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A.2 jpcrptコマンドで必要なメモリー量の見積もり方法

jpcrptコマンドでレポートをHTML出力する場合に必要なメモリー量は,次の計算式で算出してください。

jpcrptコマンドで必要なメモリー量(単位:MB) =
( <グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値><データ変換用のワーク領域の最大値> ) 
+ 10

注※
コマンド実行時に最低限必要とするメモリー量です。

参考
「グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値」または,「データ変換用のワーク領域の最大値」の大きい方の値を選択します。

「グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値」の見積もり方法については「A.2.1 グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値の見積もり方法」を,「データ変換用のワーク領域の最大値」の見積もり方法については「A.2.2 データ変換用のワーク領域の最大値の見積もり方法」を,それぞれ参照してください。

この節の構成
A.2.1 グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値の見積もり方法
A.2.2 データ変換用のワーク領域の最大値の見積もり方法

A.2.1 グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値の見積もり方法

jpcrptコマンドは,レポート定義にグラフ表示の設定がある場合,グラフを含むレポートをHTML形式で出力できますが,グラフ画像の生成時にメモリーを一時的に大きく消費します。

運用で実行する各レポートに対して「グラフ作成で必要なメモリー量」を見積もり,その中で最大の値を「グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値」として使用してください。

なお,jpcrptコマンドで出力しようとしているレポート定義にグラフ表示の設定がない場合,「グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値」の値は0となり見積もりは不要です。

グラフ作成で必要なメモリー量は,次の計算式で算出してください。

グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値(単位:バイト) =
( <1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値> * 9 )
   |
( <1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値> * 1.5 
   + <グラフ描画用ワーク領域>

注意
運用で実行する各レポートから「1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値」を算出する場合,特にレコード数がデータ量に大きく影響するため,レコード数が多いレポートに絞って計算することをお勧めします。

参考
<1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値> * 9」または,「<1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値> * 1.5 + <グラフ描画用のワーク領域>」の大きい方の値を選択します。

「1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値」の見積もり方法については,「(1) 1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値の見積もり方法」を,「グラフ描画用のワーク領域」の見積もり方法については「(2) グラフ描画用ワーク領域の見積もり方法」を参照してください。

(1) 1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値の見積もり方法

運用で実行する各レポートに対して「1回のレポートデータ受信に必要なデータ量」を見積もり,その中で最大の値を「1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値」として使用してください。

1回のレポートデータ受信に必要なデータ量は,次の計算式で算出してください。

1回のレポートデータ受信に必要なデータ量(単位:バイト) =
<レコードサイズ><レコード数>

レコードサイズの求め方
レコードサイズとは,1レコードあたりのデータ量(表またはCSV形式でレポートを出力した場合の「データ1行あたりのデータ量」)を表します。
レコードサイズは,次の計算式で算出してください。
レコードサイズ(単位:バイト) =
<選択したフィールドのサイズの合計><選択したフィールドの数> * 2
+ 34

注※
次のフィールドは,レポートに出力するフィールドとして選択していない場合でも,必ず取得されます。
・履歴レポートの場合:[Date and Time]フィールドとODBCキーフィールド
・リアルタイムレポートの場合:[Record time]フィールドとODBCキーフィールド
ODBCキーフィールドについては,各PFM - Agentマニュアルのレコードの説明を参照してください。
フィールドの形式とサイズの対応を次の表に示します。
なお,次の表に記載しているサイズは,レポート表示時に必要なサイズであり,各エージェントのマニュアルに記載されているデータ型一覧のサイズとは異なります。

表A-1 フィールド形式とサイズの対応

フィールドの形式 サイズ(単位:バイト)
文字列(char,string)
<文字列長> * 2
日付/時刻(time_t,timeval) 16
上記以外のフィールド 13

レコード数の求め方
レコード数とは,1レポートあたりの表またはCSV形式でレポートを出力した場合の「データの行数」を表します。
レコード数は,対象レポートの入力条件(レコードのインスタンス数,データ収集期間およびレポートの表示期間など)から,次の計算式で算出してください。
レコード数 =
<データの取得回数><インスタンス数>

注※
データの取得回数は,レポートの表示期間および収集間隔により,計算式が異なります。
・データ収集間隔≧レポート表示間隔の場合:
データの取得回数 = <レポート表示期間> / <データ収集間隔>
・データ収集間隔<レポート表示間隔の場合:
データの取得回数 = <レポート表示期間> / <レポート表示間隔>
なお,インスタンス数はレコードのインスタンス数で,監視システムを構成する各装置の数に依存します。インスタンス数の求め方については,各エージェントのマニュアルの,ディスク占有量の見積もり方法について記載している個所を参照してください。

(2) グラフ描画用ワーク領域の見積もり方法

運用で実行する各レポートに対して「グラフ描画用のワーク領域のメモリー量」を見積もり,その中で最大の値を「グラフ描画用のワーク領域のメモリー量の最大値」として使用してください。

なお,グラフの種類により,計算式が異なります。

集合縦棒/積み上げ縦棒/集合横棒/積み上げ横棒/円グラフの場合
次の計算式で算出してください。
グラフ描画用ワーク領域(単位:バイト) =
( 100 * <グラフ選択フィールド数> + 300 ) * <表示インスタンス数>※1

注※1
表示インスタンス数は,次の条件により値が異なります。
・レコード数 < インスタンス数の場合:<レコード数>
・レコード数 ≧ インスタンス数の場合:<インスタンス数>

折れ線/面/積み上げ面グラフの場合
次の計算式で算出してください。
グラフ描画用ワーク領域(単位:バイト) =
( 50 * <表示時間点数>※2 + 500 ) * ( <表示インスタンス数>※3<グラフ表示フィールド数>※3

注※2
表示時間点数は,次の計算式で算出してください。
表示時間点数 = <レコード数> / <インスタンス数>
計算の結果,小数点以下を切り上げた整数部を使用してください。

注※3
計算式に設定する値は,次の条件により異なります。
マルチインスタンスまたはマルチエージェントの場合,表示インスタンス数に値を設定して計算します。
・レコード数 < インスタンス数の場合:表示インスタンス数 = <レコード数>
・レコード数 ≧ インスタンス数の場合:表示インスタンス数 = <インスタンス数>
シングルインスタンスの場合,グラフ表示フィールド数に値を設定して計算します。
・グラフ表示フィールド数 = <グラフ選択フィールド数>

A.2.2 データ変換用のワーク領域の最大値の見積もり方法

jpcrptコマンドは,エージェントからの情報をView Serverサービスを経由してレポート出力します。View Serverサービスから受信した内部形式のデータをHTML形式に変換するときに,メモリーを一時的に大きく消費します。

運用で実行する各レポートに対して「データ変換で必要なワーク領域」を見積もり,その中で最大の値を「データ変換用のワーク領域の最大値」として使用してください。

なお,jpcrptコマンドで出力しようとしているレポート定義にテーブル表示の設定がない場合,「データ変換用のワーク領域の最大値」の値は0となり見積もりは不要です。

データ変換用のワーク領域は,次の計算式で算出してください。

データ変換用のワーク領域(単位:バイト) =
( ( <選択したフィールドごとのワーク領域のサイズの合計> + 26 ) * <レコード数> + 42 )
* 3

「選択したフィールドごとのワーク領域のサイズの合計」の見積もり方法については,「(1) 選択したフィールドごとのワーク領域のサイズの合計を見積もる方法」を,「レコード数」の見積もり方法については,「A.2.1 グラフ作成時に必要なメモリー量の最大値の見積もり方法」の「(1) 1回のレポートデータ受信に必要なデータ量の最大値の見積もり方法」を参照してください。

(1) 選択したフィールドごとのワーク領域のサイズの合計を見積もる方法

選択したフィールドごとのワーク領域のサイズの合計を次の表を参照して算出します。

フィールドのデータ型とワーク領域のサイズの対応を次の表に示します。

表A-2 フィールドのデータ型とワーク領域のサイズの対応

フィールドのデータ型 ワーク領域のサイズ(単位:バイト)
char※1,string 次の計算式で算出してください。
<フィールドサイズ>※1 * 2 + 98
short 次の計算式で算出してください。
( <n><m> )※2 * 2 + 96
例えば,整数部(<n>)の桁数が5桁の場合,ワーク領域のサイズは108となります。
long,ulong 次の計算式で算出してください。
( <n><m> )※2 * 2 + 96
例えば,整数部(<n>)の桁数が10桁の場合,ワーク領域のサイズは122となります。
float,double 次の計算式で算出してください。
( <n><m> )※2 * 2 + 106
例えば,整数部(<n>)の桁数が10桁の場合,ワーク領域のサイズは132となります。
time_t 136
固定値です。

注※1
[Date and Time]フィールドなどフィールドのデータ型がchar型のフィールドの場合でも,格納される値が日時のフィールドのときは,次のサイズとします(単位:バイト)。
  • [Date and Time]フィールドの場合:136
  • [Date]フィールドの場合:118
  • [Time]フィールドの場合:114
また,フィールドサイズは,「表A-1 フィールド形式とサイズの対応」を参照してください。

注※2
  • n:数値を10進表記した場合の整数部の桁数を表します。
  • m:次の計算式で算出した値の整数部を表します。
    m = ( <n> - 1 ) / 3

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