JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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1.2.1 ソフトウェアの配布

ネットワークを介して,遠隔地にあるクライアントへのソフトウェアの配布・インストールを,センタサーバからの指示で一括して実行できます。各クライアントでのインストール結果は,サーバへ自動的に通知され,一元管理できます。また,ネットワークを介さないで,クライアントへソフトウェアをインストールすることもできます。

ソフトウェアの配布機能の詳細については,「2.1 ソフトウェアの配布(リモートインストール)」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 機能の概要
(2) 効率良く配布するための機能
(3) スタンドアロンPCへのソフトウェアのインストール

(1) 機能の概要

JP1/NETM/DM Managerをインストールしたセンタサーバ(配布管理システム)から,ネットワークを経由して,JP1/NETM/DM Clientをインストールしたクライアントに,ソフトウェアを配布・インストールします。大規模なネットワークや,クライアントの台数が多いシステムでは,中間にJP1/NETM/DM Clientをインストールした中継システムを置くことで,効率良くソフトウェアを配布できます。ソフトウェアの配布機能の概要を次の図に示します。

図1-1 ソフトウェアの配布機能

[図データ]

ソフトウェアの配布手順は,次に示すように,準備,実行,および確認の3段階に分けることができます。

  1. 配布するソフトウェアを登録する(パッケージング)。
    配布するソフトウェアは,事前に,配布管理システムに登録(パッケージング)しておきます。ソフトウェアのパッケージングには,パッケージャを使用します。また,パッケージングされて,配布できる状態になったソフトウェアをパッケージと呼びます。パッケージングするときは,配布するソフトウェアのインストール条件なども指定できます。

    図1-2 パッケージング

    [図データ]

  2. ソフトウェアの配布を指示する(リモートインストール)。
    配布管理システムで,どのクライアントに対して,ソフトウェアをどのように配布するのかを指示するジョブを作成,実行します。例えば,特定の部署のクライアントだけに,特定の日時に一斉にソフトウェアを配布するようなジョブを作成できます。ジョブで指示したとおりに,ソフトウェアが配布・インストールされます。

    図1-3 リモートインストール

    [図データ]

  3. インストールの実行状況,実行結果を確認する。
    ジョブの実行状況や実行結果が,配布管理システムのGUI上で一目で確認できます。

    図1-4 [ジョブ実行状況]ウィンドウ

    [図データ]

このように,配布管理システムからクライアントにパッケージングしたソフトウェアを転送し,インストールする機能をリモートインストールと呼びます。

(2) 効率良く配布するための機能

JP1/NETM/DMでは,ソフトウェアを効率良く配布するために,さまざまな機能を提供しています。ここでは,その一部を紹介します。

(a) 配布先のグルーピング

ソフトウェアの配布先となるクライアントを,目的に応じてグルーピングできます。クライアントは,複数のグループに所属させることができます。このため,次の図のように,部署ごとのグルーピングとプロジェクトごとのグルーピングを重複して設定できます。

図1-5 配布先のグルーピングの例

[図データ]

配布先をグルーピングしておけば,配布先として,clt2とclt3を1台ずつ指定する代わりに,「Aプロジェクト」グループを指定できます。

(b) 中継システムの活用

中継システムは,ソフトウェアの配布を中継する機能のほかに,配布管理システムとしての機能も併せ持っています。このため,センタサーバによる一極集中型の運用だけでなく,中継システムを部門サーバとした分散型の運用も可能です。さらに,このような分散型の運用の場合でも,中継システム主導でリモートインストールしたソフトウェアの状況をセンタサーバで把握できます。このため,ネットワーク全体のソフトウェアの情報を,センタサーバで一元管理できます。

なお,中継システムにはクライアントとしての機能もあります。このため,センタサーバから,中継システムに対して,ほかのクライアントと同じ扱いでリモートインストールを実行できます。

(c) インストール条件の設定

ソフトウェアをリモートインストールするとき,配布先のクライアントが,そのソフトウェアのインストールに適しているかどうかをチェックできます。例えば,パッケージング時またはジョブの作成時に,次のような画面で,インストールの前提となるハードウェアの条件を指定できます。

図1-6 [システム条件]パネル

[図データ]

このようにハードウェアの条件を設定しておくと,ハードディスクの容量不足やOSの不適合などで失敗が予想されるクライアントに対して,インストールを抑止できます。

ハードウェア条件のほかにも,特定のソフトウェアがインストールされているかどうかをチェックしたり,インストール前に外部プログラムを起動して,ユーザ独自の条件でチェックしたりできます。

(d) 配布のタイミングとインストールのタイミング

リモートインストールの日時の指定は,ソフトウェアを配布する(データを転送する)日時と,それをクライアントにインストールする日時の2段階に分けることができます。

リモートインストールのジョブを作成するとき,ジョブの実行日時を設定できます。これが,ソフトウェアの配布日時(データを転送する日時)となります。ネットワークが比較的空いている夜間などを指定しておくと,効率良く転送できます。

配布したソフトウェアを各クライアントにインストールする日時は,これとは別に,パッケージごとに設定します。各クライアントで,指定した日時に一斉にプログラムをバージョンアップしたい場合などに便利です。

(e) パッケージの分割配布

パッケージを一度に配布しないで,指定した容量に分割して配布できます。分割したパッケージの転送間には休止時間も設定できるので,大容量のパッケージを配布するときに,ネットワークの負荷を軽減できます。

(f) マルチキャスト配布

ソフトウェアの配布時に,マルチキャスト配布を指定すると,クライアントの上位システムから1ジョブ分のパケットを送信するだけで,指定した多数のクライアントへソフトウェアを配布できます。大容量のソフトウェアを配布する場合などに,パケットの送信量を削減できます。

(g) ジョブの中断と再開

リモートインストール中のホストに対して,一時的にジョブの実行を中断できます。例えば,業務停止中に実行する予定のジョブが業務開始までに完了しなかった場合,実行中のジョブを中断し,業務終了後に再開できます。

(h) クライアント制御の利用

PCがAMTまたはWake on LANに対応している場合,ほかのPCからネットワーク経由でクライアントを起動できます。また,PCが自動シャットダウンに対応している場合は,ネットワーク経由でクライアントをシャットダウンできます。この機能を使って,JP1/NETM/DMでは,ネットワークの負荷の小さい深夜や休日などに,電源が入っていない状態のPCに対してソフトウェアをリモートインストールできます。

(3) スタンドアロンPCへのソフトウェアのインストール

JP1/NETM/DMは,ネットワークを介してソフトウェアの配布やインベントリ情報の管理を実現するシステムですが,ネットワークを介さないで,スタンドアロンで使用しているPCにソフトウェアをインストールすることもできます。ソフトウェアをインストールしたいPCがネットワーク外の場合や,ネットワーク内でも回線に負荷を掛けたくない場合に便利です。インストールの対象となるのは,JP1/NETM/DM ClientがインストールされているスタンドアロンPC(オフラインマシン)です。

オフラインマシンにソフトウェアをインストールするには,まず,配布管理システムでソフトウェアのインストールに必要なファイルを作成し,CD-RやMOなどの媒体に格納します。そして,その媒体をオフラインマシンに搬送し,インストールを実行します。このように,ネットワークを介さないでソフトウェアをインストールする方法を,オフラインインストールと呼びます。