JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド
バージョン7のJP1/IMマネージャー製品からバージョン8のJP1/IM - Managerにバージョンアップする場合,次の点に注意してください。
- <この項の構成>
- (1) インストール先ディレクトリについて
- (2) バージョン7のJP1/IM - Central Consoleからのバージョンアップについて
- (3) バージョン7のJP1/IM - Central Scopeからのバージョンアップについて
(1) インストール先ディレクトリについて
JP1/IM - Managerには次表に示すとおり,大きく分けて三つの情報があり,JP1/IM - Managerインストール時には別個のディレクトリに格納されます。
表7-1 JP1/IM - Managerに関する情報区分
情報名 説明 JP1/IM - Manager情報 JP1/IM - Manager全体(JP1/IM - Central Console,JP1/IM - Central Scope含む)に関する情報。 統合コンソール情報 統合コンソール機能(旧バージョンのJP1/IM - Central Consoleの機能が該当)に関する情報。 統合スコープ情報 統合スコープ機能(旧バージョンのJP1/IM - Central Scopeの機能が該当)に関する情報。 Windowsの場合,バージョンアップすると,次の形で表7-1の情報がフォルダに格納されます(インストール先フォルダは,JP1/IM - Managerインストール時に指定したフォルダとなります。なお,インストール先フォルダのデフォルト値はシステムドライブ:\Program Files\HITACHI\です)。
インストール先フォルダ\JP1IMM\ ←JP1/IM - Manager情報が格納される。 インストール先フォルダ\JP1Cons\ ←統合コンソール情報が格納される※。 インストール先フォルダ\JP1Scope\←統合スコープ情報が格納される※。注※ 異なるフォルダに旧バージョンのJP1/IM - Central ConsoleやJP1/IM - Central Scopeをインストールしていた場合は,旧バージョンのインストール先フォルダにこれらの情報が格納されます。その場合,上に示すフォルダは作成されません。
UNIXの場合,バージョンアップすると,次の形で表7-1の情報がディレクトリに格納されます。
/etc/opt/jp1imm/ ←JP1/IM - Manager情報が格納される。 /opt/jp1imm/ ←同上。 /var/opt/jp1imm/ ←同上。 /etc/opt/jp1cons/ ←統合コンソール情報が格納される。 /opt/jp1cons/ ←同上。 /var/opt/jp1cons/ ←同上。 /etc/opt/jp1scope/ ←統合スコープ情報が格納される。 /opt/jp1scope/ ←同上。 /var/opt/jp1scope/ ←同上。
(2) バージョン7のJP1/IM - Central Consoleからのバージョンアップについて
JP1/IM - Managerにバージョンアップする前に設定情報のバックアップをしてください。バックアップの方法は,過去のバージョンのマニュアルを参照してください。
バージョンアップすると,バージョン7のJP1/IM - Central Consoleの定義情報が引き継がれます。ただし,次の点について注意してください。
- 論理ホスト(クラスタ)環境についてはjp1cohaverupコマンドを実行して今バージョンで追加された定義情報を反映する必要があります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cohaverup」(2. コマンド)
- 旧バージョンのJP1/IM - Central Consoleでイベント取得フィルター(互換用)を使用していた場合,バージョンアップしてもイベント取得フィルター(互換用)はJP1イベントの監視にだけ有効なフィルターとして動作します(フィルター位置はイベントコンソールサービスとなります)。
図7-1 イベント取得フィルター(互換用)のフィルター位置
この場合,次に示す機能は,JP1/IM - Managerが取得したJP1イベントすべてを処理対象とします。
このため,フィルターの設定によっては,例えば,自動アクションが実行されているにもかかわらず,[イベントコンソール]画面にはその自動アクションの契機となったJP1イベントが表示されない,といった現象が発生することがあります。
- 自動アクション(自動アクションサービスが該当)
- 統合スコープ(セントラルスコープサービスが該当)
- 相関イベント発行(相関イベント発行サービスが該当)
- JP1/IM - Incident Master連携機能(インシデント登録サービスが該当)
また,イベント取得フィルター(互換用)で定義できる内容は,JP1/SESイベントの取得可否,重大度,イベントIDによる取得可否だけです(ほかのフィルターと同等の細かな条件定義ができません)。
JP1/IMとして取得するJP1イベントを統一したい,または,ほかのフィルターと同様に,詳細にフィルター条件を定義したい場合には,jcochafmodeコマンドを実行して,フィルター位置をイベントコンソールサービスからイベントフロー制御サービスに移動してください。なお,元のイベント取得フィルター(互換用)で設定した内容は,次表のとおりに引き継がれます。運用に合わせて設定内容,条件群名を変更してください。
