JP1/Advanced Shell
形式
adshcollect 保守情報出力先ディレクトリ [-f 定義ファイル名] [-e 環境ファイル名]
機能
adshcollectコマンドによって,障害調査のための資料を一括して収集できます。
このコマンドは,障害発生時の実行ユーザーの権限で実行する必要があります。
引数
- 保守情報出力先ディレクトリ
- 【Windows限定】
保守情報を格納したファイルを出力先ディレクトリに出力します。ディレクトリの名称は,ADSHyyyymmddhhmmssです。yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した24時間制のローカルタイムでの時刻となります。Windowsの標準機能にはUNIXのtar相当の機能がないため,保守情報を提供する場合,このファイルをユーザーの圧縮ツールを使用してzipまたはlzh形式などの一般的な形式に圧縮してください。
- 【UNIX限定】
収集した情報をtarのアーカイブファイルとして出力する場合の,出力先のディレクトリを指定します。また,一時ファイルを必要とする場合は,このディレクトリに作成します。アーカイブファイルの名称は,ADSHyyyymmddhhmmss.tarです。yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した24時間制のローカルタイムでの時刻となります。
- -f 定義ファイル名
任意の定義ファイル名を指定します。絶対パスまたはカレントディレクトリからの相対パスで指定します。定義ファイル名の指定がない場合は,DUMP,CORE相当の保守情報を採取しません。
- -e 環境ファイル名
このオプションは,環境変数ADSH_ENVに設定したファイルパスと別のファイルパスを指定したい場合に指定します。絶対パスまたはカレントディレクトリからの相対パスで指定します。指定がない場合は,環境変数ADSH_ENVに設定したファイルパスを環境ファイル名として扱います。環境変数ADSH_ENVの指定もない場合は,SPOOL_DIR,LOG_DIRおよびTRACE_DIRはデフォルト値になります。
使用方法
JP1/Advanced Shellを標準的な構成でインストールした場合のコマンドの使用手順を次に示します。
- 環境ファイルには障害が発生したときの環境ファイルを指定してください。また,環境ファイルを障害発生時の運用環境に合わせて書き換えてください。詳細については,「2.6 JP1/Advanced Shellの環境情報を設定する」を参照してください。
- 定義ファイルは必要に応じて,任意の場所に作成してください。coreまたはdumpを採取する必要がない場合は作成および定義は不要です。
- JP1/Advanced Shellの運用で使用しないディレクトリを保守情報出力先ディレクトリに指定してadshcollectコマンドを実行します。
保守情報のファイルが作成されます。保守情報の出力先は書き込み可能であり,十分な空き容量があることが必要です。JP1/Advanced Shellで使用しないディレクトリである必要があります。
/tmpディレクトリを使用した例を次に示します。
/opt/jp1as/maintenance/adshcollect /tmp
定義ファイルと環境ファイルの設定
定義ファイルと環境ファイルでadshcollectコマンドの動作を定義します。定義ファイルは,キーワードと値をスペースで区切って記述します。ファイル名はすべて絶対パスで指定します。
定義ファイルのキーワードと指定の関係について次の表に示します。定義ファイルにはCOREおよびDUMP以外を指定できません。例えば,コメントなどは記入できません。
表10-6 定義ファイルのキーワードと指定の関係
キーワード 内容 指定 複数指定 ワイルドカード DUMP【Windows限定】 ワトソンログなど,Windowsで採取したいダンプファイルを指定します。ワトソンログについては,Windowsの資料を参照してください。
パスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。任意 ○※ × CORE【UNIX限定】 coreファイルを障害情報として採取する必要があるとき,ファイルを格納しているディレクトリ名を指定します。指定したディレクトリ以下にある,名前の一部に「core」と付いたファイルを一括して採取します。 任意 ○ ×
- (凡例)
- ○:指定できます。
- ×:指定できません。
- 注※
- DUMPキーワードは,16個まで指定できます。
環境ファイルのキーワードと指定の関係について次の表に示します。なお,環境ファイルに指定がない場合,パス名のデフォルト値の各情報を採取します。
表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係
キーワード 内容 指定 複数指定 ワイルドカード SPOOL_DIR スプールディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
- 実行環境の場合【Windows限定】
全ユーザー共通文書フォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\spool
- 開発環境の場合【Windows限定】
全ユーザー共通文書フォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\spool
- 実行環境の場合【UNIX限定】
/var/opt/jp1as/spool
任意 × × LOG_DIR システム実行ログ出力先ディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
- 実行環境の場合【Windows限定】
全ユーザー共通文書フォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\log
- 開発環境の場合【Windows限定】
全ユーザー共通文書フォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\log
- 実行環境の場合【UNIX限定】
/opt/jp1as/log
任意 × × TRACE_DIR トレースログ出力先ディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
- 実行環境の場合【Windows限定】
共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\trace
- 開発環境の場合【Windows限定】
共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\trace
- 実行環境の場合【UNIX限定】
/opt/jp1as/trace
任意 × ×
- (凡例)
- ×:指定できません。
定義ファイルと環境ファイルの指定例【Windowsの場合】
定義ファイルの指定例を次に示します。
#-adsh_conf DUMP "C:\Program Files\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\dump"環境ファイルの指定例を次に示します。
#-adsh_conf SPOOL_DIR "C:\Documents and Settings\All Users\Documents\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\spool" #-adsh_conf LOG_DIR "C:\Documents and Settings\All Users\Documents\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\log" #-adsh_conf TRACE_DIR "C:\Documents and Settings\All Users\Application Data\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\trace"
定義ファイルと環境ファイルの指定例【UNIXの場合】
定義ファイルの指定例を次に示します。
#-adsh_conf CORE /home/user1/program1環境ファイルの指定例を次に示します。
