ資産情報が引き当てられます。
  2. 該当する資産情報がない場合,MACアドレスが同じ資産情報が引き当てられます。

(8) 引き当て処理(「運用方式に従って引き当てる」を指定した場合)

次の順序で引き当てられます。

  1. ホスト識別子と「引き当てキー」の値が同じ資産情報が引き当てられます。
  2. MACアドレス,IPアドレス,ホスト名が同じ資産情報が引き当てられます。
  3. ノード識別子が「ホスト名運用」の場合,MACアドレスとホスト名が同一の資産が引き当てられます。
  4. ノード識別子が「IPアドレス運用」の場合,MACアドレスとIPアドレスが同一の資産が引き当てられます。
  5. 3.と4.のどちらの場合でも,該当する資産情報がない場合は,MACアドレスが同じ資産情報に引き当てられます。

(9) 「資産情報の引き当て1」で指定した方法で引き当てられなかった場合

「資産情報の引き当て1」で指定した方法で引き当てられなかった場合(ホスト識別子またはMACアドレスが同じ資産がなかった場合)は,「資産情報の引き当て2」での指定に従います。ホスト識別子で引き当てられなかった場合とは,リプレースで機器が異なる場合,またはOSを再インストールした場合が該当します。

(10) 引き当て処理(「IPアドレスとホスト名を使用して引き当てる」を指定した場合)

次の順序で引き当てられます。

  1. IPアドレスとホスト名が同じ資産情報が引き当てられます。
  2. ノード識別子が「ホスト名運用」の場合,ホスト名が同一の資産が引き当てられます。
    ノード識別子が「IPアドレス運用」の場合,IPアドレスが同一の資産が引き当てられます。

(11) 引き当たらなかった資産の新規登録

該当する資産情報がない場合は,[サーバセットアップ]ダイアログでの設定「引き当たらなかった資産の新規登録」の指定に従って,登録されるかどうかが決まります。「新規登録する」を指定した場合は,新規に登録されます。「新規登録しない」を指定した場合は,登録されません。

(12) 運用キー別の資産情報の引き当て方法

[サーバセットアップ]ダイアログでの設定「資産情報の引き当てキー」で,「運用キーに従う」を指定した場合に,引き当てキーとなる情報が更新されたときの引き当て方法を次の表に示します。

表3-1 JP1/NETM/DMの運用キー別の引き当て方法

インベントリ情報が
更新される状況
(更新される情報)
ホスト識別子あり ホスト識別子なし
ホスト名 IPアドレス
IPアドレスの変更
(IPアドレス)
ホスト識別子で引き当てる。 MACアドレスとホスト名で引き当てる。 MACアドレスで引き当てる。
ホスト名の変更
(ホスト名)
ホスト識別子で引き当てる。 MACアドレスで引き当てる。 MACアドレスとIPアドレスで引き当てる。
OSの再インストール
(ホスト識別子)
次のどれかで引き当てる。
  • MACアドレス
  • MACアドレス,ホスト名およびIPアドレス
  • MACアドレスおよびホスト名
  • MACアドレスおよびIPアドレス
MACアドレスとホスト名で引き当てる。 MACアドレスとIPアドレスで引き当てる。
リプレース
(ホスト識別子,MACアドレス)
次のどれかで引き当てる。
  • ホスト名およびIPアドレス
  • ホスト名
  • IPアドレス
ホスト名で引き当てる。 IPアドレスで引き当てる。
注※
「資産情報の引き当て2」で「IPアドレスとホスト名を使用して引き当てる」を選択している場合の引き当て方法です。

リプレースを例に,[サーバセットアップ]ダイアログでの設定方法を説明します。なお,[サーバセットアップ]ダイアログでの設定「資産情報の引き当てキー」で,「運用キーに従う」を指定して,「運用キー」で「ホスト識別子あり」を指定していることを前提とします。

リプレースすると,ホスト識別子とMACアドレスが異なるため,「資産情報の引き当て1」では引き当てられません。そのため,「資産情報の引き当て2」の設定に従って引き当てられます。

リプレースの際は,リプレース後の機器を新規機器とするか,リプレース前の資産と同一の機器とするかによって,次のように指定します。

リプレースした機器を新規資産として登録するには
  • 「資産情報の引き当て2」で「引き当てを行わない」を指定する。
  • 「引き当たらなかった資産の新規登録」で「新規登録する」を指定する。
リプレースした機器を前の機器と同じ資産として引き当てるには
  • 「資産情報の引き当て2」で「IPアドレスとホスト名を使用して引き当てる」を指定する。
    リプレース前の機器とホスト名またはIPアドレスが一致した場合は,リプレース前の機器の情報と引き当てられます。
注意事項
  • 該当する資産が複数存在する場合は,登録日が最新の資産の情報が更新されます。
  • PCカードなど移動可能なネットワークカードを複数の機器で共有する場合は,JP1/NETM/DMで「ホスト識別子あり」の運用にしてください。
  • JP1/NETM/DMで「ホスト識別子あり」の運用にしている場合,機器のOSをインストールし直すと,「ホスト識別子」が新たに採番されます。そのため,「引き当てキー」による引き当てができなくなります。
    この場合,「資産情報の引き当て1」および「資産情報の引き当て2」での設定に従って引き当てられます。
  • 引き当てには,ハードウェア資産情報の「MACアドレス」,「IPアドレス」および「ホスト名」の値が使用されます。
  • 引き当てられた資産情報の状態が「廃棄」(「機器状態」のコードが500〜699)の場合,情報は更新されません。