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付録E.1 定義が必要なオブジェクトかを判定する

まず,変換対象MIB定義ファイルに定義が必要なオブジェクトかどうかを判定します。判定基準は,次の二つの方法があります。

ASN.1によるMIB定義文があるかないかを調べ,該当する項目を参照してください。

<この項の構成>
(1) ASN.1によるMIB定義文から判定する方法
(2) ASN.1以外の形式で記述されたMIBの仕様から判定する方法

(1) ASN.1によるMIB定義文から判定する方法

ASN.1によるMIB定義文がある場合は,次に示す手順で判定します。

  1. MIBテーブルを探す。
    MIB定義文の中からテーブル型のMIBオブジェクトを探します。一般にテーブルは,xxxTableという名称で定義されているので,名称を基準に探す方法が簡単です。定義の形式は,SYNTAX節がSEQUENCE OF xxxxxと定義されているものがテーブル型のMIBです。
    対象とするMIB定義文にテーブル型のMIBがない場合は,定義が必要なMIBオブジェクトはありません。
    テーブル型のMIBがある場合は,それぞれのMIBオブジェクトについて手順2以降の判定をします。
  2. MIBテーブルのエントリを探す。
    手順1で探したテーブル型のMIBの,エントリの定義を探します。通常は,テーブルの定義の次に定義されています。また,一般にxxxEntryという名称です。定義の形式は,SYNTAX節がxxxxx と定義されているものがエントリです。xxxxxは,テーブルの定義のSYNTAX節のSEQUENCE OF xxxxxのxxxxxと一致する名称のことです。
  3. MIBエントリのINDEX節を探す。
    手順2で探したエントリのINDEX節を探します。INDEX節に定義されている名称は,そのMIBテーブルに属するMIBオブジェクトの名称です。それらのMIBオブジェクトがテーブルのインデックスに使用されます。
    MIB定義文が比較的新しい場合,INDEX節の代わりにAUGMENTS節が定義されている場合があります。AUGMENTS節は,ほかのテーブルが使用しているインデックスと,まったく同じインデックスを使うという意味の定義です。この場合は,AUGMENTS節に定義されている,ほかのMIBテーブルのエントリ定義を参照し,そこに定義されているINDEX節を探します。
    MIB定義文が古い場合,INDEX節もAUGMENTS節もないことがあります。この場合は,MIB定義文中のコメントにインデックスに関する情報が書かれていることもあるので,「(2) ASN.1以外の形式で記述されたMIBの仕様から判定する方法」を参照して,判定してください。
  4. インデックスに使用されているMIBオブジェクトのSYNTAXを用いて判定する。
    手順3で探したINDEX節に定義されているMIBオブジェクトの定義を参照します。一般に,MIBテーブル内のMIBオブジェクトは,エントリの定義に続いて記述されています。それぞれの定義を参照し,SYNTAXを参照します。一つでもIPアドレスを表すSYNTAX(IpAddressまたはNetworkAddress)として定義されているオブジェクトがあれば,定義が必要なMIBオブジェクトと判定できます。逆にすべての定義が,IPアドレス以外の値を表すSYNTAXの場合は,定義する必要はありません。

(2) ASN.1以外の形式で記述されたMIBの仕様から判定する方法

ASN.1以外の形式で書かれたMIBの仕様書や,それに類する情報などから,判定する方法を説明します。ASN.1のように決まった形式がないので仕様書の内容を理解して判定します。判定に必要な情報は,MIBオブジェクトのオブジェクトID,オブジェクトがテーブル型であるかどうか,MIBテーブルのインデックスがどのような形になるか,です。

  1. MIBテーブルを探す。
    MIB仕様からテーブル型のMIBを探します。オブジェクトの説明として,テーブル型であると記述されているものを探します。一般にテーブルは,xxxTableという名称で定義されているので,名称を基準に探す方法が簡単です。
    対象とするMIB仕様書中にMIBテーブルがない場合,定義が必要なMIBオブジェクトはありません。
    MIBテーブルがある場合は,それぞれのMIBオブジェクトについて手順2以降の判定をします。
  2. MIBテーブルのエントリの情報からインデックスの情報を探す。
    手順1で探したテーブルの,エントリの説明を探します。エントリは,一般にxxxEntryという名称で定義されています。ASN.1による定義に対応づけられたMIB仕様書の場合は,MIBテーブルのインデックスに何を使うかという説明を探します。エントリが何で識別されるか,という形式で説明されている場合もあります。また,エントリのオブジェクトそのものの説明がない場合,MIBテーブルのインデックスについての説明を探します。
    インデックスの情報がない場合は,判定できません。MIBの提供元から情報を入手してください。
  3. MIBエントリのインデックスの仕様を理解する。
    手順2で探したインデックスの情報からインデックスの仕様を理解します。一般に,インデックスにはどのMIBオブジェクトがインスタンス識別子として使用されるかが決められています。そのような情報がある場合は,手順4の判定をしてください。
    インスタンス識別子に使用されるMIBオブジェクトについての記述がなく,どういう値がインデックスとして使われるかという情報だけの場合は,その値にIPアドレスが含まれているかどうかを確認します。IPアドレスが含まれている場合は,そのMIBテーブルは,定義が必要です。
  4. インデックスに使用されるMIBオブジェクトの仕様で判定する。
    手順3で探したインデックスに使われているMIBオブジェクトの仕様を調べます。インデックスに使われるMIBオブジェクトのそれぞれの仕様を参照し,MIBオブジェクトの値がどのような値を取るかを検討します。一つでもIPアドレスを値とするMIBがあれば,そのMIBテーブルは定義が必要です。
    インデックスに使用されているMIBオブジェクトの値がすべてIPアドレス意外の場合は,そのMIBテーブルは定義する必要はありません。

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