Tiered Storage Manager Software CLI リファレンスガイド
CreateMigrationTaskコマンドは,指定したマイグレーションプランを使ってマイグレーションを実行するマイグレーションタスクを作成します。
次のどれかに該当する場合,マイグレーションタスクを作成できません。
- 移動元ボリュームまたは移動先ボリュームに,終了状態(End)ではないタスクに含まれるボリュームがあった場合,またはマイグレーションできないボリュームだけがあった場合
- すべての移動先ボリュームに対してNotMigrateを指定したマイグレーションプランを使用して,マイグレーションタスクを作成した場合
- 「5.5.2 タスクの作成と実行」に示すタスクが作成できない条件のどれかに該当する場合
マイグレーションタスクを作成すると,移動先として選択されたボリュームはTiered Storage Manager以外から利用できないよう,マイグレーションが完了するまで予約状態になります。予約は,次の場合に解除されます。
- マイグレーションが正常に終了して,マイグレーションタスクが終了状態になった場合
- CancelTaskコマンドでマイグレーションタスクを終了(キャンセル)状態にした場合
- マイグレーションタスクが失敗した場合
マイグレーションが正常に終了すると,移動元ボリュームのコントローラー論理デバイス番号と,移動先ボリュームのコントローラー論理デバイス番号が入れ替わります。ただし,ボリュームに設定されていたラベルは入れ替わりません。マイグレーションに合わせてボリュームのラベルを変更する場合は,マイグレーションタスクを実行したあとにしてください。また,マイグレーションタスクの実行が終わるまでは,移動先ボリュームにラベルを設定しないでください。
マイグレーションが正常終了したあとに,移動元ボリュームのデータを消去するかどうか(erasedataパラメーター),および移動先ボリュームのゼロデータを破棄するかどうか(zerodatadiscardパラメーター)を指定できます。ゼロデータを破棄すると,DPボリューム内の使用していないページを解放して,プールの空き容量を増やせます。
デフォルトでは,マイグレーション後,移動元ボリュームのデータは消去されません(server.migration.dataErase.defaultValueのデフォルト値はfalse(消去しない))。情報漏えいを防ぐため,erasedataパラメーターを使い,その場で移動元ボリュームのデータを消去することをお勧めします。
移動元ボリュームのデータを消去するよう指定する場合には,CreateMigrationTaskコマンドを実行する前に,お使いのストレージにデータ消去ソフトウェア(Volume Shredder)がインストールされているか確認してください。インストールされていないストレージで,データを消去するよう指定してCreateMigrationTaskコマンドを実行した場合,エラーメッセージ(KATS50315-E)が表示されます。データ消去ソフトウェアがインストールされていない場合は,移動元ボリュームのデータ消去を指定しないように,次のどれかの対処をしてから,CreateMigrationTaskコマンドを実行してください。
- erasedataパラメーターにNoを指定する。
- erasedataパラメーターを省略して,htsmcli.propertiesファイルにparameter.erasedata=Noを指定する(同時に,server.propertiesファイルにserver.migration.dataErase.defaultValue=trueと指定しても,htsmcli.propertiesファイルの指定が優先されます)。
- erasedataパラメーターを省略して,htsmcli.propertiesファイルにparameter.erasedataを指定していない場合に,server.propertiesファイルにserver.migration.dataErase.defaultValue=falseを指定する。
また,Universal Storage Platform V/VMの場合,移動元がDPボリュームでデータ消去を指定したときには,Open Volume Managementをインストールしているかどうかによって削除対象が異なることがあります。詳細は,「A.3.2 DPプールを対象としたマイグレーションの条件」を参照してください。
注意
- ボリュームを再作成するマイグレーションを実行している場合,処理の途中でエラーが発生したとき,または処理を途中でやめたとき,移動先ボリュームが削除された状態のままになることがあります。出力されたメッセージの内容を確認し,手動でボリュームを作成してください。
重要
- 移動先のストレージ階層の検索条件によっては,マイグレーションが成功しても移動元のボリュームが移動先のストレージ階層に含まれない場合があります。マイグレーションタスクを作成するときは,次の事柄を確認してください。
- 移動元のボリュームを移動する必要がある。
- デフォルトで割り当てられた移動先ボリュームの属性が意図した属性である。
- この項の構成
- (1) 記述形式
- (2) オプション
- (3) パラメーター
- (4) 出力項目
- (5) コマンド指定例と実行結果
htsmcli [ サーバのロケーション] CreateMigrationTask [ 共通オプション ] [ { -e | --execute } ] migrationplan=マイグレーションプランのファイル名 [ erasedata={ Yes | No } ] [ zerodatadiscard={ Yes | No } ] [ notifytourl=イベント通知先アドレス ] [ description=タスクの説明文 ]
- -eまたは--execute
- 作成したマイグレーションタスクを即時実行したい場合に指定します。
- 省略するとマイグレーションタスクは待機状態になります。
表5-34 CreateMigrationTaskコマンドのパラメーター
パラメーター名 説明 migrationplan マイグレーションプランのファイルの名称を指定します。
絶対パス,またはコマンド実行ディレクトリからの相対パスで指定してください。[erasedata] マイグレーションが正常に終了したあとに移動元ボリュームのデータを消去するかどうかを指定します。 デフォルトは,server.propertiesファイルのキーserver.migration.dataErase.defaultValueの値,およびhtsmcli.propertiesファイルのparameter.erasedataの値によって異なります。server.propertiesファイルでの指定より,htsmcli.propertiesファイルでの指定の方が優先されます。
- Yes:消去する
- No:消去しない
