Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド
Application Agentでは,RAID Managerで定義されたペアボリュームを利用して,ファイルシステムやデータベースオブジェクトのバックアップおよびリストアを実行します。RAID Managerを使用してペアボリュームを構成する場合,次に示す必要条件があります。
- 同じサーバから正ボリューム,副ボリュームの両方を,物理ディスクとして管理する構成にはできません。
図2-31 同じサーバから正ボリューム,副ボリュームを管理する構成(Application Agent適用外)
- コピーグループは,1つのアプリケーションのペアボリュームだけで構成するようにしてください。複数のペアボリュームでコピーグループを構成する場合,コピーグループに複数の異なるアプリケーションのペアボリュームが混在していると,予期しないバックアップやリストアが実行されることがあります。
- ShadowImageの場合は,ストレージシステム内でペアボリュームを構成してください。TrueCopyの場合は,ストレージシステム間でペアボリュームを構成してください。
- Application Agentで処理の対象となるのは,ShadowImage,Thin Image,Copy-on-Write Snapshot,TrueCopyまたはUniversal Replicatorのペアボリュームです。
- Application Agentでは,Cross-system Copy,Hitachi HiCopy,Hitachi CruiseControlおよびVolume Migrationを利用したペアボリュームをバックアップやリストアの処理対象にできません。
- RAID Managerのバージョン,ストレージシステムのモデルおよびマイクロコードのバージョンによっては,ペアボリューム(コピーグループ)のコピー種別を取得する機能がサポートされていないため,Application Agentがそのペアボリュームをサポート対象であるかどうかを認識できない場合があります。したがって,Application Agentのサポート対象外であるCross-system CopyまたはHitachi HiCopyのペアボリュームと,ShadowImage,Thin Image,またはCopy-on-Write Snapshotのペアボリュームが混在したシステムを構築した場合は,Cross-system CopyまたはHitachi HiCopyのペアボリュームをdrmcgctlコマンドでロックして,バックアップやリストアの処理対象から除いてください。
- TrueCopyの場合は,RAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のMU#を記入しないで定義してください。MU#に「0」を定義すると,drmXXdisplay※コマンドに-refreshオプションを指定して実行したときにTrueCopyのペアボリューム情報がディクショナリマップに格納できません。このため,Application Agentのコマンドで表示されず,バックアップ対象にできません。
- 注※
- drmXXdisplayは,drmfsdisplayコマンド,drmsqldisplayコマンド,またはdrmexgdisplayコマンドを意味します。
- Universal Replicatorの場合はRAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のMU#を「h0」(h+世代番号)と定義してください。MU#に「0」を定義すると,drmXXdisplayコマンドに-refreshオプションを指定して実行したときにUniversal Replicatorのペアボリューム情報がディクショナリマップに格納できません。このため,Application Agentのコマンドで表示されず,バックアップ対象にできません。
- TrueCopyまたはUniversal Replicatorの場合は,副ボリュームを管理するRAID Managerインスタンス(バックアップサーバでコマンドを実行する場合は,正ボリュームを管理するRAID Managerインスタンス)をあらかじめ起動しておいてください。
- Application Agentと連携するRAID ManagerインスタンスのRAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)は,次の条件を満たしている必要があります。
- Windowsディレクトリ(%windir%)にRAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)が配置されていること。
環境変数HORCM_CONFでRAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)を配置する場所を変更することはできません。- RAID Managerの構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のインスタンス番号(n)には数字だけが使用されていること。また,有効な数字の前に余分な0が埋め込まれていないこと。
有効なファイル名の例:horcm1.conf,horcm120.conf
無効なファイル名の例:horcm001.conf,horcmA20.conf- TrueCopyまたはUniversal Replicatorの場合は,あらかじめペア生成をしてから,Application Agentのコマンドを実行してください。あらかじめペア生成をしていないと,バックアップ対象にできません。
- データベースサーバでバックアップやリストアする場合は,あらかじめ副ボリュームをアンマウントしてから実行してください。副ボリュームをアンマウントしてないと,予期しないバックアップやリストアが実行されることがあります。
- ShadowImageとTrueCopyのペアボリュームを混在させる場合は,次のシステム構成で運用できます。
図2-32 システム構成(ShadowImageの正ボリュームとTrueCopyの正ボリュームが同じLDEVの場合)
図2-32 システム構成(ShadowImageの正ボリュームとTrueCopyの正ボリュームが同じLDEVの場合)でApplication AgentがShadowImageのペアボリュームをリストアする場合,TrueCopyのペアボリュームの状態はSMPLまたはPSUS(SSUS)にしてください。TrueCopyのペアボリュームの状態がPAIRのままでShadowImageのペアボリュームをリストアすると,コピーグループの状態が不正であることを表すエラーメッセージが出力され,リストアが失敗します。
図2-33 システム構成(ShadowImageの副ボリュームとTrueCopyの正ボリュームが同じLDEVの場合)
