JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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6.5.1 クライアントでのホスト識別子の保管

AMTに対応したコンピュータを使用している場合,クライアントで「AMT連携機能」を使用しているときは,ホスト識別子をAMTの不揮発性メモリに保管しておくことができます。

ホスト識別子を保管しておくことで,ディスク障害の対処としてクライアントを再インストールしたときに,ホスト識別子が復元されます。これにより,上位システムから障害前と同じ資産として認識されます。

ここでは,AMTの不揮発性メモリにホスト識別子を保管するための設定について説明します。

<この項の構成>
(1) 設定方法
(2) dcmamtin.exe(AMTの不揮発性メモリの初期設定)

(1) 設定方法

AMTの不揮発性メモリにホスト識別子を保管するには,ホスト識別子を格納するための不揮発性メモリの領域を初期設定する必要があります。領域を初期設定するには,上位システムからAMTに対応したコンピュータに対して,dcmamtinコマンドを実行します。コマンドの実行は,クライアントをインストールする前でも,インストールしたあとでもかまいません。

dcmamtinコマンドについては,「(2) dcmamtin.exe(AMTの不揮発性メモリの初期設定)」を参照してください。

領域の初期設定が完了すると,次のタイミングでAMTの不揮発性メモリにホスト識別子が保管されます。

クライアントが未インストールの場合
クライアントのインストール時に,生成されたホスト識別子が保管されます。
クライアントがインストール済みの場合
上位システムとの通信時に,生成済みのホスト識別子が格納されます。また,ホスト識別子が作成されていない場合は,ホスト識別子が作成されたタイミングで格納されます。

ホスト識別子が保管されると,クライアントを再インストールしたときに,保管されたホスト識別子が復元されます。ホスト識別子が復元されない場合は,マニュアル「運用ガイド2」の「6.4.2(5) AMT連携機能が正常に動作しない」を参照してください。

なお,クライアントの再インストール時に何らかの原因によってAMTの不揮発性メモリからホスト識別子を復元できなかった場合,クライアントでホスト識別子が新規に生成されます。この場合,クライアントのサービス起動時などのタイミングで,AMTの不揮発性メモリのホスト識別子が上書きされます。

(2) dcmamtin.exe(AMTの不揮発性メモリの初期設定)

dcmamtinコマンドについて説明します。このコマンドは,JP1/NETM/DM ManagerまたはJP1/NETM/DM Client(中継システム)の「AMT連携機能」をインストールした環境で利用できます。

機能
クライアントのAMTの,不揮発性メモリ内のホスト識別子を保管するための領域を初期設定します。
形式
dcmamtin.exe    {/f システム構成情報ファイル |
                 /H ホスト名 | /I IPアドレス}
引数
/f
システム構成情報ファイルをフルパスで指定します。システム構成情報ファイルに記載されているクライアントに対してコマンドを実行します。
複数のクライアントに対してAMTの不揮発性メモリの初期設定を実行したいときに指定してください。
システム構成情報ファイルについては,マニュアル「構築ガイド」の「8.1.4(3) システム構成情報をファイルに出力する」を参照してください。
/H
クライアントのホスト名を半角64文字以内で指定します。
/I
クライアントのIPアドレスを指定します。
リターンコード
dcmamtinコマンド実行時のリターンコードを次の表に示します。
コード 意味 対処
0 すべての実行先で,AMTの不揮発性メモリの初期設定に成功した。 なし。
1 システム構成情報ファイルを開けない,またはファイルの形式が不正である。 システム構成情報ファイルのパス,および記述形式を確認してください。
2 コマンドの引数に誤りがある。 コマンドの引数を確認してください。
12 その他のエラーが発生した。 システムエラーです。コマンドの実行環境を確認してください。
30 少なくとも1台のクライアントで,AMTの不揮発性メモリの初期設定に失敗した。 ログファイルを参照して,要因と対処を確認してください。
  • AMT管理ユーザの設定が統一されていないおそれがあります。実行対象のクライアントにAMT管理ユーザのユーザ名とパスワードが設定されているか確認してください。
  • AMTのProvisionモデルに「Small Business」が指定されているか確認してください。
  • 対象PCがAMTに対応していないか,ネットワーク上に存在しないおそれがあります。
31 すべてのクライアントで,AMTの不揮発性メモリの初期設定に失敗した。
  • ログファイルを参照して,要因と対処を確認してください。
  • セットアップで指定したAMT管理ユーザ名とパスワードが誤っているおそれがあります。再設定してください。
  • AMTのProvisionモデルに「Small Business」が指定されているか確認してください。
  • 対象PCがAMTに対応していないか,ネットワーク上に存在しないおそれがあります。

注※ dcmamtinコマンドのログについては,マニュアル「運用ガイド2」の「6.3.1(5) AMT連携機能のログを確認する」を参照してください。


実行例
dcmamtinコマンドで,AMTの不揮発性メモリを初期設定する例を次に示します。
dcmamtin.exe /f "D:\Program Files\Hitachi\NETMDM\DMPRM\NETM.NDD"