Tiered Storage Manager Software CLI リファレンスガイド

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5.5.1 CreateMigrationPlan

移動元のLDEVと移動先のLDEVを1対1に対応づける作業には時間が掛かります。CreateMigrationPlanコマンドを使うと,移動元のLDEVに適したLDEVを,Tiered Storage Managerが自動的に選択します。移動元のLDEVと移動先のLDEVの組み合わせは,テキストデータの形で標準出力,または--outputオプションで指定したリダイレクトファイルに作成されます。CreateMigrationPlanコマンドで作成するこのテキストファイルを,「候補マイグレーションプラン」といいます。

マイグレーショングループの各ボリュームに対する移動先ボリュームの候補は,指定した移動先ストレージ階層から選ばれます。filterconditionパラメーターでボリュームの検索条件を指定すると,その条件に合う移動先ボリュームの候補が選ばれます。

移動先ボリュームの候補は,移動元ボリュームが属するSLPRの中から選ばれます。選ばれた移動先ボリュームの候補は,移動元ボリュームと対にして,候補マイグレーションプランに表示されます。

候補マイグレーションプランには,コメント行(第1カラムが#で始まる行)が生成され,移動先ボリュームの候補になるボリュームが複数個ある場合には,それらの候補もすべて表示されます。なお,第1候補以外のボリュームには,移動元ボリュームが属するSLPRだけでなく,そのほかのSLPRからも選ばれます。

すべての移動元ボリュームに対する移動先ボリュームの候補が選択できなくても,選択できた分だけを記述した候補マイグレーションプランが作成されます。その場合には,コマンドはエラー終了します。

マイグレーショングループにマイグレーション不可ボリュームが含まれている場合は,マイグレーション可能なボリュームだけがマイグレーションされます。ただし,マイグレーションできるボリュームが1つもない場合は,マイグレーションプランを作成したときにエラーになります。

マイグレーション不可ボリュームは,候補マイグレーションプラン内で,移動先ボリュームに移動元ボリューム自身が選択されます。

このコマンドによって,移動元ボリュームおよび移動先ボリュームへマイグレーションボリュームは予約されません。

終了状態(End)でないタスクに指定されているボリュームは,移動先ボリュームとして選択されません。そのボリュームへマイグレーションボリュームが予約されているためです。タスクの状態はGetTasksコマンドで確認してください。

リフレッシュの状態が「実行中」,「終了(失敗)」,または「要リフレッシュ」であるストレージドメインに対しては,候補マイグレーションプランを作成できません。

コメント行を含む候補マイグレーションプランの詳細は,「(3) 出力項目」を参照してください。

作成された候補マイグレーションプランの編集

作成された候補マイグレーションプランはそのままマイグレーションに使用できますが,テキストデータを編集して内容を変更することもできます。候補マイグレーションプランの記述形式は,次のとおりです。

各項目は次の順に記述してください。

表5-28 マイグレーションプランの項目

情報のレベル 項目名 説明
プラン全体の情報※1 plan-type プラン種別です。
format-version プランの書式バージョンです。異なる書式バージョンでの互換性のために指定します。
storageDomainName ストレージドメイン名です。
migrationGroupName マイグレーショングループ名です。
targetStorageTierName 移動先ストレージ階層名です。
permitCrossSLPRMigration SLPR間のマイグレーションを許すかどうかを指定します。
  • Yes:SLPR間のマイグレーションを許す。
  • No:SLPR間のマイグレーションを許さない。
permitCrossCLPRMigration CLPR間のマイグレーションを許すかどうかを指定します。
  • Yes:CLPR間のマイグレーションを許す。
  • No:CLPR間のマイグレーションを許さない。
マイグレーション対象ボリュームの対ごとの情報※2 pair 移動元ボリュームと移動先ボリュームの対の記述の始まりを示す区切り記号です。
sourceControllerDeviceNumber 移動元ボリュームです。※3
  • コントローラー論理デバイス番号を指定してください。
  • 指定するマイグレーショングループに所属しているボリュームを指定してください。
targetControllerDeviceNumber ※4 移動先ボリュームです。※3
  • コントローラー論理デバイス番号を指定してください。
  • 指定するストレージ階層に所属しているボリュームを指定してください。
  • 移動先にプール検索条件を使用して作成したストレージ階層を指定する場合は,空文字列を指定してください。
  • sourceControllerDeviceNumberのボリュームをマイグレーションしないようにする場合は,"NotMigrate"を指定してください。
targetPoolId ※4 移動先DPプール番号です。指定は任意です。
DPボリュームを作成してマイグレーションする場合に,移動先プール番号を次の形式で指定してください。
DP x{ THP x }またはDPx{ THPx } (x0127

(凡例)
{ }:ストレージシステムがVP9500,H24000,またはH20000のときに使用する文字列です。

注※1
各項目は,候補マイグレーションプランの最初に一度だけ記述してください。

注※2
指定するマイグレーショングループに所属するすべての移動元ボリューム分を記述してください。

注※3
移動元ボリュームまたは移動先ボリュームは,異なる組み合わせに重複して指定できません。

注※4
プール検索条件を使用して作成したストレージ階層を指定していて,かつsourceControllerDeviceNumberのボリュームをマイグレーションしないようにする場合は,targetControllerDeviceNumberに"NotMigrate"を指定し,targetPoolIdの行を削除してください。
この項の構成
(1) 記述形式
(2) パラメーター
(3) 出力項目
(4) コマンド指定例と実行結果

(1) 記述形式

  
htsmcli [ サーバのロケーション] CreateMigrationPlan
    [ 共通オプション ]
    storagedomainname=ストレージドメイン名
    migrationgroupname=マイグレーショングループ名
    targetstoragetiername=ストレージ階層名
    [ filtercondition=検索条件 ]
  

(2) パラメーター

表5-29 CreateMigrationPlanコマンドのパラメーター

パラメーター名 説明
storagedomainname ストレージドメイン名を指定します。
migrationgroupname マイグレーショングループ名を指定します。
targetstoragetiername マイグレーション先のストレージ階層名(移動先ストレージ階層名)を指定します。
プール検索条件を使用して作成したストレージ階層を指定して,移動先ストレージ階層をDPプールとする場合に満たさなければならない条件については,「A.3.2 DPプールを対象としたマイグレーションの条件」を参照してください。
[filtercondition] ボリュームの検索条件を指定します。
指定できるプロパティについては,「表4-2 ボリューム検索条件式に指定できるプロパティの概要」および「表4-5 ボリューム検索条件式のプロパティに指定できる値の範囲」を参照してください。
省略時は,検索条件による絞り込みはされません。
パラメーターtargetstoragetiernameにプール検索条件を使用して作成したストレージ階層を指定した場合,filterconditionを指定することはできません。

(凡例)
[ ]:指定は任意です。

(3) 出力項目

表5-30 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(プラン全体の情報)

項目名 説明
plan-type プラン種別
format-version プランの書式バージョン
異なる書式バージョンでの互換性のために表示される情報です。
storageDomainName ストレージドメイン名
migrationGroupName マイグレーショングループ名
targetStorageTierName 移動先ストレージ階層名
permitCrossSLPRMigration SLPR間のマイグレーションを許すかどうかが表示されます。
  • Yes:SLPR間のマイグレーションを許す。
  • No:SLPR間のマイグレーションを許さない。
候補マイグレーションプランがCreateMigrationPlanコマンドで作成されたときには,"No"が表示されます。
permitCrossCLPRMigration CLPR間のマイグレーションを許すかどうかが表示されます。
  • Yes:CLPR間のマイグレーションを許す。
  • No:CLPR間のマイグレーションを許さない。
候補マイグレーションプランがCreateMigrationPlanコマンドで作成されたときには,"Yes"が表示されます。Noと設定しても,Yesと設定した場合と同様に実行されます。
[ arrayGroupSelectionRule ] LDEV選択ルールのうち,分散制御ルールの情報が表示されます。
[ arrayGroupAvoidanceOfMigrationGroups ] LDEV選択ルールのうち,共存回避ルールの情報が表示されます。

(凡例)
[ ]:コメント行を示します。

次に示す「表5-31 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(マイグレーションプロファイル情報)」の出力項目は,コメント行として,# Begin Profile Informationの行と# End Profile Informationの行の間に表示されます。

表5-31 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(マイグレーションプロファイル情報)

項目名 説明
configuration エミュレーションタイプ,容量※1,CVS属性※2configuration)を基にボリュームをグルーピングした値
コンマ+半角空白文字で区切って表示されます。
numberOfNeededVolumes ストレージ階層内で,configurationでグルーピングされたボリュームのうち,マイグレーションタスクの実行に必要なボリューム数
numberOfAvailableVolumes ストレージ階層内で,configurationでグルーピングされたボリュームのうち,マイグレーションタスクの実行に利用できるボリューム数
括弧で括られた数字は,移動元ボリュームと同じ容量のボリューム数を示します。
numberOfDifference numberOfAvailableVolumesからnumberOfNeededVolumesを引いた数
括弧で括られた数字は,numberOfAvailableVolumesで括弧内に表示された数からnumberOfNeededVolumesのボリューム数を引いた数です。

注※1
TB,GB,MB,またはKBの値に加えて,括弧付きでKBの値が表示されます。TBまたはGBの場合は,小数点以下2桁,MBまたはKBの場合は,すべて整数で値が表示されます。

注※2
エミュレーションタイプがOPEN-Vの場合は,CVS属性は表示されません。エミュレーションタイプがOPEN-V以外で,かつLDEVの種別がCVS属性の場合は,"CVS"が表示されます。エミュレーションタイプがOPEN-V以外で,かつLDEVの種別がCVS属性でない場合は,"nonCVS"が表示されます。

表5-32 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(マイグレーション対象ボリュームの対ごとの情報)

項目名 説明
pair 移動元ボリュームと移動先ボリュームの対の記述の始まりを示す区切り記号
[ LUSE ] LUSE属性
[ LU ] LUデバイス番号
[ emulationType ] エミュレーションタイプ
[ CVS ] ボリュームがCVS属性かどうかを示します。
  • Yes:CVS属性です。
  • No:CVS属性ではありません。
[ capacityInKB ] ボリュームの容量(単位はKB)
[ LBA ] Block数単位のボリュームの容量
[ SLPRNumber ] SLPR番号
[ CLPRNumber ] CLPR番号
[ cacheMode ] キャッシュモード
[ IOSuppressionMode ] IO抑止モード
sourceControllerDeviceNumber 移動元ボリュームのコントローラー論理デバイス番号
16進数と" : "(コロン)を組み合わせた値で表示されます。
targetControllerDeviceNumber 移動先ボリュームのコントローラー論理デバイス番号
16進数と" : "(コロン)を組み合わせた値で表示されます。選択できなかった場合,空文字が表示されます。
一部の移動先ボリュームが見つからなかった場合には,"NotMigrate"が表示されます。
targetPoolId 移動先DPプール番号
この項目は移動先がDPプールのとき(targetstoragetiernameパラメーターにプール検索条件を使用して作成したストレージ階層を指定したとき)に自動的に表示されます。
ボリューム検索条件を指定してマイグレーションプランを作成した場合,この行は表示されません。
移動元ボリュームがプールボリュームを移動先にできない場合や,移動先として指定できるプールボリュームがない場合には,空文字が出力されます。

(凡例)
[ ]:コメント行を示します。

次に示す「表5-33 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(移動先として候補となるボリュームの情報)」の出力項目は,コメント行として表示されます。表示される順序および出力項目は,Tiered Storage Managerサーバのバージョンによって異なる場合があります。

表5-33 CreateMigrationPlanコマンドの出力項目(移動先として候補となるボリュームの情報)

項目名 説明
# Target candidates for source LDEVの行 移動先ボリューム(候補ボリューム)となるボリュームと,対応する移動元ボリュームのコントローラー論理デバイス番号
# Target candidates for source LDEVの行※1にハイフンでつないで表示されます。
移動先ボリュームに対して移動元ボリュームに成り得るボリュームが,コンマ区切りで表示されます。
emulationType エミュレーションタイプ
CVS ボリュームがCVS属性かどうかを示します。
  • Yes:CVS属性です。
  • No:CVS属性ではありません。
capacityInKB 移動先ボリュームの容量(単位はKB)
LBA Block数単位のボリュームの容量
subsystem ストレージシステムのモデル名
SLPRNumber SLPR番号
CLPRNumber CLPR番号
arrayGroupName LDEVのパリティグループ名
diskType ドライブ種別
RAIDLevel RAIDレベル
外部接続されたストレージがSMI-S enabledストレージシステムの場合は"Unknown"が表示されます。
cacheMode キャッシュモード
IOSuppressionMode IO抑止モード
dynamicProvisioning
{ xpThinProvisioning }
ボリューム種別
  • dynamicProvisioningの場合:
    -:通常ボリューム
    DP-VOL:DPボリューム
    DP-Pool-VOL:DPプールボリューム
  • xpThinProvisioningの場合:
    -:通常ボリューム
    THP-VOL:THPボリューム
    THP-Pool-VOL:THPプールボリューム
arrayGroupBusyRate パリティグループの使用率(%)
小数点第2位まで表示されます。
arrayGroupMaxBusyRate パリティグループの使用率(%)の最大値
小数点第2位まで表示されます。
targetControllerDeviceNumber 移動先ボリュームのコントローラー論理デバイス番号
移動先ボリュームの候補と成り得るボリュームが複数あった場合,ボリュームごとに複数の行が表示されます。移動先ボリュームの候補と成り得るボリュームには,移動元ボリュームよりも容量が大きい(再作成が必要な)ボリュームも含まれます。※2
第1候補となっているボリュームには,コントローラー論理デバイス番号に続いて,アスタリスク(*)と括弧付きで移動元ボリュームのコントローラー論理デバイス番号が表示されます。

(凡例)
{ }:ストレージシステムがVP9500,H24000,またはH20000のときに表示される文字列です。

注※1
# Target candidates for source LDEV行は,Tiered Storage Managerサーバの設定によって,表示される情報が2種類あります。1つは「移動元ボリュームと同じ容量の移動先ボリューム」を表し,もう1つは「移動元ボリュームよりも容量の大きい移動先ボリューム」を表します。この2種類は,どちらか1つまたは混在して表示される場合があります。混在して表示された場合は,次の順番で出力されます。

  1. 移動元ボリュームと同じ容量の移動先ボリューム
  2. 移動元ボリュームよりも容量の大きい移動先ボリューム
混在して表示された例は「コマンド指定例- 1」を参照してください。

注※2
移動元ボリュームより容量の大きいボリュームを,候補ボリュームとして表示させたくない場合は,server.propertiesファイルのキーserver.migrationPlan.candidateCapacityGroupDisplayMaxCount0を指定します。

(4) コマンド指定例と実行結果

CreateMigrationPlanコマンドの出力結果として作成される候補マイグレーションプランの例を示します。

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