#-adsh_conf SPOOL_DIR /var/opt/jp1as/spool #-adsh_conf LOG_DIR /opt/jp1as/log #-adsh_conf TRACE_DIR /opt/jp1as/trace
ディスク使用量
- 保守情報を出力した圧縮ファイル
システム実行ログ,トレースログの容量+DUMPまたはCOREで指定したファイルの容量(Windows環境の場合DUMPファイル,UNIX環境の場合COREファイルになります)
adshcollectコマンドで採取するファイルの一覧
adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズは,次の表に示すようにWindowsとUNIXで異なります。
表10-8 adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズ【Windows限定】
ファイルの種類 ファイル名 最大サイズ 採取 スプール [環境ファイルのSPOOL_DIR]\adsh.jobid
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。1KB程度 ○ システム実行ログ(JP1/Advanced Shell) [環境ファイルのLOG_DIR]\AdshLog.log
[環境ファイルのLOG_DIR]\AdshLog_n.log(nは面数)
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。[環境ファイルのLOG_FILE_SIZE]×(n+1) MB ○ [環境ファイルのLOG_DIR]\AdshLog.conf
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。1KB程度 ○ UXPLの実行ログ 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASE\uxpl\spool\uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面) 5MB ○ 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\uxpl\spool\uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面) 5MB ○ 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\misc\uxpl\spool\uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面) 5MB ○ トレースログ
(JP1/Advanced Shell)[環境ファイルのTRACE_DIR]\AdshTrace_[n].log(nは面数:4面固定)
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。[環境ファイルのTRACE_FILE_SIZE]×nMB ○ トレースログ(カスタムジョブ) 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASV\trace\AdshTrace_1.log 1MB ○ トレースログ(エディタ) 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\adshedit\trace\AdshTrace_1.log 1MB ○ トレースログ
(JP1/Advanced Shell,JP1/Advanced Shell - Developer共通コマンド)共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\misc\trace\AdshTrace_[n].log(nは面数) 8MB ○ トレースログ(エディタ独自機能) 共通APデータフォルダ\Hitachi\JP1AS\JP1ASD\adshedit\trace\adshedit.txt ユーザー環境の設定による ○ dumpファイル 定義ファイルのDUMP以下のdumpファイル ユーザー環境の設定による △ 環境ファイル 環境変数ADSH_ENVのファイルまたは-eオプションで指定したファイル 1KB程度 △ マシンに設定されているホスト名 システムルートフォルダ\system32\drivers\etc\hosts ユーザー環境の設定による ○ マシンに設定されているサービスポート システムルートフォルダ\system32\drivers\etc\services ユーザー環境の設定による ○ 環境情報ファイル ADSHTMPyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)ユーザー環境の設定による ○
- (凡例)
- ○:adshcollectコマンドによって必ず採取します。
- △:adshcollectコマンドのオプション指定時に採取します。
表10-9 adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズ【UNIX限定】
ファイルの種類 ファイル名 最大サイズ 採取 スプール [環境ファイルのSPOOL_DIR]/.jobid
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。1KB程度 ○ システム実行ログ [環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog.log
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。
[環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog_[n].log(nは面数)
パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。[環境ファイルのLOG_FILE_SIZE]×(n+1) MB ○ [環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog.conf
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。1KB程度 ○ トレースログ [環境ファイルのTRACE_DIR]/AdshTrace_[n].log(nは面数)
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。[環境ファイルのTRACE_FILE_SIZE]×nMB ○ coreファイル 定義ファイルのCOREのcoreファイル ユーザー環境の設定による △ 環境ファイル 環境変数ADSH_ENVのファイルまたは-eオプションで指定したファイル 1KB程度 △ インストール済みの日立製品 /etc/.hitachi/pplistd/pplistd ユーザー環境の設定による ○ 環境変数 /etc/environment ユーザー環境の設定による ○ 環境情報ファイル ADSHTMPyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)ユーザー環境の設定による ○ tarのログ ADSHTARyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)1KB程度 ○
- (凡例)
- ○:adshcollectコマンドによって必ず採取します。
- △:adshcollectコマンドのオプション指定時に採取します。
注意事項
- 保守情報出力先ディレクトリには,出力ファイルおよび一時ファイルを作成するため,空き領域を確保しておく必要があります。
- 保守情報出力先ディレクトリに,出力ファイル,および一時ファイルを作成します。このため,保守情報出力先ディレクトリは書き込み可能にしてください。
- adshcollectコマンドの実行中に強制終了すると,一時ファイルが保守情報出力先ディレクトリに残る場合があります。このような場合は,一時ファイルを手動で削除してください。
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