Tuning Manager - Agent for RAID
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,は待機系ノードで行う項目を示します。また,は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- この項の構成
- (1) PFM - Agentの登録
- (2) 共有ディスクのマウント
- (3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
- (4) 接続先PFM - Managerの設定
- (5) インスタンス環境の設定
- (6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
- (7) ネットワークの設定
- (8) ログのファイルサイズ変更
- (9) パフォーマンスデータの格納先の変更
- (10) 動作ログ出力の設定
- (11) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
- (12) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
- (13) 共有ディスクのアンマウント
- (14) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
- (15) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
- (16) クラスタソフトからの起動・停止の確認
- (17) クラスタシステムでの環境設定
PFM - ManagerおよびPerformance Reporterを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPerformance ReporterにHTM - Agent for RAIDを登録する必要があります。
HTM - Agent for RAIDの情報は,Tuning Manager serverのインストール時にPFM - ManagerおよびPerformance Reporterに登録されるため,通常この手順は不要です。ただし,データモデルバージョンがバージョンアップした修正版のHTM - Agent for RAIDをインストールした場合は,この手順を実施する必要があります。
登録はPFM - Manager上およびPerformance Reporter上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「3.1.4 HTM - Agent for RAIDのセットアップ手順」の,HTM - Agent for RAIDの登録について説明している個所を参照してください。
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。
jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
- 注意
- コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
- jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して,HTM - Agent for RAIDの論理ホスト環境を作成する。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf ha setup -key RAID -lhost jp1-hal -d /jp1(jpchasetup create agtd -lhost jp1-ha1 -d /jp1)論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-ha1としています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
共有ディスクのディレクトリ名は,-dオプションの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d /jp1と指定すると/jp1/jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,HTM - Agent for RAIDを管理するPFM - Managerを設定します。
- jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf mgrhost define -host jp1 -lhost jp1-hal(jpcnshostname -s jp1 -lhost jp1-ha1)接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1としています。
また,HTM - Agent for RAIDの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,HTM - Agent for RAIDの論理ホスト名をjp1-ha1としています。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf mgrhost defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行して,HTM - Agent for RAIDのインスタンス環境を設定します。
- jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行する。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf inst setup -key RAID -lhost jp1-ha1 -inst 35053(jpcinssetup agtd -lhost jp1-ha1 -inst 35053)論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,HTM - Agent for RAIDの論理ホスト名をjp1-ha1,インスタンス名を35053としています。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf inst setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。- インスタンス環境を設定する。
設定するインスタンス環境は,非クラスタシステムの場合と同じです。設定するインスタンス情報については,「3.1.4 HTM - Agent for RAIDのセットアップ手順」の,インスタンス環境の設定について説明している個所を参照してください。
また,監視対象のストレージシステムがHUS VM,Virtual Storage Platformシリーズ,Universal Storage Platform V/VMシリーズ,Hitachi USP,SANRISE Hシリーズ,またはSANRISE9900Vシリーズの場合は,必ず「4.8.1 HUS VM,Virtual Storage Platformシリーズ,Universal Storage Platform V/VMシリーズ,Hitachi USP,SANRISE Hシリーズ,およびSANRISE9900Vシリーズを監視する場合の注意事項」も参照してください。
(6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
HTM - Agent for RAIDのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合に必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
- IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境で,Performance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを設定する場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。- ポート番号を設定する
ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf port define(jpcnsconfig port)コマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびマニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログのファイルサイズを設定する手順の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「3.5.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I. 動作ログの出力」を参照してください。
HTM - Agent for RAIDの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
- jpcconf ha export(jpchasetup export)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf ha export -f lhostexp.txt(jpchasetup export -f lhostexp.txt)ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha exportコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha exportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(12) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
「(11) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
- 注意
- 共有ディスクがアンマウントされているにも関わらず,指定した環境ディレクトリにjp1pcディレクトリがあり,jp1pcディレクトリ以下にファイルがある場合は,共有ディスクをマウントしないでセットアップしています。この場合は次の手順で対処してください。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリのjp1pcディレクトリをtarコマンドでアーカイブする。
- 共有ディスクをマウントする。
- 共有ディスク上に指定した環境ディレクトリがない場合は,環境ディレクトリを作成する。
- 共有ディスク上の環境ディレクトリにtarファイルを展開する。
- 共有ディスクをアンマウントする。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリのjp1pcディレクトリ以下を削除する。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
- jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf ha import -f lhostexp.txt(jpchasetup import -f lhostexp.txt)ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha importコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha importコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのHTM - Agent for RAIDを起動するための設定が実施されます。
また,セットアップ時にjpcconf port define(jpcnsconfig port)コマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次の例のようにコマンドを実行します。jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)実行系ノードでjpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行したときと同じ内容が表示されることを確認してください。
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
クラスタソフトへHTM - Agent for RAIDを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の4つがあります。
HTM - Agent for RAIDでは,次のように設定します。
表4-5 クラスタソフトに登録するHTM - Agent for RAIDの制御方法
項目 説明 起動 次のコマンドを順に実行して,HTM - Agent for RAIDを起動する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key AH -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart act lhost=論理ホスト名)/opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key RAID -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart agtd lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名)起動するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスが使用できる状態になったあととする。停止 次のコマンドを順に実行して,HTM - Agent for RAIDを停止する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key RAID -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop agtd lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名)/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key AH -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop act lhost=論理ホスト名)停止するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスを使用できない状態にする前とする。
なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcspm stop(jpcstop)コマンドの戻り値が3になる。この場合はサービスが停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。動作監視 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。 ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス"監視対象のプロセスは,次のとおり。jpcagtd,agtd/jpcsto,jpcahプロセス名については,「付録D. プロセス一覧」およびマニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録を参照のこと。なお,運用中にメンテナンスなどでPerformance Managementを一時的に停止する場合を想定して,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことを勧める。強制停止 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate(/opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate)第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。なお,強制停止は,通常の停止を実行しても停止できない場合に限って実行するよう設定すること。
- 注意
- コマンドを実行すると,指定した論理ホスト環境すべてのPerformance Managementのプロセスが,SIGKILL送信によって強制停止される。このとき,サービス単位ではなく,論理ホスト単位でPerformance Managementが強制停止される。
- 注意
- クラスタに登録するPerformance Managementのプログラムは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時の自動起動設定をしないでください。
- Performance Managementのプログラムを日本語環境で実行する場合,クラスタソフトに登録するスクリプトでLANG環境変数を設定してから,Performance Managementのコマンドを実行するようにしてください。また,LC_ALL環境変数が設定されていて,LANG環境変数の値と異なる場合は,クラスタソフトに登録するスクリプトでLC_ALL環境変数を解除するか,LANG環境変数と同一の値に変更してください。以下の設定を追加するとLC_ALLを解除できます。
unset LC_ALL- クラスタソフトがコマンドの戻り値で実行結果を判定する場合は,Performance Managementのコマンドの戻り値をクラスタソフトの期待する値に変換するように設定してください。Performance Managementのコマンドの戻り値については,各コマンドのリファレンスを確認してください。
- psコマンドで動作を監視する場合,事前にpsコマンドを実行して,論理ホスト名とインスタンス名をつなげた文字列がすべて表示されることを確認してください。
文字列が途中までしか表示されない場合は,インスタンス名を短くしてください。
なお,psコマンドでのプロセス名および論理ホスト名の取得に失敗する場合,コマンドラインに[ ](角括弧)が含まれていることがあります。
psコマンドの実行に失敗した場合は,OSのpsコマンドのリファレンスを参照して,コマンドを再実行してください。
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,Performance Reporterから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
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