図2-33 システム構成(ShadowImageの副ボリュームとTrueCopyの正ボリュームが同じLDEVの場合)でApplication AgentがShadowImageのペアボリュームをバックアップまたはリストアする場合,TrueCopyのペアボリュームの状態はSMPLまたはPSUS(SSUS)にしてください。TrueCopyのペアボリュームの状態がPAIRのままでShadowImageのペアボリュームをバックアップまたはリストアすると,コピーグループの状態が不正であることを表すエラーメッセージが出力され,バックアップまたはリストアが失敗します。
図2-34 システム構成(ShadowImageのカスケード構成で,バックアップ対象のボリュームが正ボリュームと副ボリュームを兼ねている場合)
ShadowImageのカスケード構成では,Application Agentは,データベースやファイルシステムで利用する正ボリュームのペアボリュームに対するバックアップ・リストア運用だけをサポートしています。
図2-34 システム構成(ShadowImageのカスケード構成で,バックアップ対象のボリュームが正ボリュームと副ボリュームを兼ねている場合)のようなShadowImageのカスケード構成の場合,バックアップ対象のボリュームが正ボリュームと副ボリュームを兼ねるときには,副ボリューム側のペアボリューム状態はSMPLおよびSSUSにしてください。同様に,リストアの場合は,SMPLにしてください。- Application Agentのバックアップ対象ペアボリュームに対して,コンシステンシーグループを定義する場合,Application Agentによるバックアップおよびリストアの実施単位を考慮したグルーピングで設定する必要があります。次の注意事項に従ってコンシステンシーグループを定義してから,バックアップ,リストアの運用を開始してください。
データベース,ボリューム,コンシステンシーグループ,RAID Managerグループの関係を次の図に示します。
- データベースをリストアする運用を考慮して,コンシステンシーグループを定義します。同時にバックアップしたデータベースの一部をリストアする運用を行う場合には,特に注意して定義してください。
- SQL Serverデータベースの場合
各データベースを別々にリストアする運用の場合:
データベースごとに1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
2個以上のデータベースを一括してリストアする運用の場合:
常に一括してリストアする2個以上のデータベースを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。- Exchangeデータベースの場合
各インフォメーションストアを別々にリストアする運用の場合:
インフォメーションストアのデータファイルごとに1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
また,各ストレージグループのトランザクションログファイルおよびチェックポイントファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
2個以上のインフォメーションストアを一括してリストアする運用の場合:
常に一括してリストアする2個以上のインフォメーションストアのデータファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
各ストレージグループのトランザクションログファイルおよびチェックポイントファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
各ストレージグループを別々にリストアする運用の場合:
ストレージグループのファイルの種類※ごとに1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,各ストレージグループですべてのファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
2個以上のストレージグループを一括してリストアする運用の場合:
VSSを使用しないとき:
常に一括してリストアする2個以上のストレージグループのファイルの種類※ごとに1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,常に一括してリストアする2個以上のストレージグループのすべてのファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
VSSを使用するとき:
ストレージグループのファイルの種類※ごとに1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,各ストレージグループですべてのファイルを1つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
注※
データファイル:(*.edb,*.stm)
トランザクションログファイルおよびチェックポイントファイル:(*.log,*.chk)- 1つのコンシステンシーグループを1つのRAID Managerの構成定義ファイルのグループ(dev_group)として定義し,コピーグループが過不足なく一致するようにします。
図2-35 TrueCopy Async / Universal Replicator構成で,UserDB1とUserDB2を同時または別々にリストアする運用の場合
図2-36 TrueCopy Async / Universal Replicator構成で,UserDB1とUserDB2を同時にリストアする運用の場合
- ボリューム構成を変更した場合の注意事項については,「2.11.2 ボリューム構成を変更した場合の注意事項」を参照してください。
- ストレージシステム上でペアボリュームが作成されていても,ホスト上でRAID Managerの構成定義がないペアボリュームは利用できません。
- コマンドデバイスに仮想コマンドデバイスを使用する環境の場合,Application AgentのCLIを実行する前に仮想コマンドデバイスサーバでRAID Managerインスタンスを起動し,仮想コマンドデバイスを使用できる状態にしてください。Application AgentのCLIは,仮想コマンドデバイスサーバのRAID Managerインスタンスの起動および停止をしないため,仮想コマンドデバイスが使用できない場合,Application AgentのCLIを実行したときにエラーとなります。
エラーとなった場合,Application AgentのCLIを実行したサーバのRAID Managerのログファイルで仮想コマンドデバイス(\\.\IPCMD-IPアドレス-PORT番号)がエラー要因であることを確認し,確認した情報に基づき対策したあと,Application AgentのCLIの運用を再開してください。
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