JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド
Agent Collectorサービスが収集するパフォーマンスデータの記録方法を変更できます。パフォーマンスデータの記録方法として設定されている内容には,次のものがあります。
- 記録の対象とするかどうか
- データの収集間隔
- 収集を開始する際のオフセット値
- 記録対象のレコードについて,Storeデータベースに記録するときの条件式
パフォーマンスデータの記録方法は,レコードごとに設定されています。ただし,レコードによっては変更できない場合もあります。詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録に記載されているプロパティの説明を参照してください。
なお,パフォーマンスデータの記録方法を変更するには,次の二つの方法があります。
- 監視コンソールで変更する
- コマンドで変更する
それぞれについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) 監視コンソールでパフォーマンスデータの記録方法を変更する
- (2) コマンドでパフォーマンスデータの記録方法を変更する
(1) 監視コンソールでパフォーマンスデータの記録方法を変更する
監視コンソールでパフォーマンスデータの記録方法を変更する場合は,PFM - Web Consoleの[サービス階層]画面で行います。
手順を次に示します。
- 監視コンソールのブラウザーからPFM - Web Consoleにログインする。
管理ユーザー権限を持つユーザーアカウントでログインします。[サービス階層]画面での操作には,管理ユーザー権限が必要です。
PFM - Web Consoleの[メイン]画面が表示されます。
- [メイン]画面のナビゲーションフレームで,[サービス階層]タブを選択する。
[サービス階層]画面が表示されます。
- [サービス階層]画面のナビゲーションフレームで,「Machines」フォルダの下位の階層を展開する。
Performance Managementのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。
- パフォーマンスデータの記録方法を変更するホストの名前が付いたフォルダの下位の階層を展開し,Agent Collectorサービスを選択する。
Agent Collectorサービスは,2文字目が「A」であるサービスです。サービスIDの詳細については,「付録B.1 (1) サービスID」および各PFM - Agentのマニュアルに記載されている識別子一覧を参照してください。
選択したAgent Collectorサービスにチェックマークが表示されます。
- メソッドフレームの[プロパティ]メソッドを選択する。
Agent Collectorサービスのプロパティ画面に遷移し,プロパティが階層表示されます。
図10-1 Agent Collectorサービスのプロパティ階層の表示例
ノードとレコードタイプの対応を次の表に示します。
表10-1 ノードとレコードタイプの対応
ノード レコードタイプ Detail Records PDレコードタイプ Interval Records PIレコードタイプ Log Records PLレコードタイプ
- 記録方法を変更したいレコードがあるノードを展開し,該当するレコードを選択する。
レコードタイプを示すノードを展開すると,レコードを示すノードが表示されます。レコード名は,データベースIDを除いたレコードIDで表示されます。
選択したレコードにチェックマークが表示され,インフォメーションフレームの下部に選択したレコードの記録方法の設定値が表示されます。
- レコードに設定されている記録方法の定義内容を変更する。
インフォメーションフレームの下部に選択したレコードのプロパティが表示されます。
図10-2 記録方法の設定例
プロパティの設定内容を変更します。各プロパティの説明および設定値を次の表に示します。
プロパティ名 説明および設定値 Description 選択したレコードの説明が表示されます。変更はできません。 Log 収集したレコードをStoreデータベースに記録するかどうかを指定します。
- Yes:記録する
- No:記録しない
Collection Interval レコードの収集間隔を0〜2147483647の整数で指定します。単位は秒です。
「0」を指定した場合,レコードは収集されません。Collection Offset レコードの収集を開始するオフセット値を0〜32767の整数で指定します。単位は秒です。
例えば,「0」を指定した場合は,収集対象のレコードを同じタイミングに収集します。「20」を指定した場合は,「0」を指定しているレコードの収集開始から20秒遅れてレコードの収集が開始されます。LOGIF 記録対象のレコードに対し,データベースに記録するための条件式を指定できます。ここで設定した条件に従って,レコードが記録されます。
テキストボックスをクリックすると,[ログ収集条件設定]画面が別ウィンドウで表示されます。[ログ収集条件設定]画面では,対象となるフィールド,演算子,判断基準となる値などを指定し,条件式を作成します。設定内容を[OK]ボタンで確定すると,LOGIFのテキストボックスに作成した条件式が設定されます。詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の[ログ収集条件設定]画面についての説明を参照してください。注意
