Tuning Manager Software ユーザーズガイド

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1.2 Tuning Managerシリーズのシステム構成

実際のTuning Managerシリーズは同時に動作する一連のソフトウェアコンポーネントで,ネットワーク全体を監視するとともに,さまざまなシステムからパフォーマンスデータを収集します。このTuning Managerシリーズを構成するのは,それぞれの監視対象リソースのパフォーマンスデータを収集するエージェントと,すべてのエージェントを管理するTuning Manager serverです。「図1-3 Tuning Managerシリーズのシステム構成例」にシステム構成例を示します。

図1-3 Tuning Managerシリーズのシステム構成例

[図]

エージェント:エージェントはそれぞれの特性に応じて,ホスト上のファイルシステム,OS,Oracleなどのアプリケーション,ホストとストレージシステムとの関係,SANスイッチ,およびストレージシステムを監視対象リソースとして管理します。また,これらから性能情報(1秒当たりのI/O回数など)や容量情報(論理ディスクの容量など)をパフォーマンスデータとして収集します。

Device Manager:Device Managerは,ストレージシステムおよび仮想環境の構成情報および容量情報を収集し,管理します。また,Host Data CollectorやDevice Managerエージェントを使用することでホストとストレージシステムの関係を構成情報として収集できます。Tuning Manager serverのシステム内前提製品です。

PFM - Manager:PFM - Managerは,エージェントから情報を収集し,Tuning Manager serverに送信します。Tuning Manager serverの前提製品です。

Tuning Manager server:Tuning Manager serverは,Device Managerやエージェントから情報を収集し,監視対象リソースのレベルに合わせた形で情報を整理し,システムの稼働状況を画面上に表示します。

図1-3 Tuning Managerシリーズのシステム構成例」は,構成として実現できるものの一例です。最も簡単な構成では,Tuning Manager serverホストに,PFM - Manager,Device Managerのほか,SANスイッチやストレージシステムを監視するエージェントをインストールして運用できます。ただし,OSやデータベース,アプリケーションを監視対象とするエージェントは必ず監視対象のOSやデータベース,アプリケーションと同じマシンにインストールして運用する必要があります。

図1-4 データ収集の概要」に,Tuning Manager serverの各コンポーネントがどのように動作してデータを収集するかを示します。

図1-4 データ収集の概要

[図]

Tuning Manager serverは,内部のコンポーネントであるMain ConsoleやPFM - Managerを使用してDevice Managerや各エージェントからデータを収集します。収集したデータは,Main Console,Performance Reporterを使用して表示できます。各コンポーネントの役割の概要を次に示します。

PFM - Manager:PFM - Managerは,Tuning Manager serverの基盤機能に相当し,次の機能を提供しています。このため,各プログラムは包括的システムとして正確に機能します。
  • エージェントの管理
  • エージェントが発行するイベントの管理
  • Tuning Manager server,エージェント間のデータの送受信制御

Main Console:Main Consoleは,エージェント,Device Managerが収集した監視対象リソースの構成情報,容量情報をTuning Manager serverのデータベースに格納します。Main Consoleは,指定された時間枠と周期に従って,Tuning Manager serverのデータベースに蓄積されたデータと,エージェントが管理するパフォーマンスデータを収集し,マッピングしてレポートとして表示します。Tuning Manager serverのデータベースはリレーショナルデータベースシステムHiRDBが管理します。

Main ConsoleはPerformance Reporterへのリンクを表示します。

Performance Reporter:Performance Reporterは各エージェントのStoreデータベースから直接収集したパフォーマンスデータを表示するとともに,簡易なメニューを提供して,固有のカスタムレポートを作成します。これによってPerformance Reporterは,マウスをクリックするだけで,エージェントインスタンスレベルのレポートとカスタマイズしたレポートを表示できます。また,Performance Reporterは,監視対象の現在の状況をリアルタイムにレポートとして表示できます。Performance Reporterは,HiRDBには接続しません。

Device Manager:Device Managerは,ストレージシステムのための一貫性があり,使いやすく構成しやすいインターフェースです。このDevice Managerは,スクリプト記述用のCLIのほかに,ストレージシステムを管理するための,扱いやすく設定しやすい操作性の統一されたWebベースのGUIを提供します。さらに構成情報を格納するデータベースを退避・回復するための保守用コマンドを提供します。Device Managerでは,Device Managerシステムに追加されているストレージシステムおよび仮想環境の構成を参照できるほか,論理ディスクを配分し,LUNにセキュリティを設定するなどの構成操作を実行することもできます。Device Managerを使用すると,キー属性に基づいてストレージシステムを直ちに発見し,複雑な異機種混合のストレージシステム環境を効率的に管理できます。さらに,Device ManagerではSSLベースの通信によって,リモート側で安全にストレージシステムを管理できます。また,Device ManagerのHost Data CollectorやDevice Managerエージェントを使用することで,後述するHTM - Storage Mapping Agentと同様の機能をサポートします。

エージェント:エージェントはバックグラウンドで動作し,パフォーマンスデータの収集と記録を行います。監視対象リソースごとに別々のエージェントが必要です。例えば,ストレージシステムを監視する場合HTM - Agent for RAIDが,Oracleを監視する場合PFM - Agent for Oracleが必要になります。エージェントは,数百のメトリックのデータを継続して収集し,必要なときにすぐ呼び出せるようStoreデータベースに格納します。エージェントを利用すれば,Tuning Manager serverは監視対象のパフォーマンスデータを収集できます。また収集したデータを使用して,Main Console内のSAN環境全体の情報,さらにはPerformance Reporterの特定リソースの情報を表示します。エージェントは監視OS,Oracleなどのデータベースまたはストレージシステムからパフォーマンスデータを収集し,このパフォーマンスデータをデータベース内に格納します。このデータベースはStoreデータベースと呼ばれ,各エージェントはStoreデータベースを管理します。代表的なエージェントとその機能を次の表に示します。

表1-1 代表的なエージェントとその機能

エージェント名 機能概要
HTM - Agent for NAS HTM - Agent for NASは,NASシステムのパフォーマンスデータと設定情報を収集します。
HTM - Agent for SAN Switch HTM - Agent for SAN Switchは,各スイッチのパフォーマンスデータを収集します。
HTM - Agent for RAID HTM - Agent for RAIDは,ストレージシステムのパフォーマンスデータと設定情報を収集します。
HTM - Storage Mapping Agent HTM - Storage Mapping Agentは,サーバとストレージシステムの関係をマッピングし,ホストのファイルシステムおよび対応するストレージシステムのリソースに関する構成情報を収集します。
PFM - Agent for DB2 PFM - Agent for DB2は,DB2データベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Exchange Server PFM - Agent for Exchange Serverは,Microsoft Exchange Serverのメッセージ転送状況や,データの送受信状況などのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Microsoft SQL Server PFM - Agent for Microsoft SQL Serverは,Microsoft SQL Serverデータベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Oracle PFM - Agent for Oracleは,Oracle データベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Platform PFM - Agent for Platformは,OSの運用状態など,サーバのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for HiRDB PFM - Agent for HiRDBは,HiRDBのパフォーマンスデータを収集します。
この節の構成
1.2.1 分散メトリック-リポジトリアーキテクチャ
1.2.2 Main Consoleによるシステムの稼働状況の監視・分析
1.2.3 Performance Reporterによるシステムの稼働状況の監視・分析
1.2.4 Hitachi Command Suiteの[分析]タブによるストレージシステムの性能分析
1.2.5 性能上の問題の回避
1.2.6 エージェントの管理・運用

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