JP1/File Transmission Server -全銀TCP
JP1/全銀TCPは,全国銀行協会(全銀協)によって制定された「全銀協標準通信プロトコル−TCP/IP手順−」(以降,全銀協手順(TCP/IP)と省略します)に従ってファイル伝送するプログラムです。
全銀協手順(TCP/IP)によるファイル伝送の概要を次の図に示します。
図1-1 全銀協手順(TCP/IP)によるファイル伝送
全銀協手順(TCP/IP)によるファイル伝送では,ファイルの伝送要求を発行する側(発信)を一次局,伝送要求に回答する側(着信)を二次局といいます。また,連絡モードと照会モードという二つの伝送があり,一次局から二次局へのファイル送信を連絡モード,二次局から一次局へのファイル送信を照会モードといいます。
通信相手の正当性を確認するためにセンタ確認コードとパスワードが使用されます。また,該当ファイルの送受者の正当性を確認するためにファイルアクセスキーが使用されます。
こうした全銀協手順(TCP/IP)でのファイル伝送を実現するJP1/全銀TCPには,次のような特長があります。
全銀協手順(TCP/IP)のホスト間接続,およびホスト−パーソナルコンピュータ(以降,パソコンと省略します)間接続に対応しています。ホスト間接続,ホスト−パソコン間接続では,それぞれ次の手順に基づいてファイル伝送を実行します。
表1-1 ホスト間接続およびホスト−パソコン間接続の規約
接続形態 | 規約名※ |
---|---|
ホスト間接続 | 全銀協標準通信プロトコル−TCP/IP手順− |
ホスト−パソコン間接続 |
|
パソコン手順によるファイル伝送の場合は,マルチファイルや可変長ファイルの伝送はできません。
全銀協手順(TCP/IP)の拡張仕様である拡張Z手順にも対応しています。拡張Z手順を使用すると,最大伝送テキスト長を43,700バイトまで,最大レコード長(固定長および可変長)を32,767バイトまで拡大できます。
JP1/全銀TCPがインストールされたマシンは,全銀協手順(TCP/IP)の定める一次局と二次局両方の役割を果たす複合局として機能します。一次局としてファイル伝送を実行する場合,および二次局としてファイル伝送を実行する場合の自局の回線情報をそれぞれ設定することで両方の局の役割を果たします。
自局マシンが複数のIPアドレスを持つ場合にも対応しています。一次局としてファイル伝送する場合は,OSが自動的にIPアドレスを割り当てて送信します。二次局としてファイル伝送する場合は,自局マシンが設定しているすべてのIPアドレスが対象で,全銀協手順(TCP/IP)が定めるポート番号5020で着信を受け付けます。
JP1/全銀TCPは,マルチファイルの伝送にも対応しており,最大99個のファイルを伝送できます。
ファイル伝送後に,UAP(ユーザーアプリケーションプログラム)を起動させることができます。これによって,ファイル伝送と連携する処理などを自動化できます。
コマンドを使って,伝送中の伝送を強制終了したり,登録中の伝送要求を取り消したりできます。
JP1/全銀TCPは,コマンドによって伝送サーバの起動や,ファイル伝送を実行するための伝送要求の登録,伝送履歴の表示などの操作を簡単にできます。また,X-Window Systemを使用できる環境では,OFS/Motifを使用したGUIによって操作することもできます。
JP1/全銀TCPでは,APIを提供しています。APIをUAPに組み込むことで,ファイル伝送の自動化や効率化を実現できます。
JP1/IMと連携することによって,伝送サーバの起動や停止,ファイル伝送の開始や終了などを契機に発行されるイベントをJP1/IM - Viewで集中監視できます。
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