ストリームデータ処理基盤 uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework システム構築・運用ガイド

[目次][索引][前へ][次へ]

6.3.3 アダプタートレースの詳細

アダプタートレースとは,アダプターの処理状況が出力されるトレースファイルです。Stream Data Platform - AFの運用前のテスト段階で,各コールバックの処理状況を把握するために使用します。

アダプタートレースは,アダプターのスループットに影響するため,デフォルトでは出力しない設定になっています。使用するためには,アダプタートレース定義のtrace属性に「ON」を指定します。また,実運用の前には,アダプタートレースを出力しない設定に戻してください。アダプタートレース定義については,「9.6.2 アダプタートレース定義」を参照してください。

アダプタートレースは,アダプターごとに作成され,1ファイル当たり2メガバイト分のトレース情報がラップアラウンドで出力されます。

<この項の構成>
(1) アダプタートレースの名称
(2) アダプタートレースの出力形式
(3) アダプタートレースの出力例(レコードを破棄する場合)
(4) アダプタートレースの出力例(HTTPパケットまたはHTTPメッセージを破棄する場合)

(1) アダプタートレースの名称

アダプタートレースは,次の名称で出力されます。

adp_<種別>-<アダプターグループ名>-<アダプター名>_<通番>

ファイル名中の各項目について,次に示します。

なお,アダプター起動時にアダプタートレースファイルがすでに存在していた場合,ファイル名は「ファイル名.bk」に変換されます。

アダプター用定義ファイルについては,「9. アダプター用定義ファイル」を参照してください。

(2) アダプタートレースの出力形式

アダプタートレースは,CSV形式で出力されます。出力形式を次に示します。

<No>,<Date>,<Time>,<Thread>,<Event>

それぞれの出力項目について,次の表に示します。

表6-6 アダプタートレースの出力項目

項番 項目 説明
1 No 4けたの通番です。9999に達すると,0001に戻ります。
2 Date トレースを採取した日付です。
YYYY/MM/DDの形式で出力されます。
3 Time トレースを採取した時刻です。
hh:mm:ss.fffの形式で出力されます。
4 Thread アダプター名(アダプター定義のname属性で指定した値)が出力されます。
5 Event コールバック名および詳細情報が次の形式で出力されます。
<コールバック名>△{entry|exit}
  • コールバック名:CB定義のname属性で指定した値
  • △:半角スペース
  • {entry|exit}:次のどちらかが出力されます。
    entry:コールバック処理を開始した場合
    exit:コールバック処理を終了した場合

出力例を次に示します。1行目がヘッダーで,2行目以降がレコードです。

No,Date,Time,Thread,Event
0001,2010/10/15,02:08:41.173,OutputAdaptor1,receiver entry
0002,2010/10/15,02:08:41.173,OutputAdaptor1,receiver exit
0003,2010/10/15,02:08:41.188,OutputAdaptor1,editor1 entry
0004,2010/10/15,02:08:41.188,OutputAdaptor1,editor1 exit
0005,2010/10/15,02:08:41.188,OutputAdaptor1,editor3 entry
0006,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,editor3 exit
0007,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,outputer entry
0008,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,outputer exit
0009,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,receiver entry
0010,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,receiver exit
0011,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,editor1 entry
0012,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,editor1 exit
0013,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,editor3 entry
0014,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,editor3 exit
0015,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,outputer entry
0016,2010/10/15,02:08:41.204,OutputAdaptor1,outputer exit
  :

(3) アダプタートレースの出力例(レコードを破棄する場合)

各コールバックの処理でレコードを破棄する場合,コールバックの実行ごとに,実行終了直前に破棄したレコードの総数がアダプタートレースに出力されます。

この場合,「表6-6 アダプタートレースの出力項目」の出力項目のEventが,次の形式で出力されます。

<コールバック名>△execute delete△<詳細情報>
(凡例)
コールバック名:CB定義のname属性で指定した値
△:半角スペース
execute delete:動作種別
<詳細情報>:次の表に示すコールバックごとの詳細情報

表6-7 コールバックごとのアダプタートレースの詳細情報(レコードを破棄する場合)

コールバック種別 詳細情報 関連するアダプター構成定義ファイルの定義
HTTPパケット入力コネクター
  • 出力バッファーに格納するHTTPパケット数の上限到達で破棄した場合
    record△overflow△破棄数
9.10.2 HTTPパケット入力コネクター定義」のinputタグのbuffersize属性
フィルター
  • フィールド条件不一致で破棄した場合
    condition△レコード名△破棄数
9.11.3 フィルター定義」のfieldタグ
レコード抽出
  • 抽出対象条件不一致で破棄した場合
    condition△レコード名△破棄数
9.11.4 レコード抽出定義」のtargetrecordタグ

  • レコードの重複で破棄した場合
    samerecord△抽出対象レコード名△破棄数

  • タイムアウトで破棄した場合
    timeout△抽出条件名△破棄数
9.11.4 レコード抽出定義」のextractionタグのtimelimit属性

  • レコード最大保持数の上限到達で破棄した場合
    overflow△破棄数
9.11.4 レコード抽出定義」のextractionsタグのsize属性

  • レコードの時刻の逆転で破棄した場合
    timereverse△破棄数
ダッシュボード出力コネクター
  • レコード保持期間の超過で破棄した場合
    timeout△破棄数
9.10.4 ダッシュボード出力コネクター定義」のRecordHoldTimeタグ

  • 最大レコード保持数の上限到達で破棄した場合
    overflow△破棄数
9.10.4 ダッシュボード出力コネクター定義」のDashboardOutputConnectorDefinitionタグのMaxNum属性

  • 取得済みレコードの削除で破棄した場合
    read△破棄数
9.10.4 ダッシュボード出力コネクター定義」のDashboardOutputConnectorDefinitionタグのReadRecordRemoveFlag属性
(凡例)
−:該当しません。
注※
すべての抽出対象条件に不一致な場合は破棄するレコード名,抽出条件に当てはまらない場合は抽出対象レコード名が出力されます。

各コールバックのアダプタートレースの出力例を示します。

(4) アダプタートレースの出力例(HTTPパケットまたはHTTPメッセージを破棄する場合)

HTTPパケット入力コネクターの処理でHTTPパケット,またはHTTPメッセージを破棄する場合,HTTPパケット入力コネクターの処理ごとに,処理終了直前に破棄したHTTPパケット,またはHTTPメッセージの総数がアダプタートレースに出力されます。

この場合,「表6-6 アダプタートレースの出力項目」の出力項目のEventが,次の形式で出力されます。

<コールバック名>△execute delete△<詳細情報>
(凡例)
コールバック名:CB定義のname属性で指定した値
△:半角スペース
execute delete:動作種別
<詳細情報>:次の表に示す詳細情報

表6-8 アダプタートレースの詳細情報(HTTPパケットまたはHTTPメッセージを破棄する場合)

コールバック種別 詳細情報 関連するアダプター構成定義ファイルの定義
HTTPパケット入力コネクター
  • 入力バッファーに格納するHTTPパケット数の上限到達で,HTTPパケットを破棄した場合
    packet△overflow△破棄数
9.10.2 HTTPパケット入力コネクター定義」のinputタグのbuffersize属性

  • 分割パケットの組み立て時間がタイムアウトして,HTTPメッセージを破棄した場合
    httpmessage△timeout△破棄数
9.10.2 HTTPパケット入力コネクター定義」のinputタグのassemblingtime属性

次の場合のアダプタートレースの出力例を示します。