Replication Manager Software Application Agent CLI リファレンスガイド

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2.3.4 drmfsrestore(バックアップしたファイルシステムを正ボリュームにリストアする)

書式

drmfsrestore バックアップID -resync [ -force ]
            [ -target ディレクトリ名 | -f 一括定義ファイル名 ]
            [ -pf コピーパラメーター定義ファイル]

説明

バックアップIDで指定された副ボリュームのバックアップデータを,ディスクの再同期で正ボリュームにリストアします。複数の物理ボリュームで構成されるファイルシステムの場合,それらのすべての物理ボリュームをリストアします。

次に,ディスクの再同期でリストアするときのコマンドの動作を説明します。

  1. リストアされるファイルシステムがマウントされていた場合,ファイルシステムは自動的にアンマウントされます。
    ファイルシステムのアンマウントに失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,リストア処理はエラーになります。
    ファイルシステムがあらかじめアンマウントされていた場合,次の手順に進みます。
  2. ファイルシステムが正常にアンマウントされたことを確認したあと,ディスクの再同期で,副ボリュームから正ボリュームにバックアップデータがリストアされます。
  3. ファイルシステムがマウントされます。

次に,クラスタ構成でリストアするときのコマンドの動作を説明します。

  1. リストアされるファイルシステムのディスクリソースがオンラインの場合,ディスクリソースは自動的にオフラインにされます。
    ディスクリソースのオフラインに失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,リストア処理はエラーになります。
    ディスクリソースがあらかじめオフラインだった場合,次の手順に進みます。
  2. ディスクリソースが正常にオフライン状態になったことを確認したあと,ディスクの再同期で,副ボリュームから正ボリュームにバックアップデータがリストアされます。
  3. ディスクリソースがオンラインにされます。

Application Agentの構成定義ファイル(init.conf)でCLU_MSCS_RESTOREONLINEが設定されている場合,Microsoft Cluster ServiceまたはWindows Server Failover Clustering環境のクラスタグループ内のボリュームに対して,クラスタリソースがオンライン状態でリストアできます。

正ボリューム上のデータは,バックアップ時点での副ボリュームのディスクイメージで上書きされます。したがって,バックアップ後に正ボリューム上に新規に作成したり,更新したりしたデータはすべて無効となります。

このコマンドを実行する前に,リストア対象のボリュームを使用するアプリケーションプログラムはすべて終了させておく必要があります。OSが使用しているボリュームはリストアできません。

このコマンドは,副ボリュームのデータを正ボリュームにリストアするためのものです。drmmediabackupコマンドによって副ボリュームからテープにバックアップしたり,drmmediarestoreコマンドによってテープから副ボリュームへリストアしたり,drmmountコマンドによって副ボリュームをマウントしたりするときは,このコマンドを使用しないでください。

バックアップ後に物理ディスクのパーティションスタイルが変更された場合に,コマンドを実行したときは次の表に示す動作になります。

表2-11 物理ディスクのパーティションスタイルとコマンド実行結果

バックアップ前 バックアップ後 リストアコマンド実行結果
正ボリューム 正ボリューム 副ボリューム コマンド状態
MBRディスク MBRディスク MBRディスク 正常終了
GPTディスク エラー(KAVX5171-E またはKAVX5137-E)
再同期実施後※1
GPTディスク MBRディスク エラー(DRM-10337)
再同期実施前※2
GPTディスク エラー(DRM-10337)
再同期実施前※2
GPTディスク MBRディスク MBRディスク エラー(DRM-10337)
再同期実施前※2
GPTディスク エラー(DRM-10337)
再同期実施前※2
GPTディスク MBRディスク エラー(KAVX5171-E または KAVX5137-E)
再同期実施後※1
GPTディスク 正常終了

注※1
再同期処理が実行されたあとに,エラーが表示されます。

注※2
再同期処理が実行される前に,エラーが表示されます。

引数

バックアップID

リストアするバックアップデータのバックアップIDを指定します。バックアップIDとは,バックアップデータを一意に識別するためのIDで,バックアップ時に,バックアップカタログに登録されます。バックアップIDを確認するには,drmfscatコマンドを実行します。

-resync

正ボリュームと副ボリュームを再同期することでリストアします。正ボリュームの内容は,副ボリュームのバックアップデータと同じになります。

-force

正ボリュームと副ボリュームを強制的に再同期することで,リストアする場合に指定します。

このオプションを指定すると,ファイルサーバでバックアップを実行したときに取得した正ボリュームのコピーグループ名がファイルサーバの情報と一致していれば,LDEV番号またはSERIAL番号がバックアップ時の番号と一致していない場合にも強制的に再同期します。このオプションは,ボリュームを入れ替えてLDEV番号が変わった場合など,-resyncオプションを指定しただけでは再同期でリストアできないときにだけ指定してください。通常のリストアでこのオプションを指定した場合,データが破壊されるおそれがあります。

-target ディレクトリ名

特定のディレクトリを含むファイルシステムをリストアする場合に指定します。ディレクトリ名は,マウントポイントディレクトリ名,ドライブ文字,またはボリュームマウントポイント名を表します。ディレクトリ名は,バックアップIDで指定したバックアップカタログに登録されている必要があります。ただし,バックアップ済みのディレクトリ名を指定した場合は,バックアップカタログに登録されていなくてもリストアできます。

このオプションを指定するときは,ディレクトリ名は,絶対パスで指定してください。データは,バックアップした時点での格納場所と同じ場所にリストアされます。指定するディレクトリ名は,バックアップしたディレクトリ名と完全に一致させてください。ディレクトリ名のパスが完全に一致しない場合,正しくリストアされません。複数のディレクトリ名を一度にリストアするときは,ディレクトリ名をコンマで区切って指定します。空白を含んだディレクトリ名を指定する場合,指定するディレクトリ名を引用符(")で囲む必要があります。パスの末尾に「\」を指定しないでください。

このオプションおよび-fオプションの両方を省略した場合は,バックアップカタログに登録されたファイルシステム全体をリストアします。

-f 一括定義ファイル名

特定のファイルまたはディレクトリを含むファイルシステムをリストアする場合に指定します。ファイル名またはディレクトリ名は,バックアップIDで指定したバックアップカタログに登録されている必要があります。

リストアするファイルまたはディレクトリの絶対パスの一覧を記述した一括定義ファイルをあらかじめ作成しておきます。一括定義ファイル名を指定することで,リストアするファイルやディレクトリを一度に指定できます。一括定義ファイル名は絶対パスで指定します。指定する個々のファイル名またはディレクトリ名は,drmfsbackupコマンドの-targetオプションまたは-fオプションを指定した場合,指定したパスと完全に一致させてください。ファイル名またはディレクトリ名のパスが完全に一致しない場合,正しくリストアされません。パスの末尾に「\」を指定しないでください。

空白を含んだ一括定義ファイル名を指定する場合,指定する一括定義ファイル名を引用符(")で囲む必要があります。ただし,一括定義ファイル内で対象のファイル名またはディレクトリ名を記述する場合は,指定するパス名を引用符(")で囲む必要はありません。

このオプションおよび-targetオプションの両方を省略した場合は,バックアップカタログに登録されたファイルシステム全体をリストアします。

-pf コピーパラメーター定義ファイル

コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。

このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述されていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。

コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。

<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\raid

注意事項

戻り値

0:正常終了した場合

0以外:エラーが発生した場合

使用例

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