表7-2 イベント取得フィルター設定項目の引き継ぎ
jcochafmodeコマンド実行前の設定 jcochafmodeコマンド実行後 設定なし 何も設定のない「既存条件群」に引き継がれる。 イベントIDだけ設定 「既存条件群」に引き継がれる。 重大度だけ設定 「既存条件群」に引き継がれる。 JP1/SESイベントだけ設定 「既存条件群_SES」に引き継がれる。 JP1/SESイベント,イベントIDを設定 JP1/SESイベント,イベントID※の設定が「既存条件群_SES」として引き継がれる。
イベントID※の設定が「既存条件群」として引き継がれる。重大度,イベントIDを設定 「既存条件群」に引き継がれる。 JP1/SESイベント,重大度を設定 JP1/SESイベントの設定は「既存条件群_SES」として引き継がれる。
重大度の設定は「既存条件群」として引き継がれる。JP1/SESイベント,重大度,イベントIDを設定 JP1/SESイベント,イベントID※の設定が「既存条件群_SES」として引き継がれる。
重大度,イベントID※の設定が「既存条件群」として引き継がれる。
- 注※
- イベントIDの設定は条件群両方に引き継がれます。
なお,バージョンアップ前のイベント取得フィルターで運用したい場合は,jcochafmodeコマンドの実行は不要です。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jcochafmode」(2. コマンド)
- 注意事項
- jcochafmodeコマンドを実行して,イベント取得フィルターの位置をイベントコンソールサービスからイベントフロー制御サービスに変更すると,以前のイベント取得フィルターに戻せなくなります。jcochafmodeコマンドを実行する前に,イベント取得フィルターの位置の変更について,十分に検討をしてください。
- 07-00のJP1/IM - Central Consoleからバージョンアップした場合,ユーザーフィルター,重要イベントフィルター,表示フィルターおよびイベント検索の条件として定義した情報は次のように引き継がれます。運用に合わせて条件群名を変更してください。
- ユーザーフィルター
フィルター名,ユーザー名はそのまま,フィルター条件は「既存条件群」として引き継がれる。
- 重要イベントフィルター
フィルター条件は「既存条件群」として引き継がれる。
- 表示フィルター
フィルター名は「既存のフィルター条件」,フィルター条件は「既存条件群」として引き継がれる。
- イベント検索条件
検索条件は「既存条件群」として引き継がれる。
- 07-00,07-10のJP1/IM - Central Consoleからバージョンアップした場合,「KAVB9032-E アクション情報ファイルの移行に失敗しました。保守コード:保守コード」メッセージのダイアログが表示されることがあります。この場合には,次の表に示す保守コードに従って対処してください。
表7-3 KAVB9032-Eの保守コード
保守コード 対処方法 2 インストール完了後,資料採取ツールで資料を採取しシステム管理者に連絡してください。その際,保守コードもあわせて連絡してください。 3 インストール完了後,資料採取ツールで資料を採取しシステム管理者に連絡してください。その際,保守コードもあわせて連絡してください。 4 インストール完了後,使用していないアプリケーションを停止してください。その後,再度上書きインストールを実施してください。 - バージョン7で使用していたWWWページ版動作定義ファイルの名称が次表のとおり変更され,バージョン8用のWWWページ版動作定義ファイルが新規作成されます。定義情報は引き継がれません。
表7-4 WWWページ版動作定義ファイルの名称変更
旧バージョンの定義情報をバージョン8に反映したい場合は,名称変更された旧バージョンのファイルを参照して,バージョン8用に新規作成されたファイルに反映してください。WWWページ版動作定義ファイルについては,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス WWWページ版動作定義ファイル(console_ja.html)」(3. 定義ファイル)を参照してください。
OS 名称変更前 名称変更後 Windows Consoleパス\www\console_ja.html Consoleパス\www\console_ja.html.jp1_im_console_v7_backup UNIX /opt/jp1cons/www/console_ja.html /opt/jp1cons/www/console_ja.html.jp1_im_console_v7_backup
- UNIXの場合,07-00,07-10のJP1/IMからバージョンアップすると,バージョン07-10-/A以降で変更になったJP1/IM起動用スクリプトの修正が反映されません。jco_startコマンドでJP1/IMを起動している場合,バージョンアップしたあと,次のファイルを上書きコピーしてください。
コピー元:/etc/opt/jp1cons/jco_start.model
コピー先:/etc/opt/jp1cons/jco_start
- JP1/IM - Incident Master連携機能で使用している用語が次表のように変更になりました。
表7-5 用語の変更
項番1〜7の用語はJP1/IM - Managerが出力するメッセージ中で使用されている用語です。項番8,9はマニュアルでだけ使用している用語です。
