JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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5.1.2 大規模なシステム構成の設計

クライアントが数千台またはそれ以上の台数となるような,全国規模の大規模システムでは,1台のJP1/NETM/DM Managerですべての管理業務をカバーするのは大変な負担です。JP1/NETM/DM Client(中継システム)を部門ごとの配布管理システムとして使用することもできますが,一つ下の階層までしかジョブを実行できない,実行できるジョブの種類が少ない,などの制限があります。

このような場合は,JP1/NETM/DM Managerを階層構成にして運用することをお勧めします。全体を統括するJP1/NETM/DM Manager(マネージャ)の配下に,中継機能を持つJP1/NETM/DM Manager(中継マネージャ)を配置して,部門ごとの運用を任せることで,全体を統括する配布管理システムの負担を大幅に軽減できます。

大規模ネットワークにJP1/NETM/DMを導入する場合のシステム構成例を次の図に示します。

図5-2 大規模システムの構成

[図データ]

大規模なJP1/NETM/DMシステムを運用する場合,基本的なシステム構成での運用に加え,次の内容について知っておく必要があります。

それぞれについて説明します。

<この項の構成>
(1) 配布管理システムの階層化によるメリット
(2) 中継マネージャ配下のシステム構成情報の管理
(3) マネージャからのジョブの実行

(1) 配布管理システムの階層化によるメリット

JP1/NETM/DM Managerを階層構成にした運用では,中継マネージャを頂点とする部門ごとのネットワークを,一つのJP1/NETM/DMシステムとして扱うため,次のようなメリットがあります。

(2) 中継マネージャ配下のシステム構成情報の管理

マネージャの配下に中継マネージャを置くと,マネージャからは,中継マネージャ配下のシステム構成情報に対する操作(中継システムやクライアントの追加,移動,削除など)はできません。中継マネージャ配下のシステム構成情報を操作できるのは中継マネージャだけです。

このため,JP1/NETM/DM Managerを階層化した大規模なJP1/NETM/DMシステムを構築する場合は,初めに,拠点ごとに中継マネージャを頂点とする基本的なJP1/NETM/DMシステム構成を構築し,各拠点の中継マネージャ上でシステム構成情報を作成しておきます。そのあと,マネージャを導入し,各拠点の配布管理システムを中継マネージャとして定義します。

マネージャ上で,各拠点のJP1/NETM/DM Managerを中継マネージャとして設定し終わったら,各中継マネージャ配下のシステム構成情報を取得する必要があります。中継マネージャ配下のシステム構成情報を一括して取得するには,中継マネージャをあて先とした「システム構成情報の取得」ジョブを実行します。中継マネージャが管理するシステム構成情報が転送され,マネージャの[システム構成]ウィンドウに表示されます。なお,中継マネージャが多階層の場合,上位の中継マネージャから下位の中継マネージャ配下のシステム構成情報を取得するときは,下位の中継マネージャをあて先に指定します。

「システム構成情報の取得」ジョブを実行して,中継マネージャからシステム構成情報を取得する流れを次の図に示します。

図5-3 中継マネージャからのシステム構成情報の取得

[図データ]

マネージャでいったんシステム構成情報を取得したら,あとはネットワーク内のすべての中継マネージャ,中継システム,およびクライアントを,通常のあて先として扱えます。また,マネージャでIDを作成する場合,ネットワーク内のすべての中継マネージャおよび中継システムをID管理中継として設定できます。

システム構成情報を取得したあと[システム構成]ウィンドウの情報を常に最新の状態にしておくには,マネージャおよび中継マネージャのセットアップで,システム構成を自動的に登録・反映するように設定してください。中継マネージャ配下のシステム構成情報が,自動的にマネージャに通知されます。

(3) マネージャからのジョブの実行

通常,配布管理システムからジョブのあて先として指定できるのは,あて先グループ,ID,および単体のクライアントの3種類です。しかし,JP1/NETM/DM Managerを階層構成にした場合,最上位のマネージャからは,この三つに加えて,「全あて先」を指定したジョブ(全あて先ジョブ)を実行できます。「全あて先」とは,中継マネージャ下のすべてのホストを意味します。特定の中継マネージャに対して全あて先ジョブを実行すると,ジョブを受け取った中継マネージャが,配下のすべてのクライアントに対してそのジョブを実行します。

マネージャからは,全あて先ジョブの実行結果を,クライアントの台数(総数および実行結果ごとの台数)で確認できます。中継マネージャのセットアップで,全あて先ジョブのクライアント実行結果を記録する設定をしておけば,1台1台のクライアントごとの実行状況も確認できます。

また,マネージャから全あて先ジョブを再実行すると,ジョブの実行状態が「実行待ち」または「エラー」のクライアントだけを,中継マネージャが自動的にピックアップして再実行します。