Replication Manager Software Application Agent CLI リファレンスガイド

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1.7.1 EX_DRM_EXG_BACKUP(Exchangeデータベースをバックアップする)

書式

コールドバックアップする場合(Exchange Server 2003)

EX_DRM_EXG_BACKUP オペレーションID [ -mode cold ]
           [ -transact_log_del ]
                  [ -c { offline | online } ]
                  [ -hostname 仮想サーバ名 ]
                  [ -event_check ] [ -comment バックアップコメント]
                  [ -rc [ 世代識別名 ]]
                  [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
                  [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
                  [ -s バックアップサーバ名
                    [ -auto_import
                      [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
                    ]
                    [ -svol_check ]
                  ]

オンラインバックアップする場合(Exchange Server 2003)

EX_DRM_EXG_BACKUP オペレーションID -mode online
                  [ -hostname 仮想サーバ名 ]
                  [ -event_check ] [ -comment バックアップコメント ]
                  [ -rc [ 世代識別名 ]]
                  [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
                  [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
                  [ -s バックアップサーバ名
                    [ -auto_import
                      [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
                    ]
                    [ -svol_check ]
                  ]

VSSバックアップする場合

EX_DRM_EXG_BACKUP オペレーションID -mode vss
                  [ -transact_log_del | -noverify | -noverify_log_del ]
                  [ -hostname 仮想サーバ名 ]
                  [ -event_check ] [ -comment バックアップコメント ]
                  [ -rc [ 世代識別名 ]]
                  [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
                  [ -vf VSS定義ファイル名 ]
                  [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
                  [ -s バックアップサーバ名
                    [ -auto_import
                      [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
                    ]
                    [ -svol_check ]
                  ]

説明

drmexgbackupコマンドを実行し,オペレーションIDで指定されたストレージグループまたはインフォメーションストアのExchangeデータベースを正ボリュームから副ボリュームにバックアップします。このとき,バックアップIDを生成します。

Exchange Serverでバックアップする単位を,次に示します。

Exchange Server 2003のStandard Editionの場合
データベース全体

Exchange Server 2003のEnterprise EditionまたはExchange Server 2007の場合
データベース全体またはストレージグループ単位

Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合
データベース全体またはインフォメーションストア単位

バックアップの対象となるのは,次の表に示すファイルです。

表1-15 Exchange Serverのバックアップの対象となるファイル

オプション 対象データベース 対象ファイル
対象ファイル種別は固定 Exchange Serverストレージグループ データファイル *.edb
*.stm
注※
*.stmファイルは,Exchange Server 2003にだけ存在します。
トランザクションログファイル *.log
チェックポイントファイル *.chk
対象ファイル種別は固定 Exchange Serverインフォメーションストア データファイル *.edb
トランザクションログファイル *.log
チェックポイントファイル *.chk

前提条件

次の前提条件があります。

引数

オペレーションID

処理の対象となるリソースを表す固有の文字列を指定します。指定したオペレーションIDに対応したオペレーション定義ファイルの情報が,拡張コマンドの実行に使用されます。

-mode cold

Exchange Server 2003のデータベースをコールドバックアップする場合に指定します。

-modeオプションを省略した場合は,このオプションを指定したことになります。

-mode online

Exchange Server 2003のデータベースをオンラインバックアップする場合に指定します。このオプションを指定した場合は,-transact_log_delオプション,「-c online」および「-c offline」を指定することはできません。

この拡張コマンドで副ボリュームにオンラインバックアップしたExchangeデータベースをテープにバックアップする場合は,Exchangeデータベースの整合性を検証してからテープにバックアップする必要があります。Exchangeデータベースの整合性を検証してテープにバックアップするには,EX_DRM_EXG_VERIFYを実行してからEX_DRM_TAPE_BACKUPを実行します。

-mode vss

VSSを使用してExchangeデータベースをバックアップするときに指定します。

このオプションを指定する場合は,バックアップサーバでProtection Managerサービスが稼働している必要があります。

このオプションを指定した場合は,「-c online」および「-c offline」を指定することはできません。

-transact_log_del

コミット済みのトランザクションログファイルを削除する場合に指定します。トランザクションログファイルを削除することで,ドライブの空き容量を増やすことができます。

このオプションを指定してコマンドを実行すると,トランザクションログファイルが削除されるので,以前に取得したバックアップを基に,-recoveryオプションを指定してリストアできなくなります。このオプションは,最新のバックアップデータ以外のデータをリストアするときに-recoveryオプションを指定しない場合に指定してください。

循環ログを使用している場合は,このオプションの指定は無視されます。循環ログについては,Exchange Serverのマニュアルを参照してください。

-noverify

VSSを使用したバックアップで,データベースの整合性を検証しない場合に指定します。

-noverify_log_del

VSSを使用したバックアップで,データベースの整合性を検証しないでバックアップしたあと,トランザクションログファイルを削除する場合に指定します。

-c { offline | online }

クラスタ環境で,物理ディスクのクラスタリソースをオフラインにしてバックアップする場合は,「-c offline」を指定します。オンラインのままバックアップする場合は,「-c online」を指定します。このオプションを省略した場合,「-c offline」を指定したことになります。クラスタ環境以外の環境では,このオプションの指定は無効になります。