- パフォーマンスデータを収集するレコード数を増やすと,ディスク容量やシステム性能に影響を及ぼすことがあります。収集するレコードを設定する場合は,必要なディスク容量やレコードの収集間隔など,パフォーマンスデータの収集条件を考慮し,監視に必要な項目だけを設定してください。必要なディスク容量については,各PFM - Agentのマニュアルの付録に記載されているシステム見積もりについての説明を参照してください。
- Collection Interval(レコードの収集間隔)は,デフォルト値または60秒以上の値でかつ,3,600の約数を指定してください。3,600秒(1時間)を超えるレコード収集間隔を指定する場合は,3,600の倍数でかつ86,400(24時間)の約数を指定してください。レコードの収集間隔をデフォルト値より小さい値に設定した場合,または60秒より小さい値に設定した場合,Agent CollectorサービスやAgent Storeサービスが過負荷となり,収集したパフォーマンスデータを保存できなくなることがあります。
- Collection Offset(レコードの収集を開始するオフセット値)の値を変更する場合は,収集処理の負荷を考慮した上で値を設定してください。
- PIレコードタイプのレコードのCollection Interval(レコードの収集間隔)を60秒の倍数以外の値に設定した場合でも保存されるパフォーマンスデータは秒以外の収集時刻が同じパフォーマンスデータ間で要約され,分単位の値として保存されます。
(例)
Collection Intervalを30秒に指定した場合
Collection Intervalを90秒に指定した場合
収集時刻 保存されるパフォーマンスデータの時刻 12:01:00
12:01:30
12:02:00
12:02:3012:01:00
12:01:00
12:02:00
12:02:00
収集時刻 保存されるパフォーマンスデータの時刻 12:00:00
12:01:30
12:03:00
12:04:3012:00:00
12:01:00
12:03:00
12:04:00- [OK]ボタンをクリックする。
変更した設定内容が有効になります。
各レコードに設定できる値およびデフォルト値は,レコードによって異なります。設定できる値,設定範囲およびデフォルト値については,各PFM - Agentマニュアルの,レコードについて説明している章を参照してください。
(2) コマンドでパフォーマンスデータの記録方法を変更する
データベースへのパフォーマンスデータの記録方法は,次の流れで変更します。
- jpcasrec outputコマンドで,現在の記録方法に関する定義内容をXML形式のファイルに出力する
- 出力したXML形式のファイルを基に,記録方法に関する定義内容を変更する
- jpcasrec updateコマンドで,記録方法の定義内容を,変更したXML形式のファイルの内容に更新する
それぞれの操作について説明します。
(a) jpcasrec outputコマンドで記録方法の定義内容を出力する
PFM - Web Consoleがインストールされているホストで,jpcasrec outputコマンドを実行します。jpcasrec outputコマンドは,エージェントに接続して取得したStoreデータベースへの記録方法に関する定義情報をXML形式のファイルに出力します。
手順を次に示します。
- PFM - Web Consoleがインストールされているホストにログインする。
次のOSユーザー権限を持つユーザーでログインしてください。
- Windowsの場合
Administrators権限
- UNIXの場合
rootユーザー権限
- jpcmkkeyコマンドを実行する。
認証用キーファイルを作成するコマンドを実行します。
jpcmkkey -user administrator- jpcasrec outputコマンドを実行する。
例えば,サービスIDが「TA1host1」というPFM - AgentのStoreデータベースの記録方法に関する定義情報を「asrec.xml」というパラメーターファイルに出力する場合は,次のように指定します。
コマンドを実行すると,指定した出力ファイル(XML形式のファイル)に記録方法に関する定義内容が出力されます。
jpcasrec output -o asrec.xml TA1host1
出力例を次に示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE pr-cli-parameters SYSTEM "asrec_params.dtd"> <pr-cli-parameters ver="0100"> <agent-store-db-record-definition> <service id="TA1host1"> <record id="PD_DEV"> <!-- Description : Devices Detail --> <log>Yes</log> <collection-interval>60</collection-interval> <collection-offset>0</collection-offset> <logif> </logif> </record> <record id="PD_GEND"> <!-- Description : Generic Data Detail --> <log>No</log> <collection-interval>60</collection-interval> <collection-offset>0</collection-offset> <logif> </logif> </record> : : : </service> </agent-store-db-record-definition> </pr-cli-parameters>(b) jpcasrec outputコマンドで出力した定義内容を変更する