[zerodatadiscard] マイグレーションが正常に終了したあとに,移動先ボリュームのゼロデータを破棄するかどうかを指定します。 このパラメーターの指定を有効にするためには,次の条件を満たす必要があります。
- Yes:ゼロデータを破棄する(デフォルト)
- No:ゼロデータを破棄しない
上記の条件が満たされなかった場合は,このパラメーターを"Yes"と指定してもゼロデータを破棄せず,メッセージも出力されません。
- 移動先ボリュームが,DPボリュームまたはDPプールである。
- Universal Storage Platform V/VMの場合,マイクロコードバージョンが60-07-0x-xx/xx以降である。
- 移動元ボリュームがTrueCopyまたはUniversal Replicatorのペアを構成するDPボリュームである。
Virtual Storage Platform(マイクロコードのバージョンが70-02-00-xx/xx以降),Universal Storage Platform V/VM,およびHUS VMの場合に実行できます。- 移動元ボリュームがShadowImageのペアを構成するDPボリュームである。
Virtual Storage Platform(マイクロコードのバージョンが70-05-02-xx/xx以降)およびHUS VM(マイクロコードのバージョンが73-02-00-xx/xx以降)の場合で,ペアボリュームの状態がSplit (Device Manager CLIのGetStorageArray (subtarget=ReplicationInfo)でReplicationInfoオブジェクトのstatus属性に表示される値が16)のときに実行できます。[notifytourl] イベント発生時に,イベントを通知する先のアドレスです。
"mailto:"とメールアドレス文字列を合わせた値で指定します。[description] マイグレーションタスクの説明文を指定します。
- (凡例)
- [ ]:指定は任意です。
表5-35 CreateMigrationTaskコマンドの出力項目(Taskインスタンス)
項目名 説明 ID タスクIDです。
タスクIDの形式は,TK########です。ただし,########は時間+通番を36進数に変換した値です。taskType タスクの種類です。
Migration:マイグレーションタスクstatus タスクの状態です。
表示される値の詳細については,「5.8 タスクの状態」を参照してください。timeEstimate タスク実行に掛かる時間の見積もり値です。タスク作成時にerasedataパラメーターを指定して実行した場合,データ消去に掛かる時間も含みます。
"hhhh:mm:ss"の形式で表示されます。
見積もり値が10,000時間以上の場合は,"9999:59:59"が表示されます。creationTime タスクの作成日時です。 endTime タスクの実行終了日時です。 ownerID タスクを作成したユーザーのユーザーIDです。 storageDomainName ストレージドメイン名です。 migrationGroupName マイグレーショングループ名です。 previousTargetStorageTierName 前回のマイグレーションの移動先ストレージ階層名です。以前にマイグレーションを実行していない場合は空文字が表示されます。 targetStorageTierName 移動先ストレージ階層名です。 eraseData マイグレーションが正常に終了したあとに移動元ボリュームのデータを消去するかどうかを示します。 zeroDataDiscard マイグレーションが正常に終了したあとに,移動先ボリュームのゼロデータを破棄するかどうかを示します。
マイグレーションタスク作成時にゼロデータを破棄するよう指定しても,ゼロデータを破棄できる条件を満たしていなければ,"No"が表示されます。
ゼロデータを破棄するための条件については,「表5-34 CreateMigrationTaskコマンドのパラメーター」のzerodatadiscardパラメーターを参照してください。notifyToURL イベント通知先のアドレスです。 description タスクの説明文です。 表5-36 CreateMigrationTaskコマンドの出力項目(MigrationInfoインスタンス)
項目名 説明 sourceControllerDeviceNumber 移動元ボリュームのコントローラー論理デバイス番号です。
16進数と" : "(コロン)を組み合わせた値で表示されます。targetControllerDeviceNumber 移動先ボリュームのコントローラー論理デバイス番号です。
16進数と" : "(コロン)を組み合わせた値で表示されます。timeEstimate ボリュームごとのタスク実行に掛かる時間の見積もり値です。タスク作成時にerasedataパラメーターを指定して実行した場合,データ消去に掛かる時間も含みます。
"hhhh:mm:ss"の形式で表示されます。
見積もり値が10,000時間以上の場合は,"9999:59:59"が表示されます。
- コマンド指定例:
マイグレーションプランを記述したテキストファイルD:\tmp\plan.txtを読み込んでマイグレーションするタスクを作成します。htsmcli CreateMigrationTask migrationplan="D:\\tmp\\plan.txt" erasedata="No"- 実行結果:
RESPONSE: An instance of Task(1 of 1) ID=TK1f2lymqv taskType=Migration status=Standby timeEstimate=0:02:02 creationTime=2014/01/25 16:53:11 endTime= ownerID=user storageDomainName=MegaTechUSP600-Primary migrationGroupName=MG011 previousTargetStorageTierName= targetStorageTierName=MegaTech-HighCost eraseData=No zeroDataDiscard=Yes notifyToURL= description= List of 2 MigrationInfo elements: An instance of MigrationInfo(1 of 2) sourceControllerDeviceNumber=3:A6 targetControllerDeviceNumber=2:80 timeEstimate=0:01:01 An instance of MigrationInfo(2 of 2) sourceControllerDeviceNumber=3:A7 targetControllerDeviceNumber=2:84 timeEstimate=0:01:01
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