JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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6.1.5 ファイアウォール環境でのJP1/NETM/DMの運用

JP1/NETM/DMは,ファイアウォールを使用しているシステムでも,セキュリティのレベルを下げることなく運用できます。例えば,配布管理システムが設置された配布拠点と中継システムが設置された各部門のネットワークが,それぞれ,ファイアウォールで管理されていても,配布管理システムから中継システムへソフトウェアを配布できます。

ここでは,ファイアウォールを使用した環境で,JP1/NETM/DMを運用する方法について説明します。

なお,ファイアウォールでHTTPが使用できるように設定されている場合,インターネットオプションを使用すると,ここで説明しているファイアウォールの設定は不要になります。ただし「(5) ファイアウォールを使用した場合の注意事項」については,インターネットオプションを使用する場合にも注意してください。インターネットオプションについては,マニュアル「構築ガイド」の「付録E インターネットオプションを使ったJP1/NETM/DMの導入」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 使用できるファイアウォール
(2) NAT機能について
(3) JP1/NETM/DMで使用するポート番号
(4) Embedded RDBを使用している場合に必要な設定
(5) ファイアウォールを使用した場合の注意事項

(1) 使用できるファイアウォール

JP1/NETM/DMで使用できるファイアウォールには,次の方式があります。

(a) パケットフィルタリング方式ファイアウォール

設定によってファイアウォールを通過するパケットを制限する,ファイアウォール実現方式の一つです。代表的な製品は,Firewall-1です。

パケットフィルタリング方式のファイアウォールの場合は,該当するノードのIPアドレスとポート番号を設定することで,JP1/NETM/DMが使用できるようになります。

(b) アプリケーションゲートウェイ方式ファイアウォール

パケットの中継を禁止し,アプリケーションゲートウェイでアクセスを制御する,ファイアウォール実現方式の一つです。代表的な製品は,Gauntletです。

アプリケーションゲートウェイ方式のファイアウォールの場合は,ゲートウェイでアプリケーションごとにアクセスを制御するので,JP1/NETM/DMをアクセス可能なアプリケーションに設定する必要があります。

Gauntletの場合は,仮想プライベートネットワーク(VPN)機能を使用することによって,JP1/NETM/DMをアクセス可能なアプリケーションにします。

(2) NAT機能について

NAT機能とは,外部ネットワークから内部ネットワークのアドレスが見えないように,また内部ネットワークのアドレスが外部に漏れないようにするための機能です。

アドレス変換の方式には,次の2種類があります。

JP1/NETM/DMで使用できるのは,「固定アドレス割り当て方式(STATICモード)」だけです。

(3) JP1/NETM/DMで使用するポート番号

ファイアウォール環境でJP1/NETM/DMを使用する場合,ファイアウォールにポート番号を設定する必要があります。

次にJP1/NETM/DMで使用するポート番号を示します。

表6-2 JP1/NETM/DMで使用するポート番号

通信区間 ポート番号 プロトコル 発信側情報 着信側情報
マネージャ/中継システム間 30002(udp/tcpを選択※1 udp マネージャ:Ephemeral 中継システム:30002
中継システム:Ephemeral マネージャ:30002
tcp マネージャ:Ephemeral 中継システム:30002
中継システム:30002 マネージャ:Ephemeral
30000 tcp マネージャ:30000 中継システム:Ephemeral
中継システム:Ephemeral マネージャ:30000
中継システム/クライアント間 30002(udp/tcpを選択※1 udp 中継システム:Ephemeral クライアント:30002
クライアント:Ephemeral 中継システム:30002
tcp 中継システム:Ephemeral クライアント:30002
クライアント:30002 中継システム:Ephemeral
30001 tcp 中継システム:30001 クライアント:Ephemeral
クライアント:Ephemeral 中継システム:30001
マネージャ/クライアント間 30002(udp/tcpを選択※1 udp マネージャ:Ephemeral クライアント:30002
クライアント:Ephemeral マネージャ:30002
tcp マネージャ:Ephemeral クライアント:30002
クライアント:30002 マネージャ:Ephemeral
30000 tcp マネージャ:30000 クライアント:Ephemeral
クライアント:Ephemeral マネージャ:30000
サーバ本体機能/リモートインストールマネージャ間※2 30001 tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:30001
30000 tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:30000