jpcasrec outputコマンドで出力したXMLファイルの,記録方法に関する定義内容を変更します。XMLファイルの内容は,テキストエディターやXMLエディターなどで編集できます。
ファイルの書式および各タグの設定内容について次に示します。必要に応じて編集してください。
- 書式
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE pr-cli-parameters SYSTEM "asrec_params.dtd"> <pr-cli-parameters ver="0100"> <agent-store-db-record-definition> <service id="サービスID"> <record id="レコードID"> <!-- Description : Content Index Detail --> <log>データベースに記録するかどうか</log> <collection-interval>収集間隔</collection-interval> <collection-offset>収集開始のオフセット値</collection-offset> <logif> <and> <or> <expression>フィールド 条件 "値"</expression> <expression>フィールド 条件 "値"</expression> </or> <expression>フィールド 条件 "値"</expression> : </and> </logif> </record> : </service> </agent-store-db-record-definition> </pr-cli-parameters>- 定義内容
1行目にはXML宣言を,2〜3行目には文書型宣言を記述します。次に示すとおりに記述してください。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE pr-cli-parameters SYSTEM "asrec_params.dtd"> <pr-cli-parameters ver="0100">4行目以降に定義するタグについて次の表に示します。各タグの定義は,表の記載順に指定してください。
表10-3 XML定義内容
タグ名 必須 説明および設定値 <agent-store-db-record-definition>・・・</agent-store-db-record-definition> ○ Storeデータベース記録方法定義情報のルートのタグです。 <service id="サービスID">・・・</service> ○ PFM - Agentを特定するサービスIDを指定します。
Agent CollectorサービスのサービスIDは,2文字目が「A」のものです。
サービスIDの詳細については,「付録B.1 (1) サービスID」を参照してください。
<service>タグは,<record>タグを含みます。
<service>タグは,複数指定できます。<record id="レコードID">・・・</record> ○ 記録方法の設定を変更するレコードIDを指定します。
<record>タグは,<log>タグ,<collection-interval>タグ,<collection-offset>タグ,および<logif>タグを含みます。詳細については,「表10-4 レコードごとの記録方法(<record>タグ)」を参照してください。
<record>タグは,複数指定できます。
- (凡例)
- ○:省略できない
<record>タグ(レコードごとの記録方法)に含まれるタグと設定値について次の表に示します。<record>タグは,複数指定できます。なお,<record>タグに含まれるタグの定義は,表の記載順に指定してください。
表10-4 レコードごとの記録方法(<record>タグ)
タグ名 必須 設定値 <log>・・・</log> − 収集したパフォーマンスデータをStoreデータベースに記録するかどうかを指定します。
次の値のどちらかを半角英文字で指定します。
<log>タグは,一つの<record>タグ内に一つだけ指定できます。
- Yes:記録する
- No:記録しない
<collection-interval>・・・</collection-interval> − パフォーマンスデータの収集間隔を0〜2147483647の整数で指定します。単位は秒です。
「0」を指定した場合,パフォーマンスデータは収集されません。
<collection-interval>タグは,一つの<record>タグ内に一つだけ指定できます。<collection-offset>・・・</collection-offset> − パフォーマンスデータの収集を開始するオフセット値を0〜32767の整数で指定します。単位は秒です。
「0」を指定した場合,収集対象のパフォーマンスデータを同時に収集します。