項番 変更前(バージョン7時) 変更後(バージョン8時) 1 イベント相関機能 インシデント登録機能 2 イベント相関サービス インシデント登録サービス 3 イベント相関環境定義ファイル インシデント登録環境定義ファイル 4 イベント相関定義(ファイル) インシデント登録定義(ファイル) 5 イベント相関用システムプロファイル インシデント登録用システムプロファイル 6 イベント相関履歴 インシデント登録履歴 7 相関条件 インシデント登録条件 8 相関稼働 稼働 9 相関休止 休止
自動アクションやJP1イベントのフィルタリング,JP1/Baseのログファイルトラップなどで,上記表の項番1〜7の用語を条件に設定していた場合は,設定を変更する必要があります。設定の見直しをしてください。
(3) バージョン7のJP1/IM - Central Scopeからのバージョンアップについて
JP1/IM - Managerにバージョンアップする前に設定情報とDBのバックアップをしてください。バックアップの方法は,過去のバージョンのマニュアルを参照してください。
バージョンアップすると,バージョン7のJP1/IM - Central Scopeの定義情報が引き継がれます。また,セントラルスコープサービスの有効・無効設定も引き継がれます。ただし,次の点に注意してください。
- バージョンアップ時点では,JP1/IM - Central Scope部分は,旧バージョンの機能範囲で動作します。旧バージョンのJP1/IM - ViewでCSV出力した監視ツリー情報,ビジュアル監視情報をJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)に反映したい場合は,この段階で編集,反映を済ませてください。
反映を済ませた,または,反映不要の場合は,jp1csverup.batコマンド(Windowsの場合),またはjp1csverupコマンド(UNIXの場合)を実行してJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)をバージョン8の環境にしてください。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1csverup.bat(Windows限定)」(2. コマンド)
- 参考
- バージョン8のJP1/IM - Viewでは,旧バージョンのJP1/IM - Viewで保存したCSVの内容を表示・編集できます(CSVのバージョンは,タイトルバーに表示されます)。また,編集した内容は,同一バージョンのJP1/IM - Central Scope,またはJP1/IM - Managerに反映できます。
- コマンド実行前は,旧バージョンの環境でJP1/IM - Central Scope部分は動作するため,旧バージョンのCSVの内容を反映することができます。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1csverup(UNIX限定)」(2. コマンド)
- 論理ホスト(クラスタ)環境についてはjp1cshaverup.batコマンドを実行して今バージョンで追加された定義情報の反映と監視オブジェクトDBをバージョンアップさせる必要があります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cshaverup.bat(Windows限定)」(2. コマンド)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス jp1cshaverup(UNIX限定)」(2. コマンド)
- 旧バージョンで監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を有効にしていなかった場合には,有効に設定することを検討してください。
監視ツリー更新中にOSのシャットダウン,クラスタシステムによるフェールオーバーなどが発生すると,監視オブジェクトDBへの書き込みが中途のままとなり,監視オブジェクトDBが破損してしまうことがあります。これを防ぐため,監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を有効にすることをお勧めします。特に,クラスタ運用の際には必ず有効にするようにしてください。
設定は,監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定ファイル(auto_dbbackup_xxx.conf)を引数に,jbssetcnfコマンドを実行して,JP1共通定義情報にその定義内容を反映させることで有効となります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定ファイル(auto_dbbackup_xxx.conf)」(3. 定義ファイル)
- 旧バージョンで次に示す機能を無効に設定していた場合,有効にすることを検討してください。
設定は,定義ファイルを編集し,jbssetcnfコマンドを実行することで有効になります。
- 対処済み連動機能
- 状態変更イベントの上限監視
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 状態変更イベント件数の上限監視設定ファイル(evhist_warn_event_xxx.conf)」(3. 定義ファイル)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス 対処済み連動設定ファイル(action_complete_xxx.conf)」(3. 定義ファイル)
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