注 Ephemeralポートは,通常1024〜5000の中からTCP/IPの自動割り当て範囲内の空きポート番号となります。

注※1 JP1/NETM/DM Managerの設定によってudpまたはtcpのどちらかを選択します。

注※2 「サーバ本体機能」と「リモートインストールマネージャ」を別のPCにインストールした場合が該当します。


(4) Embedded RDBを使用している場合に必要な設定

Embedded RDBを使用している場合に,「サーバ本体機能」と「リモートインストールマネージャ」を別のPCにインストールしたとき,これらの通信には次の表に示すポートが使用されます。

表6-3 「サーバ本体機能」と「リモートインストールマネージャ」間の通信で使用されるポート番号(Embedded RDBを使用している場合)

通信区間 ポート番号 プロトコル 発信側情報 着信側情報
サーバ本体機能/リモートインストールマネージャ間 30000 tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:30000
30001 tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:30001
30008 tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:30008
Ephemeral(データベースのクライアント接続) tcp リモートインストールマネージャ:Ephemeral サーバ本体機能:Ephemeral
tcp サーバ本体機能:Ephemeral リモートインストールマネージャ:Ephemeral

注 Ephemeralポートは,通常1024〜5000の中からTCP/IPの自動割り当て範囲内の空きポート番号となります。


ファイアウォールを挟んだ環境では,着信側にファイアウォールの通過を設定する必要があります。発信側でのポート設定は不要です。ファイアウォールの通過の設定方法を次に説明します。

(a) 「サーバ本体機能」をインストールしたPC側にファイアウォールがある場合の設定

「サーバ本体機能」をインストールしたPC側にファイアウォールがある場合,次に示すポートはファイアウォールを通過させる必要があります。

(b) 「リモートインストールマネージャ」をインストールしたPC側にファイアウォールがある場合の設定

「リモートインストールマネージャ」をインストールしたPC側にファイアウォールがある場合,データベースのクライアントで使用される受信用ポートはファイアウォールを通過させる必要があります。

データベースのクライアントの受信用ポートは,デフォルトではOSが自動でポート番号を割り当てます。なお,受信用ポートは10個以上使用されます。そのため,受信用ポートに使用されるポート番号の範囲を固定して,ファイアウォールの通過を設定する必要があります。

受信用ポートに使用するポート番号の範囲を固定する手順を次に示します。

  1. リモートインストールマネージャおよびその他のJP1/NETM/DMアプリケーションを停止する
  2. JP1/NETM/DM Managerのインストール先ディレクトリ\NETMDBCLTに格納されているHiRDB.iniをテキストエディタで開く
    「サーバ本体機能」もインストールされている場合,HiRDB.iniはインストール先ディレクトリ\NETMDB\CONF\embに格納されています。
  3. 「PDCLTRCVPORT=」に使用するポート番号の範囲を指定する
    PDCLTRCVPORT=のあとに,使用するポート番号の範囲を「ポート番号-ポート番号」の形式で指定します。
    (例)使用するポート番号の範囲に10000〜10500を指定する場合
    PDCLTRCVPORT=10000-10500
    なお,PDCLTRCVPORT=のあとに何も指定しないか「0」を指定した場合,使用するポート番号の範囲は設定されません。デフォルトでは,使用するポート番号の範囲は設定されていません。
  4. リモートインストールマネージャおよびその他のJP1/NETM/DMアプリケーションを起動する

この設定をしたあと,JP1/NETM/DMが使用するポート番号は次のようになります。

通信区間 ポート番号 プロトコル 発信側情報 着信側情報
サーバ本体機能/リモートインストールマネージャ間 Ephemeral(データベースのクライアント接続) tcp サーバ本体機能:Ephemeral リモートインストールマネージャ:10000〜10500

注※ ポート番号の範囲に10000〜10500を設定した場合。


データベースのクライアントで使用するポート番号を固定する場合の注意事項を次に示します。

(5) ファイアウォールを使用した場合の注意事項

ファイアウォールを使用した場合の注意事項を次に示します。