<collection-offset>タグは,一つの<record>タグ内に一つだけ指定できます。<logif>・・・</logif> − 記録対象のパフォーマンスデータに対し,データベースに記録するための条件式を指定できます。
詳細については,「表10-5 データベースに記録するための条件式(<logif>タグ)」を参照してください。
<logif>タグは,一つの<record>タグ内に一つだけ指定できます。
- (凡例)
- −:省略できる
- 注 省略した項目の値は更新されません。
- 注意
- パフォーマンスデータを収集するレコード数を増やすと,ディスク容量やシステム性能に影響を及ぼすことがあります。収集するレコードを設定する場合は,必要なディスク容量やレコードの収集間隔など,パフォーマンスデータの収集条件を考慮し,監視に必要な項目だけを設定してください。必要なディスク容量については,各PFM - Agentのマニュアルの付録に記載されているシステム見積もりについての説明を参照してください。
- Collection Interval(レコードの収集間隔)は,デフォルト値または60秒以上の値でかつ,3,600の約数を指定してください。3,600秒(1時間)を超えるレコード収集間隔を指定する場合は,3,600の倍数でかつ86,400(24時間)の約数を指定してください。レコードの収集間隔をデフォルト値より小さい値に設定した場合,または60秒より小さい値に設定した場合,ファイルのオープン数および使用メモリーが増加します。このためStoreデータベースの処理ができなくなるため,収集したパフォーマンスデータを保存できなくなります。
各レコードに設定できる値およびデフォルト値は,レコードによって異なります。設定できる値,設定範囲およびデフォルト値については,各PFM - Agentマニュアルの,レコードについて説明している章を参照してください。
- Collection Offset(レコードの収集を開始するオフセット値)の値を変更する場合は,収集処理の負荷を考慮した上で値を設定してください。
<logif>タグ(データベースに記録するための条件式)に含まれるタグと設定値について次の表に示します。
表10-5 データベースに記録するための条件式(<logif>タグ)
タグ名 必須 設定値 <and>・・・</and> − <expression>タグ(論理式)を複数指定した場合,そのうち二つをAND演算する場合に指定します。
この場合,AND演算する<expression>タグを<and>タグで囲みます。
条件式は2項演算とし,2項演算のネストを許可します。
<expression>タグが複数指定されている場合,<and>タグは複数指定できます。<or>・・・</or> − <expression>タグ(論理式)を複数指定した場合,そのうち二つをOR演算する場合に指定します。
この場合,OR演算する<expression>タグを<and>タグで囲みます。
条件式は二項演算とし,二項演算のネストを許可します。
<expression>タグが複数指定されている場合,<or>タグは複数指定できます。<expression>・・・</expression> − データベースに記録するための判断条件を指定します。
指定形式は,次のとおりです。
「フィールド 条件 "値"」を空白文字で区切らないで指定します。
- フィールド
- 対象となるフィールドを指定します。
- 指定するフィールドについては,各PFM - Agentのマニュアルのレコードについて書かれている章を参照してください。
- 条件
- 条件には,次のうちのどれかを指定します。なお,XMLファイルの表記として,「<」は「<」と,「>」は「>」と指定してください。
- =
フィールドの値と"値"が等しい
- <
フィールドの値が"値"より小さい
- <=
フィールドの値が"値"より小さいまたは等しい
- >
フィールドの値が"値"より大きい
- >=
フィールドの値が"値"より大きいまたは等しい
- <>
フィールドの値と"値"が異なる
- "値"
- パフォーマンスデータを記録するための判断基準となる値を指定します。指定できる値は,整数値,小数値,または2,048バイト以内の全角/半角文字です。指定できる値は,指定したフィールドによって異なります。
- (凡例)
- −:省略できる
- 注 省略した項目の値は更新されません。
(c) jpcasrec updateコマンドで記録方法の定義内容を更新する
PFM - Web Consoleがインストールされているホストで,jpcasrec updateコマンドを実行します。jpcasrec updateコマンドは,Storeデータベースの記録方法に関する定義情報を,XML形式のファイルに指定した内容に更新します。
手順を次に示します。
- PFM - Web Consoleがインストールされているホストにログインする。
次のOSユーザー権限を持つユーザーでログインしてください。
- Windowsの場合
Administrators権限
- UNIXの場合
rootユーザー権限
- jpcasrec updateコマンドを実行する。
例えば,「asrec.xml」というファイルに記述した記録方法の内容に定義情報を更新する場合は,次のように指定します。
jpcasrec update asrec.xml
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