Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Windows®用)
「2.7 パス切り替えによるフェイルオーバとフェイルバック」で説明した稼働状態と閉塞状態は,さらに稼働状態は4つ,閉塞状態は3つの状態に分けられます。7つの状態を,稼働状態に含まれるものと閉塞状態に含まれるものとに分けて説明します。説明にある「オフライン操作」とは,HDLM GUIのパス管理ウィンドウでオフライン操作をすることか,またはofflineオペレーションを実行することです。offlineオペレーションについては,「6.4 offline パスを閉塞状態にする」を参照してください。
- この項の構成
- (1) 稼働状態
- (2) 閉塞状態
- (3) パスの状態遷移
稼働状態に含まれるものを次に示します。
- Online状態
正常にI/Oを発行できます。- Online(P)状態
Online状態のパスに対してOffline処理の実行待ちの状態です。
この状態は,クラスタ構成時にだけ発生します。
リザーブ処理中のLUに接続しているOnline状態のパスに対してオフライン操作をしたときの状態です。リザーブ処理が完了するまで,正常にI/Oを発行できます。リザーブ処理が完了するとoffline処理が実行され,Offline(C)状態になります。
Online(P)の「P」は待機属性を示します。待機属性とは,パスがoffline処理の実行待ちであることを示すものです。- Online(E)状態
パスに障害が発生しています。また,同じLUにアクセスするほかのパスのうちに,Online状態のパスがありません。
1つのLUにアクセスするパスのうちにOnline状態のパスがなくなった場合,パスの1つはOnline(E)状態になります。1つのLUにアクセスするパスがすべて閉塞状態になることはありません。これは,LUにアクセスできなくなることを防ぐためです。Online(E)の「E」は,エラー属性を示します。エラー属性とは,パスに障害が発生していることを示すものです。- Online(EP)状態
クラスタ構成時,かつリザーブ処理中に次に示す過程を経るとOffline(P)状態のパスがこの状態になります。Online(EP)状態からOffline(P)状態になったあとにリザーブ処理が完了すると,Offline処理に成功してOffline(C)状態になります。
- LUに接続するパスが2本のとき,ユーザがOffline(E)状態のパスにオフライン操作をして,Offline(P)状態にします。
もう1本のパスは,Online(E)状態になっています。- Offline(P)状態とOnline(E)状態のパスがある状態でHDLMがOnline(E)状態のパスで障害を検知すると,それぞれのパスの状態は次のように遷移します。
Online(E)状態だったパスはOffline(E)状態に遷移します。
Offline(P)状態だったパスはOnline(EP)状態に遷移します。
Online(EP)状態のままリザーブ処理が完了すると,Offline処理に失敗してOnline(E)状態になります。
閉塞状態に含まれるものを次に示します。
- Offline(C)状態
オペレーションの実行オフライン操作によって,パスが閉塞状態になっています。
Offline(C)の「C」は,コマンド属性を示します。コマンド属性とは,コマンドまたはGUIの操作によって,パスが閉塞状態になっていることを示すものです。- Offline(E)状態
障害が発生したため,パスが閉塞状態になっています。
Offline(E)の「E」は,エラー属性を示します。エラー属性とは,パスに障害が発生していることを示すものです。- Offline(P)状態
この状態は,クラスタ構成時にだけ発生します。
リザーブ処理中のLUに接続しているOffline(E)状態のパスに対して,オフライン操作をしたときの状態です。リザーブ処理が完了するとoffline処理が実行され,Offline(C)状態になります。
Offline(P)の「P」は待機属性を示します。待機属性とは,パスがoffline処理の実行待ちであることを示すものです。
パスの状態遷移を次の図に示します。
- (凡例)
- オンライン操作:パス管理ウィンドウでのオンライン操作,またはHDLMコマンドのonlineオペレーションの実行
- オフライン操作:パス管理ウィンドウでのオフライン操作,またはofflineオペレーションの実行
- 注※1
- リザーブ処理中はOnlineからいったんOnline(P)になり,リザーブ処理完了後にOffline(C)になります。
- 注※2
- 次に示す条件を満たしている場合,接続しているOffline(C)のパスを自動的に稼働状態へ切り替えます。
- 稼働状態のパスがOnline(E)だけになった状態で,かつOnline(E)のパスに対応するSCSIデバイスが削除されている。
- SCSIデバイスが接続状態で,かつ自動フェイルバック対象外のOffline(E)のパスがない。
- Offline(C)のパスにSCSIデバイスが接続している。
- 注※3
- パスを動的に追加すると,まずOffline(C)の状態で追加されます。その後,自動的にOnlineへ遷移します。パスの動的追加の詳細については,「4.7.1 追加したLUおよびパスをHDLMの管理対象にする」を参照してください。
- 注※4
- 次の条件をすべて満たす場合は,間欠障害が発生していると見なされたパスでも自動フェイルバックの対象になります。
- LUに接続するすべてのパスがOnline(E),Offline(E),またはOffline(C)となっている。
- LUに接続するすべてのパスに間欠障害が発生したと見なされている。
- LUにI/Oが連続して発行され,I/Oが成功している。
- 注※5
- リザーブ処理中はOffline(E)からいったんOffline(P)になり,リザーブ処理完了後にOffline(C)になります。
- 注※6
- 次に示す条件を満たしている場合,接続しているOffline(E)のパスを自動的に稼働状態へ切り替えます。
- 稼働状態のパスがOnline(E)だけになった状態で,かつOnline(E)のパスに対応するSCSIデバイスが削除されている。
- Offline(E)のパスは間欠障害が発生したと見なされ,自動フェイルバック対象外になっている。
- Offline(E)のパスにSCSIデバイスが接続している。
各LUに対する最後の稼働状態のパスは,パス管理ウィンドウ,offlineオペレーションでは閉塞状態にできません。これは,LUにアクセスできなくなることを防ぐためです。offlineオペレーションについては,「6.4 offline パスを閉塞状態にする」を参照してください。1つのLUにアクセスするパスの中に,稼働状態(Online)のパスがなくなった場合,パスの1つがOnline(E)になります。自動フェイルバック機能を使用している場合,パスが障害から回復すると,そのパスは自動的に稼働状態(Online)になります。ただし,次の例外があります。
- 間欠障害を監視している場合,間欠障害と見なされたパスは,障害から回復しても自動的に稼働状態(Online)になりません。この場合,パスを手動で稼働状態(Online)にしてください。障害から回復した場合に稼働状態のパスがOnline(E)だけだったとき,パスが自動的に稼働状態になることがあります。詳細については,「図2-13 パスに間欠障害が発生していないと見なす場合の動作」を参照してください。
- 自動フェイルバック機能を使用しなくても,自動的にパスが稼働状態になる場合があります。Windowsのプラグ アンド プレイ機能に対応したハードウェアを取り外すとパスが閉塞状態になりますが,その後ハードウェアを戻すと自動的に稼働状態になります。ただし,ほかに閉塞状態となる原因がない場合です。自動フェイルバック機能を使用しなくても自動的にパスが稼働状態になるので,パスを手動で稼働状態(Online)にする必要はありません。
なお,LUの動的削除機能を使用している場合,Online(E)状態になったパスは削除されるため,パス管理ウィンドウ,またはviewオペレーションでは,Online(E)状態のパスは表示されません。
- 注意事項
- HDLMコマンド,HDLM GUIを使用してパスのオフライン操作を行った直後にパスに障害が発生すると,一度Offline(C)となった状態がOffline(E)に遷移する場合があります。オフライン操作を実行した場合は,一定時間(2分程度)待ってから再度HDLMコマンド,HDLM GUIを使用してパスの状態を確認し,Offline(C)になっていることを確認してください。Offline(E)になっている場合は,再度オフライン操作を実行してください。
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