-hostname 仮想サーバ名

バックアップするExchange仮想サーバ名を指定します。Exchange仮想サーバ名は,オペレーション定義ファイルでも設定できます。オペレーション定義ファイルとオプションの両方でExchange仮想サーバ名を指定した場合,-hostnameオプションの指定が優先されます。このオプションはクラスタ環境の場合にだけ指定してください。このオプションの指定は,オペレーション定義ファイルの「SET_DRM_HOSTNAME」に1が設定されているときにだけ有効となります。0が設定されているときは,このオプションの指定は無効となります。

-event_check

データベースの破損を示すイベントが記録されていないかをチェックしたい場合に指定します。検索の対象となるのは,Exchangeデータベースの直前のバックアップの時間以後に記録されたWindowsイベントログです。ただし,前回のバックアップの結果がなければ,記録されているすべてのWindowsイベントログが検索の対象となります。

Windowsイベントログの検索は,ペアの再同期をする前に実行されます。データベースの破損を示すイベントが検出されたときは,コマンドがエラーメッセージを出力し,エラー終了します。

データベースが破損しているとApplication Agentが判断するのは,次のイベントです。

-comment バックアップコメント

バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。

バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。

バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。

「\」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」

先頭文字には「-」は指定できません。-commentに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。

-rc世代識別名

バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmexgdisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。

リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。

世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_nnは最小の世代番号)となります。

-pfコピーパラメーター定義ファイル

コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。

このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述がされていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。

コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。

<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\raid

-vfVSS定義ファイル名

VSSバックアップで使用する設定をバックアップごとに切り替える場合に指定します。このオプションは,VSSを使用してバックアップをするときにだけ使用できます。

VSS定義ファイル名には,ファイル名だけを指定します。フォルダ名は指定しないでください。このオプションで指定するVSS定義ファイルは,下記のフォルダに格納しておく必要があります。

<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\vss

このオプションを省略した場合,下記のファイルがVSS定義ファイルとして使用されます。

<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\vsscom.conf

VSS定義ファイルの詳細については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」を参照してください。

-scriptユーザースクリプトファイル名

ユーザースクリプトを実行する場合に指定します。ユーザースクリプトファイル名は絶対パスで指定します。ユーザースクリプトファイル名を指定するときの条件は次のとおりです。

ユーザースクリプトファイルの記述内容については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」の,ユーザースクリプトを作成する方法についての記述を参照してください。

ユーザースクリプトファイルに「LOCATION=REMOTE」を指定した場合は,-sオプションをあわせて指定する必要があります。

-s バックアップサーバ名

リモートのバックアップサーバに接続してバックアップを実行する場合に指定します。バックアップサーバのホスト名またはIPアドレスを,255バイト以内の文字列で指定してください。IPアドレスはIPv4またはIPv6形式で指定できます。

-sオプションでバックアップサーバを指定した場合,VSS定義ファイル(vsscom.conf),および-vfオプションで指定したVSS定義ファイルのバックアップサーバ名は無効となり,-sオプションで指定したバックアップサーバ名が使用されます。

-auto_import

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップカタログをバックアップサーバに自動転送する場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。

-auto_mount マウントポイントディレクトリ名

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップサーバで副ボリュームを自動マウントする場合に指定します。このオプションは,-sオプションおよび-auto_importオプションと同時に指定する必要があります。

マウントポイントディレクトリ名は,64バイト以内の文字列で指定してください。

マウントポイントディレクトリ名を省略した場合は,副ボリュームのマウント先が自動的に設定されます。設定規則は,drmmountコマンドでマウントポイントを明示的に指定しなかった場合と同じです。

マウントした副ボリュームは,drmumountコマンドを使用してアンマウントしてください。

-svol_check

バックアップサーバでの副ボリュームの状態をチェックしたい場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。副ボリュームの状態をチェックすることで,バックアップの失敗,またはリストアの失敗を防ぐことができます。チェック内容(項目,対象,条件)は次のとおりです。

表1-16 副ボリュームの状態チェック

チェック項目 チェック対象のボリューム チェックの条件
副ボリュームがバックアップサーバから隠ぺいされていること バックアップ対象の正ボリュームに対して定義されたすべての副ボリューム 正ボリュームが複数世代の副ボリュームとペア定義されている場合で,かつ,次のどれかに該当する場合にチェックされる。
  • 正ボリュームがクラスタリソースである。
  • 正ボリュームがダイナミックディスクである。
  • VSSでのバックアップが実行される。
副ボリュームがバックアップサーバにマウントされていないこと 今回,バックアップ先となる副ボリューム 常にチェックされる。

注意事項

バックアップカタログの個々のバックアップ情報は,コピーグループをキーに管理されています。バックアップの取り方によっては,副ボリュームにバックアップデータがあっても,リストアできなくなる場合があります。詳細については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」の,Application Agentを実行するための注意事項についての記述を参照してください。

戻り値

0:正常終了した場合

0以外:エラーが発生した場合

エラーの発生条件

次の場合には,この拡張コマンドはエラーとなります。

使用例

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