JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

[目次][用語][索引][前へ][次へ]

2.10.2 クライアントのグルーピング

配布管理システムでリモートインストールなどのジョブを実行するとき,ジョブの実行対象となるホスト(あて先)を指定します。このとき,システム構成情報を利用して,あて先を1台1台指定することもできますが,多数のクライアントがある場合は効率的ではありません。JP1/NETM/DMでは,物理的なネットワーク構成とは関係なく,目的に応じてクライアントを幾つかのグループに分類し,グループ単位でジョブを実行することができます。

<この項の構成>
(1) 作成できるグループの種類
(2) あて先のグルーピング方法

(1) 作成できるグループの種類

作成できるグループには,あて先グループIDの2種類があります。どちらも,部署や担当業務といった任意の条件でグルーピングできます。さらに,一つのホストを複数のあて先グループまたは複数のIDに登録して,1台のPCを,部署ごと,業務ごとといった複数のグループに所属させる運用もできます。このため,配布先のホストを効率良く管理できます。

また,Active Directoryで管理しているグループを,そのまま配布管理システムで利用することもできます。この場合,新たにグループを作成する必要はありません。Active Directoryからディレクトリ情報を取得するだけで,グループが作成されます。

(a) あて先グループ

あて先グループは,配布管理システム側でホストをグルーピングする方法です。システム構成とは関係なくホストをグルーピングできますので,部署やプロジェクトなど,任意の条件で,ホストを階層的なグループに分類して管理できます。あて先グループ名はユーザが任意に設定できます。部署やプロジェクトなどでホストをグルーピングし,管理しやすい名称を付けておくと,ジョブの実行が容易になります。

ジョブのあて先として,あて先グループを指定すると,そのグループに属するすべてのクライアントに対してジョブが実行されます。

(b) ID

IDは,配布管理システムで,グループの名称と,そのIDを管理する中継するシステム(ID管理中継)だけを決めておく方法です。どのグループに所属するかは,クライアント側で決めます。複数のIDに所属することもできます。

また,配布管理システムから,ファイルを使って複数のクライアントをIDに登録することもできます。ただし,IDは階層的に管理できません。

あて先にIDを指定したジョブ(IDジョブ)がID管理中継に転送されると,そのIDに属するクライアントにID管理中継からジョブが実行されます。

IDでグループを作成すると,クライアント側でIDに登録するため,管理者がジョブのあて先のクライアントを個々にメンテナンスする必要がないため便利です。また,クライアントが増設されても,クライアント側でIDに登録すれば,登録したIDのジョブが自動的に実行されるため,クライアントの構成変更に動的に対応できます。

クライアントからIDに登録するとき,IDに登録を許可するパスワードを設定できます。パスワードを設定することで,クライアントから間違ったIDに登録してしまうことを避けられます。

(c) ディレクトリ情報

ディレクトリ情報は,Active Directoryで管理しているグループを,そのまま配布管理システムで利用する方法です。そのため,あて先グループやIDのような,目的に応じたグルーピングはできませんが,Active Directoryで管理しているグループに対してジョブを実行する場合,新たにグループを作成する必要がないので便利です。

ディレクトリ情報と配布管理システム上のシステム構成情報との関係については,「2.10.3 システム構成情報とディレクトリ情報の関係」を参照してください。

(2) あて先のグルーピング方法

あて先グループとIDは,リモートインストールマネージャの[あて先]ウィンドウで設定します。

図2-51 [あて先]ウィンドウ

[図データ]

あて先グループの作成方法については,マニュアル「構築ガイド」の「8.2 あて先グループを作成する」を参照してください。

IDの作成方法については,マニュアル「構築ガイド」の「8.3 IDを作成する」を参照してください。

参考
ディレクトリ情報は,Active Directoryの設定をそのまま引き継ぐため,設定は必要ありません。ディレクトリ情報は,リモートインストールマネージャの[ディレクトリ情報]ウィンドウで参照できます。ディレクトリ情報の取得方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「3.4 ディレクトリ情報を取得する」を参照してください。

[あて先]ウィンドウの左枠には,グループの階層構造が表示されます。左枠の階層をダブルクリックすると,ダブルクリックした階層の下位の階層が表示されます。右枠には左枠で選択したグループに属するホストの情報が表示されます。

[あて先]ウィンドウでは,次に示すアイコンでグループが表示されます。

ジョブを実行する対象のクライアントは,主に[あて先]ウィンドウで指定します。[システム構成]ウィンドウでも指定できますが,ホストの名称がIPアドレスまたはホスト名で表示されているため,各ホストを認識しにくい場合があります。[あて先]ウィンドウでは,ジョブを実行するホストをグループ単位に指定できます。

システム構成情報が,クライアントのネットワーク構成を管理するための情報であるのに対して,あて先グループやIDは,クライアントをグループに分けて管理するための情報と言えます。効率良くジョブを実行できるよう,グルーピングの基準を検討しておいてください。