JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド
JP1/IM - Managerの論理ホストのインストールおよびセットアップについて説明します。なお,同じ論理ホストにJP1/Baseをセットアップする必要がありますので,あわせて説明します。
作業を始める前に,クラスタシステムについて次の情報を確認してください。
表13-10 論理ホストのインストール・セットアップ前の確認(UNIX)
確認項目 説明 論理ホスト名 JP1を実行する論理ホストのホスト名 論理IPアドレス 論理ホスト名に対応するIPアドレス 共有フォルダ 論理ホストのJP1の実行環境ファイル一式を格納する共有ディスク上のフォルダ また,これらが「13.1.2 クラスタ運用の前提条件」を満たしていることを確認してください。
確認ができたら,インストール・セットアップを始めます。
- <この項の構成>
- (1) インストール
- (2) バージョンアップ時のセットアップ
- (3) 物理ホスト環境のセットアップ
- (4) 論理ホスト環境(実行系)のセットアップ
- (5) 共通定義情報のコピー
- (6) 論理ホスト(待機系)のセットアップ
(1) インストール
実行系サーバ,待機系サーバそれぞれのローカルディスク上にJP1/IM - ManagerおよびJP1/Baseをインストールしてください。バージョンアップする場合は,インストールする前に設定情報とDBのバックアップをしてください。バックアップの方法は,過去のバージョンのマニュアルを参照してください。
- JP1/Baseをインストールする。
- JP1/IM - Managerをインストールする。
なお,共有ディスク上には,インストールしないでください。
(2) バージョンアップ時のセットアップ
論理ホスト環境をバージョンアップする場合,次の手順でセットアップをしてください。新規に環境設定する場合は,「13.3.2 (3) 物理ホスト環境のセットアップ」から「13.3.2 (6) 論理ホスト(待機系)のセットアップ」までを参照してください。
(a) 実行系のセットアップ
統合スコープの機能を使用する場合は,手順6から手順8が必要になります。統合スコープの機能を使用しない場合は,手順6から手順8を飛ばしてください。
- JP1/IM - Managerを停止する。
物理ホスト環境,論理ホスト環境すべてのJP1/IM - Managerを停止してください。
- JP1/Baseの論理ホスト環境のセットアップをする。
JP1/Baseをバージョンアップした場合には,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のインストール・アンインストール時の注意事項の説明を参照し,セットアップをしてください。JP1/Baseをバージョンアップしなかった場合にはセットアップの必要はありません。
- 共有ディスクが使用可能なことを確認する。
- jp1cohaverupコマンドを実行する。
/opt/jp1cons/bin/jp1cohaverup -h 論理ホスト名
- イベント取得フィルターの位置をイベントフロー制御サービスに変更する場合はjcochafmodeコマンドを実行する。
/opt/jp1cons/bin/jcochafmode -h 論理ホスト名
- ディスクの空き容量を確認する。
JP1/IM - Managerをバージョンアップするには,/var/opt/jp1scope/database/下のディスク容量分の空き容量が,ハードディスクに必要です。
- jp1cshaverupコマンドを実行する。
/opt/jp1scope/bin/jp1cshaverup -h 論理ホスト名 -w 作業フォルダ
- jbssetcnfコマンドを実行する。
次に示す機能の有効,無効は旧バージョンのJP1/IM - ManagerまたはJP1/IM - Central Scopeの設定に依存します。
- 対処済み連動機能
- 状態変更イベントの上限監視
機能を無効から有効にしたい場合,次の表に示すファイルを引数にjbssetcnfコマンドを実行してください。
表13-11 機能を有効にするための設定ファイル
ファイル名 説明 action_complete_on.conf 対処済み連動機能を有効にするためのファイルです。 evhist_warn_event_on.conf 監視オブジェクトの状態変更イベント件数が上限値(100件)を超えた際に,JP1イベントを発行する機能を有効にするためのファイルです。
- 共通定義情報を退避する。
/opt/jp1base/bin/jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 共通定義情報退避ファイル名
(b) 待機系のセットアップ
- JP1/IM - Managerを停止する。
物理ホスト環境,論理ホスト環境すべてのJP1/IM - Managerを停止してください。
- 実行系で退避した共通定義情報退避ファイルを待機系にコピーする。
FTPなど任意の方法でコピーしてください。
- 共通定義情報を設定する。
/opt/jp1base/bin/jbssetcnf 共通定義情報退避ファイル名
(3) 物理ホスト環境のセットアップ
各サーバで,JP1/BaseおよびJP1/IM - Managerの物理ホスト環境のセットアップをしてください。
- JP1/Baseの物理ホスト環境のセットアップをする。
- JP1/IM - Managerの物理ホスト環境のセットアップをする。
JP1/Baseのセットアップ手順は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
JP1/IM - Managerのセットアップ手順は,クラスタ運用ではない場合と同じ手順です。「10. インストールとセットアップ(UNIXの場合)」を参照してください。なお,物理ホストのJP1/IM - Managerを使わない場合は,セットアップの必要はありません。
(4) 論理ホスト環境(実行系)のセットアップ
(a) セットアップの前準備
- JP1が停止していることを確認する。
物理ホストおよびすべての論理ホストの,JP1/IMとJP1/Baseのプロセスが停止していることを確認してください。
- 共有ディスクが使用可能なことを確認する。
共有ディスクがマウントされていることをmountコマンドを実行して確認してください。
(b) JP1/Baseのセットアップ
- JP1/Baseの論理ホスト(実行系)をセットアップする。
手順の詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/Baseのコマンド実行環境を設定する。
詳細は「10.4.6 コマンド実行環境の設定」を参照してください。
(c) JP1/IM - Managerのセットアップ
●JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Console)の設定
- JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Console)の論理ホストのセットアップコマンドを実行する。
/opt/jp1cons/bin/jp1cc_setup_cluster -h 論理ホスト名 -d 共有ディレクトリ名
引数により,論理ホスト名と共有ディレクトリ名を指定します。
なお,コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cc_setup_cluster(UNIX限定)」(2. コマンド)を参照してください。
- 論理ホスト名(-hオプション)
JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
- 共有ディレクトリ名(-dオプション)
共有ディスク上のディレクトリを指定してください。
「指定したディレクトリ名/jp1cons/」ディレクトリが作成され,論理ホストのJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Console)のファイル一式が作成されます。
続けて,フェールオーバー時に適切に動作するよう,論理ホストのJP1/IM - Managerの環境設定をカスタマイズします。
- 自動アクションの再実行の設定をする。
次のコマンドを実行して,フェールオーバー時の自動アクション再実行について設定をします。
/opt/jp1cons/bin/jcoimdef -r { EXE | OUTPUT | OFF } -h 論理ホスト名
フェールオーバー時に状態が「送信待機」「送信中」「キューイング」および「実行中」だったアクションを,EXEを指定すると再実行し,OUTPUTを指定するとアクション一覧をファイルに出力し,OFFを指定すると処理を行いません。システム設計時の検討内容に従って設定してください。この設定は任意です。
jcoimdefコマンドについては,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jcoimdef」(2. コマンド)を参照してください。
●JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)の設定
- JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)の論理ホストのセットアップコマンドを実行する。
/opt/jp1scope/bin/jp1cs_setup_cluster -h 論理ホスト名 -d 共有ディレクトリ名
引数により,論理ホスト名と共有ディレクトリ名を指定します。
なお,コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cs_setup_cluster(UNIX限定)」(2. コマンド)を参照してください。
- 論理ホスト名(-hオプション)
JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
- 共有ディレクトリ名(-dオプション)
共有ディスク上のディレクトリを指定してください。
「指定したディレクトリ名/jp1scope/」ディレクトリが作成され,論理ホストのJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)のファイル一式が作成されます。
以上で,実行系サーバでの論理ホストのセットアップは完了です。
共有ディスクに論理ホストのJP1/IM - Managerのファイルが作成されていることを確認し,必要に応じて共有ディスクをアンマウントしてください。
(5) 共通定義情報のコピー
実行系サーバの共通定義情報を,待機系サーバにコピーします。
共通定義情報には,論理ホストのJP1/IM - ManagerおよびJP1/Baseを実行するための設定情報が記録されています。次の手順でコピーしてください。
- 実行系サーバで,共通定義情報を退避する。
実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。
/opt/jp1base/bin/jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 共通定義情報退避ファイル名
- 退避ファイルを,実行系サーバから待機系サーバにコピーする。
FTPなど任意の方法でコピーしてください。
- 待機系サーバで,共通定義情報を設定する。
待機系サーバに,実行系サーバからコピーした退避ファイルを使って,共通定義情報を設定します。
/opt/jp1base/bin/jbssetcnf 共通定義情報退避ファイル名
(6) 論理ホスト(待機系)のセットアップ
(a) セットアップの前準備
- JP1が停止していることを確認する。
物理ホストおよびすべての論理ホストの,JP1/IMとJP1/Baseのプロセスが停止していることを確認してください。
なお,待機系サーバでは,共有ディスクが使用可能である必要はありません。
(b) JP1/Baseのセットアップ
- JP1/Baseの論理ホスト(待機系)をセットアップする。
手順の詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/Baseのコマンド実行環境を設定する。
詳細は「10.4.6 コマンド実行環境の設定」を参照してください。
(c) JP1/IM - Managerのセットアップ
●JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Console)の設定
- JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Console)の論理ホストのセットアップコマンドを実行する。
/opt/jp1cons/bin/jp1cc_setup_cluster -h 論理ホスト名
引数により,論理ホスト名を指定します。
なお,コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cc_setup_cluster(UNIX限定)」(2. コマンド)を参照してください。
- 論理ホスト名(-hオプション)
実行系サーバでセットアップした論理ホスト名を指定します。
●JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)の設定
- JP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)の論理ホストのセットアップコマンドを実行する。
/opt/jp1scope/bin/jp1cs_setup_cluster -h 論理ホスト名
引数により,論理ホスト名を指定します。
なお,コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cs_setup_cluster(UNIX限定)」(2. コマンド)を参照してください。
- 論理ホスト名(-hオプション)
実行系サーバでセットアップした論理ホスト名を指定します。
以上で,待機系のセットアップが完